こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
カスハラ(カスタマーハラスメント)の問題の中には、自社で対応しようとしてもなかなかうまくいかず、顧客による不当な要求が長期化し、従業員に負担がかかるという例も少なくありません。それでも自社で対応しようとすると、従業員が疲弊して退職してしまったり、精神疾患の発症、休職等につながったりする危険があります。
現場で対応する従業員と職場の環境を守るためにも、カスハラの問題について自社での対応が難しい場合は、弁護士に相談したり、弁護士に依頼したりして解決することが効果的です。
この記事では、企業や事業者がカスハラについて弁護士に相談、依頼するメリットについてご紹介します。
カスハラの問題について自社での対応が難しい場合は、早急に弁護士に相談し、または弁護士に依頼して解決することが効果的です。筆者の経験上、企業や事業者においては解決が難しい事案も弁護士が対応することにより問題が早期に収束に向かう例は非常に多いです。咲くやこの花法律事務所でも、カスハラ問題に精通した弁護士が企業・事業者からのご相談をお受けしています。是非ご利用ください。
▶参考情報:カスタマーハラスメントなど悪質なクレーマー対応に強い弁護士への相談サービスは、以下をご覧ください。
▶参考動画:西川弁護士が「カスタマーハラスメントとは?企業がとるべき対応7つ」や「理不尽なクレーマーへの対応7つのポイントを弁護士が解説します」を詳しく解説中!
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今回の記事で書かれている要点(目次)
1,カスハラ(カスタマーハラスメント)問題についての弁護士の役割
カスタマーハラスメントは、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、 当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」と定義されています。
▶参考情報:「カスタマーハラスメント」についての解説は以下をご参照ください。
このようなカスタマーハラスメント問題を解決するために弁護士が果たす役割として以下の点があげられます。
(1)カスハラ発生時の弁護士の役割
実際にカスハラ事案が発生した場合の弁護士の役割として以下の点があげられます。
- 現場担当者からの相談を受け、現場のカスハラ対応を支援する
- 弁護士がカスハラ加害者(顧客等)に、口頭・書面等で対応・警告し、不当要求を断る
- カスハラ加害者(顧客)に対し、弁護士が来店禁止措置(出入り禁止措置)などをとる
- カスハラ加害者(顧客)について、仮処分(架電禁止の仮処分等)や訴訟などの法的対応をする
- カスタマーハラスメント行為について警察への被害届の提出、刑事告訴などの刑事上の対応をする
- カスハラ被害者(従業員)への配慮の措置に関する相談に対応する
(2)日頃のカスハラ対策についての弁護士の役割
一方、日頃のカスハラ対策についての弁護士の役割としては以下の点があげられます。
- カスタマーハラスメントに関する基本方針・基本姿勢の明確化や従業員への周知・啓発のサポート
- カスハラ被害者(従業員)のための相談対応体制の整備に関するサポート(相談体制の構築、相談担当者に対する研修の実施、相談対応マニュアルの作成等)
- カスタマーハラスメント対応マニュアルの策定
- カスハラ対応についての現場従業員向け研修の実施
以下ではこれらの点についてその内容を見ていきたいと思います。
2,カスハラ発生時の弁護士の役割
カスハラ発生時に、現場担当者からの相談を受け、現場のカスハラ対応を支援することは、弁護士の重要な役割の1つです。「カスタマーハラスメントに該当するのか、それとも通常のクレームとして対応すべきなのかの判断」や「カスタマーハラスメントに該当する場面で具体的にどう対応すべきか」について、現場担当者から弁護士が相談を受け、現場の状況に即した解決策を助言します。
それだけでなく、現場担当者において対応が困難な場合は、弁護士がカスハラ加害者(顧客)に、口頭・書面等で対応し、不当要求を断ることで、カスハラ問題を直接的に解決することも、弁護士の重要な役割です。あわせて、店舗型の事業では、カスハラ加害者(顧客)に対し、弁護士が代理人となって来店禁止措置(出入り禁止措置)をとるなどの対応も検討します。
▶参考情報:弁護士によるカスハラ問題の解決については、以下の記事もあわせてご参照ください。
・弁護士にクレームやクレーマー対応の代行を依頼する5つのメリット
▶参考情報:また、トラブル客への出入り禁止措置については、以下の記事もあわせてご参照ください。
3,弁護士によるカスハラ対応事例
