こんにちは。弁護士法人咲くやこの花法律事務所の弁護士 西川暢春です。
- 髪を切られすぎた
- ブリーチやカラーで頭皮へのダメージがあった
- オーダーしたイメージと仕上がりが全然違う
- パーマの仕上がりがイメージと違う
- カラーのイメージが違う
- 接客態度が悪い
など、美容室におけるお客様からのクレーム対応に困っていませんか。
利用客によっては髪型や仕上がりに非常にこだわりがある人もいて、理想と現実のギャップも生じやすいため、クレーム対応は美容室を経営するうえで避けて通れない問題です。
クレームに対して誤った対応をしてしまうと、不当な返金要求が常態化したり、スタッフの精神的負担が増大したりと、経営や職場環境に深刻な悪影響を及ぼすおそれがあります。
正当なクレームに対しては誠実に対応することが重要ですが、すべての要求に応じなければならないわけではありません。
美容院側に落ち度がある場合は落ち度のレベルに合わせて謝罪や返金対応が必要となる一方で、美容院側に落ち度がないクレームがしつこく続く場合やカスハラ、理不尽なクレーマーに対しては、毅然とした対応をすることも必要です。
この記事では、美容室で発生するクレームの典型例や、正当なクレームと不当なクレームの判断基準、返金対応の考え方、利用拒否・出入り禁止の可否などについて、弁護士の視点から詳しく解説します。この記事を最後まで読めば、美容室がクレーム対応で押さえておくべきポイントについて理解し、現在発生している店舗でのクレームトラブルに対して、問題解決に向けて、自信をもって対応できるようになるはずです。
それでは見ていきましょう。
咲くやこの花法律事務所では、事業者側の立場でクレーム対応に関するご相談を多数お受けし、解決してきました。
特に理不尽な要求をするクレーマーへの対応が必要になる場面や美容院側に落ち度があり賠償が必要になる場面では、自社で対応しようとして、対応に疲弊して本業への悪影響がでてしまう、といったケースが少なくありません。また、自社で誤った対応をして事態が複雑化してしまうケースもあります。
そのため、クレーム対応で困った際はクレーム対応に強い弁護士に相談することが大切です。思い切ってクレーム対応を弁護士に任せてしまうことで、自身はクレーム対応から解放され、本業に専念できるだけでなく、根本的な解決も目指すことができます。
クレーム対応でお困りの場合は、ぜひ咲くやこの花法律事務所の弁護士にご相談ください。なお、クレーム対応に関する咲くやこの花法律事務所のサポート内容は以下もご参照ください。
▶参考情報:クレーム対応や悪質クレーマーに関する弁護士へのサービスはこちら
また、咲くやこの花法律事務所のクレームトラブルの解決事例もご紹介していますのであわせてご覧ください。
▼美容室におけるクレームやクレーマー対応について、弁護士の相談を予約したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。
【お問い合わせについて】
※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
今回の記事で書かれている要点(目次)
- 1,美容室のクレームとは?クレーマーはなぜ発生する?
- 2,美容院でよくあるクレームの典型パターンとは?
- 3,どこまで返金に応じるべき?正当なクレームと不当なクレーマーの判断基準について
- 4,美容院のクレームへの正しい対応方法とは?店舗側に非がある場合と非がない場合について
- 5,クレーム対応・クレーマー対応に困ったら弁護士に対応の代行を依頼することが適切
- 6,不当な要求をするクレーマーにどこまで応じるべき?カスハラには毅然とした対応が必要
- 7,クレーマーに対する利用拒否や出入り禁止はできる?
- 8,美容室でのクレームに対する予防策とは?
- 9,実際に咲くやこの花法律事務所の弁護士がクレーム対応をサポートした解決事例
- 10,美容室のクレームやクレーマー対応に関して弁護士に相談したい方はこちら
- 11,まとめ
1,美容室のクレームとは?クレーマーはなぜ発生する?
美容室のクレームは主に「施術結果や接客に対する不満」から発生し、その多くは期待値のズレやコミュニケーション不足が原因です。正当な内容のクレームもある一方、過剰な要求や威圧的な言動を繰り返すカスタマーハラスメントに発展するケースもあります。
美容室のクレームは、施術内容、仕上がり、接客態度、料金、待ち時間などについて、利用客が不満を訴えることで、「イメージしていた髪型と違う」「カラーの仕上がりが想定と異なる」「料金説明がなかった」といった内容が典型例です。また、ヘアカラーによる肌荒れのクレームが発生することもあります。さらに、お店の正規のサービスとは異なる、スタッフの練習の場面でもクレームが発生する例があります。
(1)美容室でクレームが発生する理由とは?
