こんにちは。弁護士法人咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
退職勧奨に弁護士の同席を依頼するかどうかで迷っていませんか。
退職してほしい問題社員がいる場合も、訴訟リスクを防ぐためには、すぐに解雇してしまうのではなく、まずは合意による退職を目指して退職勧奨を行うことが大切です。
しかし、退職勧奨において不適切な発言があったり、あるいは手順が不適切であったり、従業員に提示する条件が不適切であったりすると、後に訴訟に発展した場合、違法と判断され、慰謝料の支払いを命じられる危険があります。また、退職について合意書を取り交わしても、それについて後日取消しが認められて、多額のバックペイの支払を命じられる危険もあります。
このようなリスクを回避しつつ、退職合意による解決を実現するためには、退職勧奨について弁護士に相談して、適切な進め方をすることが不可欠です。そのような中で、弁護士に退職勧奨への同席を依頼することには、以下のメリットがあります。
- (1)退職勧奨が違法となるリスクを回避できる
- (2)退職条件の調整を円滑に進めることができる
- (3)交渉による退職合意が成立しやすい
- (4)担当者の心理的負担を軽減できる
この記事では、退職勧奨に弁護士が同席するメリットや、実際の進め方、費用の目安などを解説します。この記事を最後まで読めば、現在、退職勧奨を検討している事業者の方は、弁護士に同席を依頼するメリットや、問題なく退職勧奨を進めるための弁護士依頼の手順について理解し、問題解決に向けて前に進むことができるはずです。
それでは見ていきましょう。
退職勧奨は会社の都合で辞めてほしいということであり、これについて合意を得ることは一般的には簡単なことではありません。弁護士のサポートを受けながら適切なプロセスを経て適切な方法で進めることが、合意を実現することにつながります。
また、退職勧奨は、伝え方や発言内容、進め方によっては、違法になってしまったり、せっかく得た退職の合意が後日取り消されたりして、重大なトラブルに発展する危険があります。このような事態を避けるためにも、弁護士のサポートを受けて対応することが適切です。
咲くやこの花法律事務所でも、事業者側の立場で、退職勧奨についてのご相談、同席を含むサポートのご依頼をお受けしていますので、ご相談ください。咲くやこの花法律事務所のサポート内容については以下もご参照ください。
▶参考情報:問題社員対応に関する弁護士への相談サービスはこちら
※咲くやこの花法律事務所では、企業または事業者からのご相談のみお受けしています。
また、咲くやこの花法律事務所の弁護士が問題社員対応において退職勧奨をサポートした解決事例もご紹介していますのであわせてご覧ください。
▼退職勧奨の場面での同席について、弁護士の相談を予約したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。
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※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
今回の記事で書かれている要点(目次)
1,退職勧奨に弁護士が同席するメリットとは?

企業が退職勧奨を行う場面で、弁護士に同席を依頼することには、以下のメリットがあります。
- (1)退職勧奨が違法となるリスクを回避できる
- (2)退職条件の調整を円滑に進めることができる
- (3)交渉による退職合意が成立しやすい
- (4)担当者の心理的負担を軽減できる
それぞれご説明します。
(1)退職勧奨が違法となるリスクを回避できる
退職勧奨において不適切な発言があったり、あるいは手順が不適切であったりすると、後に訴訟に発展した場合、違法と判断され、慰謝料の支払いを命じられる危険があります。また、退職について合意書を取り交わしても、訴訟でその取消しが認められて、企業が多額のバックペイの支払を命じられる危険もあります。そして、最近では、不適切な退職勧奨があった場合に、会社だけでなく、退職勧奨を行った人物個人も訴えられる例が珍しくありません。
弁護士が退職勧奨に同席して対応することで、強要と受け取られかねない表現や不適切な言動を防ぐことができ、適切な方法で退職勧奨を行うことが可能となります。結果として、後日、訴訟などの紛争に発展するリスクを最小限にすることができます。
退職勧奨について企業の担当者が主体となって話をする場合でも、弁護士から、担当者の説明がわかりづらいと感じた部分や誤解を招きかねないと感じた部分を適切に補充することが、リスク回避につながります。
