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退職勧奨、退職勧告の進め方の注意点と話し方、言い方を弁護士が解説

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  • 退職強要トラブルを避けるための方法

    会社を経営していると、一度採用した従業員について、「残念だが一緒にやっていけない」、「退職をすすめなければならない」という場面もでてきます。

    このような場合に、会社側から従業員に退職を促すことを、「退職勧奨」あるいは「退職勧告」といいます。

    この「退職勧奨」、「退職勧告」については、従業員にとっては、「退職強要」あるいは「解雇」とうつることも多く、裁判で、会社側に慰謝料等の支払いを命じられることが少なくありません。

    たとえば、以下のような事例があります。

    事例1:
    昭和電線電纜事件(平成16年 5月28日横浜地方裁判所川崎支部判決)

    退職勧奨時の会社側の言動が一因となって、いったん退職に応じた従業員の退職が無効と判断され、会社に従業員の復職と「約1400万円」の支払いを命じました。

    事例2:
    大和証券事件(平成27年4月24日大阪地方裁判所判決)

    会社が従業員を退職に追い込む目的で配置転換や仕事の取り上げを行ったとして、会社に「150万円」の慰謝料の支払いを命じました。

    事例3:
    全日空事件(平成13年3月14日大阪高等裁判所判決)

    退職勧奨時の会社側の言動や、長時間多数回の退職勧奨に問題があったとして、会社に「90万円」の慰謝料の支払いを命じました。

     

    特に、「事例1」のように、退職勧奨時の言動が原因となって、退職が無効と判断された場合、「1000万円」を超えるような多額の支払いを命じられるリスクがあります。

    今回は、これらの裁判例の傾向も踏まえて、「退職強要トラブル・解雇トラブルを避けるために経営者がおさえておくべき、退職勧奨・退職勧告の際の注意点」についてご説明したいと思います。

    また、「退職勧奨、退職勧告の面談における具体的な言い方、伝え方」についてもご説明します。
    退職勧奨に入る前に、トラブルのない進め方を把握して、円満な退職合意を目指しましょう。

     

    ▼退職勧奨・退職勧告における対応について今スグ相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。

    企業法務におけるお悩みは、企業法務に強い弁護士へ。「咲くやこの花法律事務所」へご相談下さい。

     

    1,この記事を読めばわかること

    ●退職勧奨・退職勧告と解雇の違いについて
    ●退職勧奨・退職勧告についての基本的な考え方
    ●退職強要トラブルを避ける方法!退職勧奨・退職勧告の進め方の注意点について
    ●退職強要トラブルを避ける方法!経営者が知っておきたい退職勧奨・退職勧告の3つの注意点
    ●注意点1:「退職届を出さなかったら解雇する」という発言は要注意。
    ●注意点2:退職を目的とした配置転換や仕事のとりあげはしてはならない。
    ●注意点3:長時間多数回にわたる退職勧奨は退職強要と判断される危険がある。
    ●退職勧奨・退職勧告の面談での話し方、言い方の具体例
    ●退職勧奨の前に必ず弁護士にご相談を!
    ●咲くやこの花法律事務所なら「退職勧奨について、こんなサポートができます!」
    ●退職勧奨や解雇に関連する他のお役立ち情報

     

    2,最初に確認!退職勧奨・退職勧告と解雇の違い

    今回のテーマである「退職勧奨・退職勧告」のご説明に入る前に、まずは、「退職勧奨・退職勧告」と「解雇」の違いについてご説明したいと思います。

    退職勧奨・退職勧告とは

    退職勧奨・退職勧告は、会社から従業員に退職を促すことを指しますが、あくまで従業員に退職について了解してもらい、同意の上、退職届を提出してもらって退職してもらうことを目指す方法です。

    解雇とは

    これに対して、解雇は、従業員の同意なく、一方的に雇用を終了させることを言います。

     

    つまり、退職勧奨・退職勧告は、解雇と違って、あくまで、従業員に同意を得て退職届を出してもらうことを目指す方法であることが解雇との大きな違いです。

     

    3,退職勧奨・退職勧告についての基本的な考え方

    次に、退職勧奨・退職勧告の進め方についてご説明する前提となる「基本的な考え方」についてご説明したいと思います。

    「退職勧奨・退職勧告」についての基本的な考え方として、以下の2点をおさえておきましょう。

    退職勧奨・退職勧告についての2つの基本的な考え方

    退職勧奨・退職勧告についての「考え方1」:

