インターネット上で誹謗中傷記事を投稿されてお困りの企業におすすめしたいのが「発信者情報開示請求」と呼ばれる手続です。
発信者情報開示請求とは、会社の誹謗中傷記事を投稿した人物を特定することができます。その結果、記事を投稿した人物に対する損害賠償請求が可能になり、また、悪質な記事の投稿を防ぐ効果も期待できます。ただし、発信者情報開示請求については、「裁判所で開示請求を認めてもらえず失敗に終わることもあること」や、「請求をスタートするのが遅れると投稿者の特定ができなくなること」などの注意点も多くあります。
そこで、今回は、「誹謗中傷記事投稿者を特定する発信者情報開示請求の流れ」についてできるだけわかりやすく、事例を挙げながらご説明したいと思います。また、「手続に必要な期間と、手続を成功させるための重要なポイント」についてもご説明したいと思います。
発信者情報開示請求をご検討されている方は、ぜひ確認していただき、失敗なく確実に投稿者が特定できるようにするためのこつをおさえておいてください。
▶参考情報:誹謗中傷に関する咲くやこの花法律事務所の解決実績は、こちらをご覧ください。
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最近は発信者情報開示請求に関する誹謗中傷トラブルが発生しがちです。これらトラブルを事前に防ぐための対策はもちろんですが、トラブルが発生した際にも問題をこじらせずに早期に解決し、安定した業務進行のためには、誹謗中傷に強い顧問弁護士制度を活用することも有効です。
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今回の記事で書かれている要点(目次)
1,発信者情報開示請求とは?
まず、発信者情報開示請求の流れと必要な期間のご説明に入る前に、そもそも「発信者情報開示請求とは?」何かをご説明しておきたいと思います。
「発信者情報開示請求」とは、インターネット上で自社に対する誹謗中傷がされた場合に、その誹謗中傷した人物の住所、氏名を特定するための情報の開示を請求する手続です。
例えば、以下のようなケースでは、「発信者情報開示請求」により、投稿者を特定することが可能です。
(1)発信者情報開示請求により誹謗中傷の投稿者を特定することができるケースの例
ケース1:
「転職会議」等のサイトに自社の労務環境に関して誹謗中傷する投稿をされたケース
ケース2:
各種口コミサイト(不動産業界の「e戸建・マンションコミュニティ」や、リフォーム業界の「ホームプロ」など)に、自社のサービスを誹謗中傷する口コミを書かれたケース
ケース3:
「Yahoo!知恵袋」や「教えて!goo」などに自社の商品やサービスを誹謗中傷する投稿をされたケース
ケース4:
個人のブログで自社を誹謗中傷する記事をかかれたケース
このように多くのインターネット上での誹謗中傷のケースで、投稿者を特定することができる手続が発信者情報開示請求です。
なお、誹謗中傷に対する対策としては、「発信者情報開示請求」のほかに、「送信防止措置請求」という手続があり、その違いは以下の通りです。
▶参考:「発信者情報開示請求」と「送信防止措置請求」の違いについて
●発信者情報開示請求とは?:
誹謗中傷記事の投稿者の氏名、住所を特定するための手続
●送信防止措置請求とは?:
誹謗中傷記事を削除するための手続
「発信者情報開示請求」は、「送信防止措置請求」とは異なり、投稿者を特定できるために、投稿者に対する損害賠償請求あるいは刑事告訴などの法的措置が可能になるというメリットがあります。
また、投稿者を特定すれば、その後、安易な投稿が繰り返されることがなくなり、誹謗中傷の再発を防ぐことができます。
