こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
二重価格表示について、わからないことがあり、悩んでいませんか?
二重価格表示とは、「通常価格1000円のところ、本日限り700円」というように、実際に販売している価格よりも高い価格を「通常価格」などとして表示することにより、安さを強調する表示方法です。二重価格表示も適切に行う限りは適法です。ただし、表示されている「通常価格」等が実態のないものである場合などは、景品表示法違反となります。
二重価格表示が違法とされ、消費者庁や都道府県から措置命令を受けると、その内容がインターネットでも公表され、また場合によっては報道の対象となります。
▶参考情報:消費者庁による公表「景品表示法関連報道発表資料」
公表や報道の結果、違法な広告表示で処分を受けた会社として、企業イメージが大きく毀損されることになってしまいます。
また、企業は二重価格表示を防ぐために、必要な体制を整備することが法律上義務付けられており、まだ法律上必要な体制を整備できていない企業は早急に対応する必要があります。
この記事では二重価格表示の違反事例等をご紹介したうえで、違反の場合のペナルティの内容や、景品表示法違反のトラブルを防ぐために求められる社内体制の整備についてもわかりやすくご説明します。
この記事を読んでいただくことで、二重価格表示で景品表示法違反の問題を起こさないための重要なポイントを理解していただくことができます。
なお、景品表示法の法律についてなど全体像の解説については、以下をご参照ください。
それでは見ていきましょう。
新しくECサイトを立ち上げる際や新商品、新サービスを売り出す際は、景品表示法違反の問題が起こりがちです。景品表示法違反の問題は二重価格表示の問題だけでなく、その他の有利誤認表示や優良誤認表示、原産国表示等の問題も重要です。
確認の不備や知識の不足で処分を受けないように、新商品、新サービス等の扱いを開始する際は、弁護士のリーガルチェックを受けることをおすすめします。
景品表示法に関する弁護士への相談については以下の解説をご参照ください。
▶二重価格表示に関して今スグ弁護士に相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。
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今回の記事で書かれている要点(目次)
- 1.二重価格表示とは?
- 2,当店通常価格を表示するケースでは8週間ルールが重要
- 3,将来の販売価格を表示する場合はセール後2週間以上その価格で売ることが必要
- 4,希望小売価格を表示するケースの注意点
- 5,公表されている参考小売価格を表示することは適法
- 6,競合他社の価格を表示する際は直近の価格であることが必要
- 7,販売価格が適用される条件についての表示があいまいな場合は違法のおそれ
- 8,消費者庁の「価格表示ガイドライン」
- 9,最近の処分事例
- 10,違反の場合のペナルティ3つ
- 11,宅建業者、不動産業者等は公正競争規約にも注意!
- 12,不当表示をしないための社内体制の整備が義務づけられている
- 13.二重価格表示に関して弁護士に相談したい方はこちら
1.二重価格表示とは?