冒頭で弁護士が退職勧奨はあくまで合意によるもので解雇とは異なると説明するなどの対応が、違法となるリスクを回避することにつながります。
(2)退職条件の調整を円滑に進めることができる
退職勧奨にあたっては、まず退職するという方向性自体について従業員と合意ができるかという点が重要になります。そのうえで、退職するという方向性になったとしても、さらに、以下の条件の調整が重要となります。
- 退職日をいつにするか
- 未消化の有給休暇をどう扱うか
- 退職金の上乗せをするか、上乗せする場合はその金額
- 会社都合退職とするか自己都合退職とするか
- 業務の引継ぎをどう進めるか
さらに、退職勧奨を受ける従業員側から、在職中にハラスメント被害を受けたという主張や、労災の主張、あるいは未払い残業代があるといった主張がある場合、そのような主張にどう対応するかも問題になります。
これらの条件や対応は、退職勧奨の経緯や従業員のこれまでの勤務状況などから個別に判断することとなります。特に「退職金の条件」は従業員が退職合意に応じるかの判断をするうえで重要な要素となります。これまで散々手を焼いていた問題社員に退職勧奨をするようなケースでは、退職金を支払いたくないと考える経営者の方も少なくありません。しかし、低すぎる金額や、退職金を出さないといった条件だと、合意を得ることが困難となります。職場環境を整えるための経費と割り切って、一定の支給を検討することが解決につながります。
また、退職勧奨で会社が提示する条件が従業員にとって不合理に不利益な内容の場合、退職合意書や退職届を取得していても、訴訟になれば「自由な意思に基づく労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するとはいえない」などという労働法特有の論理によって退職の効力が否定されることもあります。第三者である弁護士に依頼することで、こういった条件面についても、事情を踏まえて客観的に判断することができ、退職の合意を得たのに、後で効力を否定されるといった事態を防ぐことにもつながります。
退職勧奨にあたっては、従業員側の要望も聞きつつ、条件を調整しながら合意をまとめるという交渉が必要です。そして、このような交渉を適切に行うことが、退職合意の効力を確保する観点からも重要です。
退職勧奨に弁護士の同席を依頼し、会社側の立場での交渉を弁護士に依頼することは、退職合意の効力を確保するためにも有益です。また、弁護士に同席を依頼することで、交渉に伴って必要になる退職合意書案の変更・修正等についても弁護士のサポートを受けることができます。
自社のみで対応する場合、交渉の内容に応じて退職合意書を書き換えることは難しいことがあり、その点でも弁護士に同席を依頼することが有益です。
(3)交渉による退職合意が成立しやすい
会社と従業員間でトラブルがあり退職勧奨をするようなケースでは、従業員が経営者や上司に対して不信感を抱いていたり、恨みを持っていることもあります。そのような状況で、経営者や上司から直接退職勧奨をしても、従業員の納得を得ることは難しく、うまく退職勧奨が進みません。
そのような場合は、弁護士が介入し、従業員の言い分も聞きつつ、従業員に対して適切な条件の提示や説明をすることで、従業員も冷静に考えることができ、納得を得やすくなります。
なお、退職勧奨は、まさに従業員との退職に向けた交渉です。弁護士以外の事業者がこのような交渉を代理することは、弁護士法72条により原則として禁じられており、非弁行為となりますので注意してください。
(4)担当者の心理的負担を軽減できる
退職勧奨は、それを伝える人事担当者や経営者にとっても精神的な負担が大きい場面です。
経営者や担当者は退職勧奨がパワハラと言われないように、言い回しや進め方について慎重になる必要があります。また、従業員にとって退職の話は生活に直結することであり、従業員がショックを受けたり感情的になったりすることもあります。
会社側が冷静に話を進めようとしても、従業員が攻撃的になったり、同じ質問を繰り返されるようなケースもあり、こういったやり取りはやはり心理的に大きな負担となります。弁護士が退職勧奨に同席し、弁護士から話をしてもらうことで、感情的な対立を避けることができ、心理的負担を軽減することができます。
事業者が退職勧奨の場面で弁護士の同席を依頼することについてのデメリットは特になく費用がかかる点のみであるといえるでしょう。むしろ前述のとおりメリットが大きいことが通常です。
ただし、中には経験のない弁護士が間違った強引な対応や準備不足の対応をしてかえってトラブルになってしまっている例もあります。不適切な弁護士に頼んでしまうと、依頼自体がデメリットになってしまうことがあるので注意が必要です。
2,退職勧奨の同席を弁護士に依頼した場合の流れとは?