以上、ここでは、「発信者情報開示請求とは何か」について、おさえておきましょう。
2,誹謗中傷記事の投稿者を特定する発信者情報開示請求の流れについて
それでは、誹謗中傷記事投稿者を特定する発信者情報開示請求の流れについてご説明したいと思います。
以下では「転職会議」に自社を誹謗中傷する投稿がされたケースを例に、誹謗中傷記事投稿者を特定するための発信者情報開示請求の流れについてご説明したいと思います。
まず、手続の流れとしては、以下の通りとなります。
誹謗中傷記事投稿者を特定する発信者情報開示請求の5つの流れ
- Step1:発信者情報開示請求が認められるかどうかの見込みについて事前に検討する。
- Step2:サイト運営者に投稿者のIPアドレスとタイムスタンプを開示させる。
- Step3:投稿の際に投稿者が利用したプロバイダを特定する。
- Step4:プロバイダに対して、記録の消去を禁止する裁判所の命令を出してもらう。
- Step5:プロバイダから、契約者の氏名、住所を開示させ、投稿者を特定する。
現在、この「Step1」から「Step5」までの一連の流れを進めて誹謗中傷記事投稿者を特定するためには、原則として「裁判を3回起こさなければ難しい状況」です。
つまり、まず、Step2で「仮処分」と呼ばれる簡易な裁判を1回行い、Step4で「仮処分」をもう1回行った上で、Step5で「訴訟」を1回行うという「合計3回」の裁判を起こすことが必要になります。
裁判手続を経ずに、単に「発信者情報開示請求書」を郵送するだけで誹謗中傷記事投稿者を特定できる情報が開示されることは通常ありません。
以下で「Step1」から「Step5」までの流れについて順番に見ていきましょう。
Step1:
開示が認められるかどうかの見込みについて事前に検討する。
転職会議の誹謗中傷記事投稿者を特定するための発信者情報開示請求の手続に入る前に、まず、「手続を進めていけば開示が認められるかどうかの見込み」について事前に検討しておきましょう。
具体的には、以下の2点を検討しておくことが必要です。
発信者情報開示請求についての事前検討のポイント
- ポイント1:投稿者の特定を求める誹謗中傷記事の内容が名誉棄損にあたるか
- ポイント2:投稿者の特定を求める誹謗中傷記事が投稿から日がたちすぎていないか
このような事前の検討が必要になるのは、上記のポイントを検討せずに誹謗中傷記事投稿者を特定するための発信者情報開示請求手続を進めても、特定に失敗するケースが少なくないためです。
また、前述のとおり、発信者情報開示請求は原則として合計3回の裁判を起こす必要がある手続であり、相応の費用と手間がかかる手続ですので、この点からも、手続に費用と手間を費やした結果として「投稿者を特定する」というゴールにたどり着くことができそうかどうかの事前検討が欠かせません。
上記の2つのポイントをより詳しくご説明すると次の通りです。
ポイント1:
投稿者の特定を求める誹謗中傷記事の内容が名誉棄損にあたるか
誹謗中傷記事についての発信者情報開示請求が認められるためには、その誹謗中傷記事が法的に見て「名誉棄損」にあたる内容であることが必要です。
一見すると誹謗中傷記事と思えるものも、法的に見て「名誉棄損」にあたらなければ、発信者情報開示請求は認められません。
例えば、以下の3つのケースは法的に見て「名誉棄損」にあたらず、請求が認められない可能性が高いです。
ケース1:
投稿者の意見や感想を表明したにすぎない投稿
例えば、「社長のことを尊敬できない」などといった個人的な感想にすぎない投稿は、「名誉棄損」にはあたらないと判断される可能性が高いです。
