こんにちは。弁護士法人咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
社内に仕事ができない社員がいて、その対応に困っていませんか。
ミスが多かったり、能力が低い社員を放置してしまうと、業務に重大な支障をきたし、顧客に迷惑をかけてしまったり、周りの従業員への負担が大きくなるなど、職場全体の生産性の低下や混乱につながりかねません。
しかし、そのような場面でも、いきなり解雇に進むのは法的リスクが高く、まずは適切な指導を行うことから問題解決を目指す必要があります。ただし、その指導も進め方を誤ると、パワーハラスメントと評価されたり、労使トラブルに発展したりする可能性があります。
評価の低い従業員が上司の注意指導に対してもパワハラであるなどと反発し、対応に困って解雇した結果、解雇無効と判断され、会社が敗訴している例もみられます(東京地方裁判所判決令和4年3月16日)。この事案では、会社は判決でこの従業員との雇用契約が継続していることを確認されたうえ、1300万円を超える金銭の支払いを命じられました。このように仕事ができない社員への対応を誤ると重大なトラブルに発展することがあります。
そこで、この記事では、仕事ができない人への具体的な対応方法や、能力不足の社員に共通する特徴、さらに企業がやってはいけない対応についてわかりやすく解説します。この記事を最後まで読めば、正しい対処法ややるべきではない対応を理解し、リスクを回避しつつ円満な問題解決に向けて進めていくことができるはずです。
それでは見ていきましょう。
自身の業務で多忙な経営者や上司にとって、仕事ができない社員に根気強く指導を続けることは簡単ではありません。しかし、だからといってすぐに辞めさせようとしたりしてしまうと、労使トラブルに発展してしまうリスクがあります。会社としては手間がかかっても適切な指導体制を整備し、改善を促す対応をすることが必要です。
咲くやこの花法律事務所では、仕事ができない社員への対応にお困りの事業者から多くのご相談をいただき、問題を解決してきました。また、その経験の中で具体的な対処方法を確立してきました。
咲くやこの花法律事務所にご相談いただくことで、仕事ができない人への対応について弁護士によるサポートを受けることができ、労使トラブルのリスクを最小限にするとともに、経営者や指導担当者自身の負担を軽減しながら問題を解決していくことができます。
仕事ができない社員や能力不足の社員への対応でお困りの方は、咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
咲くやこの花法律事務所の弁護士によるサポート内容については以下もご参照ください。
▶参考情報:問題社員対応に関する弁護士への相談サービスはこちら
※咲くやこの花法律事務所では、企業または事業者からのご相談のみお受けしています。
また、咲くやこの花法律事務所の弁護士が仕事ができない能力不足の従業員の対応をサポートした解決事例もご紹介していますのであわせてご覧ください。
▶参考情報:実際に咲くやこの花法律事務所の弁護士が仕事ができない能力不足の社員への対応をサポートした解決事例をご覧ください。
▼仕事ができない能力不足の従業員の対応について、弁護士の相談を予約したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。
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今回の記事で書かれている要点(目次)
1,仕事ができない人の特徴とは?共通点や口癖について

仕事ができないと評価される社員の特徴としては、例えば下記のものが挙げられます。
- (1)業務の優先順位を適切に判断できない