退職勧奨の同席を弁護士に依頼する方法としては以下のような2つのパターンがあります。
一つ目は、退職勧奨に至る前の指導や懲戒処分の段階から弁護士が支援し、退職勧奨においても弁護士が主体となって話をするパターンです。この場合、弁護士が主体となって対象の従業員との話合いを行いますが、会社のしかるべき方の同席は必要です。対象の従業員から会社の内情にかかわる質問や反論があった場合は会社の方に確認して回答する必要があり、また退職金の交渉などの際に会社側の承認が必要となるためです。
そしてもう一つが、弁護士が同席のもと、会社の担当者が主体となって話をするパターンです。この場合の弁護士の役割としては、対象の従業員から法的な質問や反論が出てきた場合に回答をすることや、合意書の読み上げ、確認などを行うこととなります。また、違法な退職勧奨とならないように不適切な発言を防ぐことも、弁護士の重要な役割の一つです。
以下では主に弁護士が主体となって話をするパターンにおける対応の流れについてご紹介します。会社としてはおおむね以下の対応が必要となります。
- (1)弁護士による経緯や事情の聞き取りへの対応
- (2)必要に応じて弁護士の支援を受けながら対象の従業員に指導や懲戒処分を行う
- (3)弁護士との間で退職条件の打ち合わせをする
- (4)弁護士が作成した退職合意書の確認
- (5)退職勧奨前の弁護士との打ち合わせ
- (6)弁護士による退職勧奨の実施の場面での同席
以下で順番にご説明します。
(1)弁護士による経緯や事情の聞き取りへの対応
まず、対象の従業員に会社をやめてほしいと思うに至った経緯や、従業員の問題点、会社側の事情などについて弁護士が詳細な聞き取りを行い、退職勧奨をすることが適切なケースか、どのように退職勧奨を進めるべきかといった点を判断します。
例えば、能力不足の社員をやめさせたいというケースで、弁護士が話を詳しく聞いてみると、対象の従業員がまだ入社してそれほど期間が経っていなかったり、会社側が十分な指導をしていないといったケースもあります。このようなケースでは、退職勧奨を実施するかについて慎重に判断する必要があり、まずは対象の従業員に十分な指導を実施することが適切な場合もあります。
(2)必要に応じて弁護士の支援を受けながら対象の従業員に指導や懲戒処分を行う
従業員に問題がある場合でも、いきなり退職勧奨をすることは、退職勧奨が失敗に終わる原因になり得ます。まずは、対象の従業員に指導や懲戒を行うことで、改善の機会を与えることが適切です。
このような指導や懲戒を経ることで、たとえ問題が改善できない場合でも、対象の従業員は「自身の問題行動が会社では許容されないこと」や「自分が職場の要求水準を満たしていないこと」を明確に認識することになります。このような認識をはっきりもたせることは、退職勧奨において合意を実現するための重要な要素になります。
この点については、「6,退職勧奨の前に適切なプロセスを経ることが重要」でご説明します。
▶参考情報:なお、問題のある従業員の指導方法や、懲戒処分の方法については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
(3)弁護士との間で退職条件の打ち合わせをする
次に、退職勧奨で会社側から提示する退職条件について、会社と弁護士の間で打ち合わせを行います。以下のような項目を弁護士が会社に確認し、退職条件を調整していきます。
- 有給の消化状況
- 退職金規程の有無や内容
- 業務の引継ぎの必要性
- 競業避止義務の設定の有無
- 返還を求めなければならない物品の有無
- 残業代未払いの主張やハラスメント被害の主張がされる可能性の有無
(4)弁護士が作成した退職合意書の確認
