こんにちは。弁護士法人咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
- 「休職と復職を何度も繰り返し、そのたびに他の社員に負担をかける従業員への対応に困っている」
- 「うつ病から復職してしばらくすると、再び体調不良を理由に休職する従業員にどう対応すればよいか」
- 「上司から業務上の注意や指導を受けると、すぐに体調不良を理由に休職を申し出る従業員への対応に手を焼いている」
咲くやこの花法律事務所では、このように社員が休職と復職を繰り返すケースについて、企業側の立場でのご相談を多くいただきます。
その中でも、「休職・復職を繰り返す社員を辞めさせたい」、「休職・復職を繰り返す社員を解雇したい」というご相談も多いです。
従業員が休職・復職を繰り返すことによって、他の社員の負担が増え、会社の業務運営に支障が生じることもあります。また、長期化すれば社会保険料の負担もかさみます。
一方で、社員が休職・復職を繰り返しているという理由だけで、直ちに解雇できるわけではありません。対応を誤ると、後に不当解雇であるなどとして会社が訴えられることになりかねません。
最近でも、2年半の休職から復職した従業員について再度3年の休職を経て復職を認めずに解雇した事案について、会社が雇用の継続と1300万円もの支払いを命じられた例があります(東京地方裁判所判決令和8年3月26日)。
休職・復職を繰り返す社員の問題が発生した際に、リスクを回避しながら問題解決を実現していくには、会社は、就業規則に基づく休職制度の運用や復職の判断、再休職時の対応、退職勧奨や解雇を行う際のポイントについて正しく理解しておく必要があります。また、対応の初期段階から弁護士による助言やサポートを受けることが非常に重要です。
この記事では、休職・復職を繰り返す社員への適切な対応方法や、解雇が認められるためのポイント、退職勧奨・解雇を行う際の注意点、実際の裁判例などについて、企業がおさえておくべきポイントを弁護士がわかりやすく解説します。また、咲くやこの花法律事務所の解決事例の1つとして、社員の休職・復職に関する対応について弁護士がサポートした事案もご紹介します。
この記事を最後まで読んでいただくことで、休職・復職を繰り返す社員に対して、企業としてどのように対応すべきかを理解していただくことができます。現在、休職・復職を繰り返す社員への対応についてお困りの方は、適切な問題解決に向けて動き出すことができるはずです。
それでは見ていきましょう。
休職・復職を繰り返す社員への対応でまず重要になるのは、休職や復職の手続きを正しく行うことです。
ご相談をお受けすると、例えば、休職命令の手続きに不備がある、復職段階での復職審査の手順に不備があるといった問題が見つかることが非常に多いです。これでは問題を解決できません。
咲くやこの花法律事務所は現在700社を超える事業者に顧問弁護士サービスを提供し、休職・復職を繰り返す社員の問題についても多くのご相談をお受けして解決してきました。休職・復職を繰り返す社員の対応にお困りの際は咲くやこの花法律事務所に早めにご相談ください。
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の弁護士による休職や復職を繰り返す従業員への対応サポートについては以下をご参照ください。
・休職や復職を繰り返す従業員への対応に関するサポート内容はこちら
※咲くやこの花法律事務所では、企業または事業者からのご相談のみお受けしています。
また、実際に咲くやこの花法律事務所の弁護士が休職・復職の場面における企業側対応をサポートした解決事例もご紹介していますのであわせてご覧ください。
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1,休職・復職を繰り返す社員とは?

