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無期転換ルールの特例とは?高齢者に関する例外や10年ルールを解説

無期転換ルールの特例とは?高齢者に関する例外や10年ルールを解説
  • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
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    西川 暢春(にしかわ のぶはる)

    咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
  • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で400社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

こんにちは。弁護士法人咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。

無期転換ルールの特例や例外について調べていませんか?

無期転換ルールとは、有期雇用の労働者について、通算の雇用契約の期間が5年を超えた場合は、雇用主に対して、無期の雇用契約への転換を求める無期転換申込権が発生するというルールです。そして、無期転換ルールの特例・例外とは、有期雇用の労働者であるものの、この無期転換申込権の対象外となったり、権利発生に5年ではなく10年が必要とされるケースのことです。

無期転換ルールは有期雇用の労働者の雇用の安定を図るために設けられた制度であることから、その特例や例外は限定されています。また、特例の対象となりうるケースであっても、事業者が特例を適用するために必要な労働局長への申請をしていなかったり、雇用契約書等が適切に整備されていない場合は、特例の適用ができないおそれがあることにも注意が必要です。

事業者としては特例の適用があると考えて雇止めしたものの、訴訟に発展したうえ、裁判で特例の適用が認められず、無期雇用契約に転換したと判断されて、事業者側が敗訴する例もでています(大阪高等裁判所判決令和5年1月18日・学校法人羽衣学園事件)。

そのため、無期転換ルールの特例に関する制度内容をはじめ、必要な手続きを正しく理解しておくことが重要なのです。

今回の記事では、無期転換ルールの特例について、対象者の要件や、詳しいルールを解説しています。この記事を読めば、どういった場合に無期転換ルールの特例・例外の対象となるのかや、特例・例外を適用する場合の重要な注意点について、理解していただけるはずです。

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

無期転換ルールの適用をめぐるトラブルが増えています。トラブルを回避するためには、事前の弁護士への確認、雇用契約書や就業規則の整備が必須です。咲くやこの花法律事務所でも、事業者側の立場から、トラブル予防のための整備のご相談や、トラブル発生の際の解決のご相談をお受けしていますので、お困りの際はご相談ください。

 

▼無期転換ルールについて今スグ弁護士に相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。

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1,労働契約法の無期転換ルールの特例とは?

労働契約法の無期転換ルールの特例とは?

無期転換ルールの特例とは、有期雇用契約ではたらく人が通算5年を超えて契約を更新された場合に発生する無期転換申込権の適用対象外とされたり、あるいは、無期転換申込権の発生のために5年ではなく10年が必要とされたりするケースのことです。定年に達した後引き続いて雇用される有期雇用労働者や、大学の研究者・教員等が特例の主な対象です。

この特例に該当する有期雇用の労働者は、有期雇用契約の期間が通算5年を超える場合であっても、無期雇用契約への転換を申し込む権利が発生しません。

 

(1)そもそも無期転換ルールとは?

「無期転換ルール」とは、同じ事業者との間で、有期労働契約が更新されて、通算の契約期間が5年を超えた場合、労働者に無期労働契約への転換を申し込む権利が発生し、事業者は拒むことができないというルールです。このルールは、平成25年4月の労働契約法の改正で、労働契約法18条が新設されたことにより定められました。有期雇用の労働者の安定的な雇用を図ることを目的とするルールです。(▶参照:「労働契約法18条」はこちら

 

▶参考情報:無期転換ルールについては、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

無期転換ルールとは?わかりやすい解説まとめ

 

(2)無期転換の10年ルールとは?

無期転換の10年ルールとは、大学の研究者・教員や年収1075万円以上の高度専門職に該当す有期雇用労働者については、一定の要件を満たす場合、最大10年間は無期転換申込権が発生しないという、無期転換ルールの特例・例外のことです。

無期転換ルールの10年ルールについては、「4,年収1075万円以上の高度専門職に該当する有期雇用労働者に関する特例について」や「5,研究者や大学教員についての無期転換の10年ルールについて」で、詳しく解説しています。

 

(3)高齢者の無期転換ルールとは?

