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経歴詐称を理由に懲戒解雇できる?注意点や対応方法を裁判例付きで解説

経歴詐称を理由に懲戒解雇できる?注意点や対応方法を裁判例付きで解説
  • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
  • この記事を書いた弁護士

    西川 暢春(にしかわ のぶはる)

    咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
  • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で400社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。

従業員の経歴詐称が発覚した場合、その従業員を解雇することはできるのでしょうか。

経歴詐称は当然解雇の対象となると思いがちですが、以下のように後日、解雇が裁判所で無効と判断され、会社が多額の金銭の支払いを命じられた例も少なくありません。

 

事例1:
マルヤタクシー解雇事件(仙台地裁判決 昭和60年9月19日)

強盗など前科5犯を賞罰欄に記載せずに採用されたタクシー運転手に対する経歴詐称を理由とする解雇について、解雇が無効と判断され、会社が約1300万円の支払いを命じられました。(▶参照:「マルヤタクシー解雇事件(仙台地裁判決 昭和60年9月19日)」判決内容はこちら

 

事例2:
第一化成事件(東京地裁判決平成20年6月10日)

大学卒業の経歴や卒業後の職歴を偽った経歴詐称が発覚し懲戒解雇した事案について、懲戒解雇が無効と判断され、会社が約1400万円の支払を命じられました。

 

そのため、どのような経歴詐称が懲戒解雇の対象となり、どのような経歴詐称が懲戒解雇の対象とならないのか、について正しく理解しておくことが必要です。

この記事では、経歴詐称を理由とする懲戒解雇を検討する際の重要な注意点について、裁判例を紹介しながら具体的にご説明します。この記事を最後まで読んでいただくことで、経歴詐称を理由とする懲戒解雇が認められる場合と認められない場合の区別について確認し、トラブル防止に役立てていただくことができるはずです。

それでは見ていきましょう。

なお、懲戒解雇のリスクや進め方など、全体的な解説については以下の記事を参照してください。

 

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

就業規則で経歴詐称を懲戒解雇事由に定めていれば、必ず懲戒解雇が認められるというわけではなく、経歴詐称がその会社にとって重要なものとは言えない場合は、懲戒解雇は重すぎるとして無効と判断される傾向にあります。また、経歴詐称の事実について証拠が不十分である場合も、懲戒解雇後に訴訟を起こされれば会社が敗訴することになります。

懲戒解雇した後で従業員から訴訟を起こされて敗訴するといった事態を避けるためには、懲戒解雇した場合のリスクの程度を必ず弁護士に事前に相談して確認し、かつ、弁護士の助言のもと経歴詐称についてできる限りの証拠を確保しておくことがとても重要です。また、履歴書や面接などで採用の段階から経歴詐称されないような対策をして、トラブルを未然に防ぐことも重要です。

筆者が代表を務める咲くやこの花法律事務所への問題社員対応に関するご相談は以下をご参照ください。

 

▶参考情報:問題社員対応に強い弁護士への相談サービスはこちら

 

咲くやこの花法律事務所は、企業の労務トラブルについて企業側の立場で多くのご相談をお受けし、解決してきました。解決実績の一部を以下で紹介していますのでご参照ください。

 

▶参考情報:労働問題・労務の事件や裁判の「解決事例」はこちら

 

▼【関連動画】西川弁護士が「経歴詐称を理由とする懲戒解雇の注意点【誤解が多く要注意】(前編)」と「経歴詐称になる場合とならない場合!経歴詐称にあたる履歴書とは?【後編】」を詳しく解説中!

 

 

▼経歴詐称を理由とする懲戒解雇に関して今スグ弁護士に相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。

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1,経歴詐称とは?

経歴詐称とは?