二重価格表示とは、Webサイトや、広告あるいは店頭のPOP等に、販売価格と一緒に、販売価格とは別の価格を併記して表示することをいいます。この併記される価格のことを、比較対照価格といいます。
たとえば、「当店通常価格〇〇円のところ本日限り△△円」という表示です。「当店通常価格〇〇円」の部分が比較対照価格、「本日限り△△円」の部分が販売価格です。
このような二重価格表示の目的は、通常価格よりも安くなっているということを訴求することにより、販売を拡大するという点にあります。
そして、上記のような表示をすることも、その内容が正しい場合は問題ありません。
しかし、不正確な比較対象価格を表示することにより、消費者に販売価格が安いと誤認させるような表示は、景品表示法で禁止されている不当表示に該当し、違法とされるおそれがあります。
不当表示に該当する可能性があるのは以下のような場合です。
(1)同一ではない商品の価格を比較対照価格として表示する場合
同一ではない商品とは、銘柄や品質、規格、性能などが異なる商品のことです。同じ「テレビ」であっても搭載されている機能が違ったり、サイズが違ったり、発売年式が違ったりするものでは価格が異なるのは当然です。
異なる商品の価格を比較対照価格として表示しても、消費者は販売価格が安いのかどうかを正しく評価できず、販売価格が安いと誤認してしまう可能性があります。
つまりこれは不当表示に該当するおそれがあるのです。
(2)実際と異なる価格やあいまいな価格を比較対照価格として表示する場合
二重価格表示を行うときに用いる比較対象価格は、事実に基づいて表示する必要があります。
実際に過去に一度も販売したことがない価格を「通常販売価格〇〇円」と表示したり、競業他社で販売実績のない価格を「〇〇社の販売価格△△円」と表示したりするなど、事実に反して消費者に販売価格が安いとの誤認を与えるような表示は、不当表示に該当するおそれがあります。
また、比較対照価格が、実際に根拠のある価格であっても、その価格がどのような場合のものだったかを明確に表示する必要があります。
たとえば、型落ちした電化製品の比較対照価格として、その製品が新商品として販売された当時の販売価格を「いつの販売価格か」という点をあいまいにして比較対照として表示すると、一般消費者には現在の販売価格が安いとの誤認を与えてしまいます。このような場合も不当表示に該当するおそれがあるのです。
2,当店通常価格を表示するケースでは8週間ルールが重要
期間限定のセールで販売価格を引き下げる場合に、自社の過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示を行うことがあります。
例えば、「当店通常価格〇〇円のところ期間限定☓☓円」のような表示です。このような表示を見た消費者は、セール期間以外は比較対照価格として表示されている「当店通常価格」で販売されているものだと認識します。
このような過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示について、景品表示法違反にならないためには、以下のルールを遵守することが消費者庁の「価格表示ガイドライン」で義務付けられています。
(1)直前8週間に4週間以上販売された価格であることが原則として必要
「価格表示ガイドライン」では、消費者に誤認を与えないために、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」である場合にのみ、比較対照価格として表示することが認められています。つまり、実際に販売されていた価格であることが大前提として必要です。
そして、ここでいう「最近」とは、セール開始日の直前8週間のことを指します。
次に、「相当期間」とは、上記の「最近」にあたる期間の半分以上の期間のことを指します。
つまり、セール開始日の直前8週間において4週間以上販売されていた価格であれば、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」に該当し、その価格を「当店通常価格」などとして表示することができます。
1,発売開始から8週間たたないうちにセールを開始する場合について
では、商品の発売開始から8週間がたたないうちにセールを開始する場合については、どのように判断すればよいのでしょうか?
この場合には、セール開始日前のすべての販売期間のうち、半分以上の期間において実際に販売していた価格であれば、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」に該当し、「当店通常価格」などとして表示することが認められています。