高齢者の無期転換ルールとは、定年後引き続き雇用される継続雇用の高齢者について、都道府県労働局長の認定を受けた場合に限り、定年後は無期転換ルールが適用されないというルールのことです。

高齢者の無期転換ルールについては、「3,再雇用の嘱託職員などの高齢者に関する特例について」で、詳しく解説しています。

 

2,無期転換ルールの特例・例外の対象者は?

無期転換ルールの特例・例外の対象となり得る労働者は、以下の通りです。

 

  • 1.定年に達した後引き続いて雇用される有期雇用労働者(継続雇用の高齢者)
  • 2.年収1075万円以上の高度専門職に該当する有期雇用労働者
  • 3.大学等及び研究開発法人の研究者・教員等

 

以下でご説明します。

 

3,再雇用の嘱託職員などの高齢者に関する特例について

特例の中で最も多くの企業に関係するものが、継続雇用の高齢者に関する特例です。高年齢者雇用安定法により、事業者は従業員に対して65歳までは雇用の機会を与えることが義務付けられていますが、これについて、定年は60歳に据え置いたうえで、定年後は有期雇用を更新することで引き続いて雇用する継続雇用制度を導入することで対応している事業者がほとんどです。

この継続雇用の期間中に無期転換申込権が発生して、事業者が無期転換を強制されることになると、事業者が65歳で雇用を終了しようとする動機になることから、65歳以上も継続雇用がされやすい環境を整備するために、無期転換申込権を発生させないための特例が設けられています。この特例は、有期雇用特別措置法8条において定められています。

 

▶参考:有期雇用特別措置法8条

(労働契約法の特例)
第八条 第一種認定事業主と当該第一種認定事業主が雇用する計画対象第一種特定有期雇用労働者との間の有期労働契約に係る労働契約法第十八条第一項の規定の適用については、同項中「五年」とあるのは、「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法(平成二十六年法律第百三十七号)第五条第二項に規定する第一種認定計画に記載された同法第二条第三項第一号に規定する特定有期業務の開始の日から完了の日までの期間(当該期間が十年を超える場合にあっては、十年)」とする。
2 第二種認定事業主と当該第二種認定事業主が雇用する計画対象第二種特定有期雇用労働者との間の有期労働契約に係る労働契約法第十八条第一項の規定の適用については、定年後引き続いて当該第二種認定事業主に雇用されている期間は、同項に規定する通算契約期間に算入しない。

・参照元:「有期雇用特別措置法」の条文はこちら

 

(1)特例を適用するための要件

この特例を適用するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

 

  • 事業者が適切な雇用管理に関する計画(第二種計画)を作成し、都道府県労働局長の認定を受けていること
  • 定年に達した後、引き続いて雇用される従業員であること

 

特例の適用に必要な第二種計画の認定は、一人一人申請する必要はなく、一事業者が複数の申請をする必要はありません。なお、労働者が既に定年を迎えている場合であっても、その後、事業者が第二種計画を作成し、都道府県労働局長の認定を受けた場合は、特例の対象とすることができます。ただし、その労働者が既に無期転換申込権を行使している場合は、特例の対象とはなりません。

 

(2)特例が適用される場合の効果

定年後引き続き雇用される期間については、ずっと無期転換ルールの特例の対象となり、無期転換申込権が発生しません。他の特例・例外とは異なり、この点について期間の制限はありません。

 

(3)労働条件通知書や雇用契約書における留意事項

紛争防止の観点から、事業主は、労働契約の締結・更新時に、特例の対象となる労働者に対して、定年後引き続いて雇用されている期間が無期転換申込権が発生しない期間であることを書面で明示することが義務づけられています(労働基準法第15条及び特定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第5条の特例を定める省令)。

定年後に継続雇用する際の雇用契約書や労働条件通知書で、この点に対応することが通常です。

 

▶参考情報:定年後再雇用者の再雇用契約書の作成についての解説は以下をご参照ください。

【再雇用契約書ひな形付き】定年後再雇用や嘱託社員の労働条件の注意点

 

4,年収1075万円以上の高度専門職に該当する有期雇用労働者に関する特例について

高収入の高度専門職は、定年前の若年層であっても、無期転換ルールの特例の対象となる場合があります。これは、特定のプロジェクトの期間中は5年を超えても無期転換を強制されないようにしたいという事業者側のニーズを踏まえ、高収入の高度専門職であれば雇用についての交渉力があり、雇用の不安定性にも対処しうるとして設けられた特例です。

 

(1)高度専門職に該当する労働者とは?

