ECサイトなどの通販のクレーム対応にお悩みではないでしょうか?
通販のクレームには、販売品の欠品や不良、納期遅れに対してクレームを受けるケース、「誠意を見せろ」とか「謝罪に来い」というような過大な要求がされるケースなど、様々なケースがあります。また、悪質なケースでは、嘘のクレームが繰り返されるケースもあります。
さらに、ECサイトなどの通販特有の問題として以下の点にも注意する必要があります。
- 通信販売に適用される重要な法律である特定商取引法の規制に対する違反を指摘されないか
- インターネット上のクチコミ投稿などによる悪影響
- 消費生活センターの介入と指導
この記事を最後まで読んでいただくとECサイトやインターネット通販など、様々な通販のクレームのパターンごとに通販業者としてどのように対応していけばよいかをご理解いただくことができます。
なお、クレーム対応の基礎知識については、以下の記事でわかりやすく解説していますのでご参照ください。
それでは見ていきましょう。
▼【動画で解説】西川弁護士が「理不尽なクレーマーへの対応7つのポイント」を詳しく解説中!
自社で対応が難しいクレーム対応は弁護士に対応を依頼することが適切です。
相手が感情的になっている、あるいは相手が不当な要求をするといったケースでも、第三者である弁護士が対応することによって相手が冷静になり問題解決に向かいます。
自社で間違った対応をしてしまうと、問題がこじれ複雑化しますので、早期のご相談をおすすめします。
クレーム対応を弁護士に依頼するメリットや弁護士費用など、以下の記事で詳しく解説していますので参考にご覧ください。
▶参考情報:弁護士にクレームやクレーマー対応の代行を依頼する5つのメリット
クレーム対応に関する咲くやこの花法律事務所の解決実績は以下をご参照ください。
▶【関連情報】通販のクレーム対応については、以下の関連記事もあわせてご覧ください。
・クレーム対応の例文をポイント解説付きで公開中【メールでの応対編】
・カスタマーハラスメント(カスハラ)とは?企業がとるべき6つの対策!
・自社に非がない場合のクレーム対応の重要ポイントと対応例文について
▼ECサイトなど通販のクレーム対応に関して今スグ弁護士に相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。
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今回の記事で書かれている要点(目次)
1,不良品についてのクレーム対応
不良品については商品による怪我や健康被害などの損害が出ていない限り、不良をお詫びして良品を送れば法的な問題はありません。
しかし、咲くやこの花法律事務所にご相談いただいた事例の中には、不良の指摘を受けて良品に交換したが、交換した商品も壊れてしまい、購入者が激高して、おさまりがつかなくなったというものがありました。
このように不良品のトラブルがこじれてしまうと、購入者から「直接届けに来て謝罪しろ」と言われたり、それを断ると、「会社におしかけるぞ」と脅迫的な言動がされるようになり、問題がエスカレートするケースがあります。
(1)感情的な要求や不当な要求は断ることがクレーム解決のスタート
このようにエスカレートしたケースでは、通販業者の担当者が購入者に謝罪して、なだめ、購入者の納得、了解を得ようとして努力しても、感情的な要求が繰り返されるだけで、購入者の納得、了解に至ることはできません。
法律上通らない過大な要求や感情的な要求については、購入者に納得、了解いただくことを目指すのではなく、要求への対応を断ることで、購入者に要求をあきらめさせることが必要です。
購入者の要求を断ることは勇気もいることですが、不当な要求は断る姿勢を示すことで、はじめて購入者と対等に話をすることができるようになり、クレームの解決が可能になります。
まずは不当な要求を断ることにより、「お客様と通販業者」という上下の関係から、対応の関係に切り替えることが必要です。
(2)弁護士に対応を依頼することが適切なケースもある
相手が激高して感情的に不当な要求をしてくるといったケースでは、弁護士にクレーム対応を依頼することも効果的です。
弁護士に対しても「お前じゃ話にならない」等と暴言をはくケースもありますが、弁護士であれば、毅然とした態度で暴言を控えるように求め、購入者との関係を対等に話ができる関係に戻すことが可能です。
このように、まずは、相手の暴言に対して毅然とした態度をとり、購入者との関係を対等に話ができる関係に戻したうえで、法律上通らない要求については法的に認められないことを伝えることが必要です。
そのうえで、購入者との間で適切な合意をすることでクレームを解決することが可能です。
理不尽なクレームを解決するためのクレーム対応のポイントについては以下で詳細を解説していますのでご参照ください。
