こんにちは。弁護士法人咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
理不尽なクレーマー(モンスターカスタマー)への対応でお悩みではないでしょうか?
以下のようなクレームは理不尽なクレーマーの典型例です。
- 些細なミスに対して不合理な特別対応・過大な要求をするクレーマー
- 神経質で次々に要求を変え、いつまでも対応を求めるクレーマー
- 不合理な内容の「念書」や「一筆」を要求するクレーマー
- 些細な対応の悪さにいつまでもクレームをつけ「スタッフの教育」に言及するクレーマー
- クレームの内容をそのたびに変えて延々とクレームをいうクレーマー
- 「もしも~?」などの仮定質問をしつこく続けるクレーマー
このような理不尽なクレーマーに対しては一般のお客様からの苦情への対応とは違った対応が必要です。
間違った対応をしていると、クレームがいつまでもやまず、以下のような問題が起こります。
- クレーマーの対応に時間をとられ、本来の仕事に手がつかない
- 売上や利益が落ちてしまう
- 対応するスタッフが疲弊してやめてしまう
このようにならないためには、クレーマー対応についての重要なポイントを押さえておくことが必要です。
この記事では、理不尽なクレームの解決方法として「クレーマー対応の8つのポイント」を解説しますので、確認して、クレーマーへの正しい対応法を身に着けてください。
咲くやこの花法律事務所では、クレーム対応に関して多くの企業からご依頼を受け、弁護士が担当して解決してきました。咲くやこの花法律事務所の実績の一部を以下でご紹介していますのでご参照ください。
・化粧品販売会社が、購入者からクレームを受けたところ、弁護士が対応して解決した成功事例
・設計事務所からの依頼を受け、施主からのクレームを弁護士が窓口となり解決した成功事例
・衣類の購入者からのクレームトラブルに対して弁護士が対応し、金銭賠償なしで解決した成功事例
▼【動画で解説】西川弁護士が「理不尽なクレーマーへの対応7つのポイント」を詳しく解説中!
▼【関連情報】クレーマー対応については、こちらの関連情報も合わせて確認してください。
・自社に非がない場合のクレーム対応の重要ポイントと対応例文について
▼クレーマー対応について今スグ弁護士に相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。
※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
今回の記事で書かれている要点(目次)
1,間違ったクレーマー対応の典型例
まず、最初に間違ったクレーマー対応の典型例は何かということをご説明します。
間違ったクレーマー対応の典型例は、クレーマーが不合理な要求をしている場面でも、謝罪し、なだめ、譲歩して、なんとか穏便に収めようと対応しようとするケースです。
このような対応方法は、クレーマーの納得・了解を得ることを目指すものです。
しかし、一般のお客様の苦情への対応であればともかく、理不尽なクレーマーの納得・了解を得ようとすれば、企業はクレーマーの言いなりになるしかありません。そのような対応方法が適切ではないことは明らかです。
2,正しいクレーマー対応の8つのポイント
それでは、理不尽なクレーマーに対して対応するためにはどうすればよいのでしょうか?