- (2)報告・連絡・相談が不十分
- (3)同じようなミスを繰り返す
- (4)上司の指示を聞かない
- (5)責任感がない
など
それぞれ順に解説していきます。また、最後に仕事ができない社員に共通してみられる口癖についても紹介していますのであわせてご覧ください。
(1)業務の優先順位を適切に判断できない
複数の業務を同時に抱えた際に、重要度や緊急性を考慮せずに作業を進めてしまうケースです。
その結果、緊急度がそれほど高くない業務に時間をかけてしまい、重要な業務への対応が遅れたり、締切や納期を守ることができず、他の社員からの信頼が失われることになりがちです。こういったケースでは、業務の指示をする際に、期限などを伝えておくことや、あらかじめ優先順位を伝えるなどすることで、改善する可能性があります。
(2)報告・連絡・相談が不十分
業務の進捗や問題点について上司に十分に共有しない傾向があり、それによって仕事ができないと評価されている例もあります。
特に、トラブル発生時に報告が遅れると、事態が深刻化する可能性があります。報連相が不十分な社員については、どのタイミングでどういった内容の報告が必要かを明確化することや、上司に対して報連相をしやすい関係性を築くことで、改善することがあります。
(3)同じようなミスを繰り返す
一度指摘されたミスについて原因を十分に考えず、改善策を講じないまま業務を行うため、同様のミスを繰り返してしまうことがあります。また、上司や先輩からミスを指摘されても、そもそも話を聞いていなかったり、自分は間違っていないとしてミスを認めないケースもあります。
同じミスを繰り返す社員への対応としては、まずは原因を検証したうえで、チェックリストを作成させたり、その業務が終了してから一度時間を置いて再度チェックするように指導するなどの方法が考えられます。また、上司の話を十分聞いていないことが原因になっている場合は、その場でメモを取るように指導することも大切です。
(4)上司の指示を聞かない
仕事ができない社員には、指示に従わず自己判断で業務を進めたり、プライドが高く素直に指導を受け入れない態度が見られることもあります。
また、指導をされても、返事をしなかったり「その指導はハラスメントにあたる」などと主張するケースもあります。その結果、指導をきかないため、自身の業務の問題点を改善することができず、仕事ができないと評価されてしまいます。
このような場合は、指示をする側も、指示の内容を具体化し、指示の内容を誤解されないように工夫する必要があります。また、会社では自分の判断で仕事をするのではなく、上司の指示に基づき仕事をする必要があることを伝えなければなりません。それでも改善がされない場合は正式に書面で業務命令を出し、それに対する不服従に懲戒処分を科すなどして認識を改めさせる対応が必要になります。
(5)責任感がない
自らの業務に対する当事者意識が乏しく、問題が発生した際にも主体的に対応しないようなケースです。責任感の欠如は周囲からの信頼を損なう要因にもなります。
責任感に欠ける社員に対しては、その社員に求める業務内容や成果目標を書面で明確化したり、会社として期待している役割をしっかりと伝えて改善を求めることが重要です。
(6)仕事ができない社員の口癖とは?
仕事ができない社員は、以下のような口癖が見られ、業務のミスに対する言い訳や、他責思考による発言が見られる傾向にあります。
- 「でも」「だって」
- 「忙しくてできませんでした」「後でやります」
- 「知りませんでした」
- 「●●さんに言われました」
- 「それは私の仕事ではないです」
など
問題の解決のためには、これらの口癖の背景にある問題点を指摘し、改善させることも必要です。
2,仕事ができない人や能力不足の社員への正しい対応方法は?