名誉毀損にあたるのは、会社の評判を下げるような具体的な事実が記載された投稿に限られます。
例えば「社長のパワハラがひどく、社長を尊敬できない」というような具体的な事実が記載された投稿であれば名誉棄損になり得ます。
ケース2:
具体的な事実の記載を伴わない投稿
例えば、「売上至上主義である」とか「社内の人間関係がギスギスしている」などといった具体的な事実の記載が伴わないものも「名誉棄損」にはあたらないと判断される可能性が高いです。
名誉毀損にあたるのは、会社の評判を下げるような具体的な事実が記載された投稿に限られます。
例えば「売り上げを上げるためには顧客に必要のない商品を販売している」というような具体的な事実が記載された投稿であれば名誉棄損になり得ます。
ケース3:
内容が真実であるもの
例えば、「残業代が支払われない」とか、「パワハラが日常的に行われている」、「詐欺的な営業がされている」などの投稿については、内容が虚偽であれば名誉棄損に該当します。
しかし、内容が真実であれば「名誉棄損」には該当しないと判断される可能性が高いです。
以上ご説明した点も踏まて、投稿者の特定を求める誹謗中傷記事の内容が、法的に見て「名誉棄損」にあたるかを検討することが、まず必要になります。
ポイント2:
投稿者の特定を求める誹謗中傷記事が投稿から日がたちすぎていないか
投稿者の特定を求める誹謗中傷記事が投稿から日がたちすぎている場合は、途中で手続がすすめられなくなり、投稿者の特定にたどり着けない可能性があります。
これは、投稿から時間がたてば、プロバイダにおいて、投稿者の特定に必要な記録が自動的に消去されてしまうためです。
発信者情報開示請求の手続は、「Step2」のところで開示されたIPアドレス等を、投稿者が投稿時に利用したプロバイダの記録と照らし合わせることによって、投稿者の住所、氏名を特定します。
ところが、このプロバイダの記録は、一般的には、「3か月程度」で自動的に消去されてしまうことが多くなっています。
そのため、記事が投稿からすでに日がたっているときは、結局、投稿者の特定にたどり着くことができなくなるのです。
発信者情報開示請求の手続開始後も、「Step4」のところでプロバイダに対して記録の消去を禁止する裁判所の命令を出してもらうまでは、投稿者の特定に必要な記録が消去される危険があります。
そのため、「手続を開始してからStep4のところで裁判所の命令が出るまでに要する期間」も見越して、誹謗中傷記事が投稿されてから「1か月以内」に発信者情報開示請求をスタートさせることをおすすめします。
以上、「投稿者の特定を求める誹謗中傷記事の内容が名誉棄損にあたるか」と「投稿者の特定を求める誹謗中傷記事が投稿から日がたちすぎていないか」の2つのポイントについて事前検討が必要であることをおさえておきましょう。
Step2:
サイト運営者に投稿者のIPアドレスとタイムスタンプを開示させる。
「Step1」の事前検討の結果、発信者情報開示請求の手続を開始する場合は、まず、サイト運営者に「投稿者のIPアドレスとタイムスタンプ」の開示を求める手続を行う必要があります。
転職会議の誹謗中傷記事投稿者の特定のケースでは、転職会議のWebサイトを運営している「リブセンス」という会社に対して、投稿者のIPアドレスとタイムスタンプの開示を求める手続を行います。
▶参考情報:「IPアドレス」とは?
IPアドレスとは、Webサイトに記事の投稿をする際に、投稿を行うパソコンやスマートフォンなど1台1台に対して、割り当てられる識別符号です。このIPアドレスと後述のタイムスタンプがわかれば、誹謗中傷記事がどのパソコンやスマートフォンから投稿されたかを特定することができます。
▶参考情報:「タイムスタンプ」とは?