以下でご説明する8つのポイントをおさえて対応することが必要です。
(1)理不尽な要求を断りあきらめさせる
まず、理不尽なクレーマー、モンスターカスタマーへの対応では、「納得・了解」を目指すのではなく、「要求を断りあきらめさせる」ことがゴールになります。クレーマーに譲歩するのではなく、クレーマーの要求が法律上通らないことを説明して、明確に断ることが必要です。
断られると、当然、クレーマーは怒ります。しかし、クレーマーが怒ってもひるまず、同じ説明を繰り返し、明確に断り続けます。特に悪質なクレーマーに対しては会社や会社の顧問弁護士から文書を出して要求を断ります。
このように明確に断られると、クレーマーは、そもそも法律上通らない要求をしているので、裁判で訴えるわけにもいかず、あきらめざるを得ないことになります。
万が一、裁判を起こされても、そもそも法律上通らない要求である以上、負けることもありません。粛々と裁判を進めればよいのです。
悪質なクレーマー対応では、「納得・了解」ではなく、「要求を断りあきらめさせる」ことがゴールになることを理解することが最も重要なポイントです。
(2)要求内容を確認し、勇気をもって断る
クレーマーの要求を断りあきらめさせるために、重要なことは、まず、クレーマーの要求内容を確認し、次に、勇気をもって要求を断ることです。
まず、最初にクレーマーが何を求めているのかを確認することが必要です。お金(慰謝料や迷惑料)を求めているのか、謝罪を求めているのか、自宅に来いと言っているのか、一筆書けと言っているのか、それとも他のなんらかの特別対応を求めているのかを確認します。
そのうえで、そのような要求が通らないことを説明し、勇気をもって断ることが必要です。要求を断るのに勇気がいるのは、クレーマーは要求を断られてさらに怒ることが予想されるからです。
しかし、クレーマーをいったん怒らせることを覚悟して、要求を断らなければ、悪質なクレーマーを撃退することはできません。
(3)「お客様」から「対等・公平」の関係に切り替える
要求を断るのを難しくしている大きな原因は、相手が「お客様」だからということです。
しかし、不合理な要求をくり返して、会社に不利益を与える人は、本来、「お客様」ではありません。そのため、理不尽なクレーマーに対応する際は、「お客様」という意識を捨てて、「対等・公平」の関係で話をすることが必要です。
いままで、「お客様」「●●様」と呼んでいたとしても、悪質なクレーマーであるとわかった段階で「あなた」「●●さん」と呼び方を変えることが、自分の意識を変えるきっかけになります。
これにより、クレーマーの意識も変わります。
「お客さんだから何を言っても大丈夫」と考えているクレーマーは、呼び方を変えることで、冷や水を浴びせられたような格好になります。場合によっては激昂するケースもあるでしょう。
しかし、それが理不尽なクレーマーに、要求が通らないことを理解させあきらめさせるための重要な第一歩になります。
「対等・公平」の関係で話をすることを意識して、まずは呼び方を変え、「お客様扱いはしない」ことを相手に明確に示してください。
(4)落ち度がある場合も言いなりにならない
クレーマー対応を企業からご相談いただくケースの中には、ご相談いただく会社の側に何らかの落ち度があるケースも多いです。
悪質なクレーマーは会社の落ち度を上手に指摘して自分の要求をとおそうとします。
また、悪気がなくても性質上非常に神経質だったり、自分の要求が通らないことにどうしても納得できないタイプのクレーマーもいます。
このようなクレーマーは些細な落ち度をいつまでも指摘して延々と要求を続けます。
1,落ち度のレベルにあった謝罪をする
自社に落ち度がある場合の対応で重要なことは、落ち度のレベルにあった合理的な対応をし、決してクレーマーの言いなりにならないことです。
自社に落ち度があれば謝罪が必要ですが、その謝罪の方法は、落ち度のレベルにあった合理的なものにしなければなりません。
謝罪の方法は、以下のように落ち度の程度に応じてさまざまです。
●落ち度が小さい場合
- 対面している場面で口頭でお詫びする
- 電話やメールでお詫びする
●落ち度が比較的大きい場合
- 上司からお詫びする
- お詫びしたうえでお詫び状と一緒にお詫びの品を送る
●落ち度が大きい場合
- 相手を訪問してお詫びする
- 上司と一緒に相手を訪問してお詫びする
- 社長が相手を訪問してお詫びする
本来、「電話やメールでお詫びする」にとどめるべきところを、相手が強いクレームを言っているからと言って、「相手を訪問してお詫びする」で対応することはするべきではありません。
落ち度があっても「対等・公平」をつらぬき、落ち度の程度に応じた正しい謝罪をしたうえで、不合理な要求は明確に断ることが必要です。
(5)法律上の義務の範囲を正しく理解する
「法律上の義務の範囲を正しく理解する」ことも、理不尽なクレーマーへの対応での重要なポイントです。
理不尽なクレーマーは、「迷惑料」、「慰謝料」、「説明責任」、「個人情報」などさももっともらしい言葉を並べて要求を実現しようとします。
しかし、何か迷惑をかけたというだけでは、通常は法的な迷惑料や慰謝料の支払義務は発生しません。また、説明不足があったというだけでは、法的な説明責任は発生しません。