高度専門職に該当する労働者は、主に以下の通りです。特例を適用するためには、以下のいずれかに該当することが必要です。

 

  • 1.博士の学位を有する者
  • 2.公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、税理士、薬剤師、社会保険労務士、不動産鑑定士、技術士または弁理士
  • 3.ITストラテジスト、システムアナリスト、アクチュアリーの資格試験に合格している者
  • 4.特許発明の発明者、登録意匠の創作者、登録品種の育成者
  • 5.大学卒で5年、短大・高専卒で6年、高卒で7年以上の実務経験を有する農林水産業・鉱工業・機械・電気・建築・土木の技術者、システムエンジニアまたはデザイナー
  • 6.システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタント
  • 7.国、地方公共団体、一般社団法人または一般財団法人その他これらに準ずるものによって知識等が優れたものであると認定され、上記「1」から「6」までに掲げる者に準ずるものとして厚生労働省労働基準局長が認める者

 

(2)特例を適用するための要件

これらの高度専門職の労働者について、無期転換ルールの特例を適用するためには、以下の要件を満たす必要があります。

 

1.年間当たりの賃金の額に換算した額が1,075万円以上であること

年収1075万円以上であることが必要です。この金額は、「支払われることが確実に見込まれる賃金」を基準に判断されます。そのため、残業代や労働者の勤務成績等に応じて支払われる賞与、業務給等、その支給額があらかじめ確定されていないものを含めることはできません。一方で、賞与等であっても、あらかじめ金額が決まっている場合や、最低金額が定められており確実に支払われる見込みがある場合は、含めて計算することができます。

 

2.高度の専門的知識を必要とし、5年を超える一定の期間内に完了する業務(プロジェクト)に従事すること

このプロジェクトは一定の期間内に完了するものである必要があり、毎年度行われる業務など、恒常的に継続する業務は含まれません。

 

3.事業者が適切な雇用管理に関する計画(第一種計画)を作成し、都道府県労働局長の認定を受けていること

複数のプロジェクトについて特例を適用したい場合には、それぞれについて計画を作成し、認定を申請する必要があります。

 

(3)特例が適用される場合の効果

この特例の適用を受ける労働者については、そのプロジェクトに従事している期間は、無期転換申込権が発生しません。例えば、 「6年」を要するプロジェクトに従事している間は「6年」を超えない限り、 「7年」を要するプロジェクトに従事している間は「7年」を超えない限り、 無期転換申込権は発生しません。ただし、プロジェクトに従事する労働者に無期転換申込権が発生しない期間の上限は10年です。

また、以下の場合には、通常の無期転換ルールが適用され、通算契約期間が5年を超えていれば、無期転換申込権が発生します。

 

  • プロジェクトに従事しなくなった場合
  • 年収要件(1075万円)を満たさなくなった場合
  • 計画の認定が取り消された場合

 

(4)労働条件通知書や雇用契約書における留意事項

紛争防止の観点から、事業主は、労働契約の締結・更新時に、特例の対象となる労働者に対して、プロジェクトに従事する期間が無期転換申込権が発生しない期間であることを書面で明示することが義務づけられています(労働基準法第15条及び特定有期雇用労働者に係る労働基準法施行規則第5条の特例を定める省令)。また、特例の対象となるプロジェクトの具体的な範囲を書面で明示することも義務付けられています。雇用契約書や労働条件通知書で、これらの点に対応することが通常です。

この点についての労働条件通知書の記載例は、以下の「高度専門職・継続雇用の高齢者に関する 無期転換ルールの特例について」パンフレットの21ページ目以降を参照してください。

 

 

5,研究者や大学教員についての無期転換の10年ルールについて

大学等の研究者や教員についても、無期転換ルールの特例・例外が設けられています。これは、プロジェクトベースの研究は有期雇用が標準的であり、かつ5年を超えるものが多い実情があることから、この期間中に無期転換申込権が発生すると不都合が生じることを考慮して設けられた特例・例外です。

 

(1)大学等の研究者や教員で、特例・例外の対象となるのは?

