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就業規則の閲覧を求められたら?会社は応じる義務がある?対処法を解説

就業規則の閲覧を求められたら?会社は応じる義務がある?対処法を解説
  • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
  • この記事を書いた弁護士

    西川 暢春(にしかわ のぶはる)

    咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
  • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で400社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。

就業規則の閲覧をめぐって、従業員とトラブルになる例があります。様々な背景事情から、就業規則を従業員に閲覧させたくないという会社も少なくないようです。

しかし、就業規則を周知することは就業規則が効力を持つための要件です。就業規則の閲覧をさせない場合、就業規則の効力が認められず、就業規則がないのと同じ扱いになります。その結果、問題社員がいても懲戒処分等を行うことができなくなる、就業規則で定めた定年制を適用できなくなる、病気休職者が出ても私傷病休職制度を適用できなくなるなど様々な問題が起こります。

この記事では、会社は従業員に就業規則を閲覧させる義務があるのか、また、コピーが欲しいと言われた場合に応じる義務があるのかについてご説明したいと思います。さらに、入社前の内定段階の従業員に閲覧を認める必要があるのかどうかや、退職後に閲覧を認める必要があるのかといった点についてもご説明します。

それでは見ていきましょう。

 

▶参考情報:この記事でご説明する就業規則の閲覧についてとは別に、そもそも「就業規則とは?」などの基本的な内容を以下の記事で網羅的に説明してますので、こちらも合わせてチェックしてください。

就業規則とは?義務や作成方法・注意点などを弁護士が解説

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

従業員から就業規則の閲覧を求められて、会社がそれをなんとか断りたいと考えてしまう場合、その背景には、就業規則が実態とずれていたり、就業規則の内容に会社として自信がなかったり、あるいは自社の労務管理に自信がなかったりという事情があることが多いです。そのような場合は、早急に弁護士に相談し、就業規則の整備や労務管理の改善に取り組んでいきましょう。

筆者が代表を務める咲くやこの花法律事務所でも、会社側の立場でご相談を承っていますので、気軽にお問い合わせください。咲くやこの花法律事務所の「労働問題・労務トラブルに強い弁護士への相談」は以下をご参照ください。

 

▶参考情報:「労働問題に強い弁護士への相談サービス」はこちら

 

▼【関連動画】西川弁護士が「就業規則の閲覧やコピーを求められたら?会社は応じる義務がある?対処法を解説【前編】」や「就業規則を閲覧させない会社!どんな制裁がある?【後編】」を詳しく解説中!

 

 

▼就業規則の閲覧について今スグ弁護士に相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。

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1,就業規則の閲覧とは?

就業規則の閲覧とは?

就業規則の閲覧とは、就業規則の内容を従業員に確認させることです。就業規則は労働基準法により従業員に対する周知が義務付けられているため、従業員に閲覧させることは会社の義務です。会社が閲覧を拒否する場合、就業規則としての効力が認められなくなる恐れがあります。ただし、コピーまで認めるかは会社の自由だとされています。

就業規則の閲覧については、労働基準法106条1項に以下の条文が置かれています。

この条文からもわかるように就業規則を周知することは、会社の義務です。「周知」とは「従業員が閲覧を希望すればいつでも閲覧できるような状態にすること」を意味しています。

 

▶参考:労働基準法106条1項

第百六条 使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則、第十八条第二項、第二十四条第一項ただし書、第三十二条の二第一項、第三十二条の三第一項、第三十二条の四第一項、第三十二条の五第一項、第三十四条第二項ただし書、第三十六条第一項、第三十七条第三項、第三十八条の二第二項、第三十八条の三第一項並びに第三十九条第四項、第六項及び第九項ただし書に規定する協定並びに第三十八条の四第一項及び同条第五項(第四十一条の二第三項において準用する場合を含む。)並びに第四十一条の二第一項に規定する決議を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。

「労働基準法」の条文はこちら

 

2,閲覧させない会社がある背景事情

このように閲覧させることは会社の義務です。また、会社としても就業規則の遵守を従業員に求める以上、就業規則の閲覧を認めることは遵守を求めるための前提であるはずです。「就業規則の内容は見せないけれども就業規則違反に対しては制裁を科す」というのは不合理な話です。

しかし、世の中には、就業規則の閲覧を認めたがらない会社もあります。それについては、以下のような事情があることが多いです。

 

