こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
残業があった場合の賃金計算の際に重要になる割増率について、調べていませんか?
労働基準法では、事業者が労働者に時間外労働や休日労働にあたる残業をさせた場合、労働者に対して割増賃金を支給することを義務付けています(労働基準法37条1項)。
割増賃金は、通常の労働時間または労働日の賃金(時間単価)に「割増率」を掛けて計算します。割増賃金の支給額が法定額より少ない場合は労働基準法違反となります。違反が発覚すると、労働基準監督署から是正勧告を受けたり、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されたりすることになります(労働基準法119条1号)。
また、労働者が事業者に対して残業代や割増賃金を請求する裁判などを起こすことも増えています。裁判になると、未払いの残業代や割増賃金に遅延損害金や付加金といった金銭が加算されて、高額の支払いを命じられるリスクが高くなります。
このようなトラブルを未然に防ぐためには、日頃から、残業について適切な割増賃金の支払いが必要です。
この記事では、割増賃金の算定に必要な「割増率」について、労働基準法のルールを詳しく解説します。この記事を最後まで読んでいただくことで、割増率について理解し、未払い残業代トラブルを未然に防ぐことができるようになります。
それでは見ていきましょう。
「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」
従業員の残業に対して労働基準法で定められたとおりに割増賃金を適切に支給していないと、重大な労使トラブルに発展するおそれがあります。
従業員や退職者から未払い残業代を請求された場合は、弁護士にすみやかに相談して、訴訟になる前に対応することが重要です。咲くやこの花法律事務所でも未払い残業代請求を受けた事業者向けに専門的なサポートを提供していますのでぜひご相談ください。
▶参考情報:残業代トラブルに強い企業側の弁護士への相談サービス
また、従業員から未払い残業代請求を受けた場合の、企業側の反論方法については、以下でも解説していますのでご参照ください。
※この記事内で紹介している労働基準法の根拠条文については、以下をご参照ください。
▼時間外労働の割増率について、弁護士の相談を予約したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。
【お問い合わせについて】
※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
今回の記事で書かれている要点(目次)
1,割増率とは?
割増率とは、割増賃金の計算に使用される比率を言います。労働基準法は、事業者に対して、従業員に時間外労働、休日労働または深夜労働をさせた場合に、通常の労働時間または労働日の賃金を一定の割合により増額した割増賃金を支払うことを義務付けています。この増額する割合を「割増率」あるいは「割増賃金率」といいます。
例えば、時間外労働について法律上支払いが義務付けられる割増賃金の額は以下の計算式で計算します。
▶参考:時間外労働の割増賃金額の計算方法
▶参考情報:割増賃金についての詳しい解説は、以下の記事や動画もあわせてご参照ください。
・割増賃金とは?労働基準法第37条や時間外・休日・深夜の計算方法を解説
・【動画】割増賃金(時間外労働・休日労働・深夜労働など)のルールを弁護士が解説
2,時間外労働・休日出勤・深夜の割増賃金率を一覧で確認
割増率は、時間外労働・休日労働・深夜労働についてそれぞれ以下の通り規定されています。一覧表で確認しましょう。
▶参考:割増賃金の一覧表
種類 | 支払う条件 | 割増率 | |
時間外 | 法定労働時間(1日8時間・1か月40時間)を超えて勤務させたとき | 時間外労働の内、1か月60時間までの部分 | 25%以上 |
時間外労働の内、1か月60時間を超える部分 | 50%以上 | ||
休日 | 法定休日に勤務させたとき | 35%以上 | |
深夜 | 22時から5時までの間に勤務させたとき | 25%以上 | |
時間外+深夜 | 深夜(22時から5時までの間)に時間外労働をさせたとき(1か月60時間まで) | 50%以上 | |
深夜(22時から5時までの間)に時間外労働をさせたとき、その内、1か月60時間を超える部分 | 75%以上 | ||
休日+深夜 | 法定休日の深夜(22時から5時までの間)に勤務させたとき | 60%以上 |
ただし、これらの割増率はあくまで法律上支払うべき最低額を計算するためのものです。これを法定割増賃金率と呼びます。そのため、就業規則や労働条件通知書で、各種の残業について上記の一覧表の記載以上の割増率を定めたときは、その割増率により計算することが必要です。
以下では、法定割増賃金率について詳細を見ていきたいと思います。
(1)時間外労働の法定割増賃金率
事業者が労働者に1日8時間、週40時間の法定労働時間を超えて残業をさせたときは、法律上、時間外労働にあたることが原則です。この時間外労働については時間外労働の割増賃金を支払わなければなりません。そして、時間外労働に対する賃金の割増率は25%以上とすることが義務づけられています(労働基準法37条1項本文、労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令)。