能力不足の社員に今すぐ辞めてもらいたいと考える方もいらっしゃると思います。
しかし、十分な指導を経ずに解雇するなどの対応をした場合、不当解雇であるとして訴訟を起こされ、重大なトラブルに発展する危険があります。また、指導を経ないまま退職勧奨をしても、合意が得られないことが多いです(この点は後述します)。そのため、問題を解決するためには、会社として、まずは十分な指導を行い改善を試みることが必要です。
具体的には、以下のプロセスで対応していく必要があります。
- (1)現在の問題点を明確にする
- (2)指導を行い改善を試みる
- (3)指導により改善できない場合でも解雇の前に退職勧奨を検討する
それぞれご説明します。
(1)現在の問題点を明確にする
問題を改善するためにまず重要なことは、仕事ができない人に、「このままではだめだ」と会社から評価されていることをはっきりと認識させることです。そのためには、本人を呼んで、会社として本来求める業務水準を具体的に説明したうえで、現在の業務状況のどこに問題があるかを具体的に指摘する必要があります。そのうえで、「このままでは困るので改善していただく必要があります。私たちも指導しますので、あなたも頑張って会社が求める業務水準で仕事がこなせるようになるように改善してください。」と伝えなければなりません。能力不足で仕事ができない人に関する問題の解決はこの点をはっきりと伝えることから始まります。
能力不足を理由とする解雇に関する裁判例の中には、「能力不足を理由として解雇する場合、まずは使用者から労働者に対して、使用者が労働者に対して求めている能力と労働者の業務遂行状況からみた労働者の能力にどのような差異があるのかを説明し、改善すべき点の指摘及び改善のための指導をし、一定期間の猶予を与えて、当該能力不足を改善することができるか否か様子をみた上で、それでもなお能力不足の改善が難しい場合に解雇をするのが相当である」とした例があります(東京地方裁判所判決令和3年7月8日)。
能力不足が問題になる社員について、まさに適切な対応手順が判示されていると感じます。指導段階から同様の点を意識しておくべきでしょう。
(2)指導を行い改善を試みる

仕事ができないと評価される社員であっても、その原因が能力不足だけでなく、業務内容の理解不足や業務経験の不足にあることも少なくありません。
そのため、一定期間時間をとって指導を行い、何が問題でどのように改善すべきかを具体的に指導することが大切です。
そして、その際、指導内容や本人の受け答えの記録を残しておくことが非常に重要です。指導の記録を残しておくことで、後に解雇や退職勧奨といった対応に進まざるを得ない場面でその判断の合理性を裏付ける重要な根拠資料となります。
具体的には、以下の流れで指導を実施します。
1,複数で指導する体制を作る
仕事ができない社員を指導する際は、まず誰が責任を持って指導するかを明確にすることが必要です。咲くやこの花法律事務所では、指導の負担を分担し、また複数人の視点からの指導を可能にするため、2人体制での指導をおすすめしています。
2,毎日、業務日報を書かせる
咲くやこの花法律事務所では、仕事ができない人への指導用の業務日報を準備しています。これを毎日本人に書かせて、毎日提出してもらうことが、本人の仕事の理解度の把握、本人の業務の問題点の把握とその記録化につながります。
3,指導担当者は指導を徹底し、指導記録を作成する
指導担当者を決めて、業務に問題がある場合は、決して見て見ぬふりをせず端的な指導を行うことを徹底します。そのうえで、指導した場合は、その内容や本人の受け答えを指導記録票という用紙に記録することを徹底してください。
4,業務日報には端的な指導のコメントを入れる
上司は、指導担当者から指導記録を共有してもらい、本人が書いた業務日報と照らし合わせたうえで、本人の業務の問題点を把握します。そのうえで、毎日、業務日報に指導コメントを入れることで、指導を行います。
5,2週間に1回は面談を行う
上司は、本人と2週間に1回は面談を行い、業務の問題点や改善すべき点を確認し、指導を行います。
このような指導を経ることで本人に業務の改善の機会を与えることは、仮に業務が改善しなくても、後に退職勧奨といった対応に進まざるを得ない場面で、問題を円満に解決するために必ず経るべきプロセスです。このような指導のプロセスは自社のみで対応しようとしても途中で誤った対応をしてしまい紛争化するケースも多いです。そのため、事前に弁護士に相談をし、弁護士のサポートを受けながらこのような指導に取り組むことが必要です。
なお、このほか、必要に応じて、本人に業務についてのチェックリストを作成させる、業務改善指導書を作成して本人に交付するといった指導方法を併用することが適切なこともあります。
▶参考情報:問題社員への指導方法の全体像は、以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
また、業務改善指導書については以下で解説してますのでご参照ください。
業務日報に指導のコメントを入れるときもパワハラにあたらないように注意することが必要です。