前述の通り、現場担当者においてカスハラに対応することが困難な場合は、弁護士がカスハラ加害者(顧客)に直接対応し、カスハラ問題を解決することも、弁護士の重要な役割です。通常のクレーム対応の事案では「顧客の納得・了解を得ること」がまず最初に目指すべきゴールになりますが、カスタマーハラスメントに該当するような不当要求の事案では、顧客の納得・了解をゴールにするのではなく、「不当な要求を断り、あきらめさせること」をゴールにする必要があります。
そのためには、弁護士が対応することにより、「顧客と企業」という「上下の関係」をリセットすることが重要です。弁護士が企業の代理人となって対応することで、顧客との関係を「対等・公平」の関係性に切り替えることができます。そうすることで「誠意を見せろ」などの要求に対しても、弁護士による「法的な観点」からの反論・対応が可能になります。
筆者が代表を務める咲くやこの花法律事務所における、実際のカスハラ事案対応事例を以下でいくつかご紹介していますのでご参照ください。
(1)リフォーム業者に対するカスタマーハラスメント
住宅リフォーム業者に対して、休日・深夜にわたり執拗に電話でのクレームを入れてくるカスハラ事案について、弁護士が内容証明郵便を送付して対応したことにより、迅速に解決できた事例です。
▶参考情報:リフォーム業者に対するカスタマーハラスメントの事例の概要や、解決結果、問題解決のポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
(2)アパレル事業者に対するカスタマーハラスメント
アパレル事業者に対して、商品に問題がないにもかかわらず、顧客から金銭請求のほか、社長の直接の謝罪等を要求するなどの執拗な電話があり、会社業務に支障が出ていた事案について、弁護士が要求を断ることにより解決できた事例です。
▶参考情報:アパレル事業者に対するカスタマーハラスメントの事例の概要や、解決結果、問題解決のポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
(3)化粧品販売業者に対するカスタマーハラスメント
化粧品販売業者に対して、「購入した化粧品を使用したが、まぶたが赤くなり腫れた」とのクレームがあり、「診断書を送って欲しいなら取りに来い!」、「ストレスで内科に行った!診断書を送れという前に見に来い!」などと感情的な暴言が繰り返されるようになった事案について、弁護士が対応し、解決できた事例です。
▶参考情報:化粧品販売業に対するカスタマーハラスメントの事例の概要や、解決結果、問題解決のポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
また、以下の記事でも咲くやこの花法律事務所のカスハラの相談事例を紹介していますので、あわせてご参照ください。
4,カスハラ加害者を訴える法的措置等
状況によっては、企業側からカスハラ加害者を訴える法的措置を取るべき例もあります。弁護士はこのような場面で、企業の代理人としてカスハラ加害者に対して損害賠償請求訴訟を提起するなどの対応を行います。また、必要に応じて裁判所の命令により電話を架けることの禁止を命じる「架電禁止の仮処分」や、店舗への来店禁止を命じる「訪問禁止の仮処分」を申し立てることも検討します。
さらに、カスタマーハラスメント行為が、強要罪や脅迫罪、暴行罪、業務妨害罪などの犯罪に該当する場合は、警察への被害届の提出、刑事告訴などの刑事上の対応も検討に値します。弁護士は企業による被害届の提出をサポートしたり、企業の代理人として刑事告訴を行います。
5,カスハラ被害者(従業員)への配慮の措置に関する弁護士の役割
カスタマーハラスメントによって従業員がうつ病、その他の精神疾患を発症してしまったり、メンタルヘルス不調を生じてしまうということもあります。そのような場面では、企業として被害者に対し、配慮の措置を講じることが適切です。弁護士は、企業から相談を受け、被害者への対応についても助言を行います。
うつ病などの精神疾患に関する労災認定基準では、カスタマーハラスメントも精神疾患を発症させる要因の1つとされています。そのため、企業が、カスタマーハラスメント被害により精神疾患を発症した従業員から、労災保険への請求のサポートを求められることも考えられます。
▶参考情報:労災認定基準については以下で解説していますのでご参照ください。
6,研修やマニュアル作成など日頃の対策についての弁護士の役割
カスタマーハラスメントに関する日頃の取り組みについての弁護士の役割としては以下の点が重要です。
(1)カスタマーハラスメントに関する基本方針・基本姿勢の明確化や従業員への周知・啓発のサポート
企業は、カスタマーハラスメントから従業員を守り、組織的に対応する方針を明確にすることが必要です。弁護士は経営者や管理者からご相談を受け、企業のカスハラ対応の基本方針の明確化をサポートし、また、従業員への説明会の実施等により基本方針の従業員への周知・啓発についても役割を担います。