ただし、時間外労働が月60時間を超える場合、60時間を超えた部分については割増率を50%以上とする必要があります(労働基準法37条1項ただし書)。
▶参考例:通常の労働時間の賃金が1時間あたり2000円の労働者が、月70時間の時間外労働をしたときの、割増賃金の金額を計算してみましょう。
・月60時間までは法定割増賃金率は25%
月60時間までの部分についての1時間当たりの賃金=2,000円×1.25=2,500円
・月60時間を超える時間外労働の法定割増賃金率は50%
月60時間を超える部分についての1時間あたりの賃金=2,000円×1.5=3,000円
→ 2,500円 × 60時間 + 3,000円 × 10時間 = 180,000円
なお、以下の指針の5条3項により、時間外労働が月45時間、年360時間の限度時間を超える場合の割増率は、25%より高い率とするよう努めなければならないとされています。これはあくまで努力義務なので25%であっても違法ではありません。
(2)休日労働の法定割増賃金率
事業者が労働者を法定休日に残業させたときは、休日労働の割増賃金を支払わなければなりません。休日労働に対する賃金の割増率は35%以上とすることが義務づけられています(労働基準法37条1項本文、労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令)。
なお、労働基準法における「休日労働」とは、労働基準法で規定された法定休日にする残業のことをいいます。労働基準法35条は、原則として毎週1回の休日を与えることを義務付けており、これに基づき付与される休日が法定休日です。この法定休日の残業は法定割増賃金率が35%になります。
一方、法定休日ではない会社所定の休日(法定外休日)に残業をさせた場合は、労働基準法上の「休日労働」にはあたりません。そのため、休日労働の割増賃金を支払う必要はありません。ただし、法定外休日の労働時間も合わせると1週間の労働時間が40時間を超える場合は、その超過分は「時間外労働」に該当します。この場合、月60時間以内の部分については法定割増賃金率が25%、月60時間を超える部分は法定割増賃金率は50%になります。
▶参考情報:休日出勤の際の割増賃金の計算については、以下でも解説していますので併せてご参照ください。
(3)深夜労働の法定割増賃金率
事業者が労働者を22時から翌5時までの深夜の時間帯に労働をさせたときは、割増賃金を支払わなければなりません。この深夜労働に対する賃金の割増率は通常の労働時間の賃金の25%以上とすることが義務づけられています(労働基準法37条4項)。
(4)時間外労働・休日労働・深夜労働が重複したときの法定割増賃金率
ここまでご説明したとおり、時間外労働、休日労働、深夜労働についてそれぞれ法定割増賃金率が規定されていますが、これらの条件が重複する場合が考えられます。
たとえば、時間外労働が夜22時以降の深夜労働の時間帯まで及んだ場合や、法定休日に深夜労働をした場合などです。このような場合には、それぞれの割増率を足す必要があります(労働基準法施行規則20条)。
参考例1:時間外労働と深夜労働とが重複した場合の法定割増賃金率
=時間外労働の割増率25%以上+深夜労働の割増率25%以上
=50%以上
参考例2:月60時間を超える時間外労働と深夜労働とが重複した場合の法定割増賃金率
=時間外労働の割増率50%以上+深夜労働の割増率25%以上
=75%以上
参考例3:休日労働と深夜労働とが重複した場合の法定割増賃金率
=休日労働の割増率35%以上+深夜労働の割増率25%以上
=60%以上
これは、時間外労働や休日労働の規制が「労働時間の長さ」に関する規制である一方、深夜労働の規制は「労働する時間帯」に関する規制であり、趣旨や目的が異なるため、どちらも重複して適用されるべきだという考え方によるものです。
▶参考情報:労働基準法37条1項ただし書
ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
▶参考情報:労働基準法37条4項
使用者が、午後十時から午前五時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間において労働させた場合においては、その時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の二割五分以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
▶参考情報:労働基準法施行規則20条
第二十条法第三十三条又は法第三十六条第一項の規定によつて延長した労働時間が午後十時から午前五時(厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域又は期間については午後十一時から午前六時)までの間に及ぶ場合においては、使用者はその時間の労働については、第十九条第一項各号の金額にその労働時間数を乗じた金額の五割以上(その時間の労働のうち、一箇月について六十時間を超える労働時間の延長に係るものについては、七割五分以上)の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
・参照元:「労働基準法施行規則」の条文はこちら
3,月60時間を超える時間外労働の割増賃金率は大企業・中小企業ともに50%以上