タイムスタンプとは、Webサイトに記事の投稿をした時刻に関する記録です。
「Step2」において、IPアドレスとタイムスタンプの開示を求めるのは、この2つがわかれば、どのパソコンあるいはスマートフォンから、誹謗中傷記事の投稿が行われたかを特定することができるためです。
この「Step2」の流れは以下の通りです。
サイト運営者に投稿者のIPアドレスとタイムスタンプを開示させる手続の流れ
- 1,リブセンスに対して「発信者情報開示請求書」を送る
- 2,リブセンスに対して「発信者情報開示仮処分命令申立」を起こす
以下で順番に見ていきましょう。
1,リブセンスに対して「発信者情報開示請求書」を送る
まず、最初にリブセンスに下記の書式で「発信者情報開示請求書」を提出することが通常です。
▶参考情報:「発信者情報開示請求書」の書式について
「書式」はこちらに掲載されています。
この「発信者情報開示請求書」はサイト運営者(「転職会議」の場合はリブセンス)に対して、投稿者のIPアドレスとタイムスタンプの開示を求める請求書です。
なお、この請求書をリブセンスに送る際は、手続が遅れることを防ぐためにも、発送時に必ずリブセンスの回答期限を設定して明記しておきましょう。回答期限の設定としては発送日から10日程度後に設定することがおすすめです。
ただし、前述した通り、実際には発信者情報開示請求書をリブセンスに送っても、リブセンスから投稿者の特定に必要なIPアドレスなどの情報が開示されることはほとんどありません。これは、リブセンスにも投稿者の秘密を守る義務があるためです。リブセンスとしては、「裁判所の命令がなければ開示できない」という対応をするケースがほとんどです。
そこで、「発信者情報開示請求書」の発送と並行して、リブセンスに対して投稿者のIPアドレスとタイムスタンプの開示を求める「仮処分」と呼ばれる裁判を起こす準備を進めることが必要になります。
これについては、次の項目で見ていきましょう。
2,リブセンスに対して「発信者情報開示仮処分命令申立」を起こす。
「発信者情報開示仮処分命令申立」は、「発信者情報開示請求書」をリブセンスに送ってもリブセンスがIPアドレスとタイムスタンプを開示しなかった場合に、裁判所からリブセンスに対して開示に応じるように命じる決定(「仮処分」といいます)を出してもらう手続です。
この手続は、リブセンスの本社がある東京を管轄する東京地方裁判所で行う必要があります。順調にいけば「約1か月」で、裁判所から仮処分を出してもらい、リブセンスからIPアドレスとタイムスタンプの開示を受けることができます。
但し、この「発信者情報開示仮処分命令申立」のポイントとして以下の点をおさえておきましょう。
「発信者情報開示仮処分命令申立」の重要ポイント
「発信者情報開示仮処分命令申立」では、投稿者の特定を求める誹謗中傷記事が「法律上、名誉棄損にあたるかどうか」が重要なポイントになります。
その中でも、特に重要となるのが、「誹謗中傷記事に記載された事実が真実かどうか」です。
記事の内容が真実の場合は名誉棄損にはあたらないと判断されてしまい、その結果、裁判所が発信者情報開示請求を認めない可能性が極めて高いです。
そして、誹謗中傷記事の内容が事実に反することの立証の責任は開示を請求する会社側にあります。そのため、記事の内容が事実に反することを示す証拠を事前に準備し、裁判所に提出することが、裁判所からリブセンスに対して開示命令を出してもらうための重要なポイントとなります。
以上、サイト運営者に対して、投稿者のIPアドレスとタイムスタンプの開示を求める手続の流れについてご説明しました。
Step3:
IPアドレスの情報をもとに投稿者が利用したプロバイダを特定する。
次に開示されたIPアドレスの情報をもとに、投稿者が投稿時に利用したプロバイダを特定することが必要です。
▶参考情報:「プロバイダ」とは?
