こんにちは。弁護士法人咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
「入社して間もない社員がうつ病と診断されたので休職したいと言っている」
「主治医は復職可能と言っているが、会社としてはまだ無理だと感じている」
「運転手がうつ病と診断されて薬を飲んでいるが仕事をさせても大丈夫か」
「うつ病休職を繰り返す従業員の対応に困っている」
「従業員を指導したらパワハラでうつ病になったと言われて困っている」
このようなご相談は、咲くやこの花法律事務所でも非常に増えています。
会社が対応を誤ると、安全配慮義務違反、不当解雇のトラブルに発展することもあります。最近では例えば以下の例があります。
●事例1:水戸地方裁判所判決令和6年4月26日
抑うつ状態で1年近く出勤しない職員の解雇が無効であると判断され、使用者が約500万円の支払を命じられました(▶参考情報:「水戸地方裁判所判決令和6年4月26日」判決内容はこちら)
●事例2:大阪高等裁判所判決令和6年1月19日
うつ病で服薬通院中のドライバーに対する退職勧奨が違法とされ、会社が80万円の損害賠償を命じられました。
さらに、令和8年4月からは、企業による「治療と就業の両立支援」が努力義務化されており、病気を抱える従業員について、これまで以上に適切な対応が求められています(労働施策総合推進法27条の3)。
そのため、自社でうつ病の従業員への対応が必要となる場面で誤った対応を行わないように、会社としての対応の全体像や各手続の重要なポイント、注意点などを正しく理解して、いざというときに初動段階から正しく動けるように対策を講じておくことが非常に重要です。
この記事では、うつ病の従業員に対して会社がどう対応すべきかについて、企業側が注意すべきポイントや最新の裁判例も踏まえながら弁護士がわかりやすく解説します。この記事を最後まで読んでいただくことで、休職の判断から休職中の対応、復職支援、さらに復職が難しい場合の雇用終了まで、企業としてどのように対応すべきかを理解していただくことができます。現在、うつ病の従業員への対応についてお困りの方は、適切な問題解決に向けて動き出すことができるようになります。
それでは見ていきましょう。
うつ病の従業員への対応は、企業にとって難しい問題です。企業としてどこまで配慮すべきか、就業を認めるべきか、いつ休職を命じるべきか、復職を認めるべきか、退職勧奨をしてよいのか、雇用を終了してよいのか、これら1つ1つについて正しい対応が必要です。対応を誤れば、安全配慮義務違反や不当解雇、不当な復職拒否などのトラブルに直結します。
咲くやこの花法律事務所では、創業以来16年以上にわたり、企業側の立場で企業からの人事労務の相談をお受けしてきました。令和8年7月現在も650社以上の企業に顧問弁護士サービスを提供し、その中で多くのご相談に対応しています。
うつ病など精神疾患のある従業員への対応、休職・復職対応、休職期間満了後の対応などに関する企業からのご相談も多数お受けし、解決してきました。お困りの際は早めに咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の弁護士によるうつ病など精神疾患のある従業員への対応サポートについては以下をご参照ください。
・うつ病など精神疾患のある従業員への対応のサポート内容はこちら
※咲くやこの花法律事務所では、企業または事業者からのご相談のみお受けしています。
また、咲くやこの花法律事務所の弁護士がうつ病など精神疾患のある従業員の対応をサポートした解決事例もご紹介していますのであわせてご覧ください。
▼うつ病など精神疾患のある従業員への対応について、弁護士の相談を予約したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。
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※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
1,うつ病の社員に会社が取るべき対応とは?