大学等の研究者や教員で、特例・例外の対象となりうる労働者は、以下の通りです。

 

  • 1.科学技術に関する研究者などであって大学等を設置する者又は研究開発法人との間で有期労働契約を締結したもの
  • 2.研究開発等に係る企画立案、資金の確保並びに知的財産権の取得及び活用その他の研究開発等に係る運営及び管理に係る業務に従事する者であって大学等を設置する者又は研究開発法人との間で有期労働契約を締結したもの
  • 3.大学等、研究開発法人及び試験研究機関等以外の者が大学等、研究開発法人又は試験研究機関等との協定その他の契約によりこれらと共同して行う研究開発等の業務に専ら従事する科学技術に関する研究者などであって当該大学等、研究開発法人又は試験研究機関等以外の者との間で有期労働契約を締結したもの
  • 4.共同研究開発等に係る運営管理に係る業務に専ら従事する者であって当該共同研究開発等を行う大学等、研究開発法人又は試験研究機関等以外の者との間で有期労働契約を締結したもの
  • 5.大学の教員等の任期に関する法律(任期法)に基づく任期の定めがある労働契約を締結した教員等

▶参照:厚生労働省「大学等及び研究開発法人の研究者、教員等 に対する労働契約法の特例について」(pdf)

 

このうち、「1〜4」については、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第15条の2第1項に定められています。研究開発に従事する労働者であることが要件であり、単に大学で授業等のみを担当する非常勤講師等はこれには該当しません(東京高等裁判所判決令和4年7月6日・学校法人専修大学事件)。また、「3」及び「4」については、共同研究等に「専ら従事する者」に限定されているものであることに留意する必要があります。

 

▶参考情報:「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律第15条の2第1項

科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律

 

一方、「5」については、大学の教員等の任期に関する法律第7条第1項によって定められています。「教員等」には、国立大学法人や公立大学法人などが設置する大学の、教授、准教授、助教、講師および助教や、大学共同利用機関法人などの職員のうち、研究又は教育に従事する者が該当します。教育研究の分野を問わず、また常勤であっても非常勤であっても対象となります。

 

▶参考情報:大学の教員等の任期に関する法律第7条第1項

大学の教員等の任期に関する法律

 

(2)特例が適用される場合の効果

大学等の研究者、教員等について特例が適用される場合、無期転換申込権が発生するまでの期間が、5年ではなく10年となります。そのため、10年ルールなどと呼ばれます。

例えば、契約期間が1年の場合、10年を超えて更新されたときにはじめて、無期転換申込権が発生することとなります。10年を経過した時点で無期転換申込権が発生し、実際に無期労働契約となるのは、次の契約更新の時点となります。なお、雇用されている大学に在学している間、例えばティーチング・アシスタントなどをしていた期間については、10年のカウントに含まれません。

 

▶参考:契約期間が1年の場合

契約期間が1年で特例が適用される場合のフロー図

 

(3)労働条件通知書や雇用契約書における留意事項

厚生労働省は、科技イノベ活性化法第15条の2による特例の対象者と有期労働契約を締結する場合には、「特例の対象者となる旨等を原則として書面により明示し、その内容を説明すること等により、労働者がその旨を予め適切に了知できるようにすること」を求めています。

この点については、以下の「大学等及び研究開発法人の研究者、教員等に対する労働契約法の特例について」リーフレットの4ページの「特例の適用にあたって留意すべき事項」を参照してください。

 

 