「休職・復職を繰り返す社員」とは、病気やけがなどを理由に休職した後、復職するものの、短期間で再び休職するということを繰り返している社員をいいます。
例えば、次のようなケースです。
- 復職してしばらくすると、再び体調不良を訴えて休職する
- 休職と復職を何度も繰り返し、そのたびに他の社員が業務を引き継いでいる
- 上司から業務上の注意や指導を受けた後、体調不良を理由に休職する
このようなケースでは、会社として「いつまで休職と復職を繰り返すことを認めればよいのか」、「復職可能という診断書があれば、必ず復職させなければならないのか」といった問題が生じます。また、休職・復職の繰り返しによって周囲の社員の負担が増え、会社の業務運営に支障が生じることもあります。
そのため、会社として適切な対応を検討する必要があります。
(1)休職・復職を繰り返す主な原因
休職・復職を繰り返すことになってしまう主な原因としては以下のようなものが考えられます。
1,復職審査が不十分なケース
・復職段階での健康状態の確認が十分できておらず、主治医の復職可能という診断があれば特に審査せずに復職させてしまっている。その結果、実際にはまだ回復不十分な段階での復職になり、復職後悪化してしまう。
・休職者が「休職期間満了が近いので退職を避けるために復職したい」といった健康状態の回復とは無関係の事情で、主治医に復職可能診断を依頼し、会社がその主治医の診断書をそのまま受け取って復職させてしまっている。その結果、実際にはまだ回復不十分な段階での復職になり、復職後悪化してしまう。
・休職者が「傷病手当金だけでは生活が厳しいので復職したい」といった健康状態の回復とは無関係の事情で、主治医に復職可能診断を依頼し、会社がその主治医の診断書をそのまま受け取って復職させてしまっている。その結果、実際にはまだ回復不十分な段階での復職になり、復職後悪化してしまう。
・休職者が精神的ストレスへの対処方法などについて振り返りをせずに復職した結果、復職後に病状を悪化させてしまっている。
2,復職後の就業や職場環境が原因となっているケース
・復職後に負荷が大きすぎる仕事をさせてしまったり、早い段階で残業を命じてしまうことで、病状を悪化させてしまっている。
・従業員の休職の原因となった社内の人間関係のトラブルやハラスメントの問題を解決しないまま復職させた結果、病状を悪化させてしまっている。
3,安易な休職を許してしまっているケース
・健康状態とは無関係に、上司から指導を受けたり、嫌な業務を指示されるなど、何か嫌なことがあると、傷病手当金をもらって休職するということを許してしまっている。
2,休職・復職を繰り返す社員への会社の適切な対応方法は?

では、休職・復職を繰り返す社員に会社はどのように対応すべきでしょうか。
休職・復職を繰り返している場合、会社から見ると「本当に休職が必要なのか」と疑問を感じるケースもあります。
しかし、会社は医療の専門家ではないため、特に休職の判断の場面では、休職が必要という診断書が提出されているにもかかわらず、安易に休職を認めないという対応をすることは適切ではありません。
一方で、復職の段階では、復職できるかどうかは病状が回復したかだけではなく、仕事の内容や就業時間、就業環境によっても左右される問題です。そのため、復職の段階では、安易に主治医の判断をうのみにするのではなく、会社としてしっかりと検討することが必要です。
休職・復職を繰り返す社員への適切な対処法として、以下のような対応を検討しましょう。
- (1)休職時に病状や治療状況を具体的に確認する
- (2)復職の可否を慎重に判断する
- (3)復職後の勤務状況をフォローする
- (4)就業規則の休職規定を確認する
それぞれ、具体的に解説していきます。
(1)休職時に病状や治療状況を具体的に確認する
休職の申し出があった場合には、診断書の内容だけでなく、病状や治療状況を具体的に確認することが重要です。
必要に応じて、会社が指定する医師の診察を受けさせたり、産業医による面談を受けさせ、指定医や産業医から意見を聴くことが考えられます。特に、従業員が、会社でなにか嫌なことがあると、うつ病などの診断書を書いてもらい、休職を求めているという疑いがあるケースでは、会社指定医や産業医が主治医の診断内容をチェックすることで、主治医の安易な判断にくぎを刺すことが必要です。
裁判例でも、会社が従業員の健康状態について必要な範囲で具体的な確認を行うことが求められています(東京高裁平成27年2月26日判決)。
▶参考情報:東京高裁平成27年2月26日判決
就業中の従業員の体調不良を把握した事業主のとるべき行動について、単に調子はどうかなどと抽象的に聞くだけではなく、より具体的に、どの病院に通院していて、どのような診断を受け、何か薬等を処方されて服用しているのか、その薬品名は何かなどを尋ねるなどして、不調の具体的な内容・程度等についてより詳細に把握」すべきであり、さらに必要があれば、産業医などの診察を受けさせるなどしたうえで、従業員自身の体調管理が適切に行われるよう配慮し、指示すべき義務があると判示しました。