従業員がうつ病を発症した場合、会社には病状に配慮しながら適切な労務管理を行うことが求められます。これらは単に医療上の問題ではなく、企業の安全配慮義務、個人情報保護法上の義務、解雇規制への対応、精神障害者に対する合理的配慮の義務が関係する法的な問題が大きくかかわります。
対応を誤ると、従業員の症状を悪化させるだけでなく、休職や復職、退職をめぐるトラブルや損害賠償請求につながるおそれもあるため、慎重な対応が必要です。
うつ病の従業員への対応は、一般的に以下の流れで進めることになります。
- ① 産業医との面談や心療内科、精神科の受診を促す
- ② 医師の診断書を確認し、就業継続の可否を判断する
- ③ 就労が困難な場合は休職制度を利用して治療に専念させる
- ④ 休職期間中は傷病手当金の申請支援や状況確認を適切に行う
- ⑤ 主治医や産業医と連携しながら復職を支援する
- ⑥ 復職が難しい場合は、就業規則に基づいて退職等を検討する
このように、うつ病の従業員への対応は、診断から休職、復職支援、さらには復職できない場合の対応まで、長期間にわたることが少なくありません。各段階で適切に対応することが重要です。
▶参考情報:なお、うつ病の兆候がある従業員への初期対応については、以下の記事で詳しく解説しています。従業員にうつ病の兆候が見られる場合は、まずこちらの記事をご確認ください。
・従業員に精神疾患の兆候が出た際の会社の正しい対応方法を解説
また、この記事の著者 弁護士西川暢春が、「従業員にうつ病の兆候が出た際の会社の対応方法を弁護士が解説します。」の動画でも詳しく解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
うつ病の従業員への対応の遅れが、致命的な失敗につながることもあります。
例えば、宮崎地方裁判所判決令和8年1月30日は警察官の事案です。この事案では、課長が部下の体調不良に気づき、業務を軽減する、産業医らによるカウンセリングを受けさせるなどの対応をとりましたが、その後すぐに部下はうつ病自殺に至りました。
判決は、部下の生前の言動から自殺の前月にはうつ病を発症していたと判断し、またこのうつ病はパワハラや長時間労働によるものであるとして、使用者であった県に賠償を命じました。課長が気づいた時にはすでに手遅れだったといえます。
このような事態を防ぐためには、企業の労務管理に精通した弁護士の支援を受けて、顧問弁護士サービスによりいつでも弁護士に相談できる体制を作り、また、労務管理の改善に日々取り組むことが重要です
▶参考情報:宮崎地方裁判所判決令和8年1月30日の判決文は以下からご覧いただけます。
2,休職を命じる場面で会社が取るべき対応とは?

従業員がうつ病と診断された場合であっても、直ちに休職させなければならないとは限りません。まずは診断書を提出させて主治医の診断内容を確認し、就業を継続できる状態にあるのかを診断書で確認する必要があります。
うつ病の症状によって勤務が困難な状態にもかかわらず無理に就労を継続させると、会社の安全配慮義務違反の問題が生じるため、注意が必要です。
「自宅療養が必要」と記載された診断書が提出された場合は、就業規則に基づき速やかに休ませ、就業規則の休職事由に該当した段階で休職命令の手続きを進めましょう。
会社がうつ病の従業員に休職を命じる場面での対応は、次の3点が重要です。
- (1)就業規則の休職事由にあたるかを正しく確認する
- (2)休職は文書で命じる
- (3)うつ病で休職する従業員に休職制度の内容を正しく説明する
それぞれ、順番に解説していきます。
(1)就業規則の休職事由にあたるかを正しく確認する
まず、就業規則の休職事由を確認することが大切です。
例えば、「業務外の傷病による欠勤が1か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき 」と就業規則にある場合に、欠勤がはじまってすぐに休職を命じることはできません。就業規則通り欠勤が1か月を超えてから命じなければなりません。
(2)休職は文書で命じる
次に、休職を命じる際は、「休職命令書」を発行し、休職期間や復職の条件、休職中の給与の有無などを対象の従業員に明確に伝えましょう。うつ病で苦しんでいる人にこのような対応は気が引けるとおっしゃる人事担当者もいらっしゃいますが、ここは明確な対応が必要です。
(3)うつ病で休職する従業員に休職制度の内容を正しく説明する
休職期間中の給与は無給とされている例が多いです。就業規則で自社の規定を確認してください。無給の場合は、健康保険の傷病手当金制度について説明し、必要に応じて申請手続きをサポートするようにしましょう。
他にも、休職期間中の会社との連絡方法や、復職する場合の手続きについての説明を行う必要があります。特に復職については、本人の希望だけでなく、主治医の診断内容等を踏まえて会社が復職可能と判断することが復職の条件となること等を適切に説明しておくことが、後のトラブル防止のために重要になります。
会社が休職制度の運用を誤り、それが原因で従業員との間でトラブルにつながることも少なくありません。
▶参考情報:休職制度の概要や休職命令の出し方、休職期間中の対応については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもぜひご覧ください。
・うつ病で休職する従業員の対応は?診断書や基準、期間、手続きの流れなどを解説
また、この記事の著者 弁護士西川暢春が、「うつ病で休職する従業員への対応方法を弁護士が解説」の動画でも詳しく解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
ご相談をお受けしていて多く見られるのが、就業規則で休職事由を「欠勤が1か月を超え、なお療養を継続する必要があるとき 」などと定めているのに、欠勤がはじまってすぐに休職を命じてしまっているといった誤りです。
また、休職を明確に命じておらず、単なる休職制度の説明にとどめてしまっている例もあります。
このように休職命令の段階の不備がある場合、仮に休職期間満了のタイミングで復職ができないとしても、休職自体が無効であることから、休職期間満了による退職扱いはできません。