退職勧奨は、退職合意書を事前に作成したうえで行うことが適切です。あらかじめ退職日や退職金の金額等の条件の欄を空欄とした合意書を用意しておきましょう。
この退職合意書は個別の事案の内容にあったものを作成しなければなりません。筆者の法律事務所(弁護士法人咲くやこの花法律事務所)がご依頼を受ける場合は、弁護士が作成し、弁護士から担当者に内容をご説明したうえで確認を依頼することが通常です。
(5)退職勧奨前の弁護士との打ち合わせ
退職勧奨前に、弁護士と打ち合わせをします。この打ち合わせでは、退職勧奨の進め方や話す内容の順序などについて打ち合わせを行います。
弁護士が同席のもと会社の担当者が主体となって話をするパターンの場合は、この打ち合わせの際に、進め方や話す順序、そして言ってはいけないことなどの注意点を弁護士からアドバイスします。
話す順序としては、まず「退職してほしい理由」を伝え、その後「退職条件」を提示する流れとなります。
また、対象従業員からの予想される質問に対して、どのように回答するかをあらかじめ決めておくことも大切です。
「やめなければどうなるんですか?」「これは解雇ですか?」「次の仕事を探すので待ってほしい」「家族がいるので勤務を続けさせてほしい」「会社側の対応に問題があるのではないか」などといった様々な質問、反応が想定されます。それぞれの場面でどう回答するかをあらかじめ決めておき、どのような質問、反応があっても冷静に対応できるように準備しておくことが大切です。
(6)弁護士による退職勧奨の実施
打ち合わせ後、対象の従業員に退職勧奨を実施します。
退職勧奨の場では、あらかじめ弁護士と打ち合わせした退職条件を弁護士から説明して交渉します。対象従業員から質問や反論があった場合は、丁寧にかつきっぱりとした態度で冷静に対応する必要があります。そのうえで合意がまとまった条件で合意書に署名押印をもらう、という流れとなります。
▶参考情報:退職勧奨の適切な進め方やポイントについては、以下の記事で詳しくご紹介していますので、是非ご参照ください。
3,退職勧奨の同席の依頼にかかる弁護士費用の相場とは?
咲くやこの花法律事務所における退職勧奨の同席にかかる費用の目安は以下の通りです。
(1)弁護士が主体となって退職勧奨を行う場合
弁護士が経緯や事情の聞き取りを行ったうえで、必要に応じて対象の従業員に対する指導や懲戒処分をサポートし、それでも改善がない場合に会社との退職条件の打ち合わせ、退職合意書の作成をしたうえで、会社を訪問して退職勧奨を実施するという一連の対応を行う際の弁護士費用の目安です。
- 着手金:35万円(税抜)
- 報酬金:35万円(税抜)(退職について合意ができた場合にのみ発生)
- 日当:10万円(税抜)(会社訪問1回あたり)
なお、着手金・報酬金については、弁護士がご相談の中で詳しくお話しをお聞きし、事案の難易や予想される労力の程度などを踏まえ、個別の事案に応じて具体的な金額をお見積りする形となります。弁護士費用については、書面による明確なご説明を徹底しています。
(2)退職勧奨に同席だけする場合(担当者が主体となって話す場合)
- 日当 10万円(税抜)~
弁護士への同席依頼は、退職勧奨に至る経緯や会社側の事情、対象従業員の問題点などを十分把握している弁護士が同席することではじめて意味のある依頼になります。
新規でご相談いただく企業様の事例では、事情を知らない弁護士に同席を依頼して不適切な退職勧奨をしてしまい、訴訟になってしまっている例も見られます。
弁護士に同席を依頼する際は、十分な事前のヒアリングや打ち合わせ、資料に基づく事情確認が必要です。また、依頼する弁護士も、問題社員対応、退職勧奨事案の対応に精通した弁護士に依頼することが大切です。
4,退職勧奨でやってはいけない行動とは?
