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著作者人格権とは?わかりやすく解説

著作者人格権とは?
  • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
  • この記事を書いた弁護士

    西川 暢春(にしかわ のぶはる)

    咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
  • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で400社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

契約書に「著作者人格権を行使しない」と書かれているのを見かけるケースは多いと思います。

この著作者人格権というのはどういう権利でしょうか?

著作者人格権は著作権とは別の権利です。

そして、「著作物を扱うとき」や「著作物についての契約書を作るとき」は常に著作者人格権のことを頭に入れて対応する必要があります。

例えば、自社が制作会社にウェブサイトやイラスト、動画などの制作を発注する場面において、もし、著作者人格権を念頭におかないで契約書を作成してしまった場合、契約書で著作権は自社に移ることになっていても、後日、制作者から著作者人格権を主張されるおそれがあります。

その結果、納品されたウェブサイトやイラスト、動画などの、編集、修正ができなくなるなど、利用に思わぬ制約が生じる危険があります。

今回は、著作者人格権の内容や、契約書によくある「著作者人格権を行使しない」という契約条項の意味について、わかりやすくご説明します。

 

▶参考:著作権分野に関する咲くやこの花法律事務所の解決実績はこちらをご覧ください。

 

▼著作権関連について今スグ弁護士に相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。

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1,著作者人格権とは?

著作者人格権とは?

「著作者人格権」とは、著作物の創作者が作品に対してもつ名誉権等の人格的利益を保護する権利です。公表権、氏名表示権、同一性保持権、名誉声望を害する方法での利用を禁止する権利の4つがその内容です。作品の財産的な価値についての権利である「著作権」とは別の権利であり、著作権とは異なり譲渡できない権利とされています。

このように、著作者人格権はクリエイターの「名誉」や「作品への思い入れ」を保護する権利です。日本では、その具体的な内容が著作権法第18条から第20条及び第113条6項に定められています。著作者人格権は著作物の保護に関する国際条約であるベルヌ条約でも保護が求められる国際的な権利(ベルヌ条約第6条の2)であり、英語では「Moral rights」と呼ばれます。

 

2,著作者人格権の具体的内容

著作者人格権の具体的な内容は以下の4つです。

 

(1)公表権(著作権法第18条)

著作者(クリエイター)が未公表の著作物(作品)を公表するかどうかや、公表の時期、方法を決める権利です。

例えば、クリエイターの名誉感情などから、「この作品は公表したくない!」と思う場合に、クリエイターが他人に勝手に作品を公表されないことを要求できる権利が「公表権」です。

 