例えば、指導のコメントを入れる際に、内容の誤りや不十分な点の指摘のほか「意味不明」「このような中途半端な調査で、調べた、というのですか?」「成果が全然見えません」などのコメントを付けた事案では、これらのコメントは「辛辣な言葉で非難ないし否定するばかりで、改善の助けには全くならない」として、違法であると判断された例があります(鳥取地米子支判令和7年9月25日)。
このように指導に必要とは言えない辛辣なコメントが不法行為(パワハラ)と評価される例もあり、注意を要します。
(3)指導により改善できない場合でも解雇の前に退職勧奨を検討する
仕事ができない社員に一定期間指導を尽くしても改善が見られず、雇用の継続が難しい場合は、退職勧奨による解決も検討することとなります。解雇ではなく退職勧奨で合意に基づく円満な解決を目指すことが、リスク防止の観点からも重要となります。
退職勧奨については、「4,能力不足の社員に辞めてほしいときはどうすればいい?」で詳しく解説します。
3,仕事ができない場合の配置転換や降格について
仕事ができない社員への対応として雇用の終了を検討する前に、配置転換や降格を検討する例もあります。
以下では、配置転換や降格の措置をとる際の注意点について詳しく解説しています。
(1)別の部署に配置転換をして適性を見る
仕事ができない人に対して指導を行っても改善が見られない場合に、社員の適性を見直し、配置転換を検討することが考えられます。従事していた業務で能力を発揮できなくても、別の業務であれば適性を発揮できるケースもあります。
▶参考情報:配置転換について詳しい解説は以下をご参照ください。
ただし、退職に追い込むための配置転換や、嫌がらせ目的での配置転換と評価されると違法となることに注意する必要があります。また、もともと専門性の高い職種でキャリアを形成してきた人を十分な説明なくそれとは関係のない単純作業の職種に配置転換するようなケースでも、業務上の必要性が高くないのに専門職としてキャリアを形成するという従業員の期待に配慮せず、配置転換について本人の理解を求める手続もとっていないとして違法と判断される例があることに注意が必要です(エルメスジャポン事件・東京地方裁判所判決平成22年2月8日など)。
▶参考情報:配置転換が違法になる場合については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
1,配置転換の要件
仕事ができない社員について会社の業務命令として配置転換を行う場合、以下の要件を満たす必要があります。
- ①会社に配転命令権があること
- ②配置転換に業務上の必要があること
- ③配置転換が不当な動機や目的を持ってされたものでないこと
- ④配置転換が労働者に著しい不利益を負わせるものでないこと
雇用契約書や就業規則に配置転換の規定があっても、以下のような配置転換は違法とされることがあります。
- 従業員に対する懲罰や嫌がらせを目的とする配置転換
- 仕事ができない人を退職させることを目的とする配置転換
- 公益通報や労働組合活動への報復として行われた配置転換
- 持病のある従業員について行われた病状を悪化させるような業務への配置転換
- 従業員が特定の職種でキャリアを形成することについて合理的な期待をもつ状況にある場合に、業務上の必要性が高くないのに、この従業員の期待に配慮せず、本人の理解を求める手続もとらずに行う配置転換
▶参考情報:能力不足の社員の配置転換については、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご参照ください。
(2)能力に見合った職に降格させる
例えば管理職には、部下の指揮・管理や組織の運営といった能力が求められます。これが著しく欠けている場合には、組織運営に支障を来すおそれがあります。
そのため、管理職の社員について、指導をしても改善が見られない場合は、能力や実績に応じて職位を引き下げ、より適切な役割に配置するために降格させることも考えられます。
ただし、能力不足の管理職の社員を降格させる場合、以下の点に注意が必要です。
- ① 退職に追い込むことなど不当な目的による降格は違法となる
- ② 2段階以上の降格など極端な降格は従業員の不利益が大きく違法と判断されやすい
特に、降格の前後に本人に退職勧奨を行っていたり、降格後の仕事が本人のキャリアやスキルに見合わない単純作業や閑職である場合は、退職に追い込むことを目的とした降格であると判断されやすいので注意が必要です。
▶参考情報:降格については以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
降格が認められる場合も、それによって賃金を下げることができるかは別の問題であることに注意が必要です。
降格させた場合に賃金を下げることが認められるためには、就業規則において、その減額の幅について、具体的かつ明確な基準が定められていることが必要です(東京地方裁判所判決令和7年7月18日参照)。就業規則に適切な規定が置かれていない場合は賃金の減額ができないことも多いので、賃金の減額を検討する場合は、賃金未払いトラブルを防ぐためにも必ず弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
4,能力不足の社員に辞めてほしいときはどうすればいい?