この点の誤りで企業が敗訴している例も見られます。
休職段階で正しく休職命令を出すことは非常に重要なので、休職を命じる前の段階で必ず適切な弁護士にご相談ください。咲くやこの花法律事務所でもご相談をお受けしておりますので、ご利用ください。
▶参考情報:うつ病など精神疾患のある従業員への対応のサポート内容はこちら
また、休職命令については以下の記事でも解説してますのであわせてご参照ください。
▶参考情報:休職命令とは?出し方と注意点をわかりやすく解説
3,休職期間中に必要な対応

うつ病による休職は、従業員を治療に専念させ、将来的な職場復帰を目指すための制度です。そのため、会社は休職命令を出して終わりではなく、休職期間中も適切な対応を継続する必要があります。
ただし、頻繁な連絡や休職中の過ごし方についての過度な干渉は従業員の精神的負担となる場合もあるため、病状に配慮しながら適切な距離感で対応することが重要です。
休職期間中に必要な会社側の対応は、以下の通りです。
- (1)定期的に状況を確認する
- (2)復職に向けた準備を進める
- (3)休職期間満了日を管理する
それぞれ、順番に解説していきます。
(1)定期的に状況を確認する
会社は休職中の従業員に対し、一定の頻度で病状や治療状況を確認することが重要です。ただし、頻繁な連絡や復職を急かすような発言は避けなければなりません。
休職開始時に、あらかじめ連絡方法や病状・治療状況の報告頻度について取り決めて従業員に伝え、その取り決めのとおりに状況を確認するようにしましょう。
また、就業規則に休職者に定期的に診断書の提出を義務付ける規定がある場合は、この規定にしたがって診断書の提出を求めることが重要です。休職期間中に病状の経過や復職の見込みを把握するためには、診断書の提出が有効な手段です。
(2)復職に向けた準備を進める
病状の回復状況に応じて復職に向けた準備も進めていく必要があります。診断書の提出を求めて復職についての主治医の意見を確認したり、産業医との面談を実施したりすることが考えられます。
復職の見込みがある場合、最初から休職前と同じ労働条件や業務内容で復帰させるのではなく、3か月程度の期間、業務を軽減したり、勤務を短時間にして徐々にもとに戻していくことも検討する必要があります。
また、本人のうつ病が過重労働やハラスメントなど職場環境に起因していないかも確認し、問題があれば改善する必要があります。
これらの点について、早い段階から、検討や準備を進めておくことが重要です。
(3)休職期間満了日を管理する
休職期間満了日の管理も重要です。
休職期間が満了しても復職できない場合には、就業規則に基づき自然退職や退職扱いとなることがあります。一方で、休職期間の計算を誤ったり、復職可能性の検討が不十分なまま退職扱いにしたりすると、後にトラブルへ発展することもあります。
そのため、会社は休職期間満了日を正確に管理するとともに、満了日が近づいた段階で、顧問弁護士や産業医の支援を受けながら復職可能性について適切に検討する必要があります。
うつ病での休職期間中の会社からの連絡については、休職者とトラブルがあった人が連絡担当となることは避けることが必要です。また、連絡方法について主治医の指示があった場合はそれに従わなければなりません。
会社関係者との接触を控えるようにという主治医の見解を伝えられていたにもかかわらず、上司がうつ病の休職者に直接電話連絡したり、休職者と面談したりした事例では、会社の義務違反であるとして損害賠償が命じられています(京都地方裁判所判決平成28年2月23日)。
4,うつ病で休職した従業員の復職への支援はどうすべき?

うつ病で休職していた従業員の職場復帰を検討するにあたっては、再度体調が悪化し、休職しなければならない事態を避けなければなりません。会社は従業員の回復状況を確認しながら、主治医や産業医、顧問弁護士と連携して慎重に復職支援を進めることが重要です。
職場復帰(リワーク)への支援において、ポイントとなるのは主に以下の7つです。
- (1)従業員にリワークプログラムを受けさせる
- (2)復職の可否について必ず主治医の診断書で確認する
- (3)会社の労務担当者が主治医を訪問して、復職に関する注意点をヒアリングする
- (4)産業医がいる場合は産業医の意見も聴く
- (5)休職者本人の意向や復帰予定の職場の意見を聴く
- (6)休職者に「試し出勤」をさせ、復職の可否を判断する
- (7)休職者に生活リズム確認表を記載してもらい、生活リズムが整っていることを確認する
重要なことは、従業員本人に復職したいという意欲があるからといって、すぐに復職させるのは適切ではないという点です。
休職が続くことへの焦りなどが原因で、復職が早くなりすぎてしまう可能性があるためです。無理な復職は、症状の悪化につながり、企業としても安全配慮義務違反を問われます。復職の可否を判断するにあたっては、必ず主治医の診断書を提出させましょう。
そして、「復職可能」という主治医の診断があるからといって、本当に復職が可能な健康状態にまで回復しているとは必ずしもいえないということも重要です。主治医の復職可能という診断が、退職を避けたいという本人の意向によるもので実際に健康状態が回復しているとはいえない例もあります。
産業医の意見や、試し出勤、生活リズム確認表による生活リズム確認、主治医に対する質問、医療照会、リワークプログラムの資料取り寄せ等により、本当に復職可能な状態なのかどうかをよく確認する必要があります。
▶参考情報:試し出勤とは、復職の可否の判断のために、復職希望者を試験的に会社に出勤させ、会社で一定の時間を過ごさせることです。
なお、復職を認める場合でも、復職後すぐにフルタイム勤務させたり、休職前と同じ業務内容や業務量を担わせると、負荷がかかりすぎて、精神疾患の症状が再発したり悪化したりするおそれがあります。そのため、産業医や主治医の意見を聞いて、短時間勤務や業務内容の軽減などの段階的な職場復帰を検討することも重要になります。
▶参考情報:復職判断のポイントや復職させるときの適切な流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご参考にしてください。