労働基準法上、月60時間を超える時間外労働に対しては、事業者は50%以上の割増賃金率で計算した割増賃金を支払わなければなりません(労働基準法37条1項ただし書)。
この規定は、2023年3月31日までは大企業にのみ適用され、中小企業への適用は猶予されていましたが、2023年4月1日以降は中小企業にも適用されています。
2023年4月1日以降も、月60時間を超える時間外労働の割増率を25%として割増賃金の支給額を計算している事業者は労働基準法違反になっているおそれがあります。確認しておきましょう。
●2023年3月31日まで
1か月の時間外労働 | ||
60時間以下 | 60時間超 | |
大企業 | 25%以上 | 50%以上 |
中小企業 | 25%以上 | 25%以上 |
↓
●2023年4月1日から
1か月の時間外労働 | ||
60時間以下 | 60時間超 | |
大企業 | 25%以上 | 50%以上 |
中小企業 | 25%以上 | 50%以上 |
実際の計算の際は、この「月60時間」をどの日からカウントするか(起算日)が問題になります。この点については以下の通達により、就業規則等で定めがない限り、賃金計算期間の初日から数えることになっています。例えば、毎月末締めで給与を計算している月給制の従業員については、毎月1日から毎月末日が賃金計算期間になります。そのため、賃金計算期間の初日である毎月1日から時間外労働の時間数のカウントをすることになります。そして、この1か月の起算日からの時間外労働の時間数を累計して60時間を超えた時点から割増率を50%以上に引き上げる必要があります。
▶参考情報:厚生労働省「労働基準法の一部を改正する法律の施行について」の第2の1(2)
「一箇月の起算日については、毎月1日、賃金計算期間の初日、時間外労働協定 における一定期間の起算日等とすることが考えられるが、就業規則等において起算日の定めがない場合には、労使慣行等から別意に解されない限り、賃金計算期 間の初日を起算日とするものとして取り扱うこと。」
例として、1か月の起算日が毎月1日、法定休日が日曜日の会社のカレンダーで割増賃金率がどうなるかをみてみましょう。
カレンダーに書いてある時間数は、法定休日については休日労働の時間数、それ以外の日については時間外労働の時間数です。
この場合、割増賃金率は以下のとおりになります。
・カレンダー白色部分
=60時間までの時間外労働=25%以上
・カレンダー緑色部分
=60時間を超える時間外労働=50%以上
・カレンダー赤色部分
=法定休日労働=35%以上
4,所定外労働の割増率
所定外労働にも割増率は定められているのでしょうか?
まず、所定外労働とは、所定労働時間(会社の定時)を超えた労働のことをいいます。いわゆる「残業」のことです。
所定労働時間は、法定労働時間(原則として1日8時間・週40時間)の範囲内であれば就業規則や労働条件通知書において設定できます。そのため、所定労働時間を8時間より短く設定した会社では、所定外労働に「所定労働時間を超えるものの法定労働時間を超えない残業」と「法定労働時間を超える残業」の2種類が存在します。
この「所定労働時間を超えるものの法定労働時間を超えない残業」のことを「法内残業」といいます。法内残業は法定労働時間内の残業なので、労働基準法の「時間外労働」にはあたらず、割増賃金を支払う必要はありません。
ただし、22時から翌5時の間に行われた労働については、所定外労働でも所定内の労働でも、深夜労働の割増賃金の支払いが必要です。
このように、法定の割増賃金率は、時間外労働・休日労働および深夜労働に対して割増賃金を支払うために定められているものです。所定外労働(残業)についても、それが法定時間外労働、法定休日労働、深夜労働のどれにもあたらないときは、法律上、割増賃金の支払義務はありません。
5,36協定の特別条項における割増賃金率の記載例
事業者が労働者に時間外労働や休日労働をさせる場合は、あらかじめ、労働者の過半数代表者または過半数を組織する労働組合との間で労使協定を締結して労働基準監督署長に届け出る必要があります。この労使協定のことを、一般的に「36協定」と呼んでいます(正式名称は「時間外労働・休日労働に関する協定届」です)。
36協定に定める時間外労働の上限は、原則として、月45時間・年360時間までの限度時間内で設定する必要があります(労働基準法36条4項)。ただし、「特別条項付きの36協定」を締結して届け出た場合は、臨時的に、休日労働とあわせて月100時間未満・時間外労働年間720時間までの労働をさせることが可能になります(労働基準法36条5項)。「特別条項付き36協定」では、月45時間・年360時間の通常の限度時間を超えて労働させる場合の時間外労働・休日労働の上限を定めます(休日労働とあわせて月100時間未満・時間外労働は年間720時間以内)。
また、月45時間・年360時間の通常の限度時間を超えて残業させる場合の割増賃金率についても「特別条項付きの36協定」で定める必要があります。1か月45時間の限度時間を超える場合と1年360時間の限度時間を超える場合の双方について特別条項を設ける場合は、割増賃金率もそれぞれの期間ごとに定めて記載します。
▶参考:36協定の特別条項(様式第9号の2(第16条第1項関係)の2枚目)の記載例
・参照元:厚生労働省「36協定届の記載例(特別条項) (様式第9号の2(第16条第1項関係))」