能力不足の社員について雇用を終了する方向で対応するときは、まずは解雇ではなく退職勧奨で合意による円満解決を目指すことが重要です。
(1)退職勧奨を実施する
退職勧奨とは、会社側から従業員を退職に向けて説得し、従業員との合意により雇用契約を終了することを目指すことを言います。
退職勧奨は、以下の流れで進めていくこととなります。
- 1,退職勧奨の方針を社内で共有する。
- 2,退職勧奨の理由を整理したメモを作成する。
- 3,従業員を個室に呼び出す。
- 4,従業員に退職してほしいという会社の意向を伝える。
- 5,退職勧奨についての回答の期限を伝え、検討を促す。
- 6,退職の時期、金銭面の処遇などを話し合う。
- 7,退職届を提出させる。
▶参考情報:具体的な退職勧奨の進め方やポイントについては、以下の記事をご参照ください。
ただし、退職勧奨で実際に合意による退職を実現するためには、一定期間の集中した指導により、本人に自身の業務の問題点を認識させるプロセスを経ることが重要です。そのようなプロセスを経ずに退職勧奨を行っても、本人からすれば自分が仕事ができないという意識がないため、退職勧奨に納得がいかず、合意に至らずに終わる危険があります。退職勧奨は、失敗してしまうと単に従業員との関係性が悪くなって終わってしまいます。
▶参考情報:退職勧奨を適法に行い、かつ合意による解決を実現するためには弁護士のサポートを受けることが適切です。企業が弁護士に退職勧奨を相談すべき理由とサポート内容や費用については、以下の記事でご紹介していますのであわせてご参照ください。
・企業が弁護士に退職勧奨を相談すべき4つの理由とサポート内容や費用について
また、能力不足の社員の退職勧奨の実例として、「能力不足の社員、退職勧奨して大丈夫?実例で分かる境界線を弁護士が解説」の動画で、実際に問題解決まで弁護士によるサポートを行った解説をしていますので、こちらも参考にしてください。
(2)能力不足を理由とする解雇は慎重な検討が必要
指導をしても改善が見られず、退職勧奨もうまく行かない場合は解雇を検討しなければならないこともあります。解雇は重大な労使トラブルになりやすい場面であるため、訴訟等のリスクを見据えて対応する必要があり、訴訟になった場合に「改善の余地があったのに解雇した」と判断されないように、適切な指導や配置転換を経たかを慎重に確認したうえで行わなければなりません。
具体的には、解雇をする前に下記のポイントを確認しておくことが重要です。
- ポイント1:解雇の理由とした従業員のミスが本人のものであることを立証できるか
- ポイント2:「従業員の能力不足は会社の教育不足が原因である」と判断されるリスクはないか
- ポイント3:「待遇改善の要望や労働組合への加入を理由に解雇した」と判断されるリスクはないか
- ポイント4:「解雇が性急すぎる」と判断されるリスクがないか
- ポイント5:「解雇の前に配置転換すべきだった」と判断されるリスクがないか
▶参考情報:能力不足の社員の解雇については、以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
・能力不足の従業員を解雇できる?具体的な手順とチェックポイントを解説
また、この記事の著者 弁護士西川暢春が、「能力不足の従業員を解雇できる?事前に確認すべき5つの注意点を弁護士が解説」の動画でも、解雇する前に確認しておくべきチェックポイントや注意点について解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
5,能力不足の社員に対してやってはいけない行動とは?

