こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
悪質なクレーマーや、要求が細かすぎて対応することができない来店者への対応に悩んでいませんか?
このような来店者への対応をスタッフ任せにすると、スタッフが疲弊し、最悪の場合、スタッフの離職ということになりかねません。
以下のような場面では、今後の来店をお断りすることが、円滑な店舗運営、スタッフの安心につながります。
- スタッフの些細なミスに対して不合理な特別対応・過大な要求をする来店者
- 神経質で次々に要求を変え、いつまでも対応を求めるクレーマー
- 不合理な内容の「念書」や「一筆」を要求する来店者
- 自社が提供できる品質をはるかに超える品質を要求する来店者
このような来店者の来店を断ることで、自社が本来対応したいお客様に十分な時間を割くことができるようになります。
この記事ではケースごとの出入り禁止・入店拒否の伝え方や、出入り禁止通告後に相手に連絡があったときの対応についてご説明します。
咲くやこの花法律事務所では、クレーム対応に関して多くの企業からご依頼を受け、弁護士が担当して解決してきました。咲くやこの花法律事務所の実績の一部を以下でご紹介していますのでご参照ください。
・化粧品販売会社が、購入者からクレームを受けたところ、弁護士が対応して解決した成功事例
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今回の記事で書かれている要点(目次)
1,出入り禁止や入店拒否の伝え方
出入り禁止や入店拒否については書面で伝えることが効果的です。
口頭やメールで伝えようとすると、相手から感情的な反論を受け、トラブルを拡大させることがありますので、できるかぎり書面で伝えましょう。
伝える方法ごとのメリットや問題点を以下でまとめましたので確認してください。
(1)口頭で伝えることの問題点
- 出入り禁止や入店拒否にしたことが記録に残らない
- 記録に残らず後で内容を見返すこともできないため、相手によっては意味を取り違えたり、自分に有利に解釈することがある
- 口頭で伝えた際に、相手から感情的な反論を受け、撤回や謝罪を要求され、トラブルが拡大することがある。
- 伝える人の精神的な負担が大きい
(2)メールで伝えることの問題点
- メールが届かないことやメールが見落とされることがある。
- メールで伝えるということ自体に手軽さがあり、自社の本気度が伝わらない。
- メールに対して相手から返信され、感情的な反論を受けたり、撤回や謝罪を要求されたりして、トラブルが拡大しやすい。
- メールで送ったのに対し、電話で反論されることもある。
- 相手とのメールのやりとりが延々と続くことになりやすく、問題が長期化しやすい。
(3)書面で伝えることのメリット
- 会社名を入れて社印を押印した文書を出すことによって、相手に、担当者レベルではなく、会社としての正式な決定であるという印象を与えることができる。
- 書面で出しているため、「言った、言わない」の話にならない。
- 万が一、出入り禁止後に来店したときは、出した書面のコピーを示して、退店を要求できる。
2,出入り禁止の通告書の文例
出入り禁止を伝える文書については「相手が悪質なクレーマーの場合」と「そうではない場合」で記載する内容が異なります。
(1)悪質なクレーマーに対する出入り禁止・入店拒否の場合
相手が悪質なクレーマーの場合は、毅然とした態度で断ることが必要です。
エッセンスとしては以下の内容を記載することになります。
▶記載例:
「先日いただいたご要望については不合理なものであり、お断りします。また、今後、弊社が経営するすべての店舗へのご来店をお断りします。」
また、上記の文言だけでなく、相手がいつどのような要求をしたかということについて、日時を特定したうえで細かく具体的に記載し、相手の要求の不当性を文書で明確に指摘しておくことが有効です。
出入り禁止の文書は、その内容や相手の受け取り事実を後日証明できるように、内容証明郵便で送りましょう。内容証明郵便で送ることにより、相手に、自社の毅然とした態度を伝える効果もあります。
内容証明郵便の書き方、出し方については以下の記事をご参照ください。