美容室でクレームが発生する理由としては、例えば以下の点があげられます。
- 1.事前説明やカウンセリング不足で、仕上がりの限界について十分な説明がなかったり、利用客の期待値が過度に高まってしまう
- 2.ラフな接客態度について不快になる利用客もいる
- 3.過去に返金や無償対応を受けた経験から、強く言えば要求が通るという認識の利用客もいる
美容室では、仕上がりに主観が入りやすく、また完成形を事前に完全に共有することが難しいという特性があります。そのため、他業種と比べてもクレームが発生しやすい傾向にあります。
2,美容院でよくあるクレームの典型パターンとは?

美容院で発生しやすいクレームの典型パターンは、主に以下のものが挙げられます。
- (1)仕上がりに関するクレーム
- (2)技術ミスに関するクレーム
- (3)接客態度や待ち時間に関するクレーム
- (4)料金や追加オプションに関するクレーム
それぞれご説明します。
(1)仕上がりに関するクレーム
カットやカラーの仕上がりに関するクレームは美容院で発生しやすいクレームの典型例です。
「思っていた色と違う」「長さを切りすぎている」「イメージと違う」などといった不満です。完成形に主観が入りやすい美容施術では、写真や言葉だけでは認識のズレが生じやすいため、この種のクレームは避けがたい側面があります。
(2)技術ミスに関するクレーム
「縮毛矯正で髪の毛がチリチリになってしまった」「ブリーチで頭皮を痛めた」「色のムラがひどい」など、パーマや縮毛矯正、ブリーチやカラーなどによる髪の毛や頭皮へのダメージ、明らかな施術ミスに対するクレームも、美容院で発生しやすいクレームの一つです。
また、カラー剤が利用者の服に付着してしまい、クレームに繋がることもあります。
(3)待ち時間や接客態度に関するクレーム
「予約しているのに長時間待たされた」「スタッフがため口で不快だった」「失礼な質問をされた」など、美容室での待ち時間や接客態度に関するクレームも発生しやすい傾向にあります。
美容院では、施術内容ごとにおよそかかる時間を予想して、その時間の間で予約を取っていく形となるため、予約が混んでいたり前の施術が長引いたりしてしまうと完全に予定時間通りに進めることは難しい側面があります。しかし、利用者がそういった事情を把握していない場合は、クレームに繋がってしまいやすいです。
また、「スタッフがため口で不快だった」「高圧的な態度だった」「プライベートな話題に踏み込みすぎた」など、スタッフの接客態度や言動がクレームの原因になるケースも少なくありません。
(4)料金や追加オプションに関するクレーム
「聞いていた金額と違う」「勝手にオプションを追加された」「追加料金がかかることの説明がなかった」といった内容が典型です。
美容室によっては、ロングの髪型の利用者に追加料金がかかるケースや、カラー剤やトリートメントのアップグレードなどに追加料金がかかるケースがあります。
事前の説明が不十分であったり、利用者との間に認識の差があったりした場合はクレームの原因となることがあります。
3,どこまで返金に応じるべき?正当なクレームと不当なクレーマーの判断基準について

クレームの中にも、美容院側が誠実に対応する必要のある正当な内容のものと、不当な要求をするクレームがあります。また、内容は正当であっても、クレームの態様が悪質なケースもあります。
正当なクレームと不当なクレーム・クレーマーの区別については、例えば以下の点から判断することができます。
- (1)美容院側に施術ミスや説明不足があるか
- (2)要求内容が社会通念上相当か
- (3)言動や態様が威圧的・執拗でないか
- (4)過去にも同様の要求を繰り返していないか
また、返金が必要か否かは、美容室側に非があったかや、ビジネス的な経営判断の観点から個別に判断していく必要があります。
例えば、明らかな施術ミスがあり通常期待される仕上がりを下回っている場合や、施術ミスによって髪に重大なダメージが生じた場合などについては、返金に応じることが適切です。また、利用客が自社にとって重要な顧客であり、今後も顧客との関係を続けていく必要があるような場合、自社の落ち度がある程度認められるときは返金に応じることも考えられます。
一方で、事前説明のとおりに施術をしたにもかかわらず、「思っていた雰囲気と違う」など、仕上がりに対する主観的な不満でクレームとなっている場合は、返金はするべきではありません。
以下では正当なクレームと不当なクレーム・クレーマーの判断基準について見ていきたいと思います。
(1)美容院側に施術ミスや説明不足があるか
正当なクレームか不当なクレーム・クレーマーかの判断基準の1つが、美容院側に落ち度があるかどうかです。