一般に、採用時に会社に提出する履歴書において、または採用面接時の質問への回答において、虚偽の学歴、職歴、犯罪歴等を申告すること、もしくは真の経歴を秘匿することを経歴詐称といいます。就業規則がある会社では、経歴詐称は懲戒解雇事由の1つとして就業規則に定められていることが通常です。

例えば厚生労働省のモデル就業規則では、以下の通り経歴詐称が懲戒解雇事由として定められています。

 

▶参考:厚生労働省のモデル就業規則

「労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第53条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。

① 重要な経歴を詐称して雇用されたとき。
(以下略)」

・参照元:「厚生労働省のモデル就業規則」はこちら(pdf)

 

2,懲戒処分の要件

経歴詐称で懲戒解雇を検討する場合、懲戒解雇は懲戒処分の一種ですので、懲戒処分の要件を満たしているのかを確認することが重要になります。

懲戒処分とは、従業員に規律違反行為や服務規程違反があったときに、その従業員に対して制裁として科す処分のことです。会社は従業員に対していつでも自由に懲戒処分できるわけではなく、懲戒処分が有効と認められるためには以下の要件を全て満たすことが必要です。

 

(1)就業規則に懲戒処分の根拠となる定めがあること

懲戒処分を行うためには、どのような場合に懲戒処分が行われるのか(懲戒の事由)とどのような種類の懲戒処分がありうるのか(懲戒の種別)を就業規則に定めたうえで従業員に周知しておく必要があります。

この点はフジ興産事件(最高裁判所判決平成15年10月10日)という判例で判示されている懲戒処分の基本的なルールの1つです。

経歴詐称について懲戒解雇する場合は、経歴詐称が懲戒解雇事由の1つとして就業規則に定められていることが必要です。

 

▶参考情報:「フジ興産事件(最高裁判所判決平成15年10月10日)の判決内容について詳しくは、以下もご参照ください。

フジ興産事件(最高裁判所判決平成15年10月10日)の判決内容はこちら

 

(2)懲戒処分について客観的に合理的な理由があること

懲戒処分が有効と認められるためには、懲戒事由に該当する事実について、客観的に合理的な理由があることが証拠により認められることが必要です(労働契約法第15条)。

経歴詐称を理由とする懲戒解雇では、経歴詐称が証拠によって認められることが必要です。

 

▶参考:労働契約法第15条の条文は以下をご参照ください。

(懲戒)

第十五条 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

・参照元:労働契約法はこちら

 

(3)懲戒処分が社会通念上相当であると認められること

従業員の行為の内容や悪質性の程度と処分の重さとのバランスが考慮されます。問題の程度に対して処分が重すぎる場合、懲戒処分は無効とされます(労働契約法第15条)。

この点は経歴詐称においても重要であり、経歴詐称の程度が重大ではない場合にまで懲戒解雇という最も重い処分を選択することは、懲戒解雇が無効とされる理由になります。

 

(4)懲戒処分が適正な手続きで行われていること

懲戒処分は適切な手続で行うことが必要です。

懲戒対象者に対して弁明の機会(言い分をいう機会)を与えることは特に重要とされています。また、就業規則で懲戒処分にあたり懲罰委員会等の開催が義務付けられている場合は、規程通りに行わないと懲戒処分が無効になることがあります。

懲戒処分の種類や選択基準、進め方等については、詳しくは以下の記事をご覧ください。

 

 

3,なぜ経歴詐称が懲戒の対象となるのか?

では、具体的にどのような場合に経歴詐称が懲戒解雇の対象となるのでしょうか?逆に言えば、経歴詐称があるにもかかわらず懲戒解雇が認められないのはどのような場合なのでしょうか?

この点について考えるためには、まず前提として、そもそもなぜ経歴詐称が多くの会社で懲戒処分の対象とされているのかを確認しておく必要があります。

学歴や職歴、犯罪歴等の詐称は、以下の3つの理由から懲戒解雇事由になり得ます。

 

  • 1.事業主に労働力の評価を誤らせ、事業主にとって不適当な者を採用させ、事業主による採用後の従業員の適正な配置を誤らせるおそれがあること
  • 2.経歴詐称は、相互の信頼関係を基本とする継続的労働契約において、信頼関係を破壊する行為であること
  • 3.高卒者と大卒者で賃金体系が異なるなど、一定の学歴を有することが賃金体系等の労働条件の基本となっている日本の企業において、経歴詐称は企業秩序を侵害するものであること

 

4,経歴詐称が懲戒解雇事由に該当する場合とは?