(1)従業員からの権利行使に使用されたくない

残業代の支払い等に不満を持ち、退職後に会社に対して何らかの請求を検討している従業員が、請求を検討するための資料として就業規則の閲覧を求めることがあります。そのような場面で、会社が閲覧を認めたがらないのは、そのような権利行使の検討資料にされたくないという会社の意向が背景にあることがあります。

 

(2)就業規則どおりに会社が運営されていない

例えば、就業規則に記載のある手当を実際には支払っていなかったり、実際の賃金制度と就業規則が乖離してしまっている会社もあります。そのような場面で、実際の会社運営と就業規則の乖離を従業員に知られたくないという事情から、会社が就業規則を閲覧させたがらないという例もあります。

 

(3)就業規則の粗探しを恐れている

会社によっては就業規則が十分整備されておらず、就業規則の内容について自信がないことが、就業規則を閲覧させたがらない背景になっている例もあります。

ただし、上記のような事情があったとしても、会社が在職中の従業員に対して就業規則を閲覧させないことは違法です。また、後述するとおり、就業規則を閲覧させないでいると、就業規則の効力が認められず、従業員に就業規則違反があっても懲戒処分等の対応ができなくなるという問題も起こってきます。

会社としては、就業規則の内容に自信がない、会社の実態とずれているなどの問題があるのであれば、早急に専門家に依頼して就業規則を整備し、閲覧を求められても困らないように準備しておく必要があります。

 

3,就業規則の閲覧方法

では、会社が認めるべき閲覧の方法はどのようなものがあるのでしょうか?

この点については、労働基準法施行規則において、会社は以下のいずれかの方法で、就業規則を従業員の閲覧に供することが義務づけられています(労働基準法施行規則52条の2)。

 

  • 1.常時各作業場の見やすい場所に掲示し、または備え付ける。
  • 2.コピーを従業員に交付する。
  • 3.電子媒体に記録し、それを常時パソコンのモニター画面等で確認できるようにする。

 

このうち、「1.常時各作業場の見やすい場所に掲示し、または備え付ける。」の「作業場」とは、主として建物別等によって判別すべきものであるとされています(昭和23年4月5日基発第535号)。そのため、原則として建物が異なれば建物ごとに掲示または備え付けが必要です。

また、「3.電子媒体に記録し、それを常時パソコンのモニター画面等で確認できるようにする。」については、「各労働者に、就業規則等を電子的データとして取り出すことができるよう、電子機器の操作の権限が与えられていること」及び「必要なときに就業規則等の内容を容易に確認できるよう、電子機器から電子的データを取り出す方法が周知されていること」が要件であるとされています(平成9年10月20日基発第680号)。

 

4,就業規則のコピーを希望された場合の対応

上記の通り、コピーを従業員に交付することは、会社が就業規則の周知義務を果たす方法の1つではあります。

では、従業員から就業規則をコピーさせてくれと言われた場合に、会社はこれを認める義務があるのでしょうか。

この点については、コピーを交付することは、会社が就業規則の周知義務を果たす方法の1つではあるものの、従業員側からコピーを求めることはできないという考え方が一般的です。

裁判例の中にも、会社が日本語の読めない英語講師に閲覧時の通訳補助や就業規則の筆写のみを認め、コピー機によるコピーや撮影を認めなかった事案において、「労働者が使用者に対して就業規則の謄写を請求する権利を規定した法令上の根拠はなく、就業規則の謄写自体の可否及びその方法については、基本的に使用者の裁量に委ねられている」としたものがあります(東京地方裁判所判決平成30年11月2日学校法人文際学園事件)。

この裁判例は、この事案の会社が就業規則の閲覧者を従業員に限定し、かつ、謄写を認めないのは,就業規則を重要な文書であると位置付け、情報管理を十全化するためであると認められるとしたうえで、「このような目的ないし運用が使用者としての裁量権を逸脱するものとは評価できない」としています。

 

5,入社前から閲覧できるか?