    成績が悪い従業員、協調性がない従業員、業務の指示に従わない従業員など問題がある従業員に対し、会社が退職勧奨・退職勧告を行うこと自体、なんら違法ではない。

    退職勧奨・退職勧告についての「考え方2」:

    解雇をすると解雇が不当であるとして訴訟等に発展するケースが多いので、解雇の前にまずは退職勧奨して、合意により退職してもらうことは、会社のリスク回避のために有用な手段である。

     

    冒頭で、退職勧奨・退職勧告について慰謝料等の支払が企業に命じられた事例を紹介しましたが、裁判所も原則論としては、退職勧奨・退職勧告を行うことを非難しているわけではありません。

    たとえば、裁判所は、住友林業が約半年間受注実績のない営業担当者に退職勧奨・退職勧告を行ったことが問題となった事件で、次のように述べています。

    ▶参考:住友林業事件(平成11年7月19日大阪地方裁判所決定)の裁判所の判断内容

    判断内容1:

    長期間にわたり全く業績のない従業員に対して、業績を上げるよう叱咤したり、退職を勧奨したりすることは企業として当然のことであり、それ自体は何の問題もない。

    判断内容2:

    営業成績からして、面談等を重ねたことや、その結果最終的には退職勧奨にまで至ったことは、企業としてはやむを得ない措置というべきである。

     

    裁判所は、上記の通り述べて、住友林業の退職勧奨に特段の問題はなかったと判断しています。

    このように、退職勧奨・退職勧告を行わなればならない場面があること自体、裁判所も認めており、正しい方法で退職勧奨・退職勧告を行うことに何ら問題はありません。

    そして、解雇を検討しなければならない場面では、まずは退職勧奨を行うことが会社のリスク回避のためにも有用であることを、大前提としておさえておきましょう。

     

    4,退職強要トラブルを避ける方法!退職勧奨・退職勧告の進め方の3つの注意点

    では、冒頭で述べたような会社が敗訴した事例ではどのような点が問題だったのでしょうか。

    会社側敗訴事例を踏まえた、「退職勧奨・退職勧告の進め方の注意点」は以下の通りです。

    退職勧奨・退職勧告の進め方の3つの注意点

    注意点1:
    「退職届を出さなかったら解雇する」という発言は要注意である。

    注意点2:
    退職を目的とした配置転換や仕事のとりあげはしてはならない。

    注意点3:
    長時間多数回にわたる退職勧奨は退職強要と判断される危険がある。

     

    以下で順番に詳細をご説明していきたいと思います。

     

    5,注意点1:
    「退職届を出さなかったら解雇する」という発言は要注意。

    退職勧奨・退職勧告の進め方の注意点の1つ目は、従業員に対する退職勧奨の際に、「退職届を出さなかったら解雇する」という発言をすることは要注意であるという点です。

    具体的には、以下の点をおさえておく必要があります。

    「退職届を出さなかったら解雇する」という発言をすることの注意点

    会社側が『退職届を出さなかったら解雇する』として従業員を退職勧奨した場合に、実際は裁判所で解雇が認められないようなケースであれば、従業員が退職勧奨に応じて退職届を提出したとしても、退職の合意が無効とされるリスクがある。

    つまり、裁判所では解雇した場合に不当解雇と判断されるようなケースであるのに、会社側があたかも当然に解雇できるかのような説明をして退職届を提出させた場合、従業員が誤信して提出したものであるとして、退職の合意は無効と判断されるリスクがあるのです。

    この点について、参考になるのが、冒頭でご紹介した「事例1」の昭和電線電纜事件ですので、以下で内容をご紹介します。

    事例1:
    昭和電線電纜事件(平成16年 5月28日横浜地方裁判所川崎支部判決)の内容

    ●事案の内容

    この事件は、電気工事などを事業とする会社が、同僚に対する暴言などの問題があった従業員に退職を勧告し、従業員もこれに応じて退職したが、その後従業員が退職の合意は無効であるとして、会社を訴えた事件です。