経歴詐称は上記のような3つの理由から懲戒解雇事由になり得るものであり、逆に言えば形式的には経歴詐称に該当したとしても、上記3つのいずれにもあてはならない場合は、懲戒解雇が無効とされる危険があります。

裁判例では、経歴詐称が懲戒解雇事由として認められるには、その経歴の詐称が些細なものではならず、使用者の労働者に対する信頼関係、企業秩序維持等に重大な影響を与えるものでなければならないとされています。

そして、信頼関係、企業秩序維持等に重大な影響を与える経歴の詐称に該当するのは、具体的には以下の2点を双方とも満たす場合です。

 

  • 1.その経歴詐称が事前に発覚していれば、会社がその労働者を雇入れることはなかったといえる場合
  • 2.その経歴詐称が事前に発覚していれば雇入れなかったということに、客観的な相当性がある場合。

 

以下では、実際に経歴詐称による懲戒解雇の有効性が争われた裁判例を見ていきましょう。

 

5,学歴詐称による懲戒解雇が有効とされる場合、無効とされる場合

学歴詐称による懲戒解雇が有効とされる場合、無効とされる場合

まず、学歴の詐称が採用後発覚した場合に懲戒解雇の対象となるのでしょうか?

この点については、日本では高卒者と大卒者で賃金体系が異なるなど、一定の学歴を有することが賃金体系等の労働条件の基本となっていることから、最終学歴を高く詐称する場合だけでなく、大学中退歴を隠して高卒と申告するなど低く詐称する場合も懲戒解雇事由になると判断されています。

ただし、学歴の詐称があった場合でも、会社が採用時に学歴を重視していなかったなどの事情があるときは、懲戒解雇は無効となる可能性があることに注意を要します。

以下で裁判例を紹介します。

 

裁判例1:
学歴を高く詐称したことを理由とする懲戒解雇を有効とした事案

 

神戸製鋼所事件(大阪高裁判決 昭和37年5月14日)

最終学歴を実際よりも高く詐称していたことが発覚した従業員を、就業規則所定の懲戒事由である「重要な前歴を偽った」場合に該当するとして懲戒解雇した事案で、懲戒解雇を有効と判断しました。

 

▶参考情報:神戸製鋼所事件(大阪高裁判決昭和37年5月14日)の詳しい判決内容は以下をご参照ください。

神戸製鋼所事件(大阪高裁判決昭和37年5月14日)の判決内容はこちら

 

裁判例2:
学歴を低く詐称したことを理由とする懲戒解雇が有効とされた事案

 

スーパーバック事件(東京地裁判決 昭和55年2月15日)

短大卒の最終学歴を高卒と詐称し、かつ職歴を詐称して採用された工場従業員を、就業規則所定の懲戒事由である「経歴を偽りその他の詐術を用いて雇用された場合」に該当するとして懲戒解雇した事案で、懲戒解雇を有効であると判断しました。

この裁判例の事案は「作業の特質、従業員の定着性等の考慮から、その採用条件を高卒以下の学歴の者に限り、この方針を厳守していた」という事案であり、短大卒の学歴を隠して採用されたことが、会社の従業員構成、人事管理体制を混乱させたという点が、懲戒解雇を有効と判断した理由として挙げられています。

 

裁判例3:
学歴を重要視していなかったことなどを理由に懲戒解雇が無効とされた事案

 

西日本アルミニウム工業事件(福岡高裁判決 昭和55年1月17日)

大学休学中の求職者が大学入学の学歴を申告せずに高卒者として求人に応募して採用されたが、事業主としても採用面接の際に学歴について尋ねることもなく、勤務状況も普通で業務に支障を生じさせることはなかったという事案では、経歴詐称を理由とする懲戒解雇が無効とされています。

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

西日本アルミニウム工業事件の裁判例からもわかるように、学歴の詐称があった場合に必ず懲戒解雇が有効となるわけではなく、採用時に学歴を重視していなかったことなどを理由に懲戒解雇が無効とされる例があることに注意してください。

 

6,職歴詐称による懲戒解雇が有効とされる場合、無効とされる場合

職歴詐称による懲戒解雇が有効とされる場合、無効とされる場合

次に、職歴の詐称が採用後に発覚した場合についてはどうでしょうか?