また、休職命令を正しく発令することも非常に重要です。
▶参考情報:休職命令の出し方の注意点については、以下で解説していますのであわせてご参照ください。
(2)復職の可否を慎重に判断する

休職していた社員から「復職可能」という診断書が提出された場合でも、診断書だけを見て直ちに復職を認めればよいとは限りません。
特に、復職しても短期間で再び休職することを繰り返している場合には、本当に安定して勤務できる状態まで回復しているのかを慎重に確認する必要があります。
例えば、以下のような対応が適切です。
- 本人との復職面談を行い、現在の症状を確認する
- 生活リズム確認表を提出させ、生活リズムが整っているかを確認する
- 必要に応じて主治医への医療照会を行う
- 復職が近づいてきたタイミングで、医療機関のリワークプログラムを受けさせる
- 試しに短時間勤務させて復職できそうかを確認する試し勤務を実施する
- 産業医がいる会社では産業医に復職の可否についての意見を確認する
復職の可否については、主治医の診断書だけでなく、ここまでご説明したリワークプログラムの資料、医療照会や試し勤務の結果、生活リズムや本人の具体的な症状、これまでの休職・復職の経緯、復職後に予定される業務、復職する職場の意見などを踏まえて、判断することが重要です。
この復職可否判断をしっかり行い、本当に復職が可能になった段階で復職を認めることが、再度病状が悪化して休職するという事態を防ぐことにつながります。
▶参考情報:病気休職者の復職面談の進め方については以下で解説していますのであわせてご参照ください。
・病気休職者の復職面談の進め方!復職判定の7つの注意点を解説
また、この記事の著者 弁護士 西川暢春が、「病気休職者の復職面談のポイント!会社はどこまで配慮が必要?【前編】」や「会社はどこまで配慮が必要?病気休職者の復職面談のポイント【後編】」の動画でも復職面談について詳しく解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
(3)復職後の勤務状況をフォローする
あ※強調 復職を認めた後も、復職後の勤務状況をフォローすることが重要です。
- しばらくは残業をさせない
- 業務日報や生活記録表を提出してもらって症状の悪化がないかを常にチェックする
- 定期的に産業医面談を受けさせる
- 定期的に上司が面談を行って症状の悪化がないかを確認する
といったことが重要です。
そして、復職後にどの程度勤務できているのか、業務上どのような配慮を行っているのか、再び体調不良を訴えるまでにどのような経過があったのかなどを記録しておきましょう。
休職・復職を繰り返すケースでは、後になって会社が復職の可否や雇用継続について判断する際に、それまでの経緯の記録が重要な資料となります。
そのため、診断書や本人との面談記録、復職後の勤務状況などを整理しておくことが大切です。
(4)就業規則の休職規定を確認する
休職・復職を繰り返す社員への対応では、就業規則の休職規定を確認することも重要です。
例えば、復職後一定期間内に再休職する場合には、前回の休職期間と通算する規定を設ける方法があります。このような規定があれば、短期間だけ復職することで休職期間が何度もリセットされることを防ぐことができます。
ただし、休職期間について、既存の社員に不利益となるような通算規定を新設する場合には、就業規則の不利益変更として、その合理性が問われます(労働契約法10条参照)。
▶参考情報:労働契約法10条
第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
・参照:「労働契約法」の条文はこちら
そのため、就業規則を変更する場合には、必ず弁護士に相談してください。会社側の必要性だけでなく、従業員が受ける不利益なども踏まえて内容を検討する必要があります。
▶参考情報:就業規則の変更や労働条件の不利益変更については、以下で解説していますのでご参照ください。
このように、休職・復職を繰り返す社員への対応では、診断書が提出されるたびに形式的に休職・復職を認めるのではなく、休職時の確認、復職審査、復職後の勤務状況の確認、就業規則の整備などを適切に行うことが重要です。
▶参考情報:この記事の著者 弁護士西川暢春が、「嫌なことがあるとすぐ診断書!仮病?で休職・復職を繰り返す社員の対応を弁護士が解説」の動画でも、休職・復職を繰り返す社員への対応について解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
また、休職には至っていないものの、体調不良などを理由に欠勤を繰り返す社員への対応については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
3,休職・復職を繰り返す社員は解雇できる?