▶参考:著作権法第18条

第十八条 著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。
2 著作者は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に掲げる行為について同意したものと推定する。
一 その著作物でまだ公表されていないものの著作権を譲渡した場合 当該著作物をその著作権の行使により公衆に提供し、又は提示すること。
二 その美術の著作物又は写真の著作物でまだ公表されていないものの原作品を譲渡した場合 これらの著作物をその原作品による展示の方法で公衆に提示すること。
三 第二十九条の規定によりその映画の著作物の著作権が映画製作者に帰属した場合 当該著作物をその著作権の行使により公衆に提供し、又は提示すること。
3 著作者は、次の各号に掲げる場合には、当該各号に掲げる行為について同意したものとみなす。
一 その著作物でまだ公表されていないものを行政機関(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号。以下「行政機関情報公開法」という。)第二条第一項に規定する行政機関をいう。以下同じ。)に提供した場合(行政機関情報公開法第九条第一項の規定による開示する旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除く。) 行政機関情報公開法の規定により行政機関の長が当該著作物を公衆に提供し、又は提示すること(当該著作物に係る歴史公文書等(公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号。以下「公文書管理法」という。)第二条第六項に規定する歴史公文書等をいう。以下同じ。)が行政機関の長から公文書管理法第八条第一項の規定により国立公文書館等(公文書管理法第二条第三項に規定する国立公文書館等をいう。以下同じ。)に移管された場合(公文書管理法第十六条第一項の規定による利用をさせる旨の決定の時までに当該著作物の著作者が別段の意思表示をした場合を除く。)にあつては、公文書管理法第十六条第一項の規定により国立公文書館等の長(公文書管理法第十五条第一項に規定する国立公文書館等の長をいう。以下同じ。)が当該著作物を公衆に提供し、又は提示することを含む。)。
二 その著作物でまだ公表されていないものを独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号。以下「独立行政法人等情報公開法」という。)第二条第一項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)に提供した場合(独立行政法人等情報公開法第九条第一項の規定による開示する旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除く。) 独立行政法人等情報公開法の規定により当該独立行政法人等が当該著作物を公衆に提供し、又は提示すること(当該著作物に係る歴史公文書等が当該独立行政法人等から公文書管理法第十一条第四項の規定により国立公文書館等に移管された場合(公文書管理法第十六条第一項の規定による利用をさせる旨の決定の時までに当該著作物の著作者が別段の意思表示をした場合を除く。)にあつては、公文書管理法第十六条第一項の規定により国立公文書館等の長が当該著作物を公衆に提供し、又は提示することを含む。)。
三 その著作物でまだ公表されていないものを地方公共団体又は地方独立行政法人に提供した場合(開示する旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除く。) 情報公開条例(地方公共団体又は地方独立行政法人の保有する情報の公開を請求する住民等の権利について定める当該地方公共団体の条例をいう。以下同じ。)の規定により当該地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が当該著作物を公衆に提供し、又は提示すること(当該著作物に係る歴史公文書等が当該地方公共団体又は地方独立行政法人から公文書管理条例(地方公共団体又は地方独立行政法人の保有する歴史公文書等の適切な保存及び利用について定める当該地方公共団体の条例をいう。以下同じ。)に基づき地方公文書館等(歴史公文書等の適切な保存及び利用を図る施設として公文書管理条例が定める施設をいう。以下同じ。)に移管された場合(公文書管理条例の規定(公文書管理法第十六条第一項の規定に相当する規定に限る。以下この条において同じ。)による利用をさせる旨の決定の時までに当該著作物の著作者が別段の意思表示をした場合を除く。)にあつては、公文書管理条例の規定により地方公文書館等の長(地方公文書館等が地方公共団体の施設である場合にあつてはその属する地方公共団体の長をいい、地方公文書館等が地方独立行政法人の施設である場合にあつてはその施設を設置した地方独立行政法人をいう。以下同じ。)が当該著作物を公衆に提供し、又は提示することを含む。)。
四 その著作物でまだ公表されていないものを国立公文書館等に提供した場合(公文書管理法第十六条第一項の規定による利用をさせる旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除く。) 同項の規定により国立公文書館等の長が当該著作物を公衆に提供し、又は提示すること。
五 その著作物でまだ公表されていないものを地方公文書館等に提供した場合(公文書管理条例の規定による利用をさせる旨の決定の時までに別段の意思表示をした場合を除く。) 公文書管理条例の規定により地方公文書館等の長が当該著作物を公衆に提供し、又は提示すること。
4 第一項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
一 行政機関情報公開法第五条の規定により行政機関の長が同条第一号ロ若しくはハ若しくは同条第二号ただし書に規定する情報が記録されている著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、若しくは提示するとき、又は行政機関情報公開法第七条の規定により行政機関の長が著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、若しくは提示するとき。
二 独立行政法人等情報公開法第五条の規定により独立行政法人等が同条第一号ロ若しくはハ若しくは同条第二号ただし書に規定する情報が記録されている著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、若しくは提示するとき、又は独立行政法人等情報公開法第七条の規定により独立行政法人等が著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、若しくは提示するとき。
三 情報公開条例(行政機関情報公開法第十三条第二項及び第三項の規定に相当する規定を設けているものに限る。第五号において同じ。)の規定により地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が著作物でまだ公表されていないもの(行政機関情報公開法第五条第一号ロ又は同条第二号ただし書に規定する情報に相当する情報が記録されているものに限る。)を公衆に提供し、又は提示するとき。
四 情報公開条例の規定により地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が著作物でまだ公表されていないもの(行政機関情報公開法第五条第一号ハに規定する情報に相当する情報が記録されているものに限る。)を公衆に提供し、又は提示するとき。
五 情報公開条例の規定で行政機関情報公開法第七条の規定に相当するものにより地方公共団体の機関又は地方独立行政法人が著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、又は提示するとき。
六 公文書管理法第十六条第一項の規定により国立公文書館等の長が行政機関情報公開法第五条第一号ロ若しくはハ若しくは同条第二号ただし書に規定する情報又は独立行政法人等情報公開法第五条第一号ロ若しくはハ若しくは同条第二号ただし書に規定する情報が記録されている著作物でまだ公表されていないものを公衆に提供し、又は提示するとき。
七 公文書管理条例(公文書管理法第十八条第二項及び第四項の規定に相当する規定を設けているものに限る。)の規定により地方公文書館等の長が著作物でまだ公表されていないもの(行政機関情報公開法第五条第一号ロ又は同条第二号ただし書に規定する情報に相当する情報が記録されているものに限る。)を公衆に提供し、又は提示するとき。
八 公文書管理条例の規定により地方公文書館等の長が著作物でまだ公表されていないもの(行政機関情報公開法第五条第一号ハに規定する情報に相当する情報が記録されているものに限る。)を公衆に提供し、又は提示するとき。