    従業員は訴訟において、「復職」と「退職により受け取れなかった退職後復職までの期間の賃金の支払い」を求めました。

    ●争点

    この事件で、会社は退職勧奨の際に、従業員に対して、「自分から退職する意思がないということであれば解雇の手続をすることになる」、「どちらを選択するか自分で決めて欲しい」などと説明していました。

    従業員は、「会社の説明により、退職届を出さなければ当然解雇されると誤信して退職届を提出した」として、退職の合意の無効を主張しました。

    そこで、会社が退職勧奨の際に、「自分から退職する意思がないということであれば解雇の手続をすることになる」などと説明したことにより、いったん成立した退職の合意が無効となるかが、裁判の争点となりました。

    ●裁判所の判断

    裁判所は、本件では本来解雇できるほどの理由はなく、解雇は法的には認められないのに、会社の説明により、従業員が退職届を出さなければ当然解雇されると誤信して退職届を提出したと認めました。

    そして、退職の合意を無効と判断し、会社に対し、この従業員を復職させ、かつ、退職によりこの従業員が受領できなかった賃金「約1400万円」を支払うことを命じました。

    この「約1400万円」は、従業員がいったん退職に応じてから、裁判を起こし、裁判で判決が出るまでの間の約2年半の賃金の額にあたります。

     

    この裁判例も踏まえて、「退職勧奨・退職勧告」時の企業側の説明方法のポイントとして、以下の点をおさえておきましょう。

    「退職勧奨・退職勧告」時の話し方のポイント

    ポイント1:

    退職勧奨・退職勧告の際に「退職届を出さなかったら解雇する」という発言をすることは、金銭の横領など明確に解雇できる理由がない限り、あとで退職した従業員から退職の合意は無効だと主張して訴えられれば、企業側が敗訴する理由になる。

    ポイント2:

    裁判所で「退職の合意は無効」と判断された場合、会社は、従業員を復職させたうえで、従業員が退職のために受領できなかった賃金をさかのぼって支払うことを命じられるため、企業が支払いを命じられる額が1000万円を超えることもある。

     

    6,注意点2:
    退職を目的とした配置転換や仕事のとりあげはしてはならない。

    退職勧奨・退職勧告の進め方の注意点の2つ目は、「退職を目的とした配置転換や仕事のとりあげをしてはならない」という点です。

    この点について、参考になるのが、冒頭でご紹介した「事例2」の大和証券事件です。
    以下でその内容をみてみましょう。

    事例2:
    大和証券事件(平成27年4月24日大阪地方裁判所判決)の内容

    ●事案の内容

    この事件は、大和証券が、勤務態度、勤務成績の評価が悪かった従業員に対して、退職して子会社に転籍することを勧告し、従業員もこれに応じて転籍したが、その後、この従業員が退職・転籍は強要されたものであるなどとして、会社を訴えた事件です。

    ●争点

    会社は、退職勧奨を行っていた時期に、約4カ月もの間、この従業員を「追い出し部屋」などと呼ばれる1人の部屋で執務させ、他の社員との接触を遮断し、朝会などにも出席させませんでした。

    これらの点が、退職の強要にあたり違法かが、裁判の争点となりました。

    ●裁判所の判断

    裁判所は、会社の行為は、従業員を退職に追い込むための嫌がらせであり、およそまともな処遇であるとはいい難いとして、会社に対し、「150万円」の慰謝料の支払いを命じました。

     

    この裁判例も踏まえて、退職勧奨・退職勧告する従業員に対する配転命令や仕事の配分についてのポイントとして、以下の点をおさえておきましょう。

    退職勧奨・退職勧告の際の、配転命令や仕事の配分についてのポイント

    ポイント1:

    従業員を退職に追い込むことを目的として、嫌がらせ目的で、配転や仕事の取り上げをしてはならない。

    ポイント2:

    退職に追い込むという動機がなくても、退職勧奨の対象となる従業員に対して、配転命令や仕事の内容の変更をするときは、退職に追い込む目的であると誤解されるおそれがあるため、配転の必要性や仕事内容変更の必要性を丁寧に説明して、誤解を与えない努力をしておく必要がある。

     

    このように、嫌がらせ目的での配転や仕事の取り上げをしないことはもちろん、そのような誤解を与えないことも重要なポイントとなります。

    特に、「仕事にミスが多い」、「上司と協調できない」というような理由で退職勧奨、退職勧告をする際は、業務に支障を生じさせないために、配転や仕事内容の変更をしなければならないケースもあります。

