高齢の従業員を嘱託社員として雇用する場合の注意点
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高齢の従業員を嘱託社員として雇用する場合の注意点

2014年02月20日

最近、定年後に従業員を嘱託扱いで雇用する制度を設ける会社が増えています。

 

特に、平成25年4月以降、高齢者雇用安定法の改正で、正社員のうち原則として希望者全員を65歳まで継続して雇用する制度の導入が義務付けられています。

これに対する対応として、一番オーソドックスなものが、60歳での定年制は従来通り維持した上で、65歳まで希望者全員を嘱託社員として雇用する嘱託制度を設けるパターンです。

では、嘱託従業員の雇用に関して、会社としてはどのような点を注意しておくべきでしょうか。

 

 

この点に関して、参考になるのが、東京高等裁判所平成23年2月15日判決です。

この事件で被告となった航空機の整備を事業とする会社は、65歳以降も従業員の一部を「特別嘱託」として6か月ごとの契約で雇用していました。

ところが、その後、会社がこの特別嘱託の従業員との契約を更新しないことを通知したところ、65歳を超えて雇用されていた特別嘱託の従業員が契約を更新しないことは不当であるとして会社を訴えた事件です。

この事件では、特別嘱託の従業員は、会社がビジョンとして「エイジフリー」を掲げ、会社のトップが従業員の就業年齢の上限の撤廃を目指す旨の発言をしてきたことなどを指摘して、契約を更新しないのは不当だと訴えました。

確かに、この会社は、会社案内のパンフレットなどにも「就業者と会社間で無理のない就業形態を決めることにより就業者の上限年齢の撤廃を実現しました。」と記載をしていました。

しかし、裁判所は、そのような発言、記載があったとしても、それはあくまで会社のビジョンにすぎず、65歳を超えての雇用を法的に約束したものではないとではないとして、従業員の主張を認めませんでした。

 

 

高齢者雇用安定法でも65歳を超えての雇用は義務付けられておらず、この会社は法律で求められる以上の雇用の実現をビジョンとして掲げ従業員にも説明していたことになります。

そのビジョンは、社会的にも高齢者の雇用の実現が目指す空気の中で生まれたものだと思います。

しかし、このような経営上の負担を伴うビジョンの実現には、日々の経営の改善が伴わなければならず、経営を改善できなかった場合にはビジョンは実現できないということを、従業員との間で明確にしておかなければなりません。

結局、ビジョンを掲げるだけで、それを実現するのは従業員ら自身であるということが明確になっていなかったことに、この事件のトラブルの原因の根本があると思われます。

 

 

 

法的には、企業は65歳までの継続的な雇用の確保義務付けられていますが、60歳以降の雇用については、必ずしも60歳未満の従業員と同じ内容にすることは必要ありません。

60歳を超えた従業員については給与体系を別にしたり、出勤日や出勤時間を減らして雇用を継続することでも対応が可能です。また、65歳を超えて雇用を継続することは法律上は義務付けられていません。

高齢の従業員の雇用制度を設計するにあたっては、まずどの範囲までが法律上の要求かを見極めておく必要があります。

 

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