 

(2)氏名表示権(著作権法第19条)

著作者(クリエイター)が著作物(作品)について、著作者の名前を表示するかどうかや、名前を表示する場合に実名を表示するかどうかを決める権利です。

例えば、クリエイターの作品への思い入れから、「この作品を他人が公表するときは必ず自分の名前を表示してほしい!」と思う場合に、クリエイターが氏名を表示することを要求する権利が「氏名表示権」です。

 

▶参考:著作権法第19条

第十九条 著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。
2 著作物を利用する者は、その著作者の別段の意思表示がない限り、その著作物につきすでに著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示することができる。
3 著作者名の表示は、著作物の利用の目的及び態様に照らし著作者が創作者であることを主張する利益を害するおそれがないと認められるときは、公正な慣行に反しない限り、省略することができる。
4 第一項の規定は、次の各号のいずれかに該当するときは、適用しない。
一 行政機関情報公開法、独立行政法人等情報公開法又は情報公開条例の規定により行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人が著作物を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該著作物につき既にその著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示するとき。
二 行政機関情報公開法第六条第二項の規定、独立行政法人等情報公開法第六条第二項の規定又は情報公開条例の規定で行政機関情報公開法第六条第二項の規定に相当するものにより行政機関の長、独立行政法人等又は地方公共団体の機関若しくは地方独立行政法人が著作物を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該著作物の著作者名の表示を省略することとなるとき。
三 公文書管理法第十六条第一項の規定又は公文書管理条例の規定(同項の規定に相当する規定に限る。)により国立公文書館等の長又は地方公文書館等の長が著作物を公衆に提供し、又は提示する場合において、当該著作物につき既にその著作者が表示しているところに従つて著作者名を表示するとき。

 

(3)同一性保持権(著作権法第20条)

著作物(作品)を無断で修正されない権利です。

例えば、クリエイターの作品への思い入れから、「この作品を他人に無断で修正されたくない!」と思う場合に、クリエイターが他人に作品を無断で修正されないことを要求する権利が「同一性保持権」です。

 

▶参考:著作権法第20条

第二十条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。
2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当する改変については、適用しない。
一 第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十三条の三第一項又は第三十四条第一項の規定により著作物を利用する場合における用字又は用語の変更その他の改変で、学校教育の目的上やむを得ないと認められるもの
二 建築物の増築、改築、修繕又は模様替えによる改変
三 特定の電子計算機においては実行し得ないプログラムの著作物を当該電子計算機において実行し得るようにするため、又はプログラムの著作物を電子計算機においてより効果的に実行し得るようにするために必要な改変
四 前三号に掲げるもののほか、著作物の性質並びにその利用の目的及び態様に照らしやむを得ないと認められる改変

 

(4)名誉声望を害する方法での利用を禁止する権利(著作権法第113条11項)

著作物(作品)が著作者の名誉を害するような方法で使用されることを禁止する権利です。

例えば、クリエイターが作品を「性風俗営業の広告に利用されたくない!」と思う場合に、そのような使用を禁止する権利が、「名誉声望を害する方法での利用を禁止する権利」です。

 

▶参考:著作権法第113条11項

第百十三条 次に掲げる行為は、当該著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。

(省略)

11 著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為は、その著作者人格権を侵害する行為とみなす。

 

※この段落でご紹介した「著作権法」の条文の参照元は、以下をご覧ください。

「著作権法」はこちら

 

3,著作者人格権は誰にあるか?

著作者人格権は、著作者にあります。このことは、著作権法第17条に定められています。

それでは、著作者とは誰でしょうか?

著作者というのは基本的にはその著作物(作品)を作ったクリエイターのことです。ただし、会社の業務として作った著作物(作品)については、「職務著作」といって、会社が著作者となります。

この場合は法人に著作者人格権があることになります。

 

▶参考:著作権法第17条

第十七条 著作者は、次条第一項、第十九条第一項及び第二十条第一項に規定する権利(以下「著作者人格権」という。)並びに第二十一条から第二十八条までに規定する権利(以下「著作権」という。)を享有する。
2 著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない。

・参照元:「著作権法」はこちら

 

4,著作者人格権は譲渡できない

著作者人格権は法律上譲渡できない権利とされています。著作権法第59条でこのことが定められています。

 

▶参考:著作権法第59条

第五十九条 著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。

・参照元:「著作権法」はこちら

 

これは、「著作者人格権」が、クリエイターの名誉や作品への思い入れを守る権利であり、名誉や思い入れは人に譲渡できるものではないということからきています。

そのため、財産的な価値についての権利である著作権については契約書で譲渡することが可能ですが、著作者人格権は、著作権を譲渡した場合も、著作者(クリエイター)に残ります。

 

5,契約書によくある「著作者人格権を行使しない」とは?