    その際に、退職に追い込むための嫌がらせであると誤解を与えないように十分な説明を行うように注意しましょう。

     

    7,注意点3:
    長時間多数回にわたる退職勧奨は退職強要と判断される危険がある。

    退職勧奨・退職勧告の進め方の注意点の3つ目は、「長時間多数回にわたる退職勧奨は退職強要と判断される危険がある。」という点です。

    この点について、参考になるのが、冒頭でご紹介した「事例3」の全日空事件(平成13年3月14日大阪高等裁判所判決)ですので、ご紹介します。

    事例3:
    全日空事件(平成13年3月14日大阪高等裁判所判決)の内容

    ●事案の内容

    この事件は、全日空が、能力面での問題があった客室乗務員に対して、退職することを勧告し、客室乗務員がこれに応じなかったために解雇したところ、この客室乗務員から慰謝料等の支払いを求めて提訴された事件です。

    ●争点

    本件で、全日空は約4か月の間に30回以上の退職勧奨の面談を行い、その中には8時間もの長時間にわたるものもありました。

    また、退職勧奨の面談の際に、大声を出したり、机をたたいたりという不適切な言動もありました。これらの点が、退職の強要行為にあたり、違法かが、裁判の争点となりました。

    ●裁判所の判断

    裁判所は、「全日空が行った退職勧奨の頻度、面談の時間の長さ、従業員に対する言動は、許容できる範囲をこえており、違法な退職強要として不法行為となる」と判断し、全日空に対し、「90万円」の慰謝料の支払いを命じました。

     

    以上が慰謝料の支払を命じた企業側敗訴の裁判事例ですが、一方で、別の裁判例では、1週間に1回あたり30分程度の面談を7回行って退職勧奨した事例(サニーヘルス事件:平成22年12月27日東京地方裁判所判決)について、適法な退職勧奨の範囲内と判断しています。

    これらの裁判例も踏まえて、退職勧奨・退職勧告の際の、退職勧奨の頻度や時間のポイントとして、以下の点をおさえておきましょう。

    退職勧奨・退職勧告の際の、退職勧奨の頻度や時間のポイント

    ポイント1:

    退職勧奨・退職勧告の面談を繰り返し行ったり、従業員が退職を拒否していても再度、退職の方向で説得し、再考を促すこと自体は問題がない。

    ポイント2:

    1回あたりの面談時間が2時間以上の長時間になったり、面談があまりにも多数回行われた場合、退職勧奨としての許容限度を超えた「退職強要」であると判断される危険がある。このように退職勧奨の頻度については、常識的な限度にとどめなければ、退職強要として違法と判断されることに、注意しておきましょう。

     

    8,退職勧奨・退職勧告の面談での話し方、言い方の具体例

    それでは、退職勧奨・退職勧告の面談で、どのような話し方をすればよいのでしょうか?

    ここでは、面談時の話し方、言い方について具体例を挙げてご説明したいと思います。

    まず、以下の手順をおさえておきましょう。

    「退職勧奨」の具体的な流れ

    1,退職勧奨の方針を社内で共有する。
    2,退職勧奨の理由を整理したメモを作成する。
    3,従業員を個室に呼び出す。
    4,従業員に退職してほしという会社の意向を伝える。
    5,退職勧奨についての回答の期限を伝え、検討を促す。
    6,退職の時期、金銭面の処遇などを話し合う。

    7,退職届を提出させる。

     

    以下で順番にご説明したいと思います。

    (1)退職勧奨の方針を社内で共有する。

    まず、対象の従業員について退職勧奨を行うことに関して、会社の幹部や本人の直属の上司に意見を聴き、退職勧奨をする方針を社内で共有して理解を求めておく必要があります。

    このように、会社一丸となって対応することにより、退職勧奨が社長個人の意向ではなく、会社の総意であることを対象従業員に示すことができます。

    (2)退職勧奨の理由を整理したメモを作成する。

    次に、退職勧奨の理由を整理したメモを作成します。

    これは、従業員に退職勧奨をする際に、できるだけ説得な話をするための準備です。

    退職勧奨の場面では、退職勧奨を伝える側も、一定程度のプレッシャーがかかることが避けられません。また、退職勧奨を伝えられた側が、攻撃的な反論をしてくる可能性もあります。どのような場面でも必要な内容を伝えることができるように事前のメモは必ず作成しましょう。