下記のような美容室側に落ち度が認められるような場合は、原則として美容院側が誠実に対応すべき正当なクレームであると考えられます。
- 明らかな施術ミスがあり、通常期待される仕上がりを下回っている
- 技術ミスで頭皮にダメージが生じた
- 追加料金やオプションについて説明や同意がなかった
- 事前のカウンセリングが不十分で利用者の意向を十分に確認できていない
このような場合は、美容室側は謝罪をしたうえで、返金を検討するのが適切でしょう。
ただし、美容院側に落ち度があったとしても、以下のような場合は、カスタマーハラスメントにあたりうるものであり、弁護士に相談したうえで、必要に応じて弁護士に依頼して対応をする必要があります。
- 美容院側の些細なミスをきっかけに本来想定されているサービスを著しく超える要求をする場合
- 不当に高額な慰謝料請求など不当な損害賠償を要求する場合
- 店員に対する暴力や土下座の要求、SNSへの悪評の投稿をほのめかして店員を脅す等の言動がある場合
▶参考情報:カスタマーハラスメントへの対応については以下でも解説していますのであわせてご参照ください。
(2)要求内容が社会通念上相当か
また、クレームによる要求内容自体が社会通念上相当であるかも判断基準の一つとなります。例えば以下のようなケースでは、クレームの要求内容は社会通念上相当とは言えません。
- 事前説明どおりに施術したが、完成したスタイルが気に入らないため施術代の返金と交通費を負担するよう要求する
- 些細なミスに対して家まで謝罪に来るよう要求する
- 施術から1か月後にスタイルが気に入らないので返金しろと要求する
(3)言動や態様が威圧的・執拗でないか
また、クレームの内容自体は妥当であっても、クレームの言動や態様が威圧的であったり執拗である場合は、カスタマーハラスメントとしての対応が必要になり得ます。
例えば以下のような言動です。
- 利用客がスタッフに暴力をふるう
- 「ふざけんな」「返金しないと知らないぞ」などの暴言を吐く
- 土下座を要求する
- 営業時間中に何度も執拗に電話をして、長時間拘束する
このような言動がある場合は、弁護士に相談したうえで、必要に応じて弁護士に依頼して対応をする必要があります。
(4)過去にも同様の要求を繰り返していないか
過去にも同様のクレームや返金要求を繰り返している場合には、不当な利益を得る目的が疑われることがあります。ただし、美容院側のミスや説明不足が繰り返されていることもあるので、慎重に事実確認をする必要があります。
4,美容院のクレームへの正しい対応方法とは?店舗側に非がある場合と非がない場合について
美容院で発生したクレームへの正しい対処法としては、店舗側に非があるクレームの場合、店舗側の落ち度のレベルにあった謝罪をする必要があります。一方で、店舗側に非がない場合は、利用客にそのことを説明することが必要です。そして丁寧な説明をしても理不尽な要求が繰り返される場合は、弁護士に相談するなどして毅然とした態度で対応することも大切です。
(1)店舗側に非がある場合

美容室側に落ち度がありクレームとなった場合、謝罪が必要となりますが、その落ち度のレベルにあった謝罪をすることが大切です。
落ち度が小さい場合は、担当者からの口頭や電話などによるお詫びをすることが適切です。これに対し、自社の落ち度が大きい場合は、相手を訪問してお詫びをしたり、経営者が謝罪をすることも考えられます。そのうえで、いただいた料金を返金するべきかを検討すべきでしょう。また、利用客に損害が生じている場合は、その補償を検討する必要があります。
中には、些細な落ち度を執拗に指摘して、自身の要求を通そうとするクレーマーもおり、こういったクレーマーの言われるがままに対応してしまうと、いつまでも解決せずに対応がずるずると長引いてしまいます。あくまで謝罪の方法は、自社の落ち度のレベルにあった合理的なものにとどめることが大切です。
1,美容室側に非がある場合のクレーム対応のステップ
美容室側に非がある場合は、以下の流れで対応しましょう。
- ①まずは謝罪をする
- ②お客様の話を聴く
- ③事実確認をする
- ④対応策を検討する
- ⑤謝罪し、対応策を伝える
- ⑥結びの言葉
特に、クレームがきた段階ではクレームの詳細や事実関係が分かっていないため、全面的に非を認めるのではなく、まずは「お手数をおかけして申し訳ございません。」や「ご心配をおかけし申し訳ございません。」などといった謝罪にとどめておくことがポイントです。
その上で、事実確認をして店舗側に非があった場合は、お客様に対して対応策を提示するとともに、真摯に謝罪をしましょう。