退職勧奨ではやってはいけない行動、言ってはいけない言葉としては、例えば以下のものが挙げられます。
- 「合意に至らなければ解雇する」と言う
- 「無能はいらない」「会社のお荷物」等の侮辱的発言をする
- 大声で怒鳴る、机をたたくなどの威迫行為
- 法的な根拠のない賃金の減額や退職に誘導することを目的とした配置転換を示唆する
- 妊娠を理由とする退職勧奨を行う
- 退職勧奨に応じるまで終わらない等と言って長時間拘束する
退職勧奨の違法性の判断基準については、日本アイ・ビー・エム退職勧奨事件(東京地方裁判所判決平成23年12月28日)において以下の通り判示されています。
▶参考情報:日本アイ・ビー・エム退職勧奨事件(東京地方裁判所判決平成23年12月28日)
「労働者に対して不当な心理的圧力を加えたり、又は、その名誉感情を不当に害するような言辞を用いたりすることによって、その自由な退職意思の形成を妨げるに足りる不当な行為ないし言動をすることは許されず、そのようなことがされた退職勧奨行為は、もはや、その限度を超えた違法なものとして不法行為を構成することとなる。」
違法な退職勧奨にならないようにすることは、退職勧奨に同席する弁護士の重要な役割の1つです。
▶参考情報:なお、退職勧奨ではやってはいけない行動や言ってはいけない言葉については、以下の記事などで詳しく解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
5,同席を依頼する弁護士の選び方
退職勧奨での弁護士の同席は、退職勧奨に至る経緯や会社側の事情、対象従業員の問題点などを十分把握している弁護士が同席することではじめて意味のある依頼になります。事情を知らない弁護士が同席しただけで、退職合意の実現可能性があがるわけではありません。
その意味で、「退職勧奨への同席を弁護士に依頼する」と考えるのではなく、弁護士が会社から経緯や事情の聞き取りを行ったうえで、必要に応じて対象の従業員に対する指導や懲戒処分をサポートし、それでも改善がない場合に会社との退職条件の打ち合わせ、退職合意書の作成をしたうえで、会社を訪問して退職勧奨を実施して、合意を実現するという一連の対応を弁護士に依頼することがベストです。
そして、弁護士を選ぶ際は、いわゆる問題社員対応に精通した弁護士を選ぶことが大切です。問題社員への対応は少しの失敗が大きなトラブルを招く危険がある、慎重な判断が必要なテーマです。一方でリスクをできるだけ回避しつつも勇気を持って決断することが求められる場面も出てきます。
そして、後述するように法的な知見だけでなく、後述するように「自己認識のゆがみを正す」という相手の心の動きに着目した対応も必要になるテーマです。調べれば経験がなくても対応できるという分野ではないため、問題社員対応に関する実務経験が豊富な弁護士に依頼することが重要です。
6,退職勧奨の前に適切なプロセスを経ることが重要
退職勧奨で退職合意を実現するためには、退職勧奨の前に適切なプロセスを経ていることが非常に重要です。具体的には、以下の点が必要となります。
- (1)対象の従業員の自己認識のゆがみを修正させる努力をする
- (2)予算を確保する
それぞれご説明します。
(1)対象の従業員の自己認識のゆがみを修正させる努力をする
問題社員に対して退職勧奨を行う場合、円満に退職の合意を取り付けるために重要な前提があります。それは「問題社員に自分が職場の要求水準を満たしていないことをはっきり認識させること」です。
会社から見て就業状況や勤務態度に問題がある従業員であっても、本人としては「自分は業務を問題なくこなしている」と思い込んでいるケースが多く、経営者や上司から指導を受けても「自分は正しい」と考えて改善しないパターンが少なくありません。特に、経営者や上司が問題社員に対して遠慮してしまい、具体的な指導を十分に行っていない場合、問題社員は「自分は業務を問題なくこなしている」「自分は正しい」と思っていることがほとんどです。
問題社員の認識がこのような状態のまま、いきなり退職勧奨をしても、本人としては納得がいかず、合意を取り付けることは困難です。このような場合、まずは対象の従業員の「自分は業務を問題なくこなしている」「自分は正しい」という認識のゆがみを修正させることが必要となります。