化粧品などで購入者に健康被害が出てしまった場合の対応については別途の考慮が必要です。
以下の記事をご参照ください。
2,納期についてのクレーム対応
ECサイトやインターネット通販に多い納期遅れについてのクレームで大きなトラブルに発展するケースもあります。
納期遅れについてはすみやかにお詫びし、納期遅れの結果、商品が利用できなかったようなケースについては返品・返金に応じる対応が必要です。
一方で、納期に遅れてしまっても、商品を購入者が利用する場合で、遅延による実害も生じていないケースでは、金銭的な賠償をする必要はありません。
不当な金銭要求は毅然とした態度で断ることが必要です。
(1)通信販売に関する特定商取引法の規制に注意
消費者向けの通信販売では、特定商取引法で納期について以下のルールが定められていることにも注意する必要があります。
●通信販売業者は広告の表示において商品の引渡時期を表示する義務があります(特定商取引法第11条)。
●商品代金の支払いを受けた後、商品の納品までに時間がかかるときは、納品の時期を書面で購入者に通知する義務があります(特定商取引法第13条)。
なお、この点については、事前に利用規約などで、引渡し時期の通知を電子メールで行うことを定めたうえで購入時に同意を得ておけば、通知を電子メールで行うことも可能です。
これらの特定商取引法のルールに違反していると、購入者から消費生活センター等に苦情が持ち込まれた場合、センターから法令違反を指摘される可能性があります。
日ごろから法令を確認して対応しておくことが重要です。
通信販売に関する特定商取引法の規制の概要については、以下をご参照ください。
3,数量不足についてのクレーム対応
10個セットの商品などについて、1個足りなかったというようなクレームもあります。
購入者が言っていることが事実であれば、お詫びして足りなかった分を送ることになります。
ただし、同じ購入者が何度も数量不足のクレームをいれてくるケースもあり、そのような場合は当然、うそのクレームを入れられている可能性を疑う必要があります。
こういった同一購入者から数量不足のクレームが続いたケースについては、購入者への発送前に商品の写真撮影をおこなようにしたり、ウェブサイトに顧問弁護士の氏名の表示とともに不当な要求については厳正な対処をすることを記載したことにより解決した事例があります。
4,欠品についてのクレーム対応
購入されたのに在庫がなかったという欠品時の対応は、購入の申し込みに対して、会社が承諾の通知を購入者にしたかどうかによって異なります。
(1)購入承諾の通知をまだ送っていない場合
通販業者から購入者に対して購入を承諾する旨の通知をまだ送っていない場合は、売買契約は成立していません。
そのため、欠品についてお詫びすれば足り、お詫び以上の対応を要求された場合は断れば問題ありません。
すでにクレジットカードなどによる代金支払いが済んでいる場合は、支払ってもらった代金を返金することになります。
商品代金を受け取っているケースで購入を断る場合は、通販業者から、書面で購入申し込みを承諾しないことと受領した代金を返金することを購入者に通知することが義務付けられていますので注意してください(特定商取引法第13条)。
事前に利用規約などで、特定商取引法第13条で義務付けられる通知を電子メールで行うことを定めたうえで購入時に購入者から同意を得ている場合は、前記の通知を書面ではなく電子メールで行うことが可能になります。
(2)承諾の通知をすでに送っている場合
通販業者から購入者に対して購入を承諾する内容の通知(自動返信による承諾メールを含む)をすでに送っている場合は、売買契約が成立しています。
そのため、欠品により納品できないことは債務不履行になり、納品できないことにより購入者に損害が生じたときは、通販業者は購入者に対して損害賠償責任を負うことになります。
購入者が転売目的で商品を購入していた場合は、債務不履行による損害賠償責任として、転売できたら購入者が得られたであろう利益分についての賠償責任が生じます。
5,購入者からの返金請求、返品への対応
購入者から返品に応じて代金を返金するように求められるケースについては、法律上返金が義務付けられるケースがあることに注意が必要です。
(1)返金が義務付けられるケース
以下のケースでは、返品に応じて返金することが必要です。
- 販売した商品に不良があり売買契約を解除された場合
- 返品不可などとする表示をしていないケースで、一般消費者である購入者から納品後8日以内に購入を撤回され、あるいは契約解除された場合
特に、返品不可などとする表示をしていない通販サイトでは、特定商取引法第15条の3に注意が必要です。
この条文では、一般消費者から納品後8日以内に購入撤回や契約解除された場合、販売者側の落ち度が全くない場合でも、消費者の送料負担で返品がされれば、代金の返金に応じなければならないことが定められています。