・うつ病や適応障害で休んでいた従業員を復職させるときの正しい方法
また、この記事の著者 弁護士西川暢春が、「うつ病の休職者を復職させる場合の注意点5つを弁護士が解説」の動画では、うつ病の休職者を復職させる場合の注意点について詳しく解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
なお、職場復帰への支援にあたり、必ず確認すべき公的な資料として以下のものがあります。
・厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き~メンタルヘルス対策における職場復帰支援~」(pdf)
うつ病による休職者の復職可否判断をめぐっては、訴訟トラブルに発展する例も少なくありません。
会社は、リワークプログラムの資料、産業医意見、主治医への医療照会、試し出勤の状況、生活リズム確認表などの資料を網羅的に検討したうえで、適切な判断をしなければなりません。
この点は法的な判断を伴うものなので、弁護士に相談したうえで最終的な結論を出すことが必要です。精神疾患による休職者についての復職審査の進め方は、咲くやこの花法律事務所の弁護士3名で執筆した書籍「3大労使トラブル円満解決の実践的手法」でも詳しく解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
5,復職が難しい場合はどうする?うつ病の従業員の解雇・退職勧奨は可能か?

うつ病で休職している従業員については、休職期間満了の時点でも十分な回復が見込めず、職場復帰が困難なケースがあります。従業員との雇用関係を終了させるには、解雇、休業期間満了による自然退職、退職勧奨による合意退職が考えられます。
結論から言えば、解雇や自然退職による対応は法的なリスクを伴うため、できるだけ合意退職による解決を目指し、やむを得ない場合のみ解雇や自然退職により対応すべきです。また、いずれの場合も、従業員との間でトラブルになるおそれがあるため、弁護士に事前に相談したうえで適切な対応が必要です。
順番に見ていきましょう。
(1)解雇
従業員が休職期間を経ても復職できない状況であれば、会社はその従業員を解雇することができることが原則です。ただし、注意点を理解せずに解雇してしまうと、不当解雇として訴えられて裁判で敗訴してしまうことがあるので注意してください。
例えば、以下の場面では、解雇することが原則として認められません。
- 主治医が「復職可能」と診断しており、復職が困難であることを裏付ける医学的証拠が他にない場合
- うつ病発症前の状態まで完全に回復していないが、3か月程度勤務を軽減すれば就業が可能な状態にまで回復することが見込まれる場合
- 休職期間を使い切っていない場合
- うつ病発症の原因が長時間残業やセクハラ、パワハラなど、業務に起因する場合
これらのケースに当てはまる場合、裁判で不当解雇と判断されて解雇が無効になってしまいます。解雇については必ず弁護士に相談したうえで慎重に検討する必要があります。
▶参考情報:うつ病による休職期間満了後の解雇の判断基準については、以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
・うつ病の従業員を解雇する際に必ず押さえておくべき注意点4つ
なお、裁判で不当解雇と判断されたらどのようなリスクがあるのかについては、以下の記事を参考にしてください。
(2)休職期間満了による自然退職
就業規則に休職期間満了時に復職できない場合に自然退職や自動退職扱いとする規定を設けている場合も、休職期間満了時の対応について慎重な判断が必要です。
会社が復職不可と判断して休職期間満了により一方的に退職扱いにした結果、従業員との間でトラブルに発展して、裁判で復職可能と判断されるリスクがあります。その場合、会社の退職扱いが誤りだったことになり、会社はその時点にさかのぼって賃金の支払いを命じられます。
このようなリスクを避けるためには、休職期間満了により一方的に雇用関係を終了させるのではなく、退職勧奨を行って合意退職による解決を目指すことが重要です。
休職期間満了による解雇や自然退職をめぐる訴訟トラブルは非常に多くなっており、必ず事前に弁護士に相談のうえ、会社としての意思決定をすることが必要です。
▶参考情報:この点については以下でも解説していますのであわせてご参照ください。
うつ病の休職者が復職を希望したのに対し、会社が「昼間に眠気がある」ことを主治医が記載していること等を理由に、復職を認めず、休職期間満了により雇用を終了した事案では、会社が敗訴し、会社は約1080万円の支払いを命じられています(東京地方裁判所判決平成26年11月26日)。
この事案については、この記事の著者 弁護士西川暢春が、「復職トラブル事例『うつ病からの復職!昼間に眠気あっても復職認めるべき?』を弁護士が解説」の動画で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
(3)退職勧奨
うつ病で休職していて復職不能な従業員に対して退職勧奨を行う場合も、通常以上に慎重な対応が求められます。
精神的に不安定な状態の従業員に対して、強引に退職を迫ったり、執拗に面談を行ったりした場合は、違法な「退職強要」にあたると判断されるリスクがあります。また、退職を無理迫ったことで病状が悪化してしまった場合、安全配慮義務違反や損害賠償請求の問題に発展するおそれもあります。
退職勧奨を進めるべきかどうかの判断の段階から、慎重に検討することが必要です。
▶参考情報:うつ病の従業員に対する退職勧奨の進め方や、違法な退職勧奨と判断されるケースについては、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
このように、解雇や退職に関わる場面は、従業員との間で非常にトラブルに発展しやすい場面です。適切な判断をするために考慮すべき事柄も多岐にわたります。必ず弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
6,うつ病の従業員への対応で会社が避けるべきこととは?

