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労務管理とは?重要な15のポイントを解説!

労務管理とは?重要な15のポイントを解説!
  • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
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    西川 暢春(にしかわ のぶはる)

    咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
  • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で400社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。

労務管理とは、企業内で従業員が能力を発揮して継続的に就業できるように職場環境を整え、また、労務関連の法律を順守できるように調整する取り組みを言います。労務管理の取り組みは企業経営の中枢にかかわるもので、その業務範囲も非常に広くなっています。

労務関連の法改正の動きも頻繁にあり、また、新しい働き方のトレンドも頻繁に入れ替わるため、何から手を付けていいのか、何をチェックすればよいのかがわからなくなりがちです。

一方で、労務管理の不備は以下のような重大なトラブルにつながりかねないことも事実です。

 

●市川エフエム放送事件(東京高等裁判所判決平成28年4月27日)

うつ病で休職していた従業員を本人の強い意向により、医師の意見を確認しないまま安易に復職させた結果、本人の自殺につながったとして、遺族から損害賠償請求を受け、約3000万円の賠償を命じられた事案

 

メレスグリオ事件(東京高等裁判所判決平成12年11月29日)

転勤を拒否した従業員に対する解雇が「転勤命令時の説明不足」を理由に不当解雇と判断され、会社が3200万円を超える支払いを命じられた事案

 

この記事では、企業の労務管理について、その仕事内容や関連する法律、必ずおさえておくべき重要なポイントについてわかりやすく解説します。この記事を読んでいただくことで、自社の労務管理について何が抜けているのか、何に取り組まなければいけないのかを確認していただくことができます。

それでは見ていきましょう。

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

労務管理の取り組みでは、新しい法改正や裁判例の情報に常にアンテナを張ることが求められます。また、他社はどうしているのか、業界の標準はどうなのか、最近の新しい流れはどうなのかということも知る必要があります。

そして、労務管理の分野での大きな失敗は、企業と従業員との信頼関係を失わせることにつながります。

そのため、これらをすべて自社で対応することは現実的には困難であり、労務管理については、外部の第三者、特に企業の労務管理に精通した弁護士や社会保険労務士のサポートを受けて進めることをおすすめします。

 

▶【関連記事】労務管理に関しては、以下の関連記事もあわせてご覧下さい。

労務管理の相談窓口を弁護士にすべき理由と選び方の注意点

 

▶労務管理に関して今スグ弁護士に相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。

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1,労務管理とは?

労務管理とは、企業内で従業員が能力を発揮して継続的に就業できるように職場環境を整え、また、労務関連の法律を順守できるように調整する取り組みを言います。人事考課制度の整備や人事異動の決定、勤怠の管理、有給休暇の管理、産休・育休の対応、問題社員に対する指導や懲戒処分、ハラスメントの防止などはいずれも労務管理の重要テーマです。

 

2,課題と仕事内容は多岐にわたる

労務管理の具体的な課題や仕事内容には以下のようなものがあります。

 

労務管理における課題と仕事内容一覧

  • 従業員の成績評価を行い、給与や賞与の査定をする取り組み
  • 就業規則や雇用契約書などの整備
  • 従業員の人事異動や配置の決定
  • 過重労働を防ぐ取り組み
  • 従業員の勤怠の管理
  • 有給休暇の日数を管理したり、会社から有給休暇取得日を指定する取り組み
  • 産前産後休業、育児休業、介護休業を整備し、制度利用をサポートする取り組み
  • 体調不良者への配慮や休職者の管理に関する取り組み
  • 職場内の安全管理に関する取り組み
  • パワハラ、セクハラなどハラスメント防止に関する取り組み
  • 問題社員に対して必要な指導や懲戒処分を行い、社内の規律を維持する取り組み
  • 労働組合との協議や従業員の過半数代表者との協議
  • テレワークや副業など新しい働き方や法改正への対応
  • 社会保険の手続き

 

多くの場合、企業の人事部がこれらの労務管理を担当しますが、小さな会社では経営者や取締役が労務管理を担当するケースがあります。

また、多店舗経営がされている会社では、店長が労務管理を担当するケースがあります。

 

3,労務管理の重要ポイント15項目

労務管理の重要ポイント15項目

労務管理で取り組むべき課題は多岐にわたりますが、特に重要な点として以下の点をあげることができます。

 