職歴の詐称は、会社が労働者の採否を決定するにあたって、その労働者の能力や成績等を判断するための重要な資料を秘匿・詐称する行為にあたります。そのため、重要な職歴の詐称については懲戒解雇が認められます。

以下で裁判例を紹介します。

 

裁判例1:
経験者であることを隠して採用されたことを理由とする懲戒解雇が有効とされた事案

 

都島自動車商会事件(大阪地裁判決 昭和62年2月13日)

前職での組合活動歴を知られたくなかったことからタクシー乗務員の職歴を隠して未経験者として同職種に応募して採用された労働者を、発覚後に経歴詐称を理由として懲戒解雇したことが有効と認められた事例です。

同職の経験者であることがわかっていれば、前勤務先に問い合わせて成績等を調査し、採否の判断材料にすることができたので、職歴を隠したことは重要な経歴詐称に該当し、懲戒解雇事由にあたると判断されました。

 

裁判例2:
職歴や能力を偽って採用されたことを理由とする懲戒解雇が有効とされた事案

 

グラバス事件(東京地裁判決 平成16年12月17日)

JAVA言語のプログラマーとしての能力がない労働者がプログラミング能力があると職務経歴を偽って採用された事案では、経歴詐称を理由とした懲戒解雇が有効と判断されています。

 

裁判例3:
短期間の職歴を申告しなかったことを理由とする懲戒解雇が無効とされた事案

 

岐阜地裁判決 平成25年2月14日

過去に風俗店に勤務していた職歴を隠してパチンコ店のホールスタッフとして採用されたアルバイト従業員に対する懲戒解雇が無効と判断された事例です。

裁判所は、過去に風俗店に勤務していた期間が2か月半程度と比較的短いこと、会社が解雇通告後も約1ヶ月間そのまま就労を継続させていたこと、問題の従業員が有期雇用のアルバイト従業員に過ぎなかったことなどから、企業秩序が侵害されたとしてもその程度は軽微であるとして、懲戒解雇は重すぎるため無効であると判断しました。

 

▶参考情報:「岐阜地裁判決 平成25年2月14日」の詳しい判決内容は以下をご参照ください。

岐阜地裁判決 平成25年2月14日の判決内容はこちら

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

このように職歴の詐称があった場合に必ず懲戒解雇が有効となるわけではなく、その詐称の程度が重要でない場合は懲戒解雇が無効とされる例があることに注意してください。

 

7,犯罪歴の詐称の場合について

では、前科があるのにないと偽る犯罪歴の詐称が発覚した場合は、どうでしょうか?

裁判所は、犯罪歴が告知されていればその労働者を雇用しなかったであろうと認められる場合は、「重要な経歴を偽り採用された場合」に該当するとして、懲戒解雇を有効と判断しています。

ただし、その犯罪歴が10年以上前の古いものである場合や刑法上刑の言渡しの効力が消滅している場合は、懲戒解雇は無効とされており注意を要します。

以下で裁判例を紹介します。

 

裁判例1:
名誉棄損罪で服役した事実を隠して採用された従業員の懲戒解雇を有効とした事案

 

メッセ事件(東京地裁判決 平成22年11月10日)

名誉棄損罪で服役をしていた犯罪歴を隠し、その期間海外において経営コンサルタント業に従事していたと偽って採用された労働者を経歴詐称を理由に懲戒解雇した事案において、この懲戒解雇を有効と判断しました。

 

裁判例2:
古い前科を履歴書の賞罰欄に記載しなかったことを理由とする普通解雇を無効とした事案

 

マルヤタクシー解雇事件(仙台地裁判決 昭和60年9月19日)

強盗など前科5犯を賞罰欄に記載せずに採用されたタクシー運転手を、経歴詐称を理由に解雇した事案について、刑の言渡しの効力が消滅した前科であり、賞罰欄のある履歴書においても原則として申告の義務がないとして、解雇は無効と判断しました。

これは、刑法第34条の2において、刑の言渡しの効力の消滅の制度が設けられており、例えば懲役刑を受けた場合もその後罰金以上の刑に処せられずに10年を経過したときは、前科が消滅することを理由とするものです。

 

▶参考:刑法第34条の2

(刑の消滅)