(4)10年ルールの適用の可否が争われた裁判例

10年ルールの特例の適用があるのか、それとも特例が適用されず5年で無期転換申込権が発生するのかが裁判で争われる例もあります。最近の裁判例をご紹介いたします。

 

裁判例:学校法人羽衣学園事件(大阪高等裁判所判決令和5年1月18日)

 

事件の概要

合計5年以上にわたり私立大学と有期雇用契約を締結し、介護福祉士の養成講座を担当していた講師が雇止めされた事件です。
当該講師は、5年以上にわたる有期雇用契約により無期転換申込権が発生しており、これに基づき無期転換の申込みをしたことにより無期労働契約が締結されているから、雇止めは無効であると主張しました。

これに対し、大学側は、大学の教員等の任期に関する法律に基づく10年ルールが適用されるから、無期転換申込権は発生していなかったと主張しました。

 

裁判所の判断

裁判所は、無期転換ルールの特例である10年ルールが適用されるためには、その前提として、「多様な人材確保が特に求められる教育研究組織の職」(大学の教員等の任期に関する法律第4条1項1号)に該当することが必要であると判示しました。そのうえで、この訴訟の事案における講師職の職務内容は、介護福祉士としての基本的な知識や技術の教授や、国家試験の受験対策であり、「多様な人材確保が特に求められる教育研究組織の職」には該当しないとして、10年ルールの適用を認めず、5年で無期転換申込権が発生すると判断しました。

 

6,無期転換ルールの特例と就業規則について

継続雇用の高齢者や高度専門職について、無期転換ルールの特例を利用するためには、就業規則の制定または改定を行うことも必要です。

継続雇用の高齢者に対する無期転換ルールの特例については、労働局長への特例の申請の際に、高年齢者の特性に応じた雇用管理に関する措置を行っていることを確認できる就業規則等の添付が必要になることが原則です。

また、高度専門職に関する無期転換ルールの特例については、労働局長への特例の申請の際に、高度専門職の特性に応じた雇用管理に関する措置を行っていることを確認できる就業規則等の添付が必要になることが原則です。

 

7,無期転換ルールの特例(例外)に関する申請書の様式はこちら

継続雇用の高齢者や高度専門職について、無期転換ルールの特例を適用するためには、都道府県労働局長への申請が必要です。

 

▶参考情報:継続雇用の高齢者や高度専門職について、無期転換ルールの特例を適用するための基本的な流れ

① 無期転換ルールの特例の適用を希望する事業主は、特例の対象労働者に関して、能力が有効に発揮されるような雇用管理に関する措置についての計画を作成します。

② 事業主は、作成した計画を、本社・本店を管轄する都道府県労働局に提出します。
(注)本社・本店を管轄する労働基準監督署経由で提出することもできます。

③ 都道府県労働局は、事業主から申請された計画が適切であれば、認定を行います。

④ 認定を受けた事業主に雇用される特例の対象労働者(高度専門職と継続雇用の高齢者)に
ついて、無期転換ルールに関する特例が適用されます。
(注)有期労働契約の締結・更新の際に、無期転換ルールに関する特例が適用されていることを
対象労働者に明示する必要があります。

・参照元:厚生労働省パンフレット「高度専門職・継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について」より引用

 

この申請に使用する様式は以下の通りです。

 

(1)高度専門職の場合の申請書の様式

高度専門職の無期転換ルールの特例の申請には、以下の「第一種計画認定・変更申請書」を使用します。

 

高度専門職の場合の申請書の様式

第一種計画認定・変更申請書(PDF)

 

(2)継続雇用の高齢者の場合の申請書の様式

継続雇用の高齢者の申請は、以下の「第二種計画認定・変更申請書」を使用します。

 

継続雇用の高齢者の場合の申請書の様式

 

第二種計画認定・変更申請書(PDF)

 

なお、どちらにおいても、申請先は、本社・本店を管轄する都道府県労働局長です。郵送や電子申請も可能となっています。提出の際は、原本と写しの計2部を提出する必要があります。

申請書の作成方法については、以下の「高度専門職・継続雇用の高齢者に関する 無期転換ルールの特例について」14頁と15頁をご参照ください。

 