結論から言えば、休職・復職を繰り返しているという事実だけで、直ちに解雇できるわけではありません。
解雇には、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であることが必要です(労働契約法16条)。
主に次の3点をおさえておく必要があります。
(1)休職・復職を繰り返すことだけを理由に解雇することはできない
休職制度を設けている会社では、まだ休職期間が残っている従業員について、休職・復職を繰り返していることだけを理由に、会社が一方的に解雇することはできません。
例えば、会社が「何度も休職しているから、もう勤務できない」と一方的に判断して解雇した場合、まだ休職制度を利用できるにもかかわらず解雇したとして、不当解雇と判断されるリスクが非常に高いです。
制度上まだ休職できる場合は、解雇するのではなく、休職を認めなければなりません。
▶参考情報:不当解雇と判断されるとどうなるのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
(2)休職期間満了による雇用終了も無効とされる例がある
私傷病による休職については、就業規則に「休職期間が満了しても復職できない場合は退職とする」などの規定を設けている会社が多いです。
このような規定がある場合、休職期間満了時に休職事由が消滅しておらず、復職できない状態であれば、就業規則に基づいて雇用を終了することが認められます。
ただし、特に、従業員が復職を希望し、主治医も「復職可能」と診断している場合に、会社の判断として復職不可とすることについては、リスクを伴います。そのような復職不可の判断について十分な医学的根拠がない場合、不当解雇と同様に、雇用終了が認められないリスクがあります。
主治医が「復職可能」と診断しているのに復職を認めない判断を会社がする場合、必ず弁護士に相談し、その判断について十分な根拠があると言えるのかどうかをチェックすることが必要です。
▶参考情報:休職期間満了を理由に従業員を退職扱いや解雇する際の注意点については以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
・怖い休職トラブル!休職期間満了を理由に従業員を退職扱いや解雇する際の注意点
また、この記事の著者 弁護士西川暢春が、「休職期間満了で休職者を退職扱いとする場合の注意点を弁護士が解説」の動画でも詳しく解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
(3)休職・復職を繰り返し、安定した勤務ができないことを理由に雇用を終了できる場合とは?
結局、休職・復職を繰り返し、安定した勤務ができないことを理由に雇用を終了できるのは以下のようなケースに限られます。
- 1.復職後に再度病状が悪化して休職を要する状態となったが、通算規定が適用される結果、もう休職期間が残っていない場合
- 2.休職・復職を繰り返す中で、休職期間中に休職期間満了を迎えた場合
- 3.休職者との合意により休職者が退職した場合
▶参考情報:なお、特にご相談が多いのがうつ病をはじめとする精神疾患による休職・復職の対応です。この点については以下の記事でも詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
4,休職・復職を繰り返す社員に対して退職勧奨や解雇をする際のポイントは?

従業員が休職・復職を繰り返し、今後も安定して勤務を続けることが難しいと考えられる場合には、退職勧奨による合意退職を検討することも選択肢の1つです。また、退職勧奨を行っても本人が退職に応じない場合には、解雇を含め、今後の対応を検討することになります。
ただし、退職勧奨や解雇を行う際には、後にトラブルにならないよう、これまでの経緯を整理したうえで、適切な手順で進めることが重要です。
休職・復職を繰り返す社員に対して退職勧奨や解雇をする際は、以下のような点に注意しましょう。
- (1)休職・復職の経緯や会社の対応を整理しておく
- (2)退職勧奨を行う場合は「退職強要」にならないよう注意し、病状にも配慮する
- (3)解雇や休職期間満了による雇用終了は必ず弁護士に相談することが必要
それぞれ、具体的に解説していきます。
(1)休職・復職の経緯や会社の対応を整理しておく
退職勧奨や解雇を検討する場合には、これまでの休職・復職の回数や期間、復職後の勤務状況、診断書の内容、会社が確認した現在の健康状態や復職可能性、本人との面談結果などについて、記録を整理しておきましょう。
特に、会社がどのような確認や配慮を行ったうえで復職させたのか、その後どのような経過で再休職に至ったのかを客観的に説明できることが重要です。
これまでの経緯を整理することで、会社として今後の雇用継続が難しいと判断した理由についても、より具体的に検討することができます。
(2)退職勧奨を行う場合は「退職強要」にならないよう注意し、病状にも配慮する