第三十四条の二 禁錮以上の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで十年を経過したときは、刑の言渡しは、効力を失う。罰金以下の刑の執行を終わり又はその執行の免除を得た者が罰金以上の刑に処せられないで五年を経過したときも、同様とする。

2 刑の免除の言渡しを受けた者が、その言渡しが確定した後、罰金以上の刑に処せられないで二年を経過したときは、刑の免除の言渡しは、効力を失う。

・参照元:「刑法」の条文はこちら

 

この裁判例は普通解雇した事案に関するものですが、同様の事案で懲戒解雇した場合も同じ結論になることが予想されます。

 

▶参考情報:「マルヤタクシー解雇事件(仙台地裁判決 昭和60年9月19日)」の詳しい判決内容は以下をご参照ください。

マルヤタクシー解雇事件(仙台地裁判決 昭和60年9月19日)の判決内容はこちら

 

裁判例3:
10年以上前の犯罪歴を申告しなかったことを理由とする懲戒解雇を無効とした事案

 

豊橋総合自動車学校事件(名古屋地裁判決 昭和56年7月10日)

自動車学校のスクールバス運転手が、採用面接の際に賞罰について申告を求められたにもかかわらず窃盗の罪で服役していた事実を隠して採用されたこと等を理由として懲戒解雇された事案です。

裁判所は問題の犯罪歴が18年も前のものであることなどから、これを理由に懲戒解雇処分とすることは著しく過酷であるとして、懲戒解雇を無効としています。

 

▶参考情報:「豊橋総合自動車学校事件(名古屋地裁判決 昭和56年7月10日)」の詳しい判決内容は以下をご参照ください。

豊橋総合自動車学校事件(名古屋地裁判決 昭和56年7月10日)の判決内容はこちら

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

犯罪歴の詐称は、「会社から採用にあたって犯罪歴があれば申告するように求めたにもかかわらず申告しなかった場合」や「賞罰欄がある履歴書を提出しながら記載すべき前科について記載しなかった場合」に該当します。求職者側から犯罪歴を自発的に申告する義務はないため、採用にあたって会社側から犯罪歴の申告を求めていない場合に求職者の側から犯罪歴を申告しなかったとしても、それだけでは、犯罪歴の詐称にはあたらないことに注意してください。

 

8,前職における懲戒処分歴の詐称の場合について

では、前職において懲戒処分歴があることが、採用後にわかった場合はどうでしょうか?

この点については、転職や再就職の求職活動の際に、前職における懲戒処分歴を労働者自ら申告する必要はないとされています。

ただし、面接などで前職の退職理由を尋ねられた場合、懲戒解雇されたことを隠して、例えば円満退社したと説明するなど、虚偽の説明をすると、経歴詐称として懲戒解雇事由に該当する可能性があります。

この点に関する参考裁判例として以下のものがあります。

 

裁判例1:
前職のタクシー会社で懲戒解雇されたことを面接時に隠したことを理由とする懲戒解雇を有効とした事案

 

弁天交通事件(名古屋高裁判決 昭和51年12月23日)

労働者が前職のタクシー会社で懲戒解雇されたことを面接時に隠して別のタクシー会社に採用され、入社後にその事実が判明したため懲戒解雇された事案です。

この事案で、この労働者は、懲戒解雇された前職のタクシー会社(新栄自動車)での職歴自体を隠して採用されたという事情がありました。

裁判所は、「新栄自動車に勤めていたことを秘匿し、同会社を懲戒解雇された事実を隠蔽したことは重大な経歴詐称に当るとともに、このことは単に契約締結時における信義則違反にとどまらず、入社後においても当該企業内における労使間の信頼関係を損い、経営秩序を乱す危険が極めて強い」として、懲戒解雇は有効であると判断しています。

 

9,反社会的勢力への所属歴の詐称の場合について

次に、暴力団などの反社会的勢力への所属歴がないと採用時に説明したにもかかわらず、後日それが発覚したという場合はどうでしょうか?