    (3)従業員を個室に呼び出す。

    退職勧奨は、会社の会議室など、個室で行いましょう。

    「〇〇さん、話があるので来てください。」といって個室に対象従業員を呼びます。

    (4)従業員に退職してほしという会社の意向を伝える。

    従業員に退職してほしいという会社の意向を伝えます。

    具体的な話し方、言い方としては以下の例を参考にしてください。

    ▶参考:退職勧奨の話し方、言い方の具体例

    以下では、勤務態度不良の従業員に退職勧奨をするケースを例にご説明します。

    1,退職勧奨の話の切り出し方。

    「これまで、私からもあなたの上司の○○さんからも、あなたの勤務態度について何度も指導し、改善するようにお願いしてきました。」と話を切り出します。

    2,会社としても雇用を継続するための努力してきたことについて伝える。

    「あなたが上司の〇〇さんとトラブルになったときは、~という話をしましたし、あなたが顧客対応でトラブルになったときは~という話もしましたね。あなたに何度もチャンスを与えて、改善をお願いしてきました。しかし、今回、また同じような問題を起こりました。」などと、会社としても何度もチャンスを与えて指導してきたが問題点が改善されなかったことを伝えます。

    また、会社として本人にあう部署を探すために配置換えなどをした場合は、さらに「あなたが顧客とのトラブルを繰り返すので、●●部に配置換えして、仕事の内容を変えてみましたが、それもうまくいきませんでしたね。」などと話をします。

    できるだけ、本人に対する批判的な内容は避け、あくまで本人にとって会社や仕事内容があっていないという「ミスマッチ」の観点で話すことがポイントです。

    3,退職してほしという会社の意向を伝える。

    「あなたをどう処遇すべきかについて社内でも話し合った結果、あなたにはこの会社があっていないと考えています。そのため、会社としては、あなたに退職してほしいと考えています。」と退職してほしいという会社の意向を伝えます。

    4,相手の反論や質問に対応する。

    従業員からは、あなたが伝えた退職勧奨の理由についての反論や、会社の落ち度を指摘するような発言がされることが想定されます。

    その場合も、「2.退職勧奨の理由を整理したメモを作成する。」のところで作成したメモを見ながら、冷静に、会社の考え方を説明しましょう。

     

    注意点1でも書いたように、「退職に応じなければ解雇する」という言い方はするべきではありません。

    退職に応じないときのペナルティを話すのではなく、会社として「なぜ、退職してほしいのか」という「退職してほしい理由」を説明することに重点をおいて説明しましょう。

    (5)退職勧奨についての回答の期限を伝え、検討を促す。

    退職勧奨についての回答を面談の場ですぐに求めることは強引な印象が強く避けるべきです。また、家族を扶養している従業員の場合、家族にも相談しなければ回答できないことも多いでしょう。

    そのため、退職してほしいという会社の意向を伝えた後は、再度の面談の期日を設けて、再度の面談までに回答するように、従業員に検討を促しましょう。金曜日に退職勧奨の話を切り出し、月曜日に再度の面談を設定して、週末に検討してもらうということも1つの方法です。

    (6)退職の時期、金銭面の処遇などを話し合う。

    従業員が条件によっては退職に応じる意向を示した場合は、退職の時期や金銭面の処遇を決めていきましょう。

    なお、退職勧奨に応じて退職した場合、退職理由をいわゆる会社都合退職とすることによって、雇用保険を最短でも90日間、最長で330日間受給することが可能です。具体的な給付日数は「ハローワークのホームページ」に掲載されている一番上の表の通りになります。

    また、退職する従業員の生活の不安が大きいときは、退職届を提出することを条件に一定の退職金を支給することも検討しましょう。

    なお、退職勧奨の際に行う面談については、従業員が秘密で録音しており、録音テープが裁判で証拠提出されることも少なくありません。会社側において説明の仕方に注意することはもちろんですが、会社側でも録音をしておくことをおすすめします。

    (7)退職届を提出させる。

    退職勧奨の結果、退職の時期や金銭面の処遇についてまとまったときは、必ず、退職届を提出させましょう。

    この退職届を取得することは、従業員が退職勧奨に応じて退職を承諾したこと(解雇ではないこと)を示す重要な書類ですので必ず取得することが必要です。

     

    以上、退職勧奨の話し方、言い方の具体例として参考にしてください。

     

    9,退職勧奨の前に必ず弁護士にご相談を!