(2)相手がクレーマーではない場合
来店者が悪質なクレーマーとはいえないが、要求が細かすぎたり、望む品質が高すぎたりして自社にあわないということもあるでしょう。
このようなケースでは相手が悪いわけではありませんのでその点に留意して文例を考える必要があります。
例えば、以下の内容を記載することになります。
▶記載例:
「社内において○○様のご要望について検討させていただきましたが、弊社においてはご要望にお応えすることは難しいという結論に至りました。今後、ご来店いただいても○○様にご満足いただくことは難しいため、ご来店をお断りせざるを得ません。ご理解いただきますようにお願いいたします。」
相手がクレーマーではない場合はできるだけ角がただないようにしつつ、来店を断る工夫が必要です。
3,自社で伝えることが難しい場合は弁護士への依頼が有効
来店者に対して自社から出入り禁止を伝えづらいときは、弁護士に依頼して出入り禁止文書を内容証明郵便で送ってもらうことも有効です。
(1)自社から文書を発送することのデメリット
自社から出入り禁止を伝えることには以下のようなデメリットがあります。
- 文書の内容を見て相手から電話があった場合、自社で対応する必要がある。
- 相手から電話があった場合に自社の誰が電話に出るかわからないため、社員全員に対応方法を周知し、正しく対応できるように全員に徹底する必要がある。
- 自社で対応する場合、どうしても「お店とお客様」という関係性を意識してしまい、毅然とした対応をとりにくい。
- 相手から電話があったときに「これまでの経緯」などを根拠に、延々と感情的な反論をされてしまい、対応する従業員が疲弊してしまう。
(2)弁護士に依頼する場合のメリット
一方、弁護士に依頼すれば以下のようなメリットがあります。
- 内容証明郵便で、今後の相手からの連絡の対応窓口を弁護士宛に設定することで、自社で対応する必要がなくなる。
- 弁護士であれば、「お店とお客様」という関係性やこれまでの経緯にとらわれずに、相手に対して毅然とした対応ができる。
- 弁護士から文書を送ることで相手も法的な問題であることを意識し、感情的な反論ができなくなる。
弁護士から送ることは、トラブルを拡大せずに早期に確実に解決するための近道といえるでしょう。
4,法律上の根拠を相手から問われたときの対応
出入り禁止を行う場合、その法的な根拠について相手から質問を受けることがあります。
この点については以下のような判例が参考になります。
(1)出入り禁止の法的根拠についての判例
平成29年1月12日静岡地方裁判所沼津支部判決は、温泉旅館が行った出入り禁止処分に対し、出入り禁止の相手方から損害賠償の請求がされたケースです。
判決は、出入り禁止処分は不法行為とはいえないと結論づけています。
そして、その根拠として以下の点を指摘しています。
「公共の建物ではない建物については,その所有者ないし管理者は,法令等に反しない限り,その所有ないし管理する建物内に,誰を立ち入らせて誰を立ち入らせないかを自由に決定することができるのが原則である。」
このように、自社が所有している店舗あるいは賃借している店舗については、原則として、自社に誰を立ち入らせて誰を立ち入らせないかを決める権限があり、このことは判例上も認められています。
出入り禁止の法的根拠としておさえておいてください。
5,飲食店における利用客への迷惑行為への対応
飲食店では、利用客における迷惑行為が問題になることもあります。過去には、回転寿司店で湯呑をなめてから元あった場所に戻し、その動画をSNSにアップするとか、牛丼店で卓上の共用の紅ショウガを箸で直接食べてその動画をSNSにアップするといった迷惑行為が問題となりました。
このような迷惑行為が発生したときは、出入り禁止にするというだけでなく、さらに一歩踏み込んだ毅然とした対応をとることで、他の利用客からの信頼を回復することが必要です。顧問弁護士のサポートを受けながら迷惑客に対する損害賠償請求や刑事告訴等の対応をしていくことを検討すべきでしょう。
▶参考情報:飲食店における利用客の迷惑行為への対応については以下の参考記事で詳しく説明していますのでご参照ください。
6,トラブル客対応のスピード解決には弁護士への依頼がおすすめ!