プロバイダとは、インターネットへの接続サービスを提供する事業者をいいます。日本では、NTTコミュニケーションズやソフトバンク、KDDIなどの会社があります。
誹謗中傷記事の投稿者は、投稿時にインターネットへの接続のために、必ずプロバイダのサービスを利用しています。
そこで、「Step2」で開示された投稿者のIPアドレスとタイムスタンプの情報をもとに、「Step3」で投稿者が投稿時に利用したプロバイダを特定し、最後に「Step5」でそのプロバイダにプロバイダ契約の契約者の氏名や住所を開示させることで、投稿者を特定するというのが発信者情報開示請求の全体の流れです。
現在、投稿者のIPアドレスとタイムスタンプの情報から簡単にプロバイダを特定することができるWebサイトが公開されています。
例えば、「ドメイン/IPアドレス サーチ 【whois情報検索】」 などのサイトでIPアドレスとタイムスタンプを入力すればプロバイダを特定することができます。
これらのサイトを利用して、投稿者が利用したプロバイダを特定しましょう。
Step4:
プロバイダに対して、記録の消去を禁止する裁判所の命令を出してもらう。
「Step3」でプロバイダがわかれば、次に、プロバイダの会社に対して、投稿者特定に必要な記録の消去を禁止する裁判所の命令を出してもらう手続を行います。この手続を「発信者情報消去禁止仮処分命令申立」といいます。
「発信者情報消去禁止仮処分命令申立」は、前述のとおり、プロバイダにおいて、投稿者の特定に必要な記録が自動的に消去されていくため、発信者情報開示請求の手続が終わるまでの間、この消去をとめるための手続です。
この申立てはプロバイダの本社所在地管轄する裁判所で行う必要があります。多くの場合、東京地方裁判所になります。
順調にいけば2週間ほどで、裁判所から、プロバイダ会社に対して、投稿者の特定に必要な記録の消去を禁止する命令を出してもらうことができます。
Step5:
プロバイダから、契約者の氏名、住所を開示させ、投稿者を特定する。
「Step4」で記録の消去を禁止する命令を出してもらうことができれば、最後に、プロバイダに対して裁判を起こして、投稿の際に利用されたプロバイダの契約者の氏名、住所を開示させる手続を行います。この手続は「発信者情報開示請求訴訟」と呼ばれる訴訟手続です。
この手続も、プロバイダの本社所在地を管轄する裁判所で行う必要があり、多くの場合、東京地方裁判所になります。この裁判手続に必要な期間は、プロバイダ側の対応によっても大きく変わりますが、通常は「6か月」から「7か月」程度です。
そして、この裁判でも、投稿者の情報の開示を求める誹謗中傷記事の内容が「法律上、名誉棄損にあたるかどうか」が重要なポイントになります。
裁判所が「投稿記事は名誉棄損にあたる」と判断すれば、裁判所からプロバイダに対して、記事投稿の際に利用されたプロバイダの契約者の氏名、住所を開示することを命じる内容の判決が出されます。
そして、判決に基づき、氏名、住所を開示を受けることにより、投稿者を特定することができます。
3,発信者情報開示請求に必要な期間について
誹謗中傷記事の投稿者を特定するための発信者情報開示請求に必要な期間は、平均的には、「Step1」から「Step5」までのトータルで「8か月」から「9か月」くらいの期間が必要となることが多いです。
ただし、実際にかかる期間は、「手続において相手方となるサイト運営者やプロバイダがどの程度の反論をしてくるか」や、「名誉棄損に該当することの立証資料を迅速に準備できるかどうか」、あるいは「依頼した弁護士が手続に精通しているかどうか」によって大きく異なります。
早く開示を受けるためには、名誉棄損に該当することの立証資料を迅速に準備し、また手続に精通した弁護士に依頼することが重要なポイントです。
4,誹謗中傷記事投稿者の特定を成功させるための重要なポイント
最後に、誹謗中傷記事投稿者の特定を成功させるために特に重要なポイントとして、以下の2点をおさえておきましょう。
- ポイント1:「Step1」から「Step4」までを効率よく最短ですすめる。
- ポイント2:投稿内容が真実でないことの立証資料を十分準備する。
以下で順番にご説明します。
ポイント1:
「Step1」から「Step4」までを効率よく最短ですすめる。