うつ病の従業員への対応を誤ると、症状が悪化して安全配慮義務違反を問われたり、不当解雇などの労務トラブルにつながったりするおそれがあります。
そのため、うつ病の従業員への対応場面では、会社は以下のような対応は避けるべきです。
- (1)病気に対する理解を欠いた発言をし、あるいは無理に出勤や復職を求めること
- (2)本人の同意なく病状を周囲に共有すること
- (3)十分な検討をせずに解雇や退職勧奨を行うこと
ここでは、うつ病の従業員への対応において会社が避けるべき対応について詳しく解説します。
(1)病気に対する理解を欠いた発言をし、あるいは無理に出勤や復職を求めること
うつ病の従業員に対して、「気持ちの問題だ」「みんな大変なのだから頑張れ」などの発言は避けるべきです。
うつ病は医学的な治療を要する病気であり、精神論や根性論による解決はできません。励ましのつもりの不用意な発言がハラスメントとして問題になるケースもあるので注意が必要です。
また、うつ病で休職中の従業員に対して、「早く復帰してほしい」「いつまで休むのか」などと繰り返し伝えることも避けるべきです。
休職制度は治療に専念するための制度であり、会社が復職を急かすことで症状が悪化するおそれがあります。また、主治医が就労困難と判断しているにもかかわらず、引継ぎなどを理由に出勤を求めた場合には、安全配慮義務違反を問われるリスクがあります。
(2)本人の同意なく病状を周囲に共有すること
うつ病の診断や治療状況は重要な個人情報です。個人情報保護法上も、特に配慮を要する要配慮個人情報に位置付けられています。
業務上必要な範囲を超えて病状を社内に共有すると、プライバシー侵害の問題が生じる可能性があります。情報共有が必要な場合でも、本人の意向を確認しながら慎重に進めることが重要です。
(3)十分な検討をせずに解雇や退職勧奨を行うこと
うつ病による欠勤や作業効率の低下を理由に、安易に解雇や退職を迫ることは原則としてできません。
休職制度の利用や復職支援、配置転換の可能性などを十分に検討しないまま解雇したり退職を求めたりすることは、トラブルに発展するリスクが高いので避けるべきです。
一方で、うつ病で服薬・通院していることだけを理由に、特に業務上の必要もないのに、退職勧奨をすることも、障害者差別禁止指針に反する違法な対応と評価される恐れがありますので注意が必要です。
▶参考情報:障害者差別禁止指針については以下をご参照ください。
7,うつ病の従業員への対応に関するトラブル事例【裁判例紹介】
うつ病の従業員への対応を誤ると、解雇無効や安全配慮義務違反による損害賠償請求などの法的トラブルに発展することがあります。
特に、会社側が十分な配慮を行わなかった場合や、復職可否の判断を誤った場合には、裁判で会社側が不利な判断を受けることになります。
ここでは、うつ病の従業員対応に関して実際に問題となりやすい代表的な裁判例の類型をご紹介します。
裁判例1:うつ病による私傷病休職期間を満了後に解雇された従業員が、うつ病が業務に起因すると主張して解雇無効を訴えた事例(東芝事件・最高裁判所判決平成26年3月24日)
うつ病を発症した従業員が、私傷病休職期間を満了したものの復職することができず、解雇されました。従業員は、解雇された後、うつ病は過重な業務に起因するものだと主張し、不当解雇であるとして会社を訴えました。
裁判所は、発症前の時間外労働が月平均約70時間あり、これに加えて業務内容の変更やトラブルといった負荷があったことなどから、うつ病には業務起因性があることを認めました。また、従業員の精神的不調に関して、会社側が適切な対応や安全配慮義務を尽くしていなかったとされ、解雇は無効と判断されました。
この裁判例は、「精神的健康(いわゆるメンタルヘルス)に関する情報は、‥労働者にとって、自己のプライバシーに属する情報であり、人事考課等に影響し得る事柄として通常は職場において知られることなく就労を継続しようとすることが想定される性質の情報であったといえる。使用者は、必ずしも労働者からの申告がなくても、その健康に関わる労働環境等に十分な注意を払うべき安全配慮義務を負っているところ、上記のように労働者にとって過重な業務が続く中でその体調の悪化が看取される場合には、上記のような情報については労働者本人からの積極的な申告が期待し難いことを前提とした上で、必要に応じてその業務を軽減するなど労働者の心身の健康への配慮に努める必要がある」と判示しました。
これは、会社が精神疾患の従業員に対して負担する安全配慮義務の内容を示す極めて重要な判示です。会社が従業員の体調の悪化に気付くことができる状況にある場合、従業員から申告がなくても従業員のメンタルヘルスに十分に配慮して、適切な対応をする必要があります。