会社として雇用の継続が難しいと考える場合、本人に退職を提案する退職勧奨を行うことができます。
ただし、退職勧奨はあくまで本人の自由な意思に基づく退職を促すものです。特に、休職中の従業員に対する退職勧奨では、本人の病状や体調などにも配慮しながら行う必要があります。
長時間にわたって退職を迫ったり、何度も執拗に退職を要求したりするなど、本人の意思決定を妨げるような方法で行ってはいけません。
退職勧奨を行う場合には、会社として雇用の継続が難しいと考えている理由を説明したうえで、本人が十分に検討できる時間を設けるなど、適切な方法で進めることが重要です。
▶参考情報:なお、退職勧奨の詳しい留意点については、以下で解説していますのであわせてご参照ください。
(3)解雇や休職期間満了による雇用終了は必ず弁護士に相談することが必要
解雇や休職期間満了による対応は、その後トラブルに発展するリスクもあり、必ず弁護士に相談して対応することが必要です。
前述の通り、解雇や休職期間満了による対応が可能になるのは、以下のケースに限られます。
- 1.復職後に再度病状が悪化して休職を要する状態となったが、通算規定が適用される結果、もう休職期間が残っていない場合
- 2.休職・復職を繰り返す中で、休職期間中に休職期間満了を迎えた場合
そして、上記のケースに当たる場合であっても、以下のような場合は、解雇や休職期間満了による対応が認められないリスクがあります。
- 休職の原因となっている病気が長時間労働やハラスメントなど業務に起因するものと考えられるとき
- 休職命令の手続きに不備があるとき
- 一度復職させた後の再度の休職命令の手続きに不備があるとき
- 就業規則が正しく周知されていないとき
- 主治医が復職可能と診断しているとき
検討すべき点は多岐にわたるため、必ず、解雇や休職期間満了の処理をする前に弁護士に相談してください。
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の弁護士による休職や復職を繰り返す従業員への対応サポートについては以下をご参照ください。
・休職や復職を繰り返す従業員への対応に関するサポート内容はこちら
※咲くやこの花法律事務所では、企業または事業者からのご相談のみお受けしています。
5,休職・復職を繰り返す社員への対応に関するトラブル事例【裁判例紹介】
休職・復職を繰り返す社員への対応については、実際の裁判でも、会社による健康状態の確認や復職の判断、休職期間の通算、解雇の有効性などが問題となっています。
ここでは、休職・復職を繰り返す社員への対応を考えるうえで参考になる5つの裁判例を紹介します。
(1)休職と復職を3回繰り返した社員の解雇が有効と判断された事例(三洋電機ほか1社事件・大阪地裁平成30年5月24日判決)
●事案の概要
この事案では、社員が交通事故による傷害、腰椎椎間板ヘルニア、進行直腸がんなどを理由として、3回の休職と復職を繰り返していました。3回目の休職から復職した後、社員は約2週間勤務したものの、その後再び出社しなくなりました。
会社は、これまでの休職・復職の経緯などを踏まえ、4回目の休職を認めることなく、身体上の故障により業務に耐えられないとして解雇しました。
●裁判所の判断
これに対して社員が解雇の無効を主張しましたが、裁判所は解雇を有効と判断しました。
この事件では、会社が社員の復職の可能性を考慮し、就労可能と考えられる業務を提示するなど、復職に向けた対応を行っていたことも判断の一つの要素となっています。
この裁判例からも、休職・復職を繰り返していることだけを理由として直ちに解雇するのではなく、会社として復職の可能性を検討し、必要な配慮を行ったうえで、雇用継続が可能かどうかを判断することが重要であるといえます。
(2)会社が指定する医療機関での精密検診の受診命令が認められた事例(電電公社帯広局事件・最高裁判所昭和61年3月13日判決)
●事案の概要
この事案では、頸肩腕症候群を発症し、長期間にわたって本来の業務より軽い業務に従事していた職員に対し、会社側が指定する病院で約2週間の総合精密検診を受けるよう命じたことの有効性が問題となりました。
●裁判所の判断
最高裁は、就業規則や健康管理規程に基づく健康管理上の指示について、健康回復という目的との関係で合理性・相当性が認められる場合には、会社が精密検診を行う病院や担当医師、受診時期などを指定することもできると判断しました。そして、従業員が受診命令に従わなかったことなどを理由とする戒告処分も適法としています。
▶参考情報:電電公社帯広局事件・最高裁判所昭和61年3月13日判決の詳細は以下からご確認ください。
この裁判例から、会社は従業員から提出された診断書を受け取るだけでなく、必要性があり、就業規則等の根拠や合理性・相当性がある場合には、健康状態についてより具体的な確認を求めることが可能であると考えられます。
(3)休職期間を通算するよう就業規則を変更した事例(野村総合研究所事件・東京地裁平成20年12月19日判決)
●事案の概要