▶参考情報:クレーム対応の正しい方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
2,店舗側に非がある場合の対応方法ごとのクレーム対応のポイント
つぎに、対応方法ごとの店舗側に非がある場合のクレーム対応のポイントをご紹介します。
① 対面でのクレーム対応のポイント
- お客様の話をさえぎらない
- 「ですから」「でも」「だから」等の反論ワードを言わない
- 相手の間違いを責めたり不注意を指摘したりする言動をしない
- 対面でのクレーム対応は身だしなみや態度にも注意する
特に対面でクレーム対応をする場合は、身だしなみや目線、表情等の態度に注意が必要です。誠実に対応していることを示すために、身だしなみや態度をきちんと正すことを意識しましょう。ただし、店舗側に非がある場合でも、怒鳴ったり暴言を吐くなどといった悪質なクレーマーに対しては、複数人で対応するなど、身の安全を守ることも大切です。
▶参考情報:対面でのクレーム対応におけるポイントについては、以下の記事をご参照ください。
② 電話でのクレーム対応のポイント
- お客様を落ち着かせる
- 話の腰を折らない
- お客様の話についてメモを取る
- 折り返す場合は期限を守る
- 折り返す場合は、お客様の都合の良い時間帯を聞いておく
- 電話を切る際に「この度は貴重なご意見をいただき誠にありがとうございました」などと丁寧にお礼の言葉を伝える
電話でのクレームは、長々と時間がかかることも少なくありません。そのため、クレームの内容やこちらの伝えた内容の重要な点については、メモを取っておくことが非常に重要となります。
また、電話でのクレーム対応はお客様の感情が直にぶつけられることになりますが、お客様が電話越しに怒っていたり興奮していたとしても、それに引っ張られず冷静かつ丁寧に対応することが大切です。
▶参考情報:電話でのクレーム対応におけるポイントについては、以下の記事をご参照ください。
③ メールでのクレーム対応のポイント
- 件名は具体的に書く
- 宛名を必ず記載する
- 敬称のつけ忘れや誤字に注意する
- 末尾に担当者名を連絡先の署名を入れる
- 送ったメールが外部に公開されても問題のない内容にする
メールでの対応の場合、記録に残るため、言った言っていないの問題にならないというメリットもあります。一方で、同時に、普段よりも誤字や敬称付け忘れなどに注意することも必要です。また、メールは電話と異なり、相手の感情や相手の意向を聞きながら臨機応変に対応することができない連絡手段でもあります。電話とメールを場面に応じて適切に使い分けることも大切です。
▶参考情報:メールでのクレーム対応におけるポイントについては、以下の記事をご参照ください。
(2)店舗側に非がない場合

美容室側に非がないクレームの場合は、まずは、そのことを説明して利用客の納得を得ることを目指す必要があります。しかし、それでも理不尽な要求が繰り返される場合は、クレーム対応のゴールを、クレーマーの「納得」を目指す対応から、「要求を断り、断念させる」という毅然とした対応に切り替える必要があります。その場合は、クレーム客に、「これ以上クレームを言っても対応してもらえないこと」を理解させることがゴールとなります。
そのような場面での対応のポイントは下記の通りです。
- 電話やメールでクレームが続く場合は書面による対応に切り替える
- 要求を断った後のしつこい長電話や、要求を断っても怒鳴ったり、罵倒したりする場合は、弁護士に依頼して書面を送付し、要求を明確に断る
▶参考情報:店舗側に非がない場合のクレーム対応については、以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
1,美容室側に非がない場合のクレーム対応5つのステップ
店舗側に非がない場合は、以下の通り対応するのが適切です。
- ①まずは感情を受け止め、冷静に話を聞く
- ②事実関係を確認する
- ③店舗側に非がないことを伝える
- ④理不尽な要求には毅然と対応する
- ⑤対応内容を必ず記録に残す
店舗側に非がない場合でも、まずはお客様のお話をよく聞いて、感情に配慮するようにしましょう。そのうえで、店舗側に非がないことを伝え、理不尽な要求に対しては、美容院として応えられないことを伝えます。それでも要求が止まらない場合は、書面で正式に断るといった対応をすることも必要です。
2,店舗側に非がない場合の対応方法ごとのクレーム対応のポイント
店舗側に非がない場合の、対応方法ごとのクレーム対応ポイントをご紹介します。
① 対面でのクレーム対応のポイント
- まずはお客様の話を最後まで聞く
- 店舗のルールや事実関係は、落ち着いて明確に伝える