最後に、「咲くやこの花法律事務所」における企業向けサポート内容をご説明しておきたいと思います。
- (1)弁護士による出入り禁止通告の代行
- (2)企業のクレーム対応に関する各種ご相談
- (3)弁護士によるクレーマー対応・クレーム解決
- (4)企業向け顧問契約
以下で順番に見ていきましょう。
(1)弁護士による出入り禁止通告の代行
この記事でもご説明した通り、悪質クレーマーに対する出入り禁止は、弁護士から内容証明郵便で通告することが最も効果的です。
自社で出入り禁止の通告をすると、法的な根拠を問われて反論されたり、通告後に相手から電話がかかってきて長時間の対応を強いられるリスクがあります。
場合によっては罵声を浴びせられるということもあり、対応するスタッフの負担も大きいです。
咲くやこの花法律事務所では、弁護士が貴社の代理人として内容証明郵便を発送して、出入り禁止の通告を行います。また、通告後に相手から連絡があった場合も、弁護士が相手に対応し、確実に出入り禁止を実行します。
咲くやこの花法律事務所のクレーム問題に強い弁護士への相談料
●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
(2)企業のクレーム対応に関する各種ご相談
咲くやこの花法律事務所では、クレーマー対応にお困りの企業から、クレーマー対応に関するご相談をお受けしています。
理不尽なクレーマーにお困りの場合は、早期にご相談いただくことが、良い解決につながります。
自社で対応すると対応を誤り、問題が複雑化してしまうケースも多いので早めにご相談ください。クレーム対応や悪質クレーマーに強い弁護士へのご相談については以下でも詳しくご案内していますのであわせてご参照ください。
咲くやこの花法律事務所のクレーム問題に強い弁護士への相談料
●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
(3)弁護士によるクレーマー対応・クレーム解決
咲くやこの花法律事務所では、解決が困難なクレームについて、企業に代わり弁護士がクレーマーへの対応を担当し、クレームを解決するサービスも行っています。
クレーム対応に精通した弁護士が直接クレーマーに対応することにより、会社や会社担当者はクレーマー対応から解放されるというメリットがあります。
ご依頼後は、弁護士からクレーマーに対して法的な説明をして、迅速な解決を実現します。
咲くやこの花法律事務所のクレーム問題に強い弁護士への相談料
●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
●クレーム対応代行費用:着手金15万円+税程度~
なお、クレーマーの対応については以下の動画や記事でも詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
▼【動画で解説】西川弁護士が「理不尽なクレーマーへの対応7つのポイント」を詳しく解説中!
(4)企業向け顧問契約
咲くやこの花法律事務所では、いつでも気軽に弁護士に相談ができる体制をつくるための顧問弁護士サービスをご用意しています。
顧問弁護士サービスを契約していただくと、日々、社長はもちろん、スタッフからも、対応困難な顧客についての対処方法を顧問弁護士に電話で直接ご相談いただくことが可能です。
顧問弁護士への相談により顧客対応にあたるスタッフの精神的な負担を大きく軽減することが可能になり、スタッフの定着、離職の防止につながります。
また、クレーム対応マニュアルの整備など、日ごろのクレーム対応についてのバックアップ体制の整備も顧問弁護士のサポートを受けながら行うことができます。
咲くやこの花法律事務所のクレーム問題に強い弁護士の顧問契約費用例
月額顧問料:月5万円+税(スタンダードプラン)
咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについては、以下で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
・【全国対応可】顧問弁護士サービス内容・顧問料・実績について詳しくはこちら
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7,「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法
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9,【関連情報】トラブル客の出入り禁止対応に関するお役立ち記事一覧
この記事では、「トラブル客への出入り禁止の伝え方!判例も踏まえた解説」について解説してきましたが、トラブル客の対応については、クレームやクレーマー対応に関する基礎知識をはじめ、納得しない相手のクレーム対応はどうすべきか、理不尽なクレームにはどのように対処すべきかなど、他のお役立ち情報も多数公開していますので、以下の関連記事もあわせてご覧ください。
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記事作成弁護士:西川 暢春
記事更新日:2023年4月18日