(2)例外的に認められない場合
上記の基準で「最近相当期間にわたって販売されていた価格」に該当する場合でも、以下の場合は、例外として比較対照価格としての表示が認められません。
1,その価格で販売された最後の日が、セール開始日より2週間以上前にあたる場合
例えば、セール開始日の直前8週間の内、最初の5週間は1000円で販売し、6週目から900円で販売した商品を、セール価格800円にしたような場合です。
この場合、過去8週間の内、半分以上の期間にわたって1000円で販売していますが、最後に1000円で販売したのはセール開始より2週間以上前なので、「当店通常価格1000円」と表示することはできません。
2,その価格で販売されていた期間が通算して2週間に満たない場合
例えば、セール開始日の10日前に1000円で販売開始した商品をセール価格800円にしたような場合です。この場合、「最近」とは10日間のことになり、「最近の販売期間の半分以上の期間」という条件は満たしていますが、1000円で販売されていた期間が2週間未満なので「当店通常価格1000円」と表示することはできません。
過去の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示については、ここまでご説明したルールを踏まえて、価格の表示方法として問題がないかどうかを慎重に判断することが必要です。
3,将来の販売価格を表示する場合はセール後2週間以上その価格で売ることが必要
『「お試し価格980円」☓月☓日以降は1,500円になります』のように、セール終了後の販売価格を表示する二重価格表示が行われることがあります。
このような表示は、期間経過後に、将来の販売価格として表示した価格で実際に販売しなければ不当表示に該当するおそれがあります。また、実際に販売したとしても、それがごく短期間にすぎない場合も不当表示に該当するおそれがあります。
「ごく短期間」かどうかについては、セール価格での販売期間と比較対照価格での販売期間のバランスなどから個別に判断されます。
一般的には、セール期間経過後直ちに比較対象価格として表示されていた将来の販売価格で販売を開始し、その価格での販売を2週間以上継続した場合には、ごく短期間であったとはいえず、不当表示にはあたらないとされています。
将来の販売価格を比較対象価格として用いるのは、セール終了後に少なくとも2週間以上、その価格で販売することが確実な場合に限ることが必要です。
4,希望小売価格を表示するケースの注意点
製造業者や卸売業者が、自社の商品について、小売業者の価格設定の参考になるものとして「希望小売価格」を設定していることがあります。
この価格が、あらかじめ、新聞広告、カタログ、商品本体への印字等により公表されている場合、小売業者は、この希望小売価格を比較対象価格とする二重価格表示を行うことができます。
ただし、「希望小売価格」として表示する価格は、それを販売する小売業者以外の者が決めた価格であることが必要です。小売業者のプライベートブランド商品や、製造業者等が自社商品を自ら小売販売するときには、この二重価格表示はできませんので注意しましょう。
5,公表されている参考小売価格を表示することは適法
希望小売価格の表示に類似するケースとして、製造業者等が、自社の商品の小売価格設定の参考になる価格を、「参考小売価格」や「参考上代」等の名目で、小売業者にのみ呈示することもあります。
これらの価格がカタログやパンフレットに記載されていて、その商品を取り扱う小売業者に広く示されている場合、小売業者は、この価格を比較対象価格とする二重価格表示を行うことができます。
ただし、「参考小売価格」や「参考上代」は、あくまで小売業者にのみ呈示されている価格であり、「希望小売価格」とは異なります。
そのため、一般消費者の誤認を招かないように、例えば「参考小売価格〇〇円のところ、☓☓円」とするなど、「希望小売価格」以外の名称を用いる必要があります。
参考小売価格が広く呈示されているのではなく、小売業者から問い合わせがあった場合にメーカー等が個別に呈示しているような場合は、参考小売価格を示した二重価格表示は認められません。
6,競合他社の価格を表示する際は直近の価格であることが必要
自社の販売価格の安さをアピールするために、競合他社の販売価格を比較表示する二重価格表示が行われることがあります。
このような表示をすること自体は、景品表示法に違反しません。