入社前の従業員から就業規則の閲覧を求められる例もあります。

新たに入社する従業員に対しても就業規則を適用するためには、採用が内定した従業員が就業規則の閲覧を希望すれば閲覧できるようにしておくことが必要です。

この点については、労働契約法7条本文が「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。(▶参考:「労働契約法」の条文はこちら)」としています。

つまり、新たに入社する従業員に就業規則を適用するためには、就業規則が労働者に周知されていたことが必要です。そして、厚生労働省の通達によって、労働者に周知されていたというためには、入社する本人に対しても、労働契約の締結までに就業規則を周知しなければならないとされています。(「労働契約法の施行について」の一部改正について平成30年12月28日基発1228第17号)。

これらの考え方を踏まえると、一般に、労働契約は内定の段階で成立すると理解されることが多いため、内定の段階までには就業規則を本人に周知しなければならないと考えるべきでしょう。

 

▶参考:「労働契約法の施行について」の一部改正について(平成30年12月28日基発1228第17号)は以下をご参照ください。

厚生労働省「労働契約法の施行について」の一部改正について

 

6,休職中に閲覧できるか?

休職中であっても在職中である以上、会社として、就業規則の閲覧を認める義務があります。

ただし、閲覧させる方法としては、「3,就業規則の閲覧方法」でご説明した通り、「常時各作業場の見やすい場所に掲示し、または備え付ける。」とか「電子媒体に記録し、それを常時パソコンのモニター画面等で確認できるようにする。」などの方法も認められているところです(労働基準法施行規則52条の2)。

従って、会社としては、休職者に対しても通常の従業員と同様の周知方法で対応すれば問題なく、休職者に自宅にいながら就業規則を閲覧させることに対応する義務まではないといえるでしょう。

 

7,退職後に閲覧できるか?

退職後に従業員から就業規則の閲覧を希望される例もあります。退職後に会社に対して残業代請求を検討している従業員が、請求を検討するための資料として就業規則の閲覧を求めるケースが典型例です。そのほかにも、就業規則で退職後の競業避止義務や秘密保持義務についてどのような規定がされているかを確認するために、閲覧を求めるケースも考えられます。

いずれのケースについても、退職後に会社に就業規則の閲覧を認める法律上の義務はありません。すでに退職している以上、周知義務の対象ではないと考えられるためです。

閲覧に応じるかどうかは会社の判断ということになります。

 

8,第三者が他社の就業規則を閲覧できるか?

第三者が他社の就業規則を閲覧できるかというご質問をいただくこともあります。

これについては、社外の第三者に就業規則を閲覧させる義務は会社にはありません。Webサイト等で就業規則を公表しているような会社を除けば、会社が認めない限りは、第三者は就業規則を閲覧できないということになります。

 

9,労働基準監督署での閲覧について

従業員10名以上の事業場のある会社が就業規則を作成または変更したときは、それを労働基準監督署長に届け出る義務があります(労働基準法89条)。

 

▶参考:就業規則の届出については、以下の参考記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

就業規則の届出についてわかりやすく解説

就業規則変更届とは?書き方や記入例、提出方法をわかりやすく解説

 

そのため、労働基準監督署には、管轄内の各社の就業規則が集まっています。では、会社が就業規則の閲覧を拒否する場合に、従業員が労働基準監督署で閲覧することはできるのでしょうか?

この点については、通達があり、おおむね以下の通りとされています。

 

  • 在職中の従業員については在職中であることを確認したうえで、勤務先事業場において就業規則の周知義務が果たされておらず閲覧を拒否されている状況であることが確認できたときは、労働基準監督署において保存している就業規則を閲覧させることができる。
  • 退職者については、会社との間に一定の紛争が生じている場合に限り、就業規則のうち退職者にかかわる規定の部分に限定して閲覧させることができる、ただし、在職中に就業規則の周知義務が果たされておらず、会社からも閲覧を拒否されている状況であったことが確認できたときに限り閲覧させることができる。

 

また、労働基準監督署はこのような閲覧の請求がされ、会社が就業規則の周知義務を果たしていないと考えられる時は、必要に応じて会社に周知義務を果たすように監督指導するとされています。

なお、この点について定めた通達の詳細は以下の通りです。

 

▶参考:「届出事業場に所属する労働者等からの就業規則の開示要請の取扱いについて」(基発第354号平成13年4月10日)