(1)従業員の成績評価の仕組みを作る

従業員の成績を公正に評価して、給与や賞与に反映する仕組みを作ることは、労務管理の重要な要素です。

様々な評価制度と賃金体系が存在しますが、多くの会社で採用されている人事考課の仕組みに共通するポイントは以下のようなものです。

 

  • 人事考課の結果で決まる等級と賃金の関係をあらかじめ定め、従業員に周知する
  • 2年連続一定以上の評価の場合は昇級させる、2年連続最低評価の場合は降級させるなど、人事評価に基づく等級の引き上げや引き下げの基準を定める
  • 評価対象期間が始まる前に、人事考課の評価項目を設定し、従業員に明示する
  • 人事考課の基準を定めたうえで、一次評価者による評価と二次評価者による評価を併用するなどして、公正な評価ができる仕組みを作る
  • 本人に対する評価結果のフィードバックを適切に行う

 

これらの制度は、会社が従業員に何を求めているかを伝え、会社に貢献した従業員には昇給や昇格により貢献に報いる姿勢を示すための重要な取り組みです。

 

(2)就業規則や雇用契約書などの整備

労務管理のルールである就業規則を作成したり、雇用契約書を整備することも、労務管理の重要なテーマです。

就業規則を会社の実態に合わない古い内容で放置したり、法改正に対応できていない内容のまま放置していては、適切な労務管理ができません。

就業規則は毎年見直しを行い、いつも最新の状況にしておくことが望ましいです。就業規則や雇用契約書については以下で詳しく解説していますので参照してください。

 

就業規則について

 

雇用契約書について

 

(3)従業員の人事異動や配置の決定

従業員の人事異動や配置の決定をトラブルなく行うことも労務管理の役割です。

人事異動が本人にとって不本意なケースもあるので、それに対する配慮の制度や納得感、公平感をもたせる仕組み作りをすることが必要です。

人事異動については以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

 

人事異動について

 

(4)過重労働を防ぐ取り組み

企業には、「労働者が安全と健康を確保しつつ就業するために必要な配慮をする義務」があり、安全配慮義務と呼ばれます。

この安全配慮義務は、労働契約法第5条に定められている法律上の義務です。

 

 

そして、過重労働は、従業員の精神疾患、過労死、過労自殺につながる危険があり、企業の労務管理においても、従業員が過重労働に陥らないように管理することが重要です。

具体的には以下の点がポイントになります。

 

1,労働基準法の残業規制を守る

過重労働をなくすためには、まず、労働基準法の残業時規制を守ることが重要です。

労働基準法では、時間外労働、休日労働のある会社は、36協定と呼ばれる労使協定を従業員の過半数代表との間で締結し、労働基準監督署に届け出ることが法律上の義務とされています。

 

 

そのうえで、企業は各従業員の時間外労働、休日労働が36協定に定められた時間数の範囲内にとどまっているかどうかを常に確認する体制を作る必要があります。

労働基準法上、36協定では、時間外労働は原則として月45時間、年360時間以内とされています。

ただし、例外として、年に6ヶ月まで月45時間を超える時間外労働をさせる場合があることを36協定で定めることも可能です。

その場合も、1ケ月の時間外労働が休日労働と合わせて100時間未満までにおさめる必要があります。

労働基準法の残業規制の内容を正しく把握し、会社として残業規制を守ることができる体制を作ることが重要になります。

労働基準法の残業規制の内容の詳細については以下で解説していますのでご確認ください。

 

 

2,長時間労働をなくす

36協定の制度は、労働基準法上、最低限守るべき基準を定めたものであり、これを守っていれば、過重労働の問題がおきないというわけではないことに注意する必要があります。

 

▶参考例:東芝事件(最高裁判所判決平成26年3月24日)

例えば、東芝事件(最高裁判所判決平成26年3月24日)では、6か月間の時間外労働の平均が69時間54分とされる事例について、企業の安全配慮義務違反を認め、従業員のうつ病発症についての責任を企業に負担させています。

・参照:判決文はこちら(PDF)

 

このような裁判例を踏まえると、企業として、最大で休日労働とあわせて月100時間未満までの時間外労働が可能になる36協定の制度だけを守ればよいと考えるのは危険です。

企業は労務管理の取り組みとして、毎月の従業員の時間外労働・休日労働を60時間以内にコントロールする仕組みを設けておくべきです。

具体的な取り組み方を以下の記事で解説していますのでご参照ください。

 