復職後に再休職する場合に、前回の休職期間と通算する就業規則の規定について、そのような規定への変更の有効性が争われた裁判例です。
この事例では、従来「3か月以内に再休職した場合」に限って前回の休職期間を通算していた規定を、「6か月以内」に変更し、さらに同一または類似の傷病については再休職までの期間に関わらず通算する内容に変更したことが問題となりました。
●裁判所の判断
裁判所は、メンタルヘルス不調などについては、一旦症状が回復しても再発することが少なくないことなどを踏まえ、休職期間の通算規定を変更することには合理性があるとして、この変更の効力を認めています。
このように、短期間の復職を挟むことで休職期間が何度もリセットされることを防ぐため、就業規則に休職期間の通算規定を設けることは、休職・復職を繰り返す社員への対応策の1つになります
(4)休職期間を大幅に短縮する就業規則の変更が認められなかった事例(京都地裁令和7年10月2日判決)
●事案の概要
病院が就業規則を変更し、従来は傷病による休職期間が長期間認められていたところ、休職期間を最長3か月程度まで大幅に短縮する変更を行いました。
- 変更前:私傷病で1年半以上欠勤したときに休職とし、休職期間は1年という内容
- 変更後:私傷病で有給休暇を含めて3か月以上欠勤したときに休職とし、休職期間は3か月を限度として病院が指定した期間という内容
●裁判所の判断
裁判所は、この事案において休職中の従業員の業務を他の従業員が負担する必要があることなどから、休職制度を見直す必要性があったことは認めました。しかし、本件の変更は、従来と比べて退職扱いとなるまでの期間を極端に短くする内容であり、従業員が受ける不利益が大きいとして、既存の従業員に変更後の規定を適用することを認めませんでした。
休職・復職を繰り返す社員への対応として就業規則を見直すことが必要になることもありますが、見直し後の就業規則を既存の従業員に適用するためには、変更が合理的なものであると認められることが必要です(労働契約法10条)。会社にとって都合のよい内容に変更することが無制限に認められるわけではないことに注意してください。
就業規則の見直しについては以下でも解説しています。あわせてご参照ください。
(5)会社として努力をして対応したものの検討不足により雇用終了が認められず、1300万円の支払いを命じられた事例(東京地方裁判所判決令和8年3月26日)
●事案の概要
経理部で就業していた従業員が2年半にわたり休職し、復職のタイミングで経理部以外の業務を希望しました。そこで、会社はこの従業員のために業務の切り出しを行い、「メール室業務」を作って復職させました。ところが、その約1年後に再び休職が必要となりました。
そして、従業員は3年の再休職を経て再度復職を求めました。このとき、会社は休職前の 「メール室業務」への復職等を提示しましたが、従業員は「メール室業務」以外での復職を希望し、紛争化します。
●裁判所の判断
結局、会社は休職期間満了によりこの従業員を解雇しましたが、後日の訴訟において、他部門での復職可能性の検討が不十分であったと評価され、解雇は無効と判断されました。その結果、会社は、判決で雇用契約が継続していることを確認されたうえ、1300万円もの支払いを命じられました。
雇用契約の内容として職務内容が限定されておらず、さまざまな部署への配置転換が予定されている従業員については、休職前の職務で復職が難しい場合も、他部門での復職の可否を十分に検討する必要があります。
6,実際に咲くやこの花法律事務所の弁護士が休職・復職の場面における企業側対応をサポートした解決事例
咲くやこの花法律事務所では、休職・復職を繰り返す社員に関する対応についての相談や依頼を事業者からお受けし、事業者側の立場で解決してきました。
ここでは、咲くやこの花法律事務所が実際に対応した解決事例の1つをご紹介します。
(1)入社後すぐに抑うつ症状で休職していた従業員が「復職可能」の診断書を提出。無理な復職希望を断って退職による円満解決をした事例
製造業の会社において、入社後すぐに抑うつ状態と診断されて休職していた社員が、「復職可能」とする診断書を提出したことについて、会社からご相談いただいた事例です。
当初、主治医からは一定期間の自宅療養が必要との診断が出ていましたが、会社が就業規則上の休職期間の満了日を伝えたところ、一転して「復職可能」とする診断書が提出されました。
会社としては、復職を認めてよいのか疑問を感じていましたが、主治医が復職可能と診断している以上、会社が一方的に復職を認めず退職扱いとすることにも大きな法的リスクがあります。
そこで、咲くやこの花法律事務所の弁護士のサポートのもと、休職期間を延長したうえで復職審査を行いました。具体的には、本人との復職面談を実施するとともに、生活記録表の提出を求め、さらに主治医に対して医療照会を行いました。
その結果、生活記録表には復職後の勤務が難しいことをうかがわせる本人の体調や生活状況が記載されており、主治医からも「十分な回復とは言い切れない」との回答が得られました。また、復職可能との診断書が、休職期間満了が近づいたことや本人の希望を踏まえて発行されたことも明らかになりました。