繰り返しになりますが、投稿から時間がたてば、投稿者の特定に必要な記録が自動的に消去されてしまいます。
消去をとめるためには、Step4の「プロバイダに対して、記録の消去を禁止する裁判所の命令を出してもらう」ところまでを終わらせることが必要です。
Step4が終わるまでは、記録は消去されていきますので、「Step1からStep4を効率よく最短で進めることが、重要なポイント」です。
時間との戦いであることを強く意識しておく必要があります。
ポイント2:
投稿内容が真実でないことの立証資料を十分準備する。
特に「Step2」のところで重要になるのが、「記事の内容が真実でないことの立証」です。
記事の内容が真実でないことの立証資料が不適切だったり、不十分だったりする場合、裁判所は、記事の内容が名誉棄損にあたると認めてくれない可能性が高いです。
そうなると、裁判所が「Step2」のところでIPアドレスやタイムスタンプの開示を命じる決定を出してくれず、時間だけが過ぎて、その間に投稿者の特定に必要な記録を消去されてしまう危険があります。
事前に十分な立証資料を準備して、手続を最短で進めることが重要なポイントです。
以上、誹謗中傷記事投稿者の特定を成功させるための重要なポイントをおさえておきましょう。
5,咲くやこの花法律事務所における誹謗中傷対策の事例紹介
咲くやこの花法律事務所では、誹謗中傷記事の投稿者特定や特定した投稿者に対する損害賠償請求について、企業のご相談者から多くのご依頼をいただき、実際に投稿者特定と被害弁償を実現してきました。
以下で、咲くやこの花法律事務所の実績の1つをご紹介していますのでご参照ください。
▶外部労働組合が記載した「ブログ上の誹謗中傷記事の削除」と「検索エンジンのキャッシュ削除」に成功した事例
▶「転職会議」への誹謗中傷の投稿者を特定し、損害賠償請求に成功した事例
▶ヤフー検索のサジェストで表示された中傷ワードを削除依頼して非表示にした成功事例
6,発信者情報開示請求など誹謗中傷に関して弁護士に相談したい方はこちら
ここまでインターネット上の誹謗中傷対策の1つである、「発信者情報開示請求の流れや成功のためのポイント」についてご説明してきました。
最後に咲くやこの花法律事務所で「誹謗中傷対策として行うことができるサポートサービス」の内容をご紹介します。
サポートの内容は以下の4点です。
- (1)誹謗中傷問題解決のための相談、解決への道筋の提示
- (2)発信者情報開示請求による記事投稿者の特定手続きの代行
- (3)記事投稿者に対する損害賠償請求手続きの代行
- (4)誹謗中傷記事の削除請求手続きの代行
以下で順番にご説明したいと思います。
(1)誹謗中傷問題解決のための相談、解決への道筋の提示
咲くやこの花法律事務所では、誹謗中傷問題にお悩みの企業の方のために、誹謗中傷対策に関するご相談を、常時、承っております。
誹謗中傷問題に対する対策としては主に「誹謗中傷記事の削除」と、今回の記事でご紹介した「誹謗中傷記事投稿者の特定」の2つの道筋があります。
誹謗中傷対策について精通した弁護士がご相談を受け、誹謗中傷の内容や程度に応じて適切な方法をアドバイスし、お客様の個別の事情を踏まえて、誹謗中傷問題の解決への道筋を示します。
誹謗中傷に関する相談の弁護士費用例
●初回相談料:30分5000円+税
(2)発信者情報開示請求による記事投稿者の特定手続きの代行
誹謗中傷対策として「誹謗中傷記事投稿者の特定」を行うことが適切なケースでは、今回の記事でご紹介した「発信者情報開示請求」を、弁護士が行うことにより、迅速、かつ確実に、誹謗中傷記事投稿者を特定します。
発信者情報開示請求に関する弁護士費用例
●初回相談料:30分5000円+税
●投稿者の特定手続き:60万円程度~
(3)記事投稿者に対する損害賠償請求手続きの代行
発信者情報開示請求により記事投稿者が特定できた際は、記事投稿者に対して損害賠償請求を弁護士が行うことにより、誹謗中傷被害、風評被害に対する適切な賠償を獲得し、かつ、誹謗中傷問題の再発防止につなげます。
記事投稿者に対する損害賠償請求に関する弁護士費用例
●初回相談料:30分5000円+税
●損害賠償請求手続き:15万円程度~
(4)誹謗中傷記事の削除請求手続きの代行
誹謗中傷対策として「誹謗中傷記事の削除」を行うことが適切なケースでは、弁護士が削除請求手続きを行うことにより、迅速かつ確実な削除を行います。