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

過重労働による健康被害防止の観点から、時間外労働と休日労働の合計が月80時間を超えたときは、従業員本人へ通知が義務付けられていることにも注意してください(労働安全衛生規則第52条の2)。

また、時間外労働と休日労働の合計が月80時間を超えた従業員のうち疲労の蓄積が認められる従業員から申し出があった場合は、企業は医師による面接指導を行うことが義務付けられています(労働安全衛生法第66条の8)。

 

(5)勤怠を正しく管理する

労働基準法の残業規制を守り、また長時間労働をなくすための前提として、勤怠管理を正しく行う仕組みを作ることが重要です。

勤怠管理とは、従業員の出勤や欠勤だけでなく、始業時刻や終業時刻を正しく把握することを言います。

勤怠管理の方法としては、以下のようなものがあります。

 

  • 始業、終業時にタイムカードを打刻する方法。
  • 始業、終業時に、ICカードで時刻を記録する方法。
  • グループウェアで管理する方法

 

これらの方法により、まず従業員の就業時間を正確に把握する仕組みを作ることが必要です。

過労死や過労自殺の訴訟では、従業員が自宅で持ち帰り残業をしていたという事情やタイムカード打刻後も就業していたなどの事情により、タイムカードで把握される時間数よりも長時間の時間外労働があったと認定され、その結果、企業の安全配慮義務違反があったと判断されているケースが多く見られます。

このような隠れた労働時間がないように、従業員の就業時間を正確に把握する仕組みを作る必要があります。

また、法的にみて労働時間と扱うべき時間について、自社では労働時間としてカウントしていないということがないかどうかも確認しておく必要があります。

企業の労働時間の管理については、以下の動画や記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

 

企業の労働時間の管理について

▼【動画で解説】西川弁護士が「企業の労働時間管理について重要ポイント6つ」を弁護士が詳しく解説中!

 

 

(6)未払い残業をなくす

未払い残業をなくすことは労務管理の最も基本的な課題の1つです。

特に、労働時間を従業員に自己申告させて管理している会社は過少申告による未払い残業が発生しやすいため注意が必要です。

また、管理職や営業職に残業代を支給していない会社についても、未払い残業が発生しやすいので注意が必要です。

未払い残業については以下の記事で詳しく解説していますので参照してください。

 

未払い残業代について

 

(7)有給休暇を管理する

有給休暇を従業員に正しく付与し、管理する仕組みを作ることも労務管理の必須項目の1つです。

また、平成31年4月の労働基準法改正で、企業は年10日以上有給休暇の権利がある従業員について、最低でも年5日以上は有給休暇を現実に与えることが義務付けられました(労働基準法第39条7項)。また、年次有給休暇管理簿の作成も企業に義務付けられています。

有給休暇の基本的なルールや指定義務については以下で詳しく解説していますのでご確認ください。

 

有給休暇の基本的なルールや指定義務について

 

(8)産前産後休業、育児休業、介護休業などの休業制度の整備

産前産後、育児、介護などの休業制度の整備は法律上の義務であると同時に、従業員が継続的に就業できる環境を作るためにも重要な労務管理のテーマです。

これらの制度について企業から積極的に利用を促し、利用をサポートしていくことが求められるといえるでしょう。

従業員の産前産後休業、育児休業の際に会社が行う手続の流れを以下の記事でまとめていますので参照してください。

 

 

また、産前産後休業や育児休業を希望する従業員に対して、同僚や上司からこれらの制度利用を妨げるハラスメント(マタニティハラスメント)が行われることがあります。

このようなマタニティハラスメントについて防止措置、防止対策を企業として講じることも重要です。

マタハラの防止措置・防止対策については以下の記事を参考にしてください。

 

 

(9)体調不良者への配慮や休職者の管理に関する取り組み

体調不良者への配慮や休職者の管理も労務管理のテーマの1つです。

従業員から体調不良の申出があった場合は、会社として迅速に対応し、必要に応じて仕事の内容を軽減したり、勤務時間を減らしたり、あるいは一定期間休職させるなどの対応が必要です。

また、法律上義務付けられている健康診断を正しく実施し、異常所見があった場合は放置せず、医師の意見を聴くことが必要です。

医師の意見を踏まえて、必要に応じて、業務の軽減や就業時間の短縮などの措置を執ることが義務付けられています(労働安全衛生法第66条の5)。

さらに、休職制度を整備し、休職に入る従業員、休職中の従業員、休職から復職する従業員をサポートする仕組みを作ることが必要です。

これらの点については以下の記事で詳しく解説していますので参照してください。

 