個人情報という言葉もマジックワードの1つです。個人情報を誤って漏えいしてしまったという場合は、法的な責任が発生しますが、住所や氏名の漏えいでは法的な賠償義務は5000円程度です。
法律上応じなければならない義務の範囲を正しく把握し、法律上の義務の範囲を超える要求は明確に断ることが必要です。
(6)理不尽なクレームへの対応方針を社内で明確にする
クレーマーの要求を断り断念させるためには、そのような対応が悪質クレーマーへの正しい対応方法であるということを社内で明確にしておくことも必要です。
社内で悪質なクレーマーに対しては毅然として断るという方針が明確になっていなければ、対応するスタッフが迷い、結局は「お客様至上主義」で対応してしまいます。
クレーマーに譲歩を重ねることにもなりかねません。
小さな会社ではトップが、大きな会社では部門の長が、理不尽な要求をするクレーマーへの対応方針を明確に示し、従業員に理解させることが必要です。
(7)弁護士に相談しながら対応する
クレーマー対応の現場では、まず、一般のお客様の苦情として丁寧に対応するべき内容なのか、それとも、理不尽なクレーマーへの対応として毅然とした対応が必要なのかを切り分けることが必要です。
これを現場の判断で行うことは難しく、クレーマー対応に精通した弁護士に相談しながら対応することをおすすめします。
また、すでに述べた通り、理不尽なクレーマーに対して要求を断ることには勇気が必要です。対応するスタッフを勇気づけ、背中を押すという意味でも弁護士への相談が有効です。弁護士に相談して、正しい対応であることを確信できてはじめて、勇気をもった対応が可能になるのです。
さらに、法律上の義務の範囲を正しく理解するという場面でも弁護士のサポートをうけることが有効です。弁護士に相談しながら対応することで、対応するスタッフに自信がつき、毅然とした適切な対応ができるようになります。
(8)自社で対応できないときは弁護士に依頼する
最後に、自社で対応できない難しいクレーマーについては弁護士に対応を依頼することも必要です。
弁護士が直接クレーマーに対して、弁護士名で通知を送り、あるいは電話を入れて対応することで、クレーマーの要求が法律上通らないことを説明し、要求を断念させることができます。
弁護士に対応を任せれば、自社は、クレーマー対応を離れて本来の仕事に集中することができます。
クレーマー対応を弁護士に依頼するメリットや弁護士費用など、以下の記事や動画で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
▶参考動画:西川弁護士が「クレームやクレーマー対応を弁護士に依頼する5つのメリット」を詳しく解説中!
3,電話やメールでクレーマーの対応をする場合の注意点
電話やメールでクレーマーの対応をする場合は、内容を変えていつまでもクレーマーが電話をしてきたり、メールを送ってくるというケースに注意が必要です。
いったん電話やメールで必要な説明をした後は、「すでにご説明した通りご要望には応じられません。」と伝えて、それ以上の対応を断ることが必要です。
電話であれば、「すでにご説明した通りご要望には応じられませんので、電話を切らせていただきます。失礼します。」といって電話を切ることも必要です。
また、メールであれば、「すでにご説明した通りご要望には応じられません。今後は、メールをいただいても返信は致しません。」と通知することも必要です。
さらに、自社の毅然とした態度を示すためには、電話やメールでの対応をやめて、文書で自社の態度を伝え要望には応じられないことを明確にすることも有効です。
文書を弁護士の名前で送るとさらに効果的です。
電話やメールでの対応の場面では、このように一定のタイミングでクレーマー対応を切り上げ、クレーマー対応に長時間費やして疲弊するといったことがないようにする必要があります。
電話やメールでのクレーマー対応については、以下の解説記事も参考にご覧ください。
4,業種別の詳しいポイント一覧
今回、理不尽なクレーマーへの対応のポイントとして8つのポイントをご説明しました。
クレーマーへの対応方法を社内で明確にし、確立することは、スタッフの安心感にもつながり、非常に重要ですので、この記事を参考にぜひ取り組んでみてください。
また、業種ごとのクレーム対応のポイントについては以下の記事でさらに詳しく解説しています。
あわせてご覧ください。
1,製造業・建設業・解体業向け
・製造業・建設業・解体業向け!工場や工事の騒音でクレームや苦情を受けたときの対応方法
2,化粧品・エステなど美容業向け
・化粧品、エステ・美容業界向け!消費者の肌荒れクレームに対する正しい対応方法
3,新築・中古住宅販売など不動産業、リフォーム業向け
・住宅業界(新築・中古住宅販売やリフォーム業)のクレーム・苦情の解決方法と対応を弁護士に相談するメリット
4,派遣業向け
・派遣会社必読!派遣先から損害賠償請求やクレームを受けたときの対応方法
5,飲食業向け
・飲食店のクレーム解決方法!異物混入、食中毒、腹痛等の対応事例も解説。
6,病院・クリニック向け
・病院・クリニックのクレームや苦情の対応。窓口や受付での患者とのトラブル対処法は?