ただし、競合他社の販売価格については、同じ商品について直近の販売価格を用いることが必要です。この点の確認を怠ると、消費者に誤認を与え、不当表示に該当するおそれがあります。
例を見ていきましょう。
A電器店が店頭に以下のPOPを掲示したとします。
「〇社製最新型テレビ(25インチ) B電器店の販売価格200,000円の品 当店では150,000円」
この表示を見た消費者は、「今このテレビを買うならB店で買うよりA店で買った方が安い」と認識します。
実際のその通りであれば不当表示には該当しませんが、以下のような場合は不当表示に該当するおそれがあります。
(1)競合他社の価格の表示が直近のものではない場合
上の例で言うと、B店での以前の販売価格が200,000円だったとしても、現在の販売価格が140,000円である場合は不当表示にあたるおそれがあります。
そのため、競合他社の価格を表示する場合は、常に直近の販売価格を正しく調べる必要があります。
(2)遠方の競合店の価格を表示する場合
比較対照価格として表示する競合店の価格が、実際に今現在その店に行けば購入できる価格であっても、現実的にチラシや店頭のPOPなどの表示を見た消費者が買いに行くことがない地域の店舗の販売価格を表示すると不当表示に該当するおそれがあります。
例えば、POPを掲示したのがA電器店の大阪店だった場合、200,000円で販売しているB電器店が実際にあったとしても、それが大阪ではなく遠方、たとえば福岡店だった場合、福岡店の価格と比較するのは不合理であり、不当表示に該当するおそれがあります。
比較対象として表示する競合他社の価格は、同一の商圏にある店舗での販売価格である必要があります。
(3)同じとはいえない商品の価格を表示する場合
例えば、A店で 「〇社製テレビ(25インチ) B店の販売価格200,000円の品 当店では150,000円」と表示したが、B店が200,000円で販売している商品が、A店が150,000円で販売している商品より型式が新しい場合、これは不当表示に該当します。
また、型式が同じでも、A店が150,000円で売る商品が傷がある展示品であるといったように、B店の販売商品と全く同じ商品とは言えない場合も不当表示に該当する恐れがあります。
7,販売価格が適用される条件についての表示があいまいな場合は違法のおそれ
同じ商品であっても、顧客の条件や購入時期によって販売価格が異なることがあります。
この場合に、特定の条件を満たした顧客向けの販売価格の安さを強調するために、条件を満たしていない他の顧客向けの販売価格を比較対照価格とする二重価格表示が行われることがあります。
販売価格が適用される条件をあいまいに表示したり、事実と異なる表示をしたりすると、不当表示に該当するおそれがあるので注意しましょう。
具体的に不当表示にあたる可能性があるのは、会員制の販売方法において非会員価格を比較対照価格として用いる場合や、需要がピークにあるときの販売価格を比較対照価格として用いる場合などです。
以下で例を見ていきましょう。
(1)会員制の販売方法において非会員価格を比較対照価格として用いる場合
「K18ネックレス:非会員価格70,000円/会員価格55,000円」と表示しているものの、誰でも容易に会員になることができ、実際に非会員価格で販売されることがほぼない場合は不当表示に該当するおそれがあります。
購入希望者がその場で会員登録をすれば安い方の販売価格で購入できるような場合、会員登録をせずに非会員価格で購入する消費者はいないと考えられます。
実際に購入されることがないと考えられる価格を比較対照価格に用いることはできません。
(2)需要がピークにあるときの販売価格を比較対照価格とした場合
「宿泊標準料金30,000円のところ〇月〇日~〇日に限り20,000円」との表示で、この標準料金としている金額が、需要ピーク時の宿泊料金である場合は不当表示に該当するおそれがあります。
通常時より高額な需要ピーク時の宿泊料金を「標準料金」として表示すると、不当表示になってしまいますので注意しましょう。
8,消費者庁の「価格表示ガイドライン」
二重価格表示については、消費者庁から「価格表示ガイドライン」が公表され、その中で、二重価格表示について、ここまでご説明した点が掲載されています。
消費者庁の価格表示ガイドラインについては、以下からご参照ください。
9,最近の処分事例
二重価格表示についての最近の処分事例としては以下のものがあります。
(1)スーパーで販売するパンの二重価格表示についての措置命令