申請書の作成方法1

申請書の作成方法2

 

 

8,無期転換ルールの特例・例外に関して弁護士に相談したい方はこちら

咲くやこの花法律事務の弁護士によるサポート内容

最後に、無期転換ルールに関する咲くやこの花法律事務所のサポート内容についてご紹介いたします。

 

(1)無期転換ルールの特例・例外に関するご相談

自社の従業員が無期転換ルールの特例・例外の対象となるのか、またその場合はどのように手続きするかなど、無期転換ルールの特例・例外について不明な点等がありましたら、ぜひ咲くやこの花法律事務所の弁護士にご相談ください。無期転換ルールへの対応や就業規則の整備、無期転換に関するトラブル対応に精通した弁護士が、わかりやすく具体的な助言を行います。

 

咲くやこの花法律事務所の人事労務に強い弁護士への相談費用

●初回相談料 30分5000円+税(顧問契約の締結の場合は無料)

 

(2)顧問弁護士サービスに関するご相談

咲くやこの花法律事務所では、無期転換ルールへの対応はもちろん、企業の労務管理全般をサポートするための顧問弁護士サービスを提供しております。

何かトラブルが発生した場合、事前のリスク対策ができていない会社ほど大きなダメージを負うことになります。トラブルによるダメージを抑えるためには、こまめに顧問弁護士に相談し、日頃から社内規定や労務管理体制の整備等の法的なリスクマネジメントに取り組むことが重要です。もしトラブルが発生してしまったときも、初期段階で弁護士に相談して専門的な助言を受けて対応することが早期解決につながります。

企業をトラブルから守り、事業の成長と安定した企業運営を実現するために、ぜひ顧問弁護士を活用していただきたいと思います。

咲くやこの花法律事務所では、企業側の立場で数多くの事案に対応してきた経験豊富な弁護士が、トラブルの予防、そしてトラブルが発生してしまった場合の早期解決に尽力します。

咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスのご案内は以下をご参照ください。

 

 

(3)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法

今すぐお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

 

9,まとめ

今回は、無期転換ルールの特例・例外について解説しました。

まず、無期転換ルールの特例・例外には、大きく分けて以下の3つがあります。

 

  • 1.定年に達した後引き続いて雇用される有期雇用労働者(継続雇用の高齢者)についての特例
  • 2.年収1075万円以上の高度専門職に該当する有期雇用労働者についての特例
  • 3.大学等及び研究開発法人の研究者・教員等についての特例

 

このうち、「1」「2」については労働局長の認定を受けることが必要です。認定を受けた場合、「1」については定年後引き続き雇用される期間、無期転換申込権が発生しません。これには期間の上限はありません。次に、「2」についてはプロジェクトに従事する期間、無期転換申込権が発生しませんが、これには10年という上限が設けられています。

一方、「3」については労働局長の認定等は不要です。特例の適用を受ける場合、10年間は無期転換申込権が発生しないことになります。

無期転換ルールに関するトラブルは年々増える傾向にあり、咲くやこの花法律事務所においても日頃の整備やトラブル対応のノウハウを磨いてきました。お困りの方は咲くやこの花法律事務所に早めにご相談ください。

 

10,【関連情報】無期転換ルールに関する他のお役立ち記事一覧

この記事では、「無期転換ルールの特例とは?高齢者に関する例外や10年ルールを解説」についてご紹介しました。無期転換ルールに関しては、その他にも知っておくべき情報が幅広くあり、正しい知識を理解しておかなければ重大なトラブルに発展してしまいます。

そのため、以下ではこの記事に関連する無期転換ルールのお役立ち記事を一覧でご紹介しますので、こちらもご参照ください。

 

無期転換ルールのメリットとデメリットとは?労使双方の視点から解説

無期転換ルール逃れの雇止めは違法?事例付きでわかりやすく解説

無期転換ルールで定年はどうなる?必要な対策や注意点を解説

 

記事作成弁護士:西川 暢春
記事更新日:2024年1月10日

 

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