1 基本的考え方

(1)労働者が就業規則の内容を確認したい場合には、 労働基準法第106条第1項の規定に基づき労働者に就業規則を周知すべき義務を使用者が負っていることから、 本来使用者に対しこの義務の履行を求め、事業場において就業規則を閲覧する方法によるべきものである。しかしながら、 使用者がこの周知義務を履行せず、問題が生じていると認められる場合には、原則として、就業規則が適用される立場にある者か否かを基準に、労働基準監督署に届け出られている就業規則を開示することとして差し支えないものである。
(2) 届出事業場に所属する労働者等からの開示要請があった場合には、単に就業規則の開示の問題としてのみ対応するのではなく、当該労働者等が就業規則の開示要請をするに至った理由を確認し、 就業規則の周知義務の履行を含め法定労働条件の履行確保上問題があるときには、必要に応じ、当該事業場に監督指導を実施すること。
(3) なお、 本通達においては、基本的に開示要請を行った者が届出事業場に所属する労働者であるか否かによって異なった取扱いをするものであるが、行政機関の保有する情報の公開に関する法律 (平成11年法律第42号):に基づく就業規則の開示請求が行われた場合には、同法に基づき、開示又・は不開示の決定については、 開示請求者の如何を問わず一律に処理されるものであることに留意すること。

2 開示を行う対象者

開示を行う対象者は、 当該届出事業場に所属する労働者(労働基準法第9 条に該当する者)及び使用者(同法第10条に該当する者)のほか、 当該届出事業場を退職した者であって、 当該事業場との間で権利義務関係に争い等を有しているものであること。

3 対応において留意すべき事項

(1) 開示に当たっては、 適当な方法により、 上記2に該当する者であることを確認すること。
(2) 労働者又は退職労働者からの開示要請に対しては、 当該事業場において労働基準法第106条第1項による周知義務が履行されているか否かを聴取し、当該義務が果たされておらず、かつ、 使用者に求めても閲覧できる状況にないと判断される場合(退職労働者の場合にあっては、 当該労働者が在職中の状況について同様に判断されるとき) には、労働基準監督署において保存している範囲の就業規則を閲覧させ、又は説明する等により開示すること。
(3) 退職労働者に対する就業規則の開示に当たっては、 当該退職労働者と当該事業場との間の権利義務関係に係る規定に限定すること。

 

10,就業規則の閲覧を拒否する場合の問題点

就業規則の閲覧を拒否する場合の問題点

では、会社が在職中の従業員からの就業規則の閲覧を拒否する場合、どのような問題があるのでしょうか?

まず、この場合、会社は労働基準法上の周知義務を果たしていないことになるので、労働基準法違反となり、罰則の適用を受ける可能性があります。周知義務違反については、30万円以下の罰金とされています(労働基準法120条1号)。

そして、より重大な問題として、就業規則の周知を怠っている場合、就業規則の効力が認められません。その結果、以下の問題が生じます。

 

▶参考情報:就業規則の効力については以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

就業規則の法的効力はどこまである?有効性について解説

 

(1)問題社員に対しても懲戒処分ができなくなる。

就業規則を周知していない場合、従業員の問題行動があっても、懲戒解雇をはじめとする懲戒処分を科すことができません。

これは、判例上、企業が従業員に懲戒処分を科すためには、あらかじめ就業規則に懲戒の種別(どんな懲戒処分があるか)や懲戒事由(どんな場合に懲戒処分の対象になるか)を事前に定めて周知しておくことが必要であるとされているためです。この点は、フジ興産懲戒解雇事件(最高裁判所判決平成15年10月10日)等で判示されています。

 

▶参考:フジ興産懲戒解雇事件 最高裁判所判決平成15年10月10日の判決については以下をご参照ください。

「フジ興産懲戒解雇事件 最高裁判所判決」の判決内容はこちら

 

懲戒解雇をはじめとする懲戒処分は、問題社員の問題行動にけじめをつけさせ、また、社内に向けても会社が問題行動を放置しないことを示して、社内の規律を維持するために重要なものです。このような懲戒処分ができないことになることは、会社の労務管理のうえで、大きなデメリットになる可能性があります。

 

(2)会社のルールがあいまいになる

就業規則を閲覧させない場合の問題点として、「服務規律を明確にできない」ということもあげられます。 「服務規律」とは、従業員が勤務するうえで守るべき会社のルールのことをいいます。

「服務規律」の内容は企業によって様々ですが、例えば以下のような内容を定めることが多いです。

 

  • セクハラ、パワハラをしてはならないということ
  • 営業秘密や個人情報について正しく取り扱うべきこと
  • タイムカードを正しく打刻すべきこと、他人に打刻してもらってはならないこと
  • 取引先からリベートを受け取ることの禁止
  • 通勤時に車両を使用する場合は会社の許可を得なければならないこと
  • 就業するうえでの身だしなみについて