そこで、会社から本人に対して客観的な資料を示しながら復職が難しい状況であることを説明し、退職について説得しました。その結果、本人も説明に納得し、退職届を提出して円満退職となりました。
このように、休職者から「復職可能」という診断書が提出された場合でも、診断書だけを見て復職を認めたりするのではなく、適切な復職審査を行うことが重要です。
▶︎参考情報:この事例については下記の記事で詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください。
・入社後すぐに抑うつ症状で休職していた従業員が「復職可能」の診断書を提出。無理な復職希望を断って退職による円満解決をした事例
また、この解決実績について詳しく解説した動画も公開しています。「休職者がまだ不調なのに復職診断書提出!断って円満退職で解決した事例を弁護士が解説」の動画もあわせてご覧ください。
休職・復職を繰り返す従業員の対応についてのご相談をお受けしていると、復職の場面で、適切な復職審査を行っていないことが原因と思われる例が多くみられます。
そもそも復職させるべきではない場面で、主治医が復職可能と診断したからといって、それをうのみにして復職させてしまうと、のちに病状が悪化して、再度休職するということになりがちです。このような場面では復職審査について弁護士による適切なサポートを受けることが問題解決につながります。
7,休職・復職を繰り返す社員への対応なら咲くやこの花法律事務所への相談がおすすめな理由
咲くやこの花法律事務所では、創業以来16年以上にわたり、企業側の立場で人事労務の問題についてご相談をお受けしてきました。現在は700社を超える事業者に顧問弁護士サービスを提供し、その中で、休職・復職を繰り返す社員の対応についてもご相談をお受けし、解決してきました。
休職・復職を繰り返す社員への対応について、咲くやこの花法律事務所へのご相談をおすすめする理由は、次の3つです。
(1)休職・復職を繰り返す社員への対応について豊富な経験がある
休職・復職を繰り返す社員への対応は、単に診断書の内容を確認するだけでなく、これまでの休職・復職の経緯、就業規則の内容、復職後の勤務状況などを踏まえて、検討する必要があります。
咲くやこの花法律事務所では、企業側の立場から、休職・復職を繰り返す社員への対応について多数のご相談をお受けし、解決してきました。そのため、個別の事情を踏まえて、会社としてどのように対応を進めるべきかを具体的にご提案し、その実行を支援することができます。
(2)就業規則の見直しから社員への対応まで一貫してサポートできる
休職・復職を繰り返す社員への対応では、現在の社員への対応だけでなく、今後同じような問題が発生した場合に備えて、就業規則の休職規定を整備しておくことも重要です。
咲くやこの花法律事務所では、休職期間中の取り扱いや再休職時の取り扱い、休職期間満了時の退職に関する規定などについて、会社の実情に応じた就業規則の整備・見直しをサポートしています。
また、実際に社員が休職・復職を繰り返している場合には、就業規則の確認だけでなく、本人への対応や復職判断、退職勧奨、解雇など、その後の対応についても咲くやこの花法律事務所において一貫してサポートすることができます。
(3)退職勧奨や解雇、自然退職など、雇用終了を見据えた対応をサポートできる
休職・復職を繰り返す社員について、会社として雇用の継続が難しいと考える場合には、退職勧奨や解雇、自然退職を検討することがあります。
ただし、対応を誤ると、後から不当解雇や退職強要などを理由として会社と社員との間でトラブルになり、大きなリスクのある訴訟に発展する可能性もあります。
咲くやこの花法律事務所では、会社側の立場から、これまでの経緯や就業規則、診断書、勤務状況などを確認したうえで、退職勧奨や解雇を含めた今後の対応方針を検討し、必要な手続きや社員への対応を支援します。
「休職と復職を何度も繰り返していて、会社として今後どう対応すればよいかわからない」「できれば退職してもらいたいが、解雇してトラブルになるのは避けたい」といったケースでは、最初の休職命令の段階から弁護士のチェックを受けることがベストです。できるだけ早い段階で咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
8,休職・復職を繰り返す社員への対応について弁護士に相談したい方はこちら

咲くやこの花法律事務所では、休職・復職を繰り返す社員への対応について、企業側の立場に立って法的なサポートを行い、解決してきました。咲くやこの花法律事務所では、以下のサポートをサポートを提供しています。
(1)休職・復職を繰り返す社員への対応方法についてのご相談
社員が休職・復職を繰り返す場合、会社としてどのように対応すべきか判断に迷うことがあります。
例えば、以下のような点について状況に応じた判断が必要です。
- 自宅療養が必要とする診断書が提出された場合、どのように対応すべきか