なお、「2,時間外労働・休日出勤・深夜の割増賃金率を一覧で確認」でも説明したとおり、月45時間・年360時間の通常の限度時間を超える場合の割増率は25%より高い率とするよう努めなければならない、という努力義務が課されています。
また、1ヶ月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率は50%以上に設定する必要があります(労働基準法37条1項ただし書)。そのため、月45時間を超える部分についての割増率と月60時間を超える部分についての割増率が異なる場合は、その両方を36協定に記載しておくことが適切です。
▶参考情報:残業・時間外労働のルールや36協定に関する詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。
6,就業規則や労働条件通知書にも割増賃金率の記載が必要
割増賃金率は、「賃金の決定、計算及び支払いの方法」に関する事項ですので、就業規則に必ず記載しなければなりません(労働基準法89条2号)。そして、冒頭でもご説明したように、法定の割増賃金率は、あくまで法律上支払うべき割増賃金の最低額を計算するためのものです。就業規則や労働条件通知書で、法定の割増賃金率以上の割増率を定めたときは、その割増率により計算することが必要です。
▶参考:労働基準法89条
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
2 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
就業規則に割増賃金率の記載がないと労働基準法89条違反になり、30万円以下の罰金の対象になります(労働基準法120条)。
厚生労働省のモデル就業規則などを参考にして割増率を適切に記載しましょう。
▶参考情報:厚生労働省のモデル就業規則の割増賃金率の規定例
(割増賃金)
第40条 時間外労働に対する割増賃金は、次の割増賃金率に基づき、次項の計算方法により支給する。
(1)1か月の時間外労働の時間数に応じた割増賃金率は、次のとおりとする。この場合の1か月は毎月 日を起算日とする。
① 時間外労働45時間以下・・・25%
② 時間外労働45時間超~60時間以下・・35%
③ 時間外労働60時間超・・・・・50%
④ ③の時間外労働のうち代替休暇を取得した時間・・・35%(残り15%の割増賃金は代替休暇に充当する。)
(2)1年間の時間外労働の時間数が360時間を超えた部分については、40%とする。この場合の1年は毎年 月 日を起算日とする。
(3)時間外労働に対する割増賃金の計算において、上記(1)及び(2)のいずれにも該当する時間外労働の時間数については、いずれか高い率で計算することとする。
2 略
3 略
・参照元:厚生労働省「モデル就業規則」(pdf)
また、割増賃金率は、労働条件通知書にも記載する必要があります。労働基準法では、労働契約の締結時に事業者が労働者に対して賃金や労働時間等の労働条件を明示することを義務付けています(労働基準法15条)。
▶参考:労働基準法15条
第15条 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
このため、事業者は、労働者を新たに採用するときや、有期雇用契約の労働者と契約を更新するときは、労働条件通知書を交付しなければなりません。そして、割増賃金率は賃金の決定に必要な事項ですので、労働条件通知書に明記しなければなりません。
▶参考:労働条件通知書の記載例
労働条件通知書に割増賃金率の記載がないと、労働条件の明示義務違反となり、30万円以下の罰金が科される場合があります(労働基準法120条)。
▶参考情報:労働条件通知書のひな形が厚生労働省のホームページに掲載されていますので、これらも参考にして、割増率を適切に記載するようにしましょう。
・厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー(労働基準法等関係主要様式)」内の「労働条件通知書」の様式(ひな形)
▶参考情報:労働基準法15条の労働条件の明示義務については以下で解説していますのでご参照ください。
7,割増賃金の支払いについて弁護士に相談したい方はこちら(使用者側専門)
咲くやこの花法律事務所では割増賃金の支払いに関するトラブルの予防や紛争の解決について事業者側からのご相談をお受けし、事業者向けに専門的なサポートを提供してきました。以下で咲くやこの花法律事務所におけるサポート内容をご紹介します(※個人からのご相談はお受けしていません)。
(1)労務管理についてのご相談
従業員に対して適切に割増賃金を支払っているつもりでも、36協定の届出や就業規則や労働条件通知書などが適切に整備・運用できていないと、従業員との間で未払残業代トラブルに発展してしまうおそれがあります。
咲くやこの花法律事務所では、労務問題について企業からのご相談を長年お受けしており、事務所内にこの分野のノウハウ、経験が蓄積されています。労務問題に強い弁護士が企業側の立場に立ってご相談を承りますので、自社の労務管理について不安のある事業者様は、ぜひ「咲くやこの花法律事務所」の相談サービスをご利用ください。
咲くやこの花法律事務所の労務問題に強い弁護士への相談料
●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
(2)未払い残業代トラブルに関する対応のご相談