反社会的勢力への所属歴の有無は、その人物の社会的信用など人物評価に関わるものであり、会社が労働者の採否を決めるにあたって重要な判断材料になります。そのため、会社が採用面接で反社会的勢力への所属歴を尋ねたときに嘘をついた場合、後に所属歴が発覚すると、重要な経歴を詐称したとして懲戒解雇が認められる可能性があります。

ただし、裁判例は「採用を望む者が、採用面接に当たり、自己にとって不利益な事実の回答を避けたいと考えることは当然予測されることであり、・・・自発的に申告するべき義務があったともいえない」(岐阜地裁判決平成25年2月14日)として、自発的な申告義務を否定しています。

この点は、反社会的勢力への所属歴の詐称についても当てはまる点ですので、企業としては、採用面接時に、反社会的勢力への所属歴の有無について求職者に申告を求めることが重要です。

 

10,うつ病などの病歴詐称で懲戒解雇できるか?

病歴に関する情報は「要配慮個人情報」と呼ばれ、事業者がこれを取得することは原則として認められていません(個人情報保護法第20条2項)。法律上は本人の同意があれば取得可能とされていますが、求職者の立場から見れば病歴の申告に同意しなければ採用されないことが明らかな場面において、やむを得ず同意したからといって、法律上必要な同意を得たとはいえないでしょう。

 

 

厚生労働省のガイドライン「公正な採用選考をめざして」令和4年度版においても、求職者の病歴を確認することについては、確認が採用後の配置について配慮するために行われるものであっても、就職差別につながるおそれがあり控えるべきとされています。

健康に関する情報の確認は、例外的に、運転・配送業務で求人募集する際、失神等の発作が生じないか確認する場合など、職務内容と強くかかわるために業務上の必要性があると認められる場合に限って、行うことが認められます。

 

 

うつ病の場合、過去にうつ病の病歴があったとしても、それが現在の業務に直接影響を与えるとは言えません。

そのため、うつ病などの精神疾患の病歴の申告を採用時に求めることはできず、また、入社後にうつ病の病歴が発覚したからといって、そのこと自体を理由に懲戒解雇することはできないと考えるべきです。

うつ病等の精神疾患により、欠勤が続いたり、服薬により業務に支障が生じたりといった事情がある場合には、懲戒解雇ではなく、普通解雇を検討するべきです。

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

会社としては、採用時に過去の病歴を問うてはいけないと言われても、病気等の健康上の理由により就業に支障が生じないかどうかも気になるところでしょう。しかし、その点については、病歴自体を質問するのではなく、「前職において私傷病により休職したことがないか、あるいは健康上の理由により就業上の配慮を受けたことがないか」「採用後の就業にあたって、健康上の理由により配慮を希望する点はないか」などを採用面接で確認することで対応すべきでしょう。

 

11,経歴詐称にあたる履歴書とは?

履歴書や職務経歴書は、経歴詐称にあたるかどうかを判断する際に必ず確認すべき重要な書類です。

経歴詐称とは、経歴について虚偽の申告をしたり秘匿したりすることをいいます。つまり、履歴書に嘘を書くだけでなく、本来書くべきことを書いていない場合も経歴詐称になります。

例えば本来記載すべき職歴を記載していない場合や、賞罰欄があるにもかかわらずそこに犯罪歴を記載していない場合は経歴詐称です。

ただし、履歴書の「賞罰欄」の「罰」の意味については、確定した有罪判決をいうとされています。そのため、求職者が刑事事件を起こし採用面接当時に公判係属中の事件があったとしても、求職者が賞罰がないと申告することは事実に反するものではないとした裁判例があります。

この裁判例は、特に質問を受けない限り、公判係属中の事件について求職者が積極的に申告すべき義務もなく、申告せずに採用されたことは経歴詐称にあたらないとしています(東京高裁判決 平成3年2月20日炭研精工事件)。

逮捕、勾留されたが、のちに被害者と示談が成立するなどして起訴猶予処分となった場合についても、同様に「確定した有罪判決」にはあたらないことから、「賞罰欄」に記載がなくても経歴詐称には該当しないと考えるべきでしょう。

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

採用の場面では、賞罰欄に「なし」と記載した履歴書が提出されても、公判係属中の刑事事件の有無や、刑の言渡しの効力が消滅した前科の有無については、そもそも賞罰欄に記載する義務がないことに注意しなければなりません。これらの点について採用時に確認するためには、公判係属中の刑事事件の有無や、刑の言渡しの効力が消滅した前科の有無について、履歴書とは別に申告を求める必要があります。

 

12,経歴詐称で懲戒解雇をする場合の対応手順

では、経歴詐称を理由に懲戒解雇する場合は、どのような手順を踏むべきなのでしょうか?