令和元年7月8日、消費者庁は、株式会社サンプラザに対し、同社が供給するパンに係る表示について、以下の内容の措置命令を出しています。
1 本件商品の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であり、景品表示法に違反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること。
2 再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
3 今後、同様の表示を行わないこと。
これは、同社の新聞折り込みチラシ上の「菓子パン・食パン 全品 メーカー希望小売価格より3割引」という表示や、店頭に掲示したプライスカードの「表示価格は3割引後の価格です 通常価格125円を 4枚切 本体価格88円」という表示についての命令です。
同社は、実際にはメーカー希望小売価格が設定されていない商品について、「メーカー希望小売価格より3割引」と表示しました。
これが、その商品にはメーカー希望小売価格が設定されていて、そこから値引きしているかのように消費者を誤認させる有利誤認表示に該当すると判断されました。
また同社は、実際には販売実績のない価格を「通常価格」と称して表示しました。実際には125円で販売したことのない商品について「通常価格125円を 4枚切 本体価格88円」とプライスカードをつけたのです。
これが、値引きの実態がないのに値引きがされたかのように消費者を誤認させる有利誤認表示に該当すると判断されました。
・参照元:https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/jul/k190708_01.pdf
(2)ジャパネットたかたのエアコンについての課徴金納付命令
令和2年12月23日、消費者庁は、株式会社ジャパネットたかたに対し、5180万円の課徴金納付を命じました。
これは、同社が配布した会員カタログにおいて行われたエアコンについての「2万円値引き」という表示について、実際には値引き前の通常価格での販売の実態が乏しく、値引きの実態がないのに値引きされたかのように表示して消費者を誤認させる有利誤認表示に該当すると判断されたことによるものです。
・参照元:https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms212_201223_1.pdf
▶参考情報:国民生活センター「株式会社ジャパネットたかたに対する景品表示法に基づく課徴金納付命令について」
10,違反の場合のペナルティ3つ
二重価格表示が景品表示法に違反してしまった場合、以下の3つのペナルティが定められています。
(1)消費者庁、都道府県等からの措置命令
景品表示法に違反する二重価格表示は、消費者庁や都道府県の調査の対象となり、調査の結果、景品表示法違反があれば、措置命令と呼ばれる行政処分が科されます。
措置命令は、「景品表示法に違反する二重価格表示をやめなさい」と命じるものであり、それ自体で事業主に金銭的なペナルティを科すものではありません。
しかし、措置命令が消費者庁や都道府県のウェブサイトで公表されたり、その内容が報道されることにより、事業主が消費者からの信頼を失い、事業に重大なダメージを受けるおそれがあります。
(2) 課徴金納付命令
課徴金納付命令は、事業主に金銭的なペナルティを科すもので、違法な広告によって得た利益を事業主から取り上げるという意味合いをもつものです。
課徴金納付命令は、違法な広告が行われた商品やサービスによる売上が、3年間で5000万円以上ある場合(課徴金の額が150万円以上になる場合)に限り、科されます(景品表示法第8条1項但書)。
そのため、違法な二重価格表示を行った商品やサービスの売上規模が小さい場合は、課徴金納付命令の対象外です。
(3)適格消費者団体による差止請求
景品表示法上、国の認定を受けた民間の消費者団体が、事業者に対して、景品表示法に違反する広告表示の停止を書面で求めることができる制度も設けられています。
この制度に基づき、消費者団体は、事業者に対して、違法な広告表示の停止を求め、事業者が応じないときは、事業者に対して、広告表示の停止を求める訴訟を起こすことができます。
景品表示法違反のペナルティについては以下で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
11,宅建業者、不動産業者等は公正競争規約にも注意!