契約書によく出てくるのが「著作者人格権を行使しない」という言葉です。著作者人格権の不行使条項とも呼ばれます。

この契約条項は、著作者(クリエイター)が著作権を譲渡する際に、譲渡の相手方に対して、著作者人格権を行使しないことを約束する内容の契約条項です。

これについては、以下で具体的な事例をあげてご説明したいと思います。

 

(1)著作者人格権不行使条項の事例

例えば、自社が映像制作会社に動画の制作を依頼した場合を想定してみてください。この場合、制作契約書で、完成した動画の著作権は自社に移転することを定めるケースが多いと思います。

しかし、この場合であっても、動画の著作者人格権は、制作会社に残ります。著作者人格権は前述の通り、譲渡できない権利であるため、著作権が移転されても、著作者人格権は移転しないのです。

そのため、自社は、動画の制作代金を支払った後も、制作会社から、著作者人格権の内容の1つである「著作物を無断で修正されない権利」(同一性保持権)を主張される可能性があります。

そうすると、結局、納品された動画を制作会社の了解なく自社で修正したり、他の制作会社に修正を依頼することができなくなります。

このような不都合を避け、納品された著作物(この例では動画)を自由に使えるようにするためには、単に著作権が自社に移転されるだけでなく、制作契約書で「制作会社が自社に対して著作者人格権を行使しない」ことを明記しておく必要があるのです。

このように、契約書によくある「著作者人格権を行使しない」という契約条項は、クリエイターや制作会社に著作者人格権を行使しないことを約束させて、自社において納品された著作物を修正等も含めて自由に使えるようにするために必要な契約条項なのです。

 

(2)著作者人格権不行使条項の記載例

著作者人格権不行使条項は、実際の契約書には次のように記載されることが多いと思います。

 

▶参考:著作者人格権不行使条項の記載例

第〇条(著作権)

1.本制作物の著作権(著作権法第27条及び第28条に定める権利を含む)は、制作代金が支払われたときに、制作会社から発注者に移転する。
2.制作会社は本制作物について、発注者及び発注者が指定する第三者に対して著作者人格権を行使しない。

 

この記載例の2項が、著作者人格権を行使しないことについて記載した部分になります。

このように、発注者に対してだけでなく、「発注者が指定する第三者」に対しても著作者人格権の不行使を約束させることが通常です。

これは、発注者が自社で著作物を修正するのではなく、他の制作会社(第三者)に対して修正を依頼するような場面で、もともと制作した制作会社に著作者人格権を主張されて修正を禁止されないようにするためのものです。

著作物(ウェブサイトや動画、イラスト、写真など)の制作を他社に依頼するときは、制作契約書にこの「著作者人格権を行使しない」という内容を入れておくことが非常に重要なポイントです。

 

6,著作者人格権の保護期間

では、この著作者人格権ですが、法律上、どのくらいの期間、保護されるのでしょうか?

以下では、著作者人格権を個人が持っている場合と、法人が持っている場合にわけてご説明します。

 

(1)著作者人格権を個人が持っている場合

永久的に保護されます。

著作者人格権は著作者の死亡によって消滅しますが、著作権法第60条により、著作者の死後も著作者人格権の侵害となるような行為が禁止されています。

 

(2)著作者人格権を法人が持っている場合

前述の通り、会社の業務として作った著作物(作品)については、会社(法人)が著作者人格権を持っています。

この場合、法人が解散したり破産したりするなどして法人格を失うまで保護されます。

 

7,咲くやこの花法律事務所の著作権分野の解決実績

咲くやこの花法律事務所では、著作権、著作者人格権の分野について、企業のご相談者から多くのご依頼をいただき、解決を実現してきました。

以下で、咲くやこの花法律事務所の実績の1つをご紹介していますのでご参照ください。

 

 

8,著作者人格権に関して弁護士に相談したい方はこちら(法人専用)

咲くやこの花法律事務の弁護士によるサポート内容

最後に咲くやこの花法律事務所における著作物(ウェブサイトや動画、イラスト、写真など)の制作契約書についてのサポート内容をご説明したいと思います。

 

(1)発注者側からの制作契約書作成・リーガルチェックのご相談

自社が発注者側の場合は、制作物の著作者人格権、著作権について正しく契約書に記載しなければ、自社が制作代金を支払った後も制作物を自由に利用できなくなる危険があります。