- その場で即答できない場合は、持ち帰って確認する姿勢を示す
店舗側に非がない場合でも、最初から否定的な態度を取ってしまうと、お客様の感情を逆なでする結果になりかねません。
そのため、「ご心配をおかけしており申し訳ございません。」といった形で感情面には配慮しつつ、事実関係や店舗の対応方針については冷静に説明することが重要です。
② 電話でのクレーム対応のポイント
- 感情的な言動に引きずられず、終始冷静に対応する
- その場で判断できない事項は即答しない
- 店舗側に非がない理由は、簡潔かつ論理的に伝える
- 必要に応じて書面やメールでの対応に切り替える
電話でのクレームは、お客様の感情が高ぶりやすく、話が長引く傾向があります。店舗側に落ち度が無いことを伝えたにもかかわらず、しつこく電話をかけてくるような場合は、「先日お伝えした通り、ご要望にお応えすることはできません。これ以上お話しすることはできませんので、電話を切らせていただきます。」などと伝える必要があります。
③ メールでのクレーム対応のポイント
- 曖昧な表現や誤解を招く言い回しを避ける
- 反論が返ってこないような内容のみ書く
- クレーム客が反論したくなるようなことは書かない
- 記録として残ることを前提に、慎重に文章を作成する
メール対応の場合、文章がそのまま証拠として残るため、表現には特に注意が必要です。「ご期待に添えず申し訳ございません。」や、「ご理解いただけますと幸いです」など、感情への配慮と事実説明をバランスよく組み合わせた表現を用いることが重要です。
5,クレーム対応・クレーマー対応に困ったら弁護士に対応の代行を依頼することが適切
美容院側に非があるクレームの場合、対応するスタッフとしても落ち度を感じているため、過度なクレーマーの要求にも対応してしまいがちです。一度過剰な要求に対応してしまうと、「強く言えば要求が通る」と思わせてしまい、謝罪後もクレームが止まなかったり、むしろ要求がエスカレートしてしまうケースもあります。
また、美容室側に落ち度がない場合であっても、お客様とスタッフという立場にあるため、ハッキリと断ることが難しく、執拗な連絡への対応に時間を取られ、スタッフが疲弊します。
そのため、合理的な謝罪や返金対応後もクレームが続いたり、不合理なクレームが続き対応に困っているような場合は、弁護士に相談して対応の代行を依頼することが適切です。
クレーム対応やクレーマー対応を弁護士に依頼することには、以下のメリットがあります。
- 1.法律のルールに基づく対応ができる
- 2.説得力ある説明ができる
- 3.最終的な解決ができる
▶参考情報:クレーム対応を弁護士に依頼するメリットについては、下記の記事が参考となりますのであわせてご参照ください。
・弁護士にクレームやクレーマー対応の代行を依頼する5つのメリット
またこの記事の著者 弁護士 西川暢春が、「クレームやクレーマー対応を弁護士に依頼する5つのメリットとは?」の動画でも、弁護士に依頼するメリットを解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
なお、咲くやこの花法律事務所の弁護士によるクレームや悪質なクレーマー対応に関するサポート内容は以下をご参照ください。
6,不当な要求をするクレーマーにどこまで応じるべき?カスハラには毅然とした対応が必要

カスハラにあたるような不当なクレーマーや理不尽なクレームに対しては、担当者任せにせずに、組織として毅然とした態度で対応することが重要です。
具体的には、下記の方針のもと対応するのが適切です。
- (1)理不尽な要求を断りあきらめさせる
- (2)要求内容を確認し、勇気をもって断る
- (3)「お客様」から「対等・公平」の関係に切り替える
- (4)落ち度がある場合も言いなりにならない
- (5)法律上の義務の範囲を正しく理解する
- (6)理不尽なクレームへの対応方針を社内で明確にする
- (7)弁護士に相談しながら対応する
- (8)自社で対応できないときは弁護士に依頼する
▶参考情報:不当なクレーマー、理不尽なクレームへの対応方法について、以下の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひご参照ください。
またこの記事の著者 弁護士 西川暢春が、「理不尽なクレーマーへの対応7つのポイントを弁護士が解説します。」の動画でも、理不尽なクレーマーへの対応方法についてを解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
7,クレーマーに対する利用拒否や出入り禁止はできる?