    以上、退職勧奨の進め方の注意点をご紹介し、また、話し方、言い方の具体例についてご紹介しました。

    ただし、実際に退職勧奨を行う際は、事前に企業の労働問題を扱っている弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

    その理由は以下の通りです。

    理由1:
    退職勧奨を一度行うと元には戻れない。


    理由2:
    退職勧奨をきっかけに、退職強要トラブル、不当解雇トラブルに発展するケースが急増している。

     

    以下で順番に見ていきましょう。

    理由1:
    退職勧奨を一度行うと元には戻れない。

    退職勧奨をいったん行うとその従業員との信頼関係は決定的に壊れてしまい、場合によっては会社に対して非協力的、反抗的な態度となることも少なくありません。

    会社としては従業員が退職勧奨に応じず、解雇に進まざるを得なくなることもあります。そのため、退職勧奨を行う前の段階で、解雇した場合のリスクの程度も検討しておくこと必要です。

    また、特に、従業員の成績不良や勤務態度不良が主な退職勧奨の理由である場合、裁判所は、これらの点を指導することは会社の責任と考えていることに注意が必要です。会社から十分な指導を行うことなく、退職勧奨を行い、さらに解雇に進んだ場合、会社の指導不足であるとして不当解雇と判断される可能性が高くなります。

    退職勧奨を行う前に、それまでの会社の指導が十分だったかどうか、解雇に踏み切ったときのリスクがどの程度になるかを十分に検討しておくことが重要です。

    理由2:
    退職勧奨をきっかけに、退職強要トラブル、不当解雇トラブルに発展するケースが急増している。

    冒頭でもご説明した通り、退職勧奨について退職強要に該当するとして、従業員から訴訟を起こされるケースがあり、例えば、「昭和電線電纜事件」(平成16年 5月28日横浜地方裁判所川崎支部判決)では、退職勧奨時の会社側の言動が一因となって、いったん退職に応じた従業員の退職が無効と判断され、会社に従業員の復職と「約1400万円」の支払いを命じられています。

    さらに、最近では、退職勧奨をしたとたん、「不当解雇だ」などと主張され、不当解雇トラブルに発展するケースも増えています。

    ▶参考:「弁護士が教える不当解雇の損害賠償、慰謝料と裁判での会社の守り方」についてはこちらも参考にご覧下さい。

     

    退職勧奨と解雇は紙一重ということもありますので、事前に「労働問題に強い弁護士」に相談し、場合によっては弁護士の立会を依頼して話を進めることが重要です。

    ▶参考:退職勧奨や解雇問題に強い、咲くやこの花法律事務所の「労働問題の弁護士への相談サービス」について詳しくはこちらをご覧下さい。
    ▼退職勧奨・退職勧告における対応について今スグ相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。

    企業法務におけるお悩みは、企業法務に強い弁護士へ。「咲くやこの花法律事務所」へご相談下さい。

     

    10,まとめ

    今回は、まず、「退職勧奨・退職勧告と解雇の違い」についてご説明したうえで、「退職勧奨・退職勧告についての基本的な考え方」をご説明したました。

    そのうえで、「退職勧奨、退職勧告の進め方の3つの注意点」として、以下の3点をご説明しました。

    注意点1:
    「退職届を出さなかったら解雇する」という発言は要注意である。

    注意点2:
    退職を目的とした配置転換や仕事のとりあげはしてはならない。

    注意点3:
    長時間多数回にわたる退職勧奨は退職強要と判断される危険がある。

     

    また、退職勧奨での従業員への伝え方の具体例をご紹介して、実際の退職勧奨の進め方についてご説明しました。

    そして、最後に、退職勧奨については、企業のリスクが大きい場面であり、またいったん退職勧奨を始めると後戻りができない面もあるため、弁護士への事前の相談が必要であることをご説明しました。

    裁判事例のご紹介により、退職勧奨時の言動が、場合によっては多額の支払い命令の対象となることをご理解いただけたと思います。

    退職勧奨・退職勧告ついては、行き過ぎがないように十分な注意が必要であることをおさえておいてください。

     