(2)カスハラ相談窓口の整備等に関するサポート
厚生労働省のいわゆるパワハラ防止指針では、事業者は、顧客等からの著しい迷惑行為(暴行、脅迫、ひどい暴言、著しく不当な要求等)により就業環境を害されることのないよう、雇用管理上の配慮として、例えば「相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」「被害者への配慮のための取組」を行うことが望ましいとされています。
社内におけるカスハラ相談窓口の整備や社内における相談対応に関する規程の作成、その他社内における相談体制の構築をサポートすることも弁護士の重要な役割です。また、社内の相談担当者が、現場従業員からのカスハラの相談に適切に対応するためには、社内の相談担当者に対する研修の実施、相談対応マニュアルの作成等に取り組むことも大切です。これらを支援することも、弁護士の重要な役割です。
(3)現場従業員のための対応マニュアル策定や研修の実施
カスハラ発生時に対応を迷わないためには、カスハラ対応マニュアルの作成・整備に取り組むことが重要です。マニュアル作成にあたっては、現場で実際に起こり得るカスハラの事例を確認しながら、それぞれの事案における対応を明確化する取り組みが求められます。これについても、クレーム対応、カスハラ対応の経験が豊富な弁護士の助言を受けながら進めることで実践的・実効的なマニュアルに仕上げることができます。また、カスタマーハラスメント事案が発生したときに正しい対応をするための従業員向け研修の実施も、弁護士に依頼して行うことが可能です。
7,カスハラ対応について弁護士に相談したい方はこちら
最後に、カスタマーハラスメントについての、「咲くやこの花法律事務所」における、企業向け・事業者向けのサポート内容をご説明しておきたいと思います。
▶参考動画:クレームや悪質クレーマー対応に強い弁護士への相談サービスの解説動画も参考にご覧ください。
(1)カスタマーハラスメント対策に関するご相談
咲くやこの花法律事務所では、企業のカスタマーハラスメント対策に関するご相談をお受けしています。カスハラ対応マニュアルの作成や、事案発生時に弁護士に相談できる体制の確保、現場従業員向けの研修の実施などを、カスタマーハラスメント対応に精通した弁護士がサポートします。
咲くやこの花法律事務所のカスハラ問題に強い弁護士への相談料
●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
(2)カスタマーハラスメント対応に関するご相談
咲くやこの花法律事務所では、顧客からの不当要求にお困りの企業から、その対応に関するご相談をお受けしています。理不尽なカスタマーハラスメントにお困りの場合は、早期にご相談いただくことが、良い解決につながります。カスタマーハラスメントは、通常のクレームとは解決方法が異なります。自社の判断で対応すると対応を誤り、問題が複雑化してしまうケースも多いので早めにご相談ください。
咲くやこの花法律事務所のカスハラ問題に強い弁護士への相談料
●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
※各種弁護士費用保険の利用も可能です。
(3)弁護士によるクレーム対応
咲くやこの花法律事務所では、自社で解決が困難な顧客からの不当要求について、企業に代わり弁護士がクレーマーへの対応を担当し、解決するサポートも行っています。クレーム対応に精通した弁護士が直接クレーマーに対応することにより、会社や会社担当者はクレーマー対応から解放されるというメリットがあります。
咲くやこの花法律事務所のクレーム問題に強い弁護士への相談料
●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
※各種弁護士費用保険の利用も可能です。
(4)顧問弁護士サービス
咲くやこの花法律事務所では、いつでも気軽に弁護士に相談ができる体制をつくるための顧問弁護士サービスをご用意しています。顧問弁護士サービスを契約していただくと、日々、社長はもちろん、現場の担当者からも、クレームについての対処方法を顧問弁護士に電話で直接ご相談いただくことが可能です。また、契約書のリーガルチェック、労務問題などクレーマー対応以外のご相談も可能です。
顧問弁護士への相談によりクレーム対応にあたる従業員の精神的な負担を大きく軽減することが可能になり、従業員の定着、離職の防止につながります。また、クレーム対応マニュアルの整備やカスハラについての社内相談体制の構築など、日ごろからのバックアップ体制の整備も顧問弁護士のサポートを受けながら行うことができます。
咲くやこの花法律事務所のクレーム問題に強い弁護士の顧問契約費用例
●月額顧問料:月5万円+税(スタンダードプラン)