美容室側は、原則として自社が所有または賃借している店舗について、どのような人物の立ち入りを認めるかを決める権限を持っています。そのため、理不尽なクレーマーに対しては、利用拒否や出入り禁止の対応を取ることができ、それが適切な場合もあります。
利用拒否や出入り禁止は書面で伝えることが効果的です。書面で伝えることで、「美容室側の正式な決定である」という印象を与えることができ、また確かに出入り禁止について伝えたことの記録にもなります。
口頭や電話で伝える方法だと、記録に残らず、また伝える人の精神的な負担が大きくなってしまいます。
弁護士に依頼して、クレーマーに対して、今後の利用を拒否する内容の書面を送付する方法もあります。
▶参考情報:出入り禁止の伝え方については、下記の記事でポイントを解説していますのでご参照ください。
8,美容室でのクレームに対する予防策とは?
美容室のクレームは、事前の説明と記録、スタッフ間でのルール共有を徹底することによってある程度予防することができます。クレームが発生しやすい業種であるからこそ、日頃からクレームが起こりにくい環境を整えておくことも大切です。
美容室におけるクレームの予防策として、例えば以下のものがあります。
- (1)カウンセリングと事前説明を徹底する
- (2)料金体系を明確にし、追加施術は必ず同意を得る
- (3)対応内容を記録に残す
- (4)スタッフ間で対応方針を統一する
それぞれご説明します。
(1)カウンセリングと事前説明を徹底する
クレーム予防の基本は、施術前のカウンセリングを徹底することです。
仕上がりのイメージ、施術内容、所要時間、料金だけでなく、リスクや仕上がりの限界についても事前に説明することが重要です。特に、カラーやパーマ、縮毛矯正など結果に個人差が出やすい施術については、「この仕上がりになる」と誤解させるような断定的な表現を避け、再現可能な範囲を明確に伝えることで、利用客の過度な期待を防ぐことが必要です。
(2)料金体系を明確にし、追加施術は必ず同意を得る
料金に関するトラブルは、比較的防ぎやすいクレームの一つです。
施術前に総額を提示し、追加料金が発生する可能性がある場合には、その都度説明と同意を得ることが重要です。特に、トリートメントやオプションメニューを無断で追加したと受け取られないよう、口頭説明だけでなく、メニュー表や書面での確認を行うことが適切です。
(3)対応内容を記録として残す
クレームが発生した場合に備え、カウンセリング内容や利用客からの要望、対応経緯をカルテなどの記録として残しておくことも有効です。これにより、事後的に事実関係を整理しやすくなり、不当な要求への対応や法的判断の材料としても役立ちます。
また、記録を残しておくことで、同一人物による繰り返しのクレームに対して、過去の経緯を踏まえた対応が可能となります。
(4)スタッフ間で対応方針を統一する
スタッフごとに対応が異なると、「人によって言うことが違う」という不満につながりやすくなります。
クレーム対応マニュアルを整備し、返金ややり直しの基準、不当なクレーマーへの対応方針などをあらかじめ共有しておくことが重要です。また、現場スタッフが一人でかかえこまないように、責任者や本部に相談・報告するルールを明確にしておくことが、従業員の心理的負担の軽減にもつながります。
(5)早期に弁護士に相談できる体制をつくる
クレームがエスカレートしそうな場合や、法的問題に発展する可能性がある場合には、早めに弁護士に相談することも重要な予防策です。
特に、暴言を伴うクレームや執拗なクレームは、対応する従業員の精神的な負担が多いため、対応する従業員が疲弊してしまう前に、弁護士に相談することが適切です。顧問弁護士サービスを利用するなどして、クレーム対応について現場スタッフがいつでも気軽に弁護士に相談できる体制を整えることが、スタッフの安心にもつながります。
9,実際に咲くやこの花法律事務所の弁護士がクレーム対応をサポートした解決事例
咲くやこの花法律事務所では、美容室をはじめとするさまざまな事業者からクレーム対応についてのご相談、ご依頼を数多くお受けしてきました。美容室で起こるクレームの1つとしてヘアカラー剤による肌荒れのクレームがあります。ときには、ヘアカラー剤が原因といえるかどうか疑問のある肌荒れについてのクレームが美容院に向けられたり、過大な慰謝料を請求されるといったことも起こります。
以下は、美容室の事例ではありませんが、ご参考として、肌荒れのクレームについて咲くやこの花法律事務所がご依頼を受けて解決した事例をご紹介します。