基本的な手順は以下の通りです。

 

(1)事実関係の調査

まず経歴詐称に間違いがないかどうかを調査し、証拠を集めるなどして事実認定をします。

懲戒解雇後に懲戒解雇された従業員が不当解雇であるとして会社に対して訴訟を起こすという事態も想定されます。そのため、裁判においても、懲戒解雇の理由となる経歴詐称を立証できるだけの十分な証拠を事前に確保しておくべきです。

学歴の詐称の疑いがある場合は、本人に最終学歴についての卒業証明書を提出させることにより、詐称の有無を確認することが通常です。また、職歴の詐称の疑いがある場合は、本人に日本年金機構の発行する年金記録を提出させて、年金加入歴と履歴書に記載された職歴が一致するかどうかを確認することが適切です。

 

(2)弁明の機会の付与

事実関係の調査の結果、経歴詐称が判明し、これについて懲戒処分をする際は、懲戒対象者から弁明を聴く機会を設けることが適切です。

弁明の機会の付与は、会社としてどのような事実について懲戒を予定しているのかを本人に明示したうえで行わなければなりません。そうでなければ、本人としても適切な弁明をすることができず、弁明の機会を与えたことにならないと判断されるおそれがあります。

経歴詐称についての弁明の機会の付与の場面では、会社としてどの点を経歴詐称と考えているかを告げたうえで弁明書の提出を求めることによって行うことが通常です。

 

(3)懲戒処分の決定

本人による弁明の内容も踏まえたうえで、懲戒処分を決定します。

懲戒処分の決定にあたっては、「①詐称した経歴の重要性、②経歴詐称により生じた会社の損害の大小、企業秩序に与えた悪影響の程度、③本人の職務上の地位から重い処分を選択する必要がある場合かどうか、④本人の従前の勤務態度や懲戒歴の有無、⑤過去に会社が行った懲戒処分との均衡」などを考慮する必要があります。

 

(4)懲戒解雇通知書を作成して従業員に交付または送付する

懲戒解雇はその意思表示が対象の従業員に到達したときから効力が生じます(民法第97条1項)。そのため、懲戒解雇通知書を交付または送付する必要があります。

 

(5)懲戒処分を社内で公表する

必要に応じて社内に処分を公表することも検討すべきでしょう。ただし、懲戒処分の社内公表については、本人から公表が名誉毀損にあたると主張して損害賠償請求されるリスクがあることに注意しなければなりません。懲戒処分の公表についての注意点は以下で解説していますのでご参照ください。

 

 

13,試用期間中の従業員の経歴詐称が発覚した場合

試用期間中の従業員に経歴詐称が発覚した場合の懲戒解雇についても、ここまでご説明した点があてはまります。

試用期間中において特殊な点としては、試用期間中の従業員の解雇については、入社から14日以内であれば、30日前の解雇予告が不要とされていることです(労働基準法第21条4号)。

一方、入社から15日目以降に解雇する場合は、懲戒解雇であっても、30日前の予告あるいは30日分の解雇予告手当の支払いが必要になることが原則です(労働基準法20条1項)。

ただし、労働基準監督署長による解雇予告の除外認定を受けた場合は、この義務が免除されることになります。

解雇予告の除外認定については以下で解説していますのでご参照ください。

 

 

14,派遣社員の経歴詐称への対応

派遣社員について、派遣契約の際に聴いていた経歴と異なることが、派遣契約後に発覚することもあります。派遣社員については、雇用しているのは派遣元の会社であり、派遣先の会社が解雇などの処分をすることはできません。

派遣社員の経歴詐称が発覚した場合は、派遣元に連絡して事実を確認し、経歴詐称があった場合は、当初求めていた人材を改めて派遣するように要請しましょう。

派遣の契約は、特定の派遣社員を派遣するという契約ではなく、派遣契約で定める能力、資質を有する派遣社員を派遣するという契約です。そのため、たまたま今派遣されている派遣社員について経歴詐称が発覚したとしても、それは派遣社員の交替によって対応するべき問題であり、経歴詐称が発覚したということだけですでに締結済みの派遣契約を解除することはできないと考えるべきでしょう。