通信販売にはクーリングオフ制度の適用はなく、ECサイトやインターネット通販のサイトに記載すれば、不良などがない限りは返品不可とすることが可能です。
ただし、最近は返品可能とするサイトも多いので、返品不可とする場合は明確な表示が求められます。
返品不可とする場合の通販サイトへの表示の方法については消費者庁の以下のガイドラインを参照してください。
(2)返金の義務がないケース
一方、以下のようなケースでは返金の義務はなく、返金に応じるかどうかは通販業者の判断になります。
- 販売した商品に不良がなく、納品後8日以上経過した場合
- 納品後8日以内に返金の要求があったが通販サイトに返品不可と記載されていた場合で、かつ、商品に不良がない場合
- 商品に不良があったが、契約を解除される前に良品を送ることで対応した場合
返金要求のクレーム対応については、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
6,しつこいメールや電話でのクレーム
通販のクレームの中には、しつこくメールで質問を続けたり、長時間電話で拘束したりするタイプのものもあります。
必要な謝罪や説明をした後も、しつこいメールや長時間の電話が続く場合は、タイミングを見て「先日ご説明した通りで、改めてご説明することはありません。」という態度に切り替えることが必要です。
電話でのクレーム対応については、以下の詳細記事も参考にご覧ください。
咲くやこの花法律事務所の相談事例でも、通信販売の商品について重要事項説明書を交付するように要求されたり、「弱者保護についてどう考えているんだ」等と言われて回答を求められるなどしてしつこくメールが続く事例がありました。
こういった、法的に対応する必要がない要求については、会社からあるいは顧問弁護士から、文書により、すでに必要な説明を終えており、これ以上の説明や謝罪の要求には応じられないことを通知することが必要です。
7,咲くやこの花法律事務所の弁護士なら「こんなサポートができます!」
最後に、咲くやこの花法律事務所において提供している通販のクレーム対応についてのサポート内容のご紹介をしたいと思います。
- (1)通販のクレーム対応に関するご相談
- (2)弁護士によるクレーム対応
- (3)クレーム対応マニュアル作成のご相談
以下で順番に見ていきましょう。
(1)通販のクレーム対応に関するご相談
咲くやこの花法律事務所では、クレーム対応にお困りの通販業者、ネットショップ、EC業者から、クレーム対応に関するご相談を承っております。クレーム対応に精通した弁護士がご相談をお受けします。
クレーム対応にお困りの会社からご相談いただくケースは、多くが対応方法を誤っており、自社で対応を続けてもクレームを解決することができないと思われるケースがほとんどです。クレーム対応にお困りの場合は、自社で誤った対応をする前に弁護士にご相談ください。
また、顧問契約を締結していただくと、日々、現場のスタッフからクレームの対応について顧問弁護士に電話で直接ご相談いただくことが可能です。顧問弁護士への相談により、正しい対応をすることができるようになり、スタッフの精神的な負担を大きく軽減し、スタッフの定着、離職の防止につながります。
(2)弁護士によるクレーム対応の代行
咲くやこの花法律事務所では、自社での解決が困難なクレームについて、通販業者に代わり弁護士によるクレーム対応を代行するサービスも提供し、実際に多くのクレームを解決してきました。
クレーム対応に精通した弁護士が直接、購入者に対応することにより、現場のスタッフの負担を軽減し、迅速な解決を実現します。
(3)クレーム対応マニュアルの作成
典型的なクレームについてどのように対応するかを予め決めておくことも重要です。
例えば、「謝罪に来い」とか「社長を出せ」とか「誠意を見せろ」といったクレームに対してどのように対応するかについてはあらかじめ決めておくべきです。
咲くやこの花法律事務所では、クレーム対応に精通した弁護士が、企業のクレーム対応マニュアルの作成をサポートし、実践的なマニュアルを作成します。
8,「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法
通販のクレーマー対応に関する相談は、下記から気軽にお問い合わせください。今すぐのお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
【お問い合わせについて】
※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
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記事作成弁護士:西川 暢春
記事更新日:2024年7月30日