 

(10)職場内の安全に関する取り組み

安全な職場環境を作り労災を予防することや、万が一労働災害が起きた時に正しい対応をすることも労務管理の重要なテーマです。

この分野については、労働安全衛生法や労働安全衛生規則に詳細な規定がおかれていますので、その中から自社に関連する規定を把握し、自社の職場環境に問題がないかを確認することも重要になります。

以下の記事で労災が認定された時の会社の責任についてなど、労災について詳しく解説していますのでご参照ください。

 

労災について

 

(11)パワハラ、セクハラなどハラスメント防止に関する取り組み

ハラスメント防止のための取り組みも労務管理の重要なテーマです。

企業には普段から、パワハラ、セクハラのない職場をつくるために必要な対策をする法的な義務があります。パワハラについては労働施策総合推進法第30条の3、セクハラについては男女雇用機会均等法第11条にこの点が明記されています。

 

 

さらに、厚生労働省は、パワハラ防止指針、セクハラ防止指針により、企業が取り組むべき具体的な内容を定めています。

特に重要なのは、以下の10項目であり、「ハラスメント10項目」と呼ばれています。

 

1,事業主の方針の明確化と周知

(1)ハラスメントがあってはならない 旨の方針を明確化し、周知・啓発する
(2)ハラスメントについての対処の内容を就業規則等に規定し、周知・啓発する

 

2,相談体制の整備

(3)相談窓口をあらかじめ定め、周知する
(4)相談窓口担当者が適切に対応できるようにする。また、広く相談に対 応する。

 

3,事後の迅速かつ適切な対応

(5)事実関係を迅速かつ正確に確認する
(6)事実確認ができた場合には、速やかに被害者に対する配慮の措置を適正に行う。
(7)事実確認ができた場合には、加害社員に対する措置を適正に行う
(8)再発防止に向けた措置を講ずる。

 

4,「1」から「3」までの措置と併せて講ずべき措置

(9)プライバシーを保護するために必要な措置を講じ、周知する
(10)相談したこと等を理由として不利益な取扱いをされない旨を周知・啓発する

 

パワハラ防止措置、セクハラ防止措置など、ハラスメントについては以下で詳しく解説していますのでご参照ください。

 

パワハラやセクハラなどハラスメントについて

 

(12)問題社員に対して必要な指導や懲戒処分を行い、社内の規律を維持する取り組み

就業規則違反業務命令違反、ハラスメント行為などを行う問題社員に対して、必要な指導と、適切な懲戒処分を行うことで、社内の規律を維持することも労務管理の重要な取り組みです。

問題社員を放置すると、他にもそれに同調する社員が出て、会社の規律が守られなくなるおそれがあります。

問題社員に対しては、迅速に適切な対応をとることが必要です。

問題社員対応や懲戒処分については、以下の記事を参照してください。

 

問題社員の対応について

 

懲戒処分について

 

(13)労働組合との協議や過半数代表者との協議

就業規則の変更や賃金制度の変更、各種の労使協定の締結等の場面で、社内の労働組合や従業員の過半数代表との協議をしっかり行うことも、労務管理の重要な取り組みです。

就業規則の変更については、以下で詳しく解説していますのでご参照ください。

 

就業規則の変更について

 

(14)テレワークや副業など新しい働き方や法改正への対応

副業解禁の流れやテレワークの浸透など、新しい働き方の流れに対応したり、また、頻繁に行われる労働関係の法改正に対応していくことも労務管理の役割の1つです。

テレワークの労務管理については以下の記事で解説していますのでご参照ください。

 

テレワークの労務管理について

 

(15)社会保険の手続き

従業員を正しく社会保険に加入させ、また退職者について退職後の手続きを正しく行うことも労務管理の一場面です。

社会保険については以下を参照してください。

 

社会保険について

 

4,労務管理に関する法律

労務管理に関する法律

労務管理についておさえておくべき法律は多岐にわたりますが、重要なものとしては以下のものがあげられます。

 

(1)労働基準法

労働基準法は労働者保護のために労働者の労働条件について定める法律です。

有給休暇のルールや就業規則の効力についても労働基準法で定められています。

 

 

(2)労働契約法

労働契約法は、使用者と従業員の間の労働契約の基本原則について定める法律です。

契約社員の雇止め法理や、無期転換ルール、解雇権濫用法理など重要な原則が定められています。

 