(1)化粧品販売会社が、購入者から「まぶたが赤くなった」旨のクレームを受け、弁護士が対応して解決した事例
1,事案の概要
この事案の相談者は、化粧品の製造販売業を営む会社でした。自社製品の購入者から、「購入した化粧品を使ったら、翌日まぶたが赤くなり腫れた。」とのクレームがありました。
会社の電話窓口の方が対応し、購入者に、病院に行っていただき診断書を提出していただくことを求めました。また、購入者から現物の返品を受けて、クレジット決済であったので決済をキャンセルしました。
しかし、診断書に関して、購入者から、「診断書を送って欲しいなら取りに来い!」、「ストレスで内科に行った!診断書を送れという前に見に来い!」などと感情的で乱暴な発言が繰り返されたため、自社では対応が出来なくなり、咲くやこの花法律事務所に依頼を頂きました。
2,弁護士の対応
まず、依頼を受けた弁護士より、購入者に対して今後会社には連絡はせず弁護士宛てに連絡をするように通知をしました。これにより、購入者から会社への連絡は無くなり、弁護士宛てに連絡が来るようになりました。
その後の対応については、以下の3点を検討しました。
- 化粧品に含まれる成分が適切だったかどうか
- 実際に症状があったのかどうか、症状があるとしてどのような症状なのか
- 症状があるとして、化粧品が原因であるかどうか
購入者からは診断書が送付され、診断書を見ると症状自体は確かにあるようでした。しかし、診断書には、購入者の言い分以上のことは書かれておらず、会社の化粧品が原因である趣旨のことも書かれていませんでした。
そこで、購入者の症状が化粧品が原因であるかどうかを、主治医に確認するために、医療照会の同意書を購入者から取り付けることとしました。
3,解決結果
弁護士から購入者に対して、医療照会のために必要となる同意書を送付したところ、購入者から「もう結構です!」との連絡があり、購入者のクレームを止めさせることが出来ました。それにより、依頼者は、損害賠償等の金銭を支払うことなく、解決することが出来ました。
▶参考情報:こちらの解決実績については下記の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひご参照ください。
10,美容室のクレームやクレーマー対応に関して弁護士に相談したい方はこちら

最後に、咲くやこの花法律事務所のサポート内容をご紹介します。
▶参考:咲くやこの花法律事務所のクレーム対応に関する弁護士への相談サービスに関して、よくある相談事例をはじめ、実際にサポートした一部の実績紹介、弁護士によるサポート内容、弁護士に相談するメリット、弁護士費用について、以下の動画で詳しく解説しますので、あわせてご参照ください。
(1)美容院のクレームに関するご相談
咲くやこの花法律事務所では、美容院で必要となるクレーム対応について、美容院側の立場からのご相談、ご依頼をお受けしています。
返金や謝罪の必要性や、クレーム客への伝え方など、具体的な対応方法について、弁護士がアドバイスを差し上げます。
誤った対応をしてしまうと、クレームがいつまでたっても止まらず長引いてしまったり、より事態が複雑化してしまいます。自社で誤った対応をする前に、できる限り早い段階でご相談いただくことが大切です。
また、咲くやこの花法律事務所では、自社では対応が難しいクレーム対応について、弁護士による対応のご依頼もお受けしています。自社に落ち度があり金銭的な賠償が必要な場面や理不尽な要求が繰り返される場面では、弁護士が窓口になってクレームに対応することが問題の早期解決につながります。また、自社で対応することによる精神的な負担をなくすことができ、本業に専念することができます。
咲くやこの花法律事務所の弁護士へのご相談費用
- 初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
- 相談方法:来所相談のほか、オンライン相談、電話相談が可能
(2)顧問弁護士によるサポート
咲くやこの花法律事務所では、美容院向けに顧問弁護士サービスによるサポートを提供しています。顧問弁護士サービスをご利用いただくと、予約なしでいつでも弁護士にご相談いただくことができるため、例えばクレームが発生した際、すぐに弁護士から対応方法について助言を得ることができます。結果としてクレームの初期段階で正しい対応ができるようになり、スタッフの安心と迅速な解決につながります。クレームが頻繁に発生するわけではないがいざという時に備えておきたい、といった企業様も多数いらっしゃいます。
