営業職による顧客情報の持ち出しのトラブルの解決法
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営業職による顧客情報の持ち出しのトラブルの解決法

2014年01月23日

従業員が同業他社に転職した場合、会社は自社のノウハウや人脈等を利用される恐れがあります。場合によっては顧客情報等の重要な情報を持ち出され、転職先で利用されるといった事態も生じかねません。

このような事態に対して、どのような対策が可能でしょうか。

 

 

 

この点に関して、東京地判平成24年3月13日の「関東工業事件」をご紹介します。

この事件は、廃プラスチックのリサイクルを事業とする会社で、従業員4人が独立し、競合事業を立ち上げたことに関し、会社がこの元従業員らに損害賠償を求めた事件です。

この会社では、「退職後も会社,顧客及び取引先等の機密事項及び業務上知り得た情報,ノウハウ等を他に洩らしてはならない」との規定が就業規則で定められていました。

会社は、元従業員らが退職後に、この就業規則の規定に違反して、前職の廃プラスチックの仕入れ先に関する情報を利用してこれらの仕入れ先により有利な条件で仕入れることを提案するなどして、会社の仕入れを妨害した結果、損害が発生したと主張しました。

しかし、裁判所は、社内で、仕入先についての情報が機密情報として取り扱われることが明確になっていなかったことを理由に、会社の請求を認めませんでした。

 

 

事業にはその事業の肝となる情報が存在し、その情報を競合他社に利用されないことは重要なことです。

本件の事業においては、仕入先からいかに安く安定的に廃プラスチックを仕入れるかは事業の根幹であったと思われます。

このような情報の持ち出しのトラブルを防止するために会社としてはどのようにすればよいでしょうか。

 

 

① まず、会社内で「機密情報」にあたる情報がなにであるかを特定しておく必要があります。

 この事件の会社では、単に「退職後も会社,顧客及び取引先等の機密事項及び業務上知り得た情報,ノウハウ等を他に洩らしてはならない」と就業規則に定めただけで、具体的にどの情報が会社にとって重要な機密事項であるのかが明確にされていなかったことが、会社側が敗訴した大きな原因です。

 およそ、会社で知ったすべての情報を使ってはならないというのは裁判ではとおりません。

 たとえば、「仕入れ先の住所、社名、連絡先、仕入価格の情報」などとより具体的に、機密情報がなにかを特定しておくべきでした。

 さらに、社内でこれらの情報を保存しているファイルにはパスワードをかけるなどして情報にアクセスできる従業員を制限しておけば、裁判所も会社の主張を認めていたのではないかと思われます。

 

 

② より長期的な観点からみれば、仕入先の情報を持ち出されれば、大損害を被るような事業モデル自体を変えていく必要があります。

 情報を持っていることだけが会社の強みであるとなると、どうしても情報持ち出しのトラブルが起こります。しかも、営業マンがファイルや紙媒体に記録された「顧客リスト」を持ち出すような場合ならともかく、営業マンが頭の中に記憶してしまっている情報について利用されたというようなケースでは、損害賠償や利用の差し止めを求めても裁判所は認めてくれません。

 そのため、情報だけが事業の強みという事業モデルは、長期的には続きません。

 仕入れ先との接点を通じて、一朝一夕ではまねができない、情報以外の強みを会社として育てていく必要があります。

 

 

情報の持ち出しや競合会社への転職のトラブルでお困りの方はぜひ咲くやこの花法律事務所にご相談ください。

一緒にトラブルを解決して、より良い会社を作っていきましょう。

 

  この記事を読んでいただいた方にお勧めの記事はこちらです。 

○ ライバル会社に転職した従業員への退職金の支払いを減らす場合の注意点 https://kigyobengo.com/blog/3086

○ 退職者による顧客情報の持ち出しの防止策 https://kigyobengo.com/blog/3010

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