制作会社が出してきた契約書によく分からないままサインして、後で制作物が思うように利用できなくなるというトラブルが多数発生しています。

また、そのほかにも制作契約書においては、以下のような項目が重要です。

 

  • 制作する著作物の内容や納期についての取り決め
  • 納品された制作物に不具合があった場合の対応
  • 納品物が他人の著作権を侵害していた場合の保証
  • 納品物に使用されたデータの引渡し

 

咲くやこの花法律事務所では、著作権に精通した弁護士が、制作契約における個別の事情を踏まえて、将来の紛争を予防するとともに、実際に紛争になった場合に有効に機能する実践的な契約書の作成・リーガルチェックを行います。

ウェブサイトや動画、イラストなどの制作契約書について不安がある方は、ぜひ咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
およその費用の目安は以下の通りです。

 

咲くやこの花法律事務所の著作権に強い弁護士によるを契約書に関する弁護士費用例

  • 初回相談料:30分あたり5000円
  • 契約書作成費用:5万円~10万円程度
  • 契約書リーガルチェック費用:3万円程度~

 

(2)制作会社側からの制作契約書作成・リーガルチェックのご相談

自社が制作する側の場合、制作物の著作者人格権、著作権について正しく契約書に記載することが、まずは重要になります。

また、そのほかにも制作契約書において、以下のような項目が重要です。

 

  • 制作する著作物の内容についての取り決め
  • 納品した制作物の修正要望についての対応限度の取り決め
  • 納品物に第三者の素材やプログラムを利用する場合の取り決め
  • 制作代金の支払いを確保するための取り決め
  • 契約が途中で解除された場合の支払いに関する取り決め

 

制作契約書に不備があると、いつまでも納品物の修正を求められたり、あるいは、契約が途中で解除された場合にそれまでの作業についての費用を支払ってもらえないなど、制作会社に大きな不利益が発生します。

これらのトラブルは、契約書がひな形を安易にそのまま使っただけの形式的なものであった場合に、多く発生しています。トラブルを防止するためには、制作契約書の作成や、クライアント側から提示してきた契約書案のリーガルチェックを弁護士に依頼することが必要です。

咲くやこの花法律事務所では、著作権に精通した弁護士が随時相談を承り、これまで解決してきたご依頼の経験も活かして契約書の作成やリーガルチェックを適切迅速に行なっています。

ウェブサイトや動画、イラストなどの制作契約書について不安がある方は、ぜひ咲くやこの花法律事務所にご相談ください。およその費用の目安は以下の通りです。

 

咲くやこの花法律事務所の著作権に強い弁護士によるを契約書に関する弁護士費用例

  • 初回相談料:30分あたり5000円
  • 契約書作成費用:5万円~10万円程度
  • 契約書リーガルチェック費用:3万円程度~

 

9,「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法

咲くやこの花法律事務所の著作権に強い弁護士による著作人格権の相談など、著作権関連のサポート内容については、「著作権に強い弁護士」のこちらのページをご覧下さい。

また、今すぐのお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

【お問い合わせについて】

※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。

「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

 

10,【関連情報】著作権に関連するその他のお役立ち記事一覧

今回の記事では、「著作者人格権とは?」についてわかりやすくご説明しました。

著作権人格権に関しては、今回ご紹介したように正しい知識を理解した上で契約書などを作成する必要があり、方法を誤ると重大な著作権トラブルに発展したりなど、大きなトラブルにつながる可能性もあります。

またその他の著作権に関する重要な情報については、以下に著作権のお役立ち情報をまとめておきますので、合わせてご覧下さい。

 

著作権侵害とは?事例や罰則、成立要件などをわかりやすく解説

記事原稿や画像の無断転載など著作権侵害の損害賠償額について解説

イラストや画像の著作権侵害の判断基準は?どこまで類似で違法?

ネットの画像や原稿を引用する際の正しい方法【著作権侵害に注意】

素材サイトのフリー素材をホームページで使う際の著作権上の注意点

システム開発やWebサイト制作の外注における著作権の重要ポイント

著作権譲渡契約書の作成を弁護士が解説!安易な雛形利用は危険!

 

注)咲くやこの花法律事務所のウェブ記事が他にコピーして転載されるケースが散見され、定期的にチェックを行っております。咲くやこの花法律事務所に著作権がありますので、コピーは控えていただきますようにお願い致します。

 

記事作成弁護士:西川暢春
記事更新日:2023年7月6日

 

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    西川 暢春 代表弁護士
    西川 暢春(にしかわ のぶはる)
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    出版社:株式会社日本法令
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    出版社:株式会社日本法令
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