能力不足の社員への対応としてやってはいけない行動としては、例えば以下のものが挙げられます。
- (1)感情的に叱責したり、人格否定の発言をする
- (2)指導による改善の機会を与えず退職勧奨や解雇をする
- (3)退職に追い込む目的で嫌がらせや不当に差別的な扱いをする
- (4)能力不足の社員を放置してはいけない
以下で見ていきましょう。
(1)感情的に叱責したり、人格否定の発言をする
仕事ができない社員に業務上の問題点を指摘する際に、感情的になり大声で叱責したり、「新人以下だ」「給料泥棒」などと人格を否定する発言をしたりすべきではありません。そのような言動はパワハラにあたり、発言者及び会社の責任が問われる原因になります。
人格否定をしても業務の改善にはつながりません。本人のミスに対して、どこに問題があり、どのように改善すべきかを冷静かつ具体的に指導する必要があります。
▶参考例:同じミスを繰り返す社員への不適切な言動と適切な指導
【不適切な言動例】
- 「何度言ったら分かるんだ」と他の社員がいる面前で大声で叱責する
- 「新人でもこんなミスはしない」「やる気あるの」などと人格否定を含む発言をする
- 他の従業員を入れた一斉メールで叱責する
【適切な指導】
- なぜ問題かを明確にしたうえで改善方法について具体的に指導をする。(「そのようなやり方は適切ではありません。理由は□□だからです。 今後は◇◇というやり方をしてください。」 )
▶参考情報:どのような言動がパワハラに当たるかについては以下の記事で解説していますのであわせてご参照ください。
(2)指導による改善の機会を与えず退職勧奨や解雇をする
また、指導による改善の機会を与えず、すぐに退職勧奨や解雇をするのは不適切です。
前述の通り、指導を経ないで退職勧奨を行っても、本人が能力不足であると評価されていることを自覚していないことが多いです。これでは退職勧奨をしても本人の納得が得られず、合意には至りません。また、指導による改善の機会を与えずに解雇してしまった場合は、後に訴訟トラブルに発展したときに「十分な指導を経ずに解雇した」として不当解雇であると判断されるリスクが非常に高くなります。
十分な指導をしないまま期待を満たさないとしてすぐに辞めさせようとしてしまうと、人材が育たないうえ、他の従業員からの信頼も失うことになります。会社として人材を育てていくための時間と労力を確保し、指導や教育の仕組みを作ることも大切です。
(3)退職に追い込む目的で嫌がらせや不当に差別的な扱いをする
退職に追い込む目的で、仕事ができないからといって業務を取り上げたり、周囲から孤立させるといった差別的な扱いをするべきではありません。そのような対応はパワーハラスメントに該当し、違法と評価されて会社の責任を問われる危険があります。
(4)能力不足の社員を放置してはいけない
仕事ができない能力不足の社員を放置してしまうと、会社にとって以下のようなリスクがあります。
1,業務の質や生産性が下がる
能力不足の社員が担当する業務においてミスや遅れが頻発することで、他の社員がそのフォローを担うこととなり、結果として社内全体の業務効率が低下してしまうこととなります。本来であれば別の業務に充てられた時間や労力が奪われてしまい、企業としての生産性に悪影響を及ぼすことが懸念されます。
2,周囲の従業員のモチベーションが低下してしまう
特定の社員のミスや遅れを他の社員がカバーし続ける状況が続くと、不公平感が生じ、「なぜ自分たちばかり負担が増えるのか」という不満につながります。このような状態が放置されると、優秀な人材の離職を招くリスクもあります。
3,本人が会社の求めるレベルに達していないことを自覚することができない
能力不足の社員の中には、自身が会社の求める水準に達していないことを自覚できていないケースも少なくありません。自身の能力不足に自覚がないままだと、自発的な改善を試みることができず、同じミスを繰り返す原因となります。
4,退職勧奨や解雇を見据えた対応が取れていない
重大なミスを連発したり、納期を毎回守れないなど、会社として雇用し続けることが難しいという判断となった場合、会社は退職勧奨を検討することとなります。