・モンスターペイシェントとは?対策の基本5つを弁護士が解説!
7,保育園・幼稚園・学校向け
・ モンスターペアレントの対応の4つのポイントを弁護士が解説
8,ECサイト・ネット通販向け
・通販のクレーム対応方法!ECサイトなどのしつこい苦情はこれで解決
5,スピード解決のためには弁護士に対応依頼を!
最後に、「咲くやこの花法律事務所」における企業のクレーム対応についてのサポート内容をご説明しておきたいと思います。
- (1)クレーマー対応に関するご相談
- (2)弁護士によるクレーマー対応
- (3)顧問契約
以下で順番に見ていきましょう。
(1)クレーマー対応に関するご相談
咲くやこの花法律事務所では、クレーマー対応にお困りの企業から、クレーマー対応に関するご相談をお受けしています。
理不尽なクレーマーにお困りの場合は、早期にご相談いただくことが、良い解決につながります。自社で対応すると対応を誤り、問題が複雑化してしまうケースも多いので早めにご相談ください。
クレーム対応や悪質クレーマーに強い弁護士へのご相談については以下でも詳しくご案内していますのであわせてご参照ください。
咲くやこの花法律事務所のクレーム問題に強い弁護士への相談料
●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
※各種弁護士費用保険の利用も可能です。
(2)弁護士によるクレーム対応
咲くやこの花法律事務所では、解決が困難なクレームについて、企業に代わり弁護士がクレーマーへの対応を担当し、クレームを解決するサービスも行っています。
クレーム対応に精通した弁護士が直接クレーマーに対応することにより、会社や会社担当者はクレーマー対応から解放されるというメリットがあります。
ご依頼後は、弁護士からクレーマーに対して法的な説明をして、迅速な解決を実現します。
咲くやこの花法律事務所のクレーム問題に強い弁護士への相談料
●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
●クレーム対応代行費用:着手金15万円+税程度~
※各種弁護士費用保険の利用も可能です。
(3)顧問弁護士サービス
咲くやこの花法律事務所では、いつでも気軽に弁護士に相談ができる体制をつくるための顧問弁護士サービスをご用意しています。
顧問弁護士サービスを契約していただくと、日々、社長はもちろん、スタッフからも、クレームについての対処方法を顧問弁護士に電話で直接ご相談いただくことが可能です。
また、契約書のチェック、労務問題などクレーマー対応以外のご相談も可能です。
顧問弁護士への相談によりクレーム対応にあたるスタッフの精神的な負担を大きく軽減することが可能になり、スタッフの定着、離職の防止につながります。
また、クレーム対応マニュアルの整備など、日ごろのクレーム対応についてのバックアップ体制の整備も顧問弁護士のサポートを受けながら行うことができます。
咲くやこの花法律事務所のクレーム問題に強い弁護士の顧問契約費用例
・月額顧問料:月5万円+税(スタンダードプラン)
咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについては、以下で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
▶【全国対応可】顧問弁護士サービス内容・顧問料・実績について詳しくはこちら
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6,「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法
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記事作成弁護士:西川 暢春
記事更新日:2024年6月21日