 

15,咲くやこの花法律事務所の弁護士ならこんなサポートができます

咲くやこの花法律事務の弁護士によるサポート内容

最後に、従業員の経歴詐称が発覚した場面における、咲くやこの花法律事務所のサポート内容をご説明します。

なお、咲くやこの花法律事務所は、企業側の立場でのみご相談をお受けしており、一般の従業員からのご相談はお受けしておりません。

 

(1)懲戒解雇についての企業側の対応のご相談

咲くやこの花法律事務所では、従業員の経歴詐称について、懲戒解雇を検討されている企業の経営者の方、あるいは人事担当者の方から、解雇前の事前のご相談を承っています。

具体的には以下のような項目について、各企業からご相談をいただいています。

 

  • 懲戒解雇前に確保しておくべき証拠の収集についてのご相談
  • 懲戒解雇した場合のリスクに関するご相談
  • 懲戒解雇の具体的な方法、手続きに関するご相談
  • 懲戒解雇通知書などの作成についてのご相談
  • 解雇後の手続きに関するご相談

 

従業員の懲戒解雇はトラブルに発展するリスクが高く、また、トラブルになった場合の会社の負担が大きくなる可能性も高い場面です。そのため、懲戒解雇を検討する際は、必ず弁護士に事前に相談していただくことをおすすめします。

 

咲くやこの花法律事務所の労働問題に強い弁護士への相談費用

  • 初回相談料:30分5000円+税

 

(2)解雇後のトラブルに関する交渉、裁判

咲くやこの花法律事務所では、解雇した従業員とのトラブルに関する交渉や裁判のご依頼も承っています。

解雇後のトラブル対応について、解決実績と経験が豊富な弁護士がそろっております。お困りのことがございましたら、お早目に咲くやこの花法律事務所までご相談ください。

 

咲くやこの花法律事務所の解雇トラブルに強い弁護士への相談費用

  • 初回相談料:30分5000円+税

 

(3)顧問弁護士契約

咲くやこの花法律事務所では、労務トラブルを日ごろから弁護士に相談するための、顧問弁護士サービスを事業者向けに提供して、多くの事業者をサポートしてきました。顧問弁護士サービスを利用することで、問題が小さいうちから気軽に相談することができ、問題の適切かつ迅速な解決につながります。また、日ごろから労務管理の改善を進め、トラブルに強い会社をつくることに取り組むことができます。咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスは以下をご参照ください。

 

 

16,まとめ

この記事では、経歴詐称を理由とする懲戒解雇の注意点について解説しました。

経歴詐称が懲戒解雇理由になるのは、最終学歴、職歴、犯罪歴などの重要な経歴について、重大な経歴の詐称が発覚した場合に限られることに注意が必要です。「重大な経歴の詐称」とは、それが事前にわかっていれば会社はその従業員を採用しなかったと認められるような経歴詐称のことを言います。客観的にみて、他の会社でも同じ判断をするだろうと認められるようなものであることが重要です。

記事の中でご紹介したように、経歴詐称はあっても懲戒解雇が無効とされ、会社側が多額の金銭の支払いを命じられている例も少なくありません。

実際に懲戒解雇することが適切かどうかについては、弁護士に相談したうえで、詐称の内容やその従業員の職務内容などを踏まえて個別に判断していく必要があることに注意してください。

 

17,「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法

経歴詐称による懲戒解雇に関するご相談は、下記から気軽にお問い合わせください。今すぐのお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

【お問い合わせについて】

※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。

「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

 

18,解雇に関するお役立ち情報も配信中(メルマガ&YouTube)

経歴詐称による懲戒解雇など解雇に関するお役立ち情報について、「咲くや企業法務.NET通信」のメルマガ配信や「咲くや企業法務.TV」のYouTubeチャンネルの方でも配信しております。

 

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記事作成日:2023年8月1日
記事作成弁護士:西川 暢春

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    著者:弁護士 西川 暢春
    発売日:2021年10月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:416ページ
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