 

これらのことは通常は就業規則において定められますが、従業員に就業規則を閲覧させていない以上、従業員としても服務上のルールを把握できず、ルールのない会社になってしまいます。

 

(3)無許可の副業により損害を被るリスクがある

会社に勤めながら副業をする人は非常に増えています。しかし、従業員が副業に長時間従事した結果、本業の勤務がおろそかになったり、競合他社で副業することにより競合に情報が漏えいするといったリスクがあります。

そのため、副業を許可制にして、副業に割く時間や副業の内容を確認したうえで、許可、不許可の判断をする仕組みを就業規則で定める必要があります。

就業規則が周知されておらず、効力がなければ、副業に関するルールがなく、副業は従業員の自由に委ねられている状態となります。その結果、無許可で副業されて本業に支障が生じたり、競合他社の情報が漏えいして思わぬ損害を被るリスクがあります。

 

(4)定年のない会社になってしまう

就業規則では定年についても定めることが通常です。

定年を雇用契約書で定めることもできますが、雇用契約書では定年について言及されていないことも多く、その場合に、就業規則が周知されていなければ、定年のない雇用契約になってしまいます。

その結果、従業員が高齢になり、就業が難しくなってきても、従業員から退職の申し出がない限り、原則として雇用を継続しなければならないことになってしまいます。

 

(5)私傷病休職者への対応が困難になる

多くの会社では病気休職者への対応について就業規則で定めています。休職をどのくらいの期間認めるのか、どのような条件で復職を認めるのかを定めたうえで、休職期間中に復職ができない場合は退職になることを定めていることが多いです。

就業規則が周知されていなければ病気休職する場合のルールが不明確になってしまい、従業員が病気になった時の対応をめぐってトラブルになる危険があります。

 

(6)成績不良者に対しても給与の減額が困難になる

成績不良などを理由に従業員を降格させて給与を減額することは、就業規則に規定を設けていなければできません(東京地方裁判所判決平成30年9月25日等)。

就業規則が周知されていなければ、就業規則としての効力が認められないため、給与に見合う成果をあげられない従業員に対しても、給与の減額などの対応ができないことになります。

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

給与の減額は重大な不利益変更であり、就業規則が周知されている場合でも簡単にできるわけではありません。客観的な理由がある場合に、就業規則のルールに従って行う場合にのみ適法となる余地があります。

 

 

 

11,就業規則の閲覧に関して弁護士に相談したい方はこちら(法人専用)

咲くやこの花法律事務の弁護士によるサポート内容

最後に、「咲くやこの花法律事務所」における就業規則に関するサポート内容をご説明しておきたいと思います。咲くやこの花法律事務所では、就業規則について以下のサポートを行っています。

 

  • (1)就業規則の作成
  • (2)就業規則のリーガルチェック

 

順番に見ていきましょう。

 

(1)就業規則の作成

「咲くやこの花法律事務所」では、これまで多くの就業規則の作成依頼を承ってきました。

正社員用就業規則、契約社員用就業規則、パート社員用就業規則、給与規程、育児介護休業規程などのオーソドックスなものはもちろんですが、そのほかにも嘱託社員向け就業規則や「在宅勤務・在宅ワークに関する就業規則」の作成依頼、あるいは「無期転換ルールに対応した就業規則」などや特殊なものも承っています。

「咲くやこの花法律事務所」の弁護士は、多くの労働問題や労務トラブル、労働裁判を解決してきた実績があり、そのときの経験を生かして、就業規則の内容を実際の労働問題や労務トラブル、労働裁判においても活用できる内容にすることについて、常に改善、研究を行っています。

このようなことは実際に裁判を担当して解決にあたる弁護士でなければできません。

「咲くやこの花法律事務所」に就業規則の作成をご依頼いただくことで、自社の就業規則を自社の現実にあったものとし、また、万が一の労務トラブルや労務裁判においても活用することができる内容に整備することができます。

 

咲くやこの花法律事務所の労務問題に強い弁護士への相談料

  • 初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
  • 就業規則の作成費用:20万円+税~

 

(2)就業規則のリーガルチェック

「咲くやこの花法律事務所」では、既に就業規