▶参考除法:最高裁判所判決平成26年3月24日の判決文については以下をご参照ください。
裁判例2:うつ病による休職後、回復可能性を十分に検討せずに解雇したことが無効と判断された事例(J学園(うつ病・解雇)事件・東京地方裁判所判決平成22年3月14日)
中高一貫校の教員がうつ病を発症して休職した後、心身の故障により職務の遂行に支障があるという理由で解雇されたため、解雇の無効や損害賠償を求めて提訴した事例です。
裁判所は、学校側の業務がうつ病の発症原因となるほど過重であったとは認められず、安全配慮義務違反による損害賠償請求は認めませんでしたが、一方で解雇については、学校側が従業員の回復可能性を十分に検討しないまま、やや性急に解雇を行ったとして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当とはいえないため無効であると判断しました。
この事案では、学校が主治医に対して、治療経過や回復可能性等についての意見を聴かず、学校から主治医に対して一度も問い合わせ等をしなかったことについて、「現代のメンタルヘルス対策の在り方として、不備なものといわざるを得ない」と指摘されています。これも復職可否判断のプロセスにおいて参照すべき非常に重要な判示です。
裁判例3:うつ病の従業員への違法な退職勧奨によってうつ病の症状が悪化したとして休職期間満了による退職扱いが無効とされた事例(京都地方裁判所判決平成26年2月27日)
うつ病を発症して休職していた従業員に対し、通常通り業務を進められないことを理由に、会社が強引な退職勧奨を繰り返した結果、従業員のうつ病の症状が悪化しました。結局、従業員は復職できず、休職期間満了による退職扱いとなりました。
その後、従業員が、退職強要によって精神的苦痛を受けたとして慰謝料の支払いを求めるとともに、休職期間満了での退職を無効であると訴えを起こしました。
裁判所は、会社の退職勧奨が違法であり、退職強要によって従業員の病状が悪化したことを認め、企業側に慰謝料30万円の支払いを命じました。また、休職期間満了による退職も無効と判断され、会社は、雇用契約の継続を確認されたうえで、退職扱い後の賃金約900万円の支払いを命じられています。
このように、退職勧奨の進め方に問題があると、裁判で違法な退職強要にあたると判断されるケースがあるため注意が必要です。
8,実際に咲くやこの花法律事務所の弁護士がうつ病の従業員の対応をサポートした解決事例
咲くやこの花法律事務所では、うつ病の従業員に関する対応についての相談や依頼を事業者からお受けし、事業者側の立場で解決してきました。
ここでは、咲くやこの花法律事務所が実際に対応した解決事例の1例をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
(1)入社後すぐに抑うつ症状で休職していた従業員が「復職可能」の診断書を提出。無理な復職希望を断って退職による円満解決をした事例
製造業の会社で、新卒入社した従業員が、入社後間もなく「抑うつ状態」と診断され、休職していた事案です。
会社が従業員に休職期間満了日を伝えたところ、従業員から「復職可能」とする主治医の診断書が提出されました。それまでは、「自宅療養が必要」とする診断書が提出されていたので、本当に復職できる状態まで回復しているのか疑問を感じた会社から、咲くやこの花法律事務所にご相談いただきました。
主治医から復職可能との診断書が提出されている以上、会社が十分な検討をせずに復職を拒否することはリスクが大きいです。そこで、咲くやこの花法律事務所では、まず休職期間を延長したうえで、主治医の診断書だけで復職可とするのではなく、会社としての復職審査を行うよう助言し、これを支援しました。
そのうえで、従業員に対する復職面談の実施、主治医に対する医療照会を行いました。また、復職審査の期間中、従業員に毎日、生活リズム確認表を提出してもらい、従業員の体調や復職可能性について慎重に確認しました。
その結果、生活リズム確認表には睡眠障害や希死念慮などの症状が記載されており、また主治医からも「十分に回復したとは言い切れない」との回答が得られました。
これらの客観的な資料を踏まえ、会社は従業員に対して、現時点では復職できる状態ではないと説明したうえで、合意による退職を提案しました。従業員も会社の説明に納得し、最終的には退職届が提出され、円満退職による解決に至りました。
このように、主治医から「復職可能」とする診断書が提出されている場合でも、その記載だけをもって復職を認めるべきかを判断することが適切でないことも多いです。一方で、会社が独自の判断で復職を拒否し、自然退職や解雇の対応を行うことにも大きなリスクがあります。
弁護士にご相談いただくことで、従業員との間でトラブルに発展することを回避し、円満な解決が可能になります。