咲くやこの花法律事務所では、従業員から未払い残業代(割増賃金)の請求を受けてトラブルになってしまった場面についても事業者側の立場からのご相談、ご依頼をお受けしています。
未払い残業代に関するトラブルは、訴訟に発展するなどして対応が長期化すると事業者の負担が大きくなりやすいトラブルです。咲くやこの花法律事務所では、これまでに蓄積されてきた経験やノウハウを活かして、企業側の立場から請求に対して的確に反論しつつ、迅速な解決を目指します。お困りの方はできるだけ早い段階で、咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
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▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の未払い残業代トラブルに関するサポート内容や解決実績については以下もご参照ください。
(3)顧問弁護士サービスによるサポート
咲くやこの花法律事務所では、企業の労務管理全般を支援する顧問契約で、多くの事業者をサポートしてきました。
咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスをご利用いただくことで、日頃から顧問弁護士に相談して企業の整備を進めることができ、トラブルに強い企業を作ることができます。また、万が一のトラブル発生時も顧問弁護士に相談して迅速かつ適切な対応ができ、早期解決につなげることができます。
咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスの費用例
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咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスのご案内は以下をご参照ください。
▶咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスについては、以下で詳しく説明していますので、ご参照ください。
(4)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法
弁護士の相談を予約したい方は以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
【お問い合わせについて】
※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
8,まとめ
今回は、割増率についてご説明しました。
事業者が従業員に時間外労働や休日労働や深夜労働をさせたときは労働基準法で定められた額以上の割増賃金を支払う義務があります。
法律上支払いが義務付けられる割増賃金の金額は通常の労働時間または労働日の賃金に法定の割増賃金率を掛けて算出されます。割増率は労働基準法で規定されており、時間外労働の場合は25%以上(月60時間を超える時間外労働は50%以上)、休日労働の場合は35%以上、深夜労働の場合は25%以上の率でなければなりません。
時間外労働が深夜に及んだ場合や、法定休日に深夜労働をした場合はそれぞれの法定割増賃金率を合計した率が法定割増賃金率となります。
また、事業者が従業員に月45時間・年360時間までの限度時間を超えて時間外労働をさせる場合に提出する「特別条項付きの36協定」には、限度時間を超えた時間外労働の割増率を記載する必要があります。月45時間を超えた時間外労働の割増率は25%を超える率とするのが望ましいと厚生労働省告示で示されています。
そして、割増率は、賃金の決定や計算及び支払いの方法に関する事項ですので、就業規則や労働条件通知書にも明記する必要があります。
割増率は賃金の支払いに直結する重要な問題です。労働基準法の規定を踏まえて適切に定めていないと従業員との間で残業代の支払トラブルに発展するおそれがあり、また、労働基準法違反として罰則を科されるおそれもあります。トラブルを未然に防ぐためにも、残業代の支払や就業規則の整備に不安がある場合は早めに弁護士に相談することが望ましいです。咲くやこの花法律事務所でも弁護士が事業者の立場に立ってご相談をお受けしていますのでご利用ください。
9,【関連】残業に関するその他のお役立ち記事
この記事では、「残業の割増率とは?時間外労働などの割増賃金率について解説【一覧表付き】」について、わかりやすく解説しました。残業に関する労務管理ついては、その他にも知っておくべき情報が幅広くあり、正しい知識を理解しておかなければ重大なトラブルに発展してしまいます。
以下ではこの記事に関連する残業のお役立ち記事を一覧でご紹介しますので、こちらもご参照ください。
・残業時間の計算方法とは?エクセルやツールでの計算の注意点について
・残業代とは?労働基準法のルールや計算方法、未払いのリスクについて
・固定残業代(みなし残業代)とは?導入メリットや計算方法・注意点を解説
・残業時間の上限とは?建設業・運送業等の新たな残業規制2024年問題も解説
・管理職の残業代は出ない?時間外労働と残業時間のルールを詳しく解説
記事作成日:2025年1月10日
記事作成弁護士:西川 暢春
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