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについては、以下で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
(5)カスタマーハラスメント対策の研修
カスタマーハラスメントに負けない会社を作るためには、現場の従業員が対応方法について具体的な知識を身に着け、対処法を学ぶことが重要です。咲くやこの花法律事務所でも企業向けの研修として、現場の従業員の方向けのカスタマーハラスメント対策の研修をご提案しています。過去にも、ショッピングセンターや飲食店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、マンション販売、私立学校などの事業に関してカスタマーハラスメント対策に関する企業内研修を行った実績があります。カスタマーハラスメントによる離職や現場従業員の疲弊でお困りの企業様はぜひご相談ください。
過去の実施例
1.悪質クレームに対する対応策(ショッピングセンター向け)
●主な内容
- 一般的なクレームと悪質クレームの見分け方、対応策の違い
- クレーム客との話し合い・対応のポイント・具体的な対処法
- やってはいけない対応方法とは
- 悪質クレームへの対処法
2.悪質クレームに対する対応策(スーパーマーケット向け)
●主な内容
- クレーム解決のための考え方
- 悪質クレームに対する具体的対処法
- スーパーマーケットにおける典型的なクレーム内容、解決手法
- 過去にあったクレームへの対処法
咲くやこの花法律事務所のクレーム問題による研修費用例
- 2時間まで:11万円+消費税+交通費実費
- 3時間まで:16万円+消費税+交通費実費
※遠方の企業様についてはZoomでの実施をご提案しています。
※弁護士による出張での実施については上記の費用のほか別途出張日当をご負担いただきます。
▶参考情報: 咲くやこの花法律事務所の研修サービスについては、以下もあわせてご参照ください。
(6)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法
お問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームより受け付けております。お気軽にお問い合わせ下さい。
※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
8,まとめ
この記事ではカスタマーハラスメントについて弁護士に相談・依頼すべき理由を紹介し、解説しました。
カスタマーハラスメント被害が発生した段階では、弁護士に相談・依頼することで、現場担当者が安心できたり、不当要求事案を迅速に解決できる例が多いことをご理解いただけたのではないかと思います。弁護士に早期に相談・依頼する体制を整備することで、現場担当者が1人で問題を抱え込まないようにすることが重要です。
また、日頃のカスハラ対策についての取り組みとしては、カスハラ相談体制の整備のための助言や各種規程類の作成、社内における相談担当者に対する研修、社内におけるカスハラ相談対応マニュアルの整備といった点を弁護士に依頼することが可能です。さらに、顧客に接する現場担当者のためのカスタマーハラスメント対応マニュアルの作成についても、弁護士がマニュアルの作成を支援することで、より実効的なマニュアル作成が可能になります。さらに、現場担当者向けのカスハラ対策研修についても、弁護士に研修の実施を依頼することで、より実効的な研修実施が可能になります。
咲くやこの花法律事務所でも、カスタマーハラスメント問題について、多数のご相談をお受けしてきた実績があります。お困りの場合は、ご相談いただきますようにお願いいたします。
9,【関連】カスハラに関するその他のお役立ち記事
この記事では、「カスハラ(カスタマーハラスメント)対応を弁護士に相談すべき理由」について、わかりやすく解説しました。カスハラには、その他にも知っておくべき情報が幅広くあり、正しい知識を理解しておかなければ重大なトラブルに発展してしまいます。
以下ではこの記事に関連するカスハラなどクレーム分野のお役立ち記事を一覧でご紹介しますので、こちらもご参照ください。
(1)基礎知識のお役立ち記事
・自社に非がない場合のクレーム対応の重要ポイントと対応例文について
(2)業種別のお役立ち記事
・モンスターペアレントとは?4つの対応ポイントを弁護士が解説
・モンスターペイシェントとは?対策の基本5つを弁護士が解説!
・通販のクレーム対応方法!ECサイトなどのしつこい苦情はこれで解決
・飲食店のクレーム解決方法!異物混入・食中毒・腹痛等の対応事例も解説
記事更新日:2024年7月30日
記事作成弁護士:西川 暢春
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