この認識のゆがみを修正させ、自分が職場の要求水準を満たしていないことをはっきり認識させることが必要です。そのようなプロセスを経ることではじめて、問題が改善できない場合や改善する意思がない場合に「このまま就業を続けることはできない」と認識させることができます。そのうえで、退職勧奨を行うことで無理なく退職の合意を取り付けることができます。
▶参考情報:退職勧奨で退職合意を実現するための適切な進め方については、以下の記事でより詳しく説明しています。あわせてご参照ください。
(2)予算を確保する
次に、退職勧奨を行う場合は、事案の内容に応じた金銭を支払う準備をしておくことが適切です。
退職の合意にあたって対象の従業員が不安に思うのが、生活資金が途切れる点です。そこで、次の転職先が見つかるまでの間の当面の生活資金として、事案の内容に応じた金銭を支払うことを提案することで、より合意を得やすくなります。また、退職合意にあたり金銭的な提案をすることは退職勧奨により合意を得た場合の合意の効力を確保するため、つまり会社を守るためにも重要なポイントです。
▶参考情報:退職勧奨における金銭提示の考え方については以下の記事で詳しく解説しています。
7,退職勧奨面談の同席など問題社員対応の依頼なら咲くやこの花法律事務所がおすすめな理由
退職勧奨場面の同席など問題社員対応のサポートのご依頼は、咲くやこの花法律事務所がおすすめです。咲くやこの花法律事務所の強みは以下の通りです。
(1)問題社員トラブルや退職勧奨面談についての豊富な経験と解決実績
咲くやこの花法律事務所では問題社員対応のサポートや退職勧奨による解決の支援について、多くの事業者からご依頼いただき、解決してきました。実際の現場を数多く経験しているからこそ、解決に向けた道筋を明確に示すことができ、対象従業員から想定される反応やリスクを踏まえた対応が可能です。
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の弁護士が問題社員対応において退職勧奨をサポートした解決事例もご紹介していますのであわせてご覧ください。
また、咲くやこの花法律事務所では、退職勧奨についての経験をもとに、退職勧奨の取り組み方についての書籍も出版しており、多くの方に読んでいただいています。詳細は以下をご参照ください。
(2)約650社以上の企業や事業者との顧問契約実績があり企業実務に精通
咲くやこの花法律事務所は、約650社以上の顧問契約実績を有し、日常的に企業から多数の相談をお受けし、また特に人事労務の分野で多くの問題を解決してきました。その豊富な経験から得たノウハウで、単なる法律知識についての形式的なアドバイスにとどまらず、企業の現場の実情に沿った、実務に即した解決策の提示と実行が可能です。
(3)退職合意に至らない場面での対応にも精通
退職勧奨しても従業員に拒否されてうまくいかなかったという場面で、判断に迷い、対応を誤ってしまう失敗例は少なくありません。咲くやこの花法律事務所では、退職勧奨しても合意が得られない場合の対応についても、ご相談をお受けし、解決してきました。退職合意に至らない場面でも解決までしっかりサポートすることが可能です。
▶参考情報:従業員が退職を拒否して応じない場合の対応については以下で解説していますのであわせてご参照ください。
(4)迅速で分かりやすいレスポンス
迅速かつ分かりやすいレスポンスも咲くやこの花法律事務所の強みです。疑問点にすぐ対応する体制で担当者をサポートします。また、法律の専門用語を並べるのではなく、なるべく依頼者に分かりやすいような説明をすることを心がけています。
8,実際に咲くやこの花法律事務所の弁護士が退職勧奨の同席など対応をサポートした解決事例
実際に咲くやこの花法律事務所の弁護士が退職勧奨の同席など対応をサポートした解決事例をいくつかご紹介します。
(1)協調性がなく遅刻を繰り返す従業員についての退職勧奨の解決事例
協調性がなく、遅刻を繰り返し、また上司の指示や同僚からの依頼に応じようとしない従業員に何とか退職してもらいたいと考えた会社から、退職勧奨のサポートと同席のご依頼をいただいた事案です。
社長や上司も、この従業員に対し、何度か態度をあらためるように説得しましたが、従業員は全く聞く耳を持たず、退職を働きかけてものらりくらりとかわされ、退職の話合いが進まなかったという経緯がありました。
そこで、弁護士から退職勧奨を行い、従業員の問題行動について指摘した上で、退職金などの条件を提示した結果、未消化の有給休暇の買取り+1ヶ月分の給与を支払うとの条件で退職の合意を取り付けることができました。