咲くやこの花法律事務所では、顧問弁護士サービスのご利用を検討される企業様向けに、弁護士との無料面談をおこなっています。オンライン面談や電話でのご説明も可能ですので、気軽にお問い合わせください。
なお、顧問弁護士サービスではクレーム対応のご相談だけでなく、以下のようなご相談にも対応しています。
- (1)未払い残業代請求や問題のあるスタッフの指導をめぐるトラブル、顧客情報の持ち出しや既存従業員の引き抜きなど労務問題のトラブルのご相談
- (2)金銭の貸し借りや美容院・美容室の譲渡のご相談
- (3)契約書のリーガルチェックのご相談
- (4)家主とのトラブルのご相談
- (5)店舗名や店舗ロゴに関する商標権のご相談
- (6)美容院のフランチャイズ展開やフランチャイズ加盟に関するご相談
▶参考情報:美容院における顧問弁護士の役割については以下の記事で解説していますのでご参照ください。
・美容室、美容院の顧問弁護士!従業員トラブルやクレームなどの相談に対応
また、咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについては、以下で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
・大阪をはじめ全国で実績豊富な顧問弁護士をお探しなら咲くやこの花法律事務所
※電話または問い合わせフォームから面談のご予約をお願いします。弁護士が顧問弁護士サービスについて御社の事情を踏まえご案内させていただきます(無料)。
※来所面談のほか、オンライン面談、電話面談でお申し込みが可能
(3)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法
弁護士の相談を予約したい方は以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
【お問い合わせについて】
※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
11,まとめ
この記事では、美容院、美容室におけるクレームについて、典型例や対応方法について解説しました。
美容院、美容室のクレームは、主に施術結果や接客に対する不満から発生し、その多くは期待値のズレやコミュニケーション不足が原因です。誠実に対応すべき正当な内容のクレームもあれば、過剰な要求や威圧的な言動を繰り返す不当なクレーマー、カスタマーハラスメントにあたるケースもあります。
美容室のサービスは仕上がりに主観が入りやすく、完成形を事前に完全に共有することが難しいという特性から、クレームが発生しやすい傾向があります。特に、事前説明やカウンセリング不足、接客態度への不満、「強く言えば要求が通る」という誤った認識が、クレーム発生の背景となることがあります。
美容院でよくあるクレームの典型例としては、以下のようなものがあります。
- (1)仕上がりに関するクレーム
- (2)技術ミスに関するクレーム
- (3)接客態度や待ち時間に関するクレーム
- (4)料金や追加オプションに関するクレーム
これらのクレームに対しては、正当なクレームか理由のないクレーム・不当なクレーマーなのかを正しく見極めることが重要です。判断にあたっては、次の点が基準となります。
- (1)美容院側に施術ミスや説明不足があるか
- (2)要求内容が社会通念上相当か
- (3)言動や態様が威圧的・執拗でないか
- (4)過去にも同様の要求を繰り返していないか
明らかな施術ミスや説明不足がある場合は、謝罪や返金対応を検討すべきですが、主観的な不満や過剰な要求に対してまで返金に応じる必要はありません。
クレーム対応においては、自社に非がある場合には落ち度の程度に応じた合理的な謝罪を行い、理不尽な要求や過剰な要求に対しては弁護士に依頼するなどして毅然とした対応をすることが重要です。理不尽なクレーマーに対して、利用拒否や出入り禁止の対応を取る場合は、弁護士から書面で正式に通知することが有効です。
自社では対応が困難なクレームについては弁護士に早期に対応を依頼することが解決の近道です。咲くやこの花法律事務所でも美容院のクレーム対応についてご相談、ご依頼をお受けしていますので、お困りの際はぜひご相談ください。
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記事作成日:2026年2月4日
記事作成弁護士:西川 暢春
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