しかし、正しい指導をせずに放置していた場合、本人に能力不足の自覚がなく、その結果、退職勧奨をしても退職合意を得ることは難しくなります。また、十分な指導をせずに放置したのち、解雇をしてしまうと、不当解雇であるとして訴訟トラブルになった場合に、裁判所から「十分な指導が行われていない」「配置転換をして適性を見るべきだった」と判断され会社側が敗訴してしまいます。
このように、能力不足の社員を放置してしまうと、本人の能力改善の機会がなくなるだけでなく、周囲の社員や会社全体へ悪影響を及ぼし、また雇用が難しくなった場合の法的リスクを高めることとなります。そのため、仕事ができない能力不足の社員に対しては、会社が適切に対処していくことが必要なのです。
6,咲くやこの花法律事務所の弁護士が仕事ができない能力不足の社員への対応をサポートした解決事例
筆者が代表を務める咲くやこの花法律事務所では、能力不足の問題がある従業員への対応について多くの企業からご相談いただき、解決してきました。以下では咲くやこの花法律事務所の弁護士が、実際に能力不足の社員への対応をサポートした事例をご紹介します。
(1)退職勧奨を一度断った能力不足の看護師に対して弁護士が支援して指導を継続し退職合意に至った事例
経験者として中途採用した看護師が、入職当初から業務上のミスを繰り返し、クリニックの運営に重大な支障が生じていた事案です。クリニックが退職勧奨をしたところ断られてしまい、お困りになって咲くやこの花法律事務所にご相談いただきました。問題の看護師のミスの中には患者の健康や安全にかかわる重大なものもありました。
咲くやこの花法律事務所の弁護士がご相談をお受けし、院内で問題の看護師に指導を行うためのチームを組んでいただきました。そのうえで、弁護士のアドバイスに従って継続的な指導等を行っていただきました。その結果、業務改善には至らなかったものの、指導開始から1か月程度で、問題の看護師から退職の申し出があり、問題解決に至りました。
▶参考情報:この事例については下記の記事で詳しくご紹介していますのでご参照ください。
(2)やる気のないベテラン社員の指導を弁護士がサポートして解決に至った事例
自身の問題行動の発覚による職種変更をきっかけに勤労意欲を失い、数時間で終わるはずのパトロールを丸1日かけて行ったり、毎月行うべき会議を行わなかったりなど勤務態度に問題があった従業員に対して、対応に困った会社から相談をいただいた事案です。
会社から継続的にご相談を受け、弁護士が指導方針や指導方法、業務日報の内容やその書かせ方などをアドバイスしました。その結果、問題の従業員の働きぶりは十分改善されませんでしたが、本格的な指導開始から約2ヶ月で、ベテラン社員から退職の申し出があり、問題解決に至りました。
▶参考情報:この事例については下記の記事で詳しくご紹介していますのでご参照ください。
7,能力不足の社員への対応は咲くやこの花法律事務所へのご依頼がおすすめ
仕事ができない社員、能力不足の社員についての対応にお困りの際は、咲くやこの花法律事務所にご相談ください。咲くやこの花法律事務所の特長は以下の通りです。
(1)問題社員トラブル対応についての豊富な経験と解決実績
咲くやこの花法律事務所では、問題社員への対応にお困りの会社や医療機関、その他の事業者からたくさんのご相談やご依頼をいただき解決してきました。数多くの経験から、これらの事案についての解決方法を確立しており、それぞれの事案に沿った最適な対応方法で解決をご提案することができます。
(2)合意による円満解決を目指すことができる
咲くやこの花法律事務所では、対象の従業員について雇用を終了する方針で進めなければならない場面でも、訴訟リスクを回避して合意による円満解決に取り組み、その具体的な方法についてのノウハウを磨いてきました。訴訟になる前の段階から弁護士が積極的に介入し、問題の解決に取り組みます。解雇ではなく合意による解決を実現することで、問題を長引かせず、また法的リスクを最小限に抑えて解決することができます。