    11,咲くやこの花法律事務所なら「退職勧奨について、こんなサポートができます!」

    最後に、「咲くやこの花法律事務所」に関する「退職勧奨に関する企業向けサポート内容」をご紹介したいと思います。

    「咲くやこの花法律事務所」の弁護士による退職勧奨に関するサポート内容は以下の通りです。

    (1)退職勧奨の進め方、伝え方のご相談
    (2)退職勧奨面談への弁護士の立ち合い
    (3)退職勧奨後のトラブルについての交渉

     

    以下で順番に見ていきましょう。

    (1)退職勧奨の進め方、伝え方のご相談

    「咲くやこの花法律事務所」では、退職勧奨について、その進め方や伝え方のご相談を承っています。

    弁護士が退職勧奨の事情をお伺いし、退職勧奨のタイミングや退職勧奨の伝え方について具体的なアドバイスを行います。また、従業員が退職勧奨に応じない場合の解雇のリスク判断についても、退職勧奨前に必ず事前にご相談いただき、把握しておいていただくことが必要です。

    (2)退職勧奨面談への弁護士の立ち合い

    「咲くやこの花法律事務所」では、従業員への退職勧奨の面談について弁護士の立ち合いによるサポートも実施しています。

    特にトラブルが予想される退職勧奨の場面では、弁護士の立ち合いによるサポートをおすすめします。

    退職勧奨面談への立会に関する「咲くやこの花法律事務所」の解決実績の一例を以下のページでもご紹介していますのでご参照ください。

    ▶参考:「横領の疑いがある従業員に対して、弁護士が調査を行って横領行為を認めさせ、退職させた解決事例」について詳しくはこちらをご覧下さい。

     

    (3)退職勧奨後のトラブルについての交渉

    「咲くやこの花法律事務所」では、退職勧奨によりトラブルが発生してしまった場合の解決に向けての交渉のご相談、ご依頼もお受けしています。

    退職勧奨のトラブルは、解雇トラブルともつながるところがあり、対応を誤ると企業として大きな負担を裁判所から命じられることがあります。

    退職勧奨をめぐるトラブルについてはぜひ早めにご相談いただくことをおすすめします。

    退職勧奨後のトラブルについての「咲くやこの花法律事務所」の解決実績の一例を以下のページでもご紹介していますのでご参照ください。

    ▶参考:「従業員に対する退職勧奨のトラブルで労働審判を起こされたが、会社側の支払いなしで解決した事例」について詳しくはこちらをご覧下さい。

     

    退職勧奨を準備中の方、退職勧奨面談への弁護士の立ち合い依頼をご検討中の方、退職勧奨後のトラブルでお困りの方は、実績が豊富で労働問題に強い「咲くやこの花法律事務所」にご相談ください。

     

    12,退職勧奨、退職勧告に関して「咲くやこの花法律事務所」へのお問い合わせはこちら

    企業法務におけるお悩みは、企業法務に強い弁護士へ。「咲くやこの花法律事務所」へご相談下さい。

    13,退職勧奨、退職勧告に関するお役立ち情報配信中!無料メルマガ登録はこちら

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    14,退職勧奨や解雇に関連する他のお役立ち情報

    今回ご紹介した「退職勧奨、退職勧告の進め方の注意点と話し方、言い方」では、実際に退職勧奨を進めていく際の正しい手順をご理解いただけたと思います。ただ、記事の中でもご説明してきた通り、「退職勧奨」は解雇トラブルにつながる可能性もあり、その他にも会社側が知っておくべき情報は数多くあります。

    ここでは、退職勧奨や解雇に関連する他のおさえておくべき重要な情報をご紹介しておきます。

    弁護士が教える不当解雇の損害賠償、慰謝料と裁判での会社の守り方

    能力不足の従業員を解雇する前に必ず確認しておきたいポイント

    解雇の訴訟で勝てる会社と負ける会社の違いのポイント

    試用期間中の解雇の注意点について

    休職期間満了を理由に従業員を退職扱いあるいは解雇する時におさえておくべき注意点

    労務トラブルに強い企業側弁護士の探し方と相談の流れ

     

     

    記事作成弁護士:西川 暢春
    記事更新日:2017年6月1日

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