- 復職可能の診断書が提出された場合、どのように対応すべきか
- 再び休職した場合、休職期間をどのように扱うべきか
- 退職勧奨や解雇を検討できる状況なのか
- 就業規則の休職規定をどのように整備すべきか
咲くやこの花法律事務所では、ご相談について企業から事情を丁寧にヒアリングしたうえで、適切な対応方法で企業側の対応を支援します。
咲くやこの花法律事務所の弁護士へのご相談費用
- 初回相談料:30分5000円+税(顧問契約の場合は無料)
- 相談方法:来所相談のほかオンライン相談、電話相談が可能
(2)退職勧奨・解雇に関するサポート
休職・復職を繰り返す社員について、会社として雇用の継続が難しいと考える場合には、退職勧奨・解雇を検討する必要が生じることもあります。
咲くやこの花法律事務所では、退職勧奨・解雇について企業側の立場から以下のようなサポートが可能です。
- 退職勧奨を行うべきかどうか、具体的な進め方についての助言
- 退職勧奨の際の本人への説明内容や面談方法についての助言
- 退職合意書など、退職に必要な書面の作成
- 解雇が可能かどうかの法的な検討と、解雇に向けた手続きのサポート
- 解雇後に労働審判や訴訟などの紛争になった場合の対応
- 退職勧奨や解雇についての面談への同席
咲くやこの花法律事務所の弁護士へのご相談費用
- 初回相談料:30分5000円+税(顧問契約の場合は無料)
- 相談方法:来所相談のほかオンライン相談、電話相談が可能
(3)顧問弁護士サービス
咲くやこの花法律事務所では、事業者向けに日頃から労務管理全般をサポートする顧問弁護士サービスを提供しています。弁護士が、事務所の実績・経験を生かして、就業規則の整備や労務管理、解雇トラブル等のご相談に対応します。また、顧問契約サービスを利用していただいていれば、従業員との間でトラブルに発展してしまった場合も、会社の実情に詳しい弁護士が即座に対応することで、被害を最小限に抑えることが可能です。
顧問契約をご検討中の方には、無料で弁護士との面談(オンラインも可)を実施しておりますので、気軽にお問い合わせください。
咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスの費用例
- 月額3万円+税~15万円+税
- 面談方法:来所面談のほかオンライン面談、電話でのご案内が可能
▶︎参考情報:咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスの内容は以下をご参照ください。
(4)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法
弁護士の相談を予約したい方は以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
【お問い合わせについて】
※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
9,まとめ
休職・復職を繰り返す社員への対応では、診断書が提出されたからといって形式的に休職や復職を認めるのではなく、本人の健康状態や治療状況、これまでの休職・復職の経緯、復職後の勤務状況などを確認したうえで、適切に判断することが重要です。
また、休職・復職を繰り返していることだけを理由として、直ちに解雇できるわけではありません。休職期間満了時の退職の扱いや、解雇の可否については、就業規則の内容や本人の復職可能性、今後の回復可能性、業務への影響などを踏まえて判断する必要があります。
会社として雇用の継続が難しいと考える場合には、これまでの経緯を整理したうえで、退職勧奨による合意退職を検討することもできます。ただし、退職勧奨が退職強要とならないよう注意し、本人が退職に応じない場合には、解雇が法的に認められる状況なのかを適切に検討する必要があります。
休職・復職を繰り返す社員への対応は、個別の事情によって適切な対応が異なります。対応を誤ると、不当解雇や退職強要などを理由として、労働審判や訴訟などのトラブルに発展する可能性もあります。
そのため、休職・復職を繰り返す社員への対応にお困りの場合は、早い段階で弁護士に相談し、これまでの経緯や就業規則、診断書、勤務状況などを踏まえて、今後の対応方針を検討することが必要です。
咲くやこの花法律事務所でも、企業側の立場から、休職・復職を繰り返す社員への対応、就業規則の整備、退職勧奨・解雇に関するご相談、労使トラブルへの対応などをサポートしています。休職・復職を繰り返す社員への対応についてお悩みの事業者の方は、咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
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記事作成日:2026年9月19日
記事作成弁護士:西川 暢春
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