▶参考情報:この事例については下記の記事で詳しくご紹介していますのでご参照ください。
(2)能力不足が顕著な従業員についての退職勧奨の解決事例
中途採用で正社員として雇用した職員について、能力不足が著しく患者からもクレームがきており、対応にお困りになった歯科医院から、退職勧奨のサポートと同席のご依頼をいただいた事案です。本件では、ご相談前に既に院長から退職勧奨を行っていましたが、「辞める気はない」と言われ退職を断られていました。
そこで、弁護士と顧問契約をいただき、顧問弁護士としてサポートすることとなりました。
弁護士から、歯科医院に対して、まずは指導を続けることが必要であることを助言し、具体的な指導方法についてアドバイスと綿密なサポートを行いました。そのうえで、指導を経ても問題が改善しなかったため、退職勧奨を行った結果、合意による退職を実現することができました。退職勧奨の前に適切なプロセスを経たことが解決に結びついた事案です。
▶参考情報:この事例については下記の記事で詳しくご紹介していますのでご参照ください。
(3)社内で暴力を振るい指導に従わない従業員についての退職勧奨の解決事例
社内で暴力を振るったり、指示や指導に従わない従業員への対応にお困りの会社から、退職勧奨のサポートと同席のご依頼をいただいた事案です。社長から退職の話を行うと暴力社員から反発を受ける可能性もあったため、弁護士が退職勧奨を行うこととしました。
まずは暴力行為の調査を実施し、懲戒処分を行った上で、弁護士が会社を訪問して退職勧奨をしたところ、その場で退職合意書にサインをしてもらうことができました。
▶参考情報:この事例も、退職勧奨の前に適切なプロセスを経たことが解決に結びついた事案です。この事例については下記の記事で詳しくご紹介していますのでご参照ください。
(4)横領が発覚した従業員についての退職勧奨の解決事例
プラスチック廃材の処分などを営む会社で、横領が発覚した従業員に退職してもらいたいとしてご相談いただいた事案です。
当初は横領に関する明確な証拠がなかったため、弁護士が横領の調査を行った上で従業員に横領の事実を認めさせました。その上で弁護士から退職勧奨を行った結果、従業員は退職勧奨に応じ、退職に合意させることができました。この事案も、退職勧奨の前に適切なプロセスを経たことが解決に結びついた事案です。
▶参考情報:この事例については下記の記事で詳しくご紹介していますのでご参照ください。
9,退職勧奨面談の同席など問題社員対応に関して弁護士へ相談したい方はこちら

咲くやこの花法律事務所では、問題社員の退職勧奨について事業者側の立場で多くのご相談を受け、解決してきました。最後に、咲くやこの花法律事務所の事業者向けサポート内容をご紹介します。
(1)退職勧奨に関するご相談・ご依頼
退職勧奨は会社の都合で辞めてほしいということであり、これについて合意を得ることは一般的には簡単なことではありません。弁護士のサポートを受けながら適切なプロセスを経て適切な方法で進めることが、合意を実現することにつながります。
また、退職勧奨は、伝え方や発言内容、進め方によっては、違法になってしまったり、せっかく得た退職の合意が後日取り消されたりして、重大なトラブルに発展する危険があります。このような事態を避けるためにも、弁護士のサポートを受けて対応することが適切です。
咲くやこの花法律事務所では、退職勧奨について、事業者側の立場でこれまでたくさんのご相談とご依頼をいただいてきました。豊富な経験をもとに培ったノウハウを強みとして、トラブルにならない確実な解決をサポートします。
退職勧奨についてご検討中の事業者の方はぜひ咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
咲くやこの花法律事務所の弁護士への相談費用
- 初回相談料:30分5000円+税(顧問契約の場合は無料)
- 相談方法:来所相談のほかオンライン相談、電話相談が可能
(2)日頃からの顧問弁護士のサポート
咲くやこの花法律事務所では、多くの事業者の顧問弁護士として日頃から労務問題についてサポートして、法的な整備とトラブルの早期解決に取り組んできました。トラブルが発生してから弁護士を探すのではなく、トラブルになる前に弁護士に相談をすることで、法的なリスクマネジメントに取り組むことが可能となります。咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについては以下をご参照ください。