▶参考情報:この事例については下記の記事で詳しくご紹介しています。ぜひご覧ください。
・入社後すぐに抑うつ症状で休職していた従業員が「復職可能」の診断書を提出。無理な復職希望を断って退職による円満解決をした事例
また、この記事の著者 弁護士西川暢春が、「休職者がまだ不調なのに復職診断書提出!断って円満退職で解決した事例を弁護士が解説」の動画でも詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
9,うつ病の従業員対応は弁護士への相談が必要です
うつ病などの精神疾患を抱える従業員への対応は、病状への配慮や適切な労務管理の両立が求められる、企業にとって非常に難しい問題です。
以下のようなことでお困りの会社は、誤った対応をして問題を悪化させないためにも、すぐに弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
- □うつ病で欠勤が続く従業員にどう対応してよいかわからない。
- □うつ病の従業員について解雇や退職勧奨を検討している。
- □私傷病休職制度が整備されておらず、どう対応すべきかわからない。
- □従業員の休職を認めるべきかどうかわからない。
- □休職中の従業員とトラブルになり、関係が悪化している。
- □休職中の従業員の復職を認めるべきか判断に迷う。
- □うつ病で休職中の従業員の休職期間満了日が近づいていて、期間満了後の対応に悩んでいる。
従業員がうつ病で出勤できない状態が続いていて会社側が困っているからといって、安易に解雇や退職勧奨を進めてしまうと、不当解雇や退職強要にあたってしまったり、安全配慮義務違反と評価されてしまったり、訴訟などの重大な労務トラブルに発展するリスクがあります。そのため、慎重な判断が必要です。
しかし、慎重に判断するべきだとはわかっていても、実際に対応するときに、個別の事情にあわせて自社で適切な判断をするのは難しいのが実情です。
自社の判断で不適切な対応を進めて問題が深刻化してしまう前に、早い段階で労務問題に詳しい弁護士に相談することが重要です。
適切な弁護士に相談することで、以下のような点について企業の状況に応じた助言を受けることができます。
- 休職や復職支援をどこまで行うべきか
- 面談時にどのような点に注意すべきか
- 解雇が認められる状況か
- 退職勧奨を進めてもよい状況か
特に、復職の判断や休職期間満了時の対応を進める前に相談しておくことは、トラブルに発展するリスクを大きく下げることにつながります。うつ病などの精神疾患を抱える従業員の対応でお困りの企業は、人事労務問題について企業側で扱う弁護士に早めにご相談ください。
10,うつ病の従業員への対応は咲くやこの花法律事務所への相談がおすすめな理由
うつ病の従業員への対応は、進め方を誤ると、安全配慮義務違反、不当解雇、休職期間満了による退職扱いの無効の問題などが生じ、労働審判や訴訟に発展するおそれがあります。このようなトラブルを回避するためには、体調不良の初期の段階から、継続的に、適切な弁護士に相談することが不可欠です。
咲くやこの花法律事務所は、創業以来16年以上にわたり、一貫して企業側の立場にたって、企業の労務問題の相談・紛争解決に取り組んできました。令和8年7月現在、650社以上の企業から顧問契約のご依頼をいただき、継続的に企業の労務管理を支援しています。うつ病や適応障害など精神疾患のある従業員への対応についても、多数のご相談・ご依頼をお受けしてきました。
そのような経験も活かして、体調不良時の初期対応、休職させるべきかどうかの判断、主治医との連携のとり方、休職期間中の対応、復職に向けた支援の仕方、復職が難しい場合の休職期間満了や退職勧奨について、企業側の立場に立った具体的かつ専門的なサポートを行っています。
うつ病の従業員の対応では、実際にトラブルが発生してからご相談いただくことも多いのが実情ですが、その場合、ほとんどのケースで、初期段階での会社側の対応の誤りが遠因になっています。初期段階で対応を大きく誤ってしまうとリカバリーが困難なことも多いため、うつ病の不調の初期の段階から、咲くやこの花法律事務所の弁護士にご相談ください。
11,うつ病の社員の対応に関して弁護士に相談したい方はこちら

咲くやこの花法律事務所では、うつ病などの精神疾患がある従業員への対応について、企業側の立場に立ったサポートを提供します。
精神疾患への対応は、診断直後の初期対応から、休職制度の運用、復職支援、休職期間満了時の対応、解雇や退職勧奨まで、様々な法的問題が関係します。
以下では、咲くやこの花法律事務所の企業向けサポート内容をご紹介します。
(1)うつ病などの精神疾患の従業員への対応についてのご相談
以下のような問題についてご相談いただけます。