 

(3)労働組合法

労働組合法は、労働組合の活動や団体交渉のルール、労働組合が会社と結ぶ労働協約の効力などについて定める法律です。

労働組合がある会社、あるいはユニオンなどの外部の労働組合への加入者がいる会社の労務管理においては重要な法律です。

 

 

(4)労働安全衛生法

労働安全衛生法は、労働災害の防止や過重労働の防止について企業の義務を定めた法律です。

 

 

(5)パートタイム有期雇用労働法

パートタイム有期雇用労働法は、パート社員や契約社員の労務管理にかかわる法律です。

同一労働同一賃金のルールについてもこの法律で定められています。

 

 

(6)高年齢者雇用安定法

高年齢者雇用安定法は、おもに定年後の再雇用の制度の設計や、定年後の嘱託社員の労務管理にかかわる法律です。

 

 

(7)育児介護休業法

育児・介護休業法は、育児休業制度、介護休業制度の整備を企業に義務付ける法律です。

 

 

(8)個人情報保護法

従業員の個人情報の扱いについては、個人情報保護法を遵守することが必要です。

 

 

5,労務管理に関する資格

労務管理を担当するために特別な資格が必要なわけではありません。

一般的には、企業の労務管理に精通した弁護士や社会保険労務士のサポートを受けながら、労務管理の課題に社内で取り組んでいくことが通常です。

また、民間の団体が認定する労務管理に関する資格として「労務管理士」があります。

この資格は、独立士業向けの資格ではなく、企業内で労務管理に従事する従業員に取得させるなどの方法での活用を目的とした資格であり、法令遵守を前提とした適正な労働環境を構築することを目的とした民間資格であると説明されています。

 

 

6,従業員数が増えればシステムやソフトの活用も検討

労務管理に関するシステムやソフトも多数提供されています。

始業時刻や退勤時刻の記録等の勤怠管理に関するものや従業員情報の一覧管理やマイナンバーの管理に関するもの、社会保険の手続の為の提出書類の作成を支援するものなど、その機能も様々です。

 

労務管理でよく利用されているシステムやソフト一覧

  • 人事労務システム
  • 勤怠管理ソフト
  • 給与計算ソフト
  • 従業員情報管理システム
  • 人事評価システム
  • 社会保険手続支援ソフト

 

特に従業員数の多い会社では、労務管理にこのようなシステムやソフトを活用することが通常になっています。

 

7,研修の活用

労務管理の知識を身に着けるために、研修を活用することも必要です。

例えば、企業内で労務管理を担当する人事部の従業員が、正しい労務管理の方法を学ぶために外部の研修に参加することが頻繁に行われています。

また、労務管理の取り組みは、人事部だけで完結するものではありません。

例えば、パワハラ防止や長時間労働の防止、従業員の成績評価などの取り組みは、人事部以外の部署の管理職にその重要性と取り組み方を理解してもらうことが必須です。

そのため、企業内部で人事部以外の部署の管理職を対象とする研修を行い、労務管理の取り組みを理解してもらうことも重要です。

研修については以下の記事でも詳しく解説していますのでご参照ください。

 

研修について

 

8,労務管理に関して弁護士に相談したい方はこちら(法人専用)

咲くやこの花法律事務の弁護士によるサポート内容

咲くやこの花法律事務所では、労務管理に関する企業からのご相談を承っています。

 

  • 就業規則や雇用契約書、産前産後休業、育児休業、介護休業制度などの整備のご相談
  • 体調不良者や休職者への対応のご相談
  • 問題社員対応についてのご相談
  • ハラスメント防止に関する取り組み
  • 労働組合との協議や過半数代表者についてのご相談
  • 従業員の人事異動トラブルに関するご相談
  • テレワークや副業など新しい働き方や法改正への対応のご相談
  • 過重労働を防ぐ取り組みの進め方についてのご相談

 

労務管理について何かお困りの時は、咲くやこの花法律事務所にご相談ください。

 

咲くやこの花法律事務所の労務管理に強い弁護士へのご相談費用

初回相談料 30分5000円+税(顧問契約の場合は無料)

 

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記事作成弁護士:西川暢春
記事更新日:2024年2月20日

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    発売日:2023年11月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:1280ページ
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    著者:弁護士 西川 暢春
    発売日:2021年10月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:416ページ
    価格:3,080円


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