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスの内容は以下をご参照ください。
(3)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法
弁護士の相談を予約したい方は以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
【お問い合わせについて】
※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
10,まとめ
この記事では、退職勧奨への弁護士の同席について、メリットや流れなどをご説明しました。
退職勧奨に弁護士への同席を依頼することで、企業は法的リスクを回避し、退職合意の確実な実現に向けてサポートを受けることができます。主なメリットは以下の4点です。
- (1)退職勧奨が違法となるリスクを回避できる
- (2)退職条件の調整を円滑に進めることができる
- (3)交渉による退職合意が成立しやすい
- (4)担当者の心理的負担を軽減できる
退職勧奨は、発言内容や進め方を誤れば違法と判断され、後に従業員に対し、慰謝料やバックペイの支払いを命じられるリスクがあります。弁護士が同席することで、そのようなトラブルを避けて、適切な方法で進めることができます。
また、退職勧奨では次のような条件調整が重要になります。
- 退職日をいつにするか
- 未消化の有給休暇をどう扱うか
- 退職金の上乗せをするか、上乗せする場合はその金額
- 会社都合退職とするか自己都合退職とするか
- 業務の引継ぎをどう進めるか
弁護士が関与のもと、感情ではなく法的・実務的観点から条件を整理し、現実的な落としどころで調整することが大切です。
依頼の流れには、「退職勧奨に至る前の指導や懲戒処分の段階から弁護士が介入し、退職勧奨においても弁護士が主体となって話をするパターン」と「弁護士が同席のもと、会社の担当者が主体となって話をするパターン」があります。
弁護士主体弁護士が主体となって取り組む場合、会社側で必要な対応は以下の通りです。
- (1)弁護士による経緯や事情の聞き取りへの対応
- (2)必要に応じて弁護士の支援を受けながら対象の従業員に指導や懲戒処分を行う
- (3)弁護士との間で退職条件の打ち合わせをする
- (4)弁護士が作成した退職合意書の確認
- (5)退職勧奨前の弁護士との打ち合わせ
- (6)弁護士による退職勧奨の実施の場面での同席
そして、退職勧奨で退職合意を実現するためには、退職勧奨の前に適切なプロセスを経ていることが重要です。具体的には、以下の点に取り組むことが適切です。
- (1)対象の従業員の自己認識のゆがみを修正させる努力をする
- (2)予算を確保する
退職勧奨については、弁護士に同席とサポートを依頼することで、法的リスクを回避して確実な解決を目指すことをおすすめします。会社が手を焼いており今すぐに退職してほしい社員がいる場合でも、先走って解雇や退職の打診をする前に、一度労務問題に詳しい弁護士に相談することが大切です。咲くやこの花法律事務所でご相談をお受けしていますので是非ご利用ください。
11,【関連】退職勧奨に関するその他のお役立ち記事
この記事では、「退職勧奨に弁護士の同席を依頼するメリットとは?流れや費用も解説」について、わかりやすく解説しました。問題社員対応の場面などで退職勧奨で退職合意を実現するためは、その他にも知っておくべき情報が幅広くあり、正しい知識を理解しておかなければ、退職合意できないだけでなく重大なトラブルにまで発展してしまう危険もあります。
以下ではこの記事に関連する退職勧奨のお役立ち記事を一覧でご紹介しますので、こちらもご参照ください。
・企業が弁護士に退職勧奨を相談すべき4つの理由とサポート内容や費用について
・退職勧奨による退職は会社都合?自己都合?離職票はどうすべきかを解説
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記事作成日:2026年3月11日
記事作成弁護士:西川 暢春
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