- うつ病の疑いや心配がある従業員への初期対応
- 休職を命じるべきかどうかの判断
- 休職制度の運用方法
- 復職可能性をどのように判断すべきか
- 配置転換や業務軽減をどこまで検討すべきか
- 復職に向けた支援をどう進めるべきか
- 産業医と主治医の意見が分かれた場合にどう対応すべきか
- 休職期間満了時の対応
- 解雇や退職勧奨を検討する場合の対応方法
また、休職制度や復職判定に関する就業規則の整備・見直しについてもサポートしています。できるだけ早い段階、できれば不調が分かった直後の段階でご相談いただくことがトラブルのない解決につながります。
咲くやこの花法律事務所の弁護士への相談費用
- 初回相談料:30分5000円+税(顧問契約の場合は無料)
- 相談方法:来所相談のほかオンライン相談、電話相談が可能
(2)復職トラブル・解雇・退職勧奨・労働審判等への対応
うつ病で就業が困難になった従業員については、復職可否の判断や休職期間満了時の対応をめぐってトラブルに発展するケースが少なくありません。
咲くやこの花法律事務所にご相談いただくことで以下のような場面で弁護士がサポートできます。
- 試し出勤など復職審査の進め方をめぐって本人とトラブルになっている
- 復職支援プランの内容をめぐって本人とトラブルになっている
- 会社は復職できないと考えているが本人は復職を希望している
- 休職期間満了による退職や解雇を進めたい
咲くやこの花法律事務所にご相談いただければ、必要に応じて弁護士が企業側代理人として従業員への説明や面談に同席することも可能です。
また、万が一、従業員から不当解雇や安全配慮義務違反などを理由として請求を受けた場合には、企業側代理人として労働審判や訴訟への対応をサポートすることができます。
咲くやこの花法律事務所の弁護士へのご相談費用
- 初回相談料:30分5000円+税(顧問契約の場合は無料)
- 相談方法:来所相談のほかオンライン相談、電話相談が可能
(3)顧問弁護士サービス
咲くやこの花法律事務所では、事業者向けに会社の体制や労務管理全般をサポートする顧問弁護士サービスを提供しています。顧問弁護士サービスをご利用いただき、日頃から継続的にご相談いただくことで、従業員との間で労務トラブルが発生しづらいように、またトラブルが起きてしまったときに問題が小さいうちに適切に対応できるように、社内の体制を整えることができます。
顧問契約をご検討中の事業者の方には、無料で弁護士との面談(オンライン面談や電話でのご説明も可)を実施しておりますので、気軽にお問い合わせください。
咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスの費用例
- 月額3万円+税~15万円+税
- 申し込み方法:来所面談のほかオンライン面談、電話でのご案内が可能
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスの内容は以下をご参照ください。
12,まとめ
うつ病の従業員への対応では、症状に配慮しながら、適切な労務管理を行うことが重要です。
会社としては、従業員にうつ病の兆候が見られた段階で受診を促し、必要に応じて休職制度を利用して治療に専念できる環境を整えることが求められます。また、休職期間中は病状の確認や傷病手当金の申請支援を行いながら、主治医や産業医と連携して復職支援を進めていく必要があります。
一方で、復職が難しい場合には、休職期間満了による退職や解雇、退職勧奨を検討する場面もあります。しかし、これらの対応を誤ると、不当解雇や安全配慮義務違反などのトラブルに発展するリスクがあります。
特に、うつ病の従業員への対応では、主治医の診断書への対応、復職可否の判断、配置転換の検討、退職勧奨の進め方など、専門的な判断が必要になる場面が少なくありません。
そのため、対応に迷った場合は、会社だけで判断せず、できるだけ早い段階で労働問題に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。初期対応を適切に行うことが、従業員の円滑な療養・職場復帰につながるだけでなく、会社の法的リスクを防ぐことにもつながります。
咲くやこの花法律事務所では、うつ病などの精神疾患で就業が困難になった従業員への対応について、企業側の立場に立ったサポートを行っています。うつ病や適応障害など精神疾患の従業員への対応でお困りの企業はぜひご相談ください。
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記事作成日:2026年8月1日
記事作成弁護士:西川 暢春
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