(3)訴訟トラブルに発展した場合の対応にも精通
咲くやこの花法律事務所では、約650社以上の顧問契約実績を有し、労働問題に関する紛争対応の経験も豊富です。訴訟に発展してしまった場面でも、初期対応から訴訟までの一貫した対応が、企業の負担やリスクを最小限に抑えることにつながります。
8,仕事ができない能力不足の従業員の対応に関して弁護士に相談したい方はこちら

最後に咲くやこの花法律事務所のサポート内容をご紹介します。
(1)仕事ができない社員への対応に関するご相談
咲くやこの花法律事務所では、能力不足の社員への対応について、多くの事業者からご相談をお受けし、解決してきました。
指導の進め方や配置転換、降格、退職勧奨など、個別の状況に応じて最適な対応方針をご提案します。また、法的リスクについても丁寧にご説明し、トラブルを未然に防ぐためのサポートを行います。事務所の経験を活かし、企業の実情に即した現実的な解決策を提示することが可能です。
咲くやこの花法律事務所の弁護士への相談費用
- 初回相談料:30分5000円+税(顧問契約の場合は無料)
- 相談方法:来所相談のほかオンライン相談、電話相談が可能
(2)日頃からの顧問弁護士によるサポート
咲くやこの花法律事務所では、日頃の労務管理を支援し、また日頃のご相談ごとに迅速に対応するために、顧問弁護士サービスによるサポートを提供しています。
問題が発生してから対応するのではなく、日頃から顧問弁護士による継続的なサポートを受けて整備を進めることで、リスクの予防が可能となります。
就業規則の整備や人事対応に関する日常的な相談を通じて、トラブルの発生を未然に防ぐ体制を構築することができます。
また、万が一問題が発生した場合にも、企業の状況を把握している弁護士がスムーズに対応できるため、安心して業務に専念することができます。
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスの内容については、以下で詳しく説明していますので、ぜひご覧ください。
(3)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法
弁護士の相談を予約したい方は以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
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9,まとめ
この記事では、仕事ができない社員への対応について解説しました。
能力不足の社員への対応にあたり、十分な指導を経ずに解雇するなどの対応をした場合、不当解雇であるとして訴訟を起こされ、重大なトラブルに発展する危険があります。また、指導を経ないまま退職勧奨をしても、合意が得られないことが多いです。そのため、問題を解決するためには、会社として、まずは指導を行い改善を試みることが必要です。
また、仕事ができない社員には、以下のような特徴が見られることがあります。
- (1)業務の優先順位を適切に判断できない
- (2)報告・連絡・相談が不十分
- (3)同じようなミスを繰り返す
- (4)先輩や上司の指示を聞かない
- (5)責任感がない
これらの点も踏まえ、個別の事案に応じた指導や業務改善を行うことが必要です。
そして、雇用を終了する方向で検討するときも、解雇ではなく、退職勧奨により合意による解決をすることが、その後の訴訟リスクを抑えることにつながります。
これらの対応は、労務問題に精通した弁護士の支援を受けて行うことが、法的リスクの回避と確実な問題解決につながります。ミスを繰り返したり、期待している能力に満たない社員への対応にお困りの事業者様は、咲くやこの花法律事務所の弁護士にご相談ください。
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記事公開日:2026年4月16日
記事作成弁護士:西川 暢春
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