自社の二重価格表示について、問題がないかどうかを検討する場合は、業種ごとの公正競争規約が定められている場合があることにも注意してください。
例えば、宅建業者や不動産業者は、以下の「不動産の表示に関する公正競争規約」を遵守する必要があります。
その他、公正競争規約が定められている業種については以下をご参照ください。
12,不当表示をしないための社内体制の整備が義務づけられている
景品表示法違反の問題を起こさないためには、社内でその商品やサービスの広告を企画した人とは別の第三者が広告をチェックする体制を作ることが必要です。
景品表示法第26条において、事業主には、「表示に関する事項を適正に管理するために必要な体制の整備その他の必要な措置」を講じることが義務づけられており、その内容が以下の消費者庁の「指針」で具体化されています。
具体的には、以下の7項目が義務づけられています。
1,表示に関係する業務を担当する役員、従業員に景品表示法の考え方の周知・啓発すること
例:景品表示法に関する社外講習会への参加や社内研修の実施等
2,景品表示法を遵守する方針や表示に関し社内でとるべき手順を明確にすること
例:禁止される二重価格表示等の内容や表示を行う際の手順を定めたマニュアルの作成等
3,表示の根拠となる情報等を確認すること
例:二重価格表示を行う場合は参考価格として表示する価格の根拠の確認等
4,表示の根拠となる情報を社内で共有すること
5,表示を管理する担当者等を定めること
6,表示の根拠となる情報等について資料を保管するなど、事後的に確認することができるようにするための措置をとること
例:二重価格表示を行う場合は参考価格として表示する価格の根拠資料の保管等
7,不当な表示が明らかになった場合は事実関係を正確に確認し、一般消費者の誤認を排除するための周知等を行ったうえで、関係従業員への研修等の再発防止の措置をとること
自社の体制が、上記の義務に対応できているか、確認しておきましょう。また、自社だけで体制整備が難しい場合は、顧問弁護士のサポートを受ける形で体制整備をすることを検討しましょう。
顧問弁護士の役割や必要性、費用などについては、以下の記事を参考にご覧ください。
13.二重価格表示に関して弁護士に相談したい方はこちら
ここまで二重価格表示についてご説明しました。
最後に咲くやこの花法律事務所における、二重価格表示をはじめとする景品表示法関連のサポート内容についてご紹介したいと思います。
(1)二重価格表示の適法性、その他景品表示法(景表法)に関するご相談
咲くやこの花法律事務所では、景品表示法に関する以下のご相談を企業からお受けしています。
- 自社の二重価格表示、その他の広告表示が法的に問題がないかどうかのご相談
- 景品表示法違反を指摘された場合の対応方法に関するご相談
- 措置命令や課徴金納付命令に対する対応のご相談
- 景品表示法に違反しないための社内体制の整備のご相談
広告表示のコンプライアンスや景品表示法に精通した弁護士がご相談を承ります。
咲くやこの花法律事務所の弁護士費用例
●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約の場合は無料)
(2)顧問弁護士サービスによるサポート
景品表示法違反を起こしてしまうと、課徴金納付命令による金銭的なペナルティだけでなく、消費者庁や都道府県による処分が公表されることにより、企業の信用について重大なダメージを受けます。
これらの処分はインターネット上に公表されますので、企業名や商品名を検索する消費者の目にもとまることになります。悪質な業者であるとの印象を与えてしまい、売上、利益にも大きく影響します。
しかし、実際には、景品表示法違反は悪意を持って行われるというよりは、広告担当者の知識不足、準備不足が原因であることがほとんどです。
知識不足や準備不足により景表法に違反して処分を受けてしまうトラブルを防ぐには、事前に自社の価格表示や広告企画について法的にチェックする予防法務の観点が非常に重要です。
咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスをご利用いただくことで、日ごろから、価格表示や広告企画について、スムーズに顧問弁護士のリーガルチェックをうけることができます。
いつでも予約なしで、その都度電話やメールで弁護士に相談していただくことが可能になります。
このように弁護士に日ごろから相談する体制を整えることで、景品表示法に違反して処分を受けてしまうトラブルを防ぐことが可能です。
咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスの費用
●スタンダードプラン(月額顧問料5万円:週に1~2回程度のご相談をご希望の企業様向け)
プラン内容について
いつでも弁護士に電話やメールでご相談いただくことができます。契約前に担当弁護士との無料面談で相性をご確認いただくことができます(電話・テレビ電話でのご説明or来所面談)。来所していただかなくても、電話あるいはテレビ電話でお申込みいただけます。
咲くやこの花法律事務所のその他の顧問弁護士プランの詳細や顧問弁護士サービスの実績については以下のページをご参照ください。
記事更新日:2023年1月12日
記事作成弁護士:西川 暢春