有期雇用の契約社員について更新をしないことを雇い止めといいます。
会社が契約社員の雇い止めをする際に注意するべき点はどのようなことでしょうか。
今回はこの点について、平成24年2月17日の東京地裁の判決をもとに考えていきたいと思います。
この事件は、本田技研工業が、リーマンショック後の自動車生産台数の低迷を受けて、期間雇用の従業員を雇い止めしたことに対し、従業員らが雇用の継続を求めた事件です。
この従業員は契約期間1~3ヵ月の短期の雇用契約を75回という多数回にわたり更新していて、実質的に正社員と変わらない地位にあり、雇い止めは不当であると主張しました。
しかし、裁判所は、この契約社員の主張を認めず、会社勝訴の判決を言い渡しました。
判決は、従業員の訴えを退けた主な理由として、
① この従業員自身も長期雇用を前提とする正社員とは全く異なる期間契約社員の働き方を十分に了承していたこと
② 有期雇用契約の更新手続は,前契約期間中に新契約書を作成して取り交わす等新たな有期雇用契約の締結事実を明確にしており,自動更新とはいい難いこと
③ 雇い止めの際は会社から契約の更新ができない理由について説明を受けた上で、最後の更新であることを明記した有期の雇用契約を締結していることなどをあげています。
まず、有期の雇用契約を繰り返してきた従業員について、人件費削減などのために契約を更新しない場合は、十分にその理由を説明して理解を求めることが大切です。
その上で、最後の更新であることを明記した有期の雇用契約を作成するのが1つの方法です。
しかし、最後の更新であることを明記した有期の雇用契約を用意しても、従業員が了解してくれるかどうかはわかりません。
従業員が了解の有無にかかわらず、雇用契約を更新しない判断ができるようにするためには、判決でもあげられているように更新手続きをきちんと行うことがポイントになります。
具体的には、契約期間の満了までに新しい雇用契約書を作ることが必要です。
新しい雇用契約書の作成が契約期間満了の後になってしまうと、きちんとした契約をしないまま事実上更新されていたという判断がされやすくなります。
また、有期の雇用契約書には、更新についての判断基準として、契約満了時の会社の業務量や会社の業績によって更新の可否を判断することを明記して、正社員との立場の違いを明確にしておくことが必要です。
その上で、従業員にも有期の雇用契約であり、会社の業務量によっては更新されないこともあるという点を十分理解してもらえるように、更新の際もその点を十分に説明しておくことが必要です。
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