誹謗中傷記事の削除については、大きく分けて、「サーバ管理者に削除依頼する方法(送信防止措置請求)」、「ドメイン取得代行業者に削除依頼する方法」、「記事を書いた本人に削除請求する方法」の3つの方法があります。
誹謗中傷記事の削除について経験豊富な咲くやこの花法律事務所の弁護士が3つの方法のうちベストな方法を選択し、あるいは複数の方法を併用することで、記事の確実な削除を実現します。
誹謗中傷記事の削除請求に関する弁護士費用例
●初回相談料:30分5000円+税
●弁護士による削除請求:10万円程度~
インターネット上の誹謗中傷は放置すると、加速度的に拡大します。
そして、インターネット上で誹謗中傷が行われていると、営業社員が営業活動に努力していても、新規の営業先が誹謗中傷記事を見て取引を控えることになり、営業努力が無駄になります。
また、現在、求人中の企業については、インターネット上で誹謗中傷が行われていると、多額の費用を割いて求人広告を掲載しても、求人者が誹謗中傷記事を見て応募を控えたり、あるいは入社希望をとりやめることになり、求人のためにかけた労力、コストが全く無駄になります。
このように、インターネット上の誹謗中傷が企業に与える悪影響ははかりしれません。
最悪の場合、風評被害による倒産ということも考えられます。誹謗中傷対策についてお困りの企業の方は、被害が拡大しないうちに、早めに、誹謗中傷対策について経験が豊富な咲くやこの花法律事務所にお気軽にお問い合わせ下さい。
7,「咲くやこの花法律事務所」の弁護士へのお問い合わせ方法
インターネット上の誹謗中傷や風評被害、名誉棄損などでお困りの企業様は、「誹謗中傷に強い弁護士への相談サービス」のページからか、お急ぎの方は下記から気軽にお問い合わせください。
また、今すぐのお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
【お問い合わせについて】
※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
8,発信者情報開示請求など誹謗中傷に関するお役立ち情報も配信中(メルマガ&YouTube)
インターネット上の誹謗中傷や名誉棄損に関するお役立ち情報について、「咲くや企業法務.NET通信」のメルマガ配信や「咲くや企業法務.TV」のYouTubeチャンネルの方でも配信しております。
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9,まとめ
今回は、誹謗中傷記事投稿者を特定する発信者情報開示請求の流れと必要な期間についてご説明しました。
また、特定を成功させるための重要なポイントについてもご説明しました。
発信者情報開示請求の手続は、裁判所で名誉棄損にあたることについての十分な立証資料がないとして開示が認められなかったケースも多く、また、手続開始が遅れてしまい特定に失敗するケースも多くなっています。自社で手続を進めることが困難なときは早期に弁護士への依頼されることをおすすめします。
▶参考情報:投稿者の特定とは別に「誹謗中傷記事の削除」の方法について
誹謗中傷対策として、投稿者の特定とは別に、誹謗中傷記事の削除もお考えの場合は、別途「誹謗中傷記事の削除のための手続」を行う必要があります。誹謗中傷の削除方法については以下をご参照ください。
10,【関連情報】発信者情報開示請求に関するお役立ち関連記事一覧
この記事では、「発信者情報開示請求の流れ、必要期間、成功ポイントを弁護士が解」についてご紹介しました。発信者情報開示請求に関しては、その他にも誹謗中傷に関する知っておくべき情報が幅広くあり、正しい知識を理解しておかなければ対応方法を誤ってしまいます。
そのため、以下ではこの記事に関連する労災のお役立ち記事を一覧でご紹介しますので、こちらもご参照ください。
・Googleのクチコミ削除方法!手順や費用、事例付きで弁護士が解説
注)咲くやこの花法律事務所のウェブ記事が他にコピーして転載されるケースが散見され、定期的にチェックを行っております。咲くやこの花法律事務所に著作権がありますので、コピーは控えていただきますようにお願い致します。
記事作成弁護士:西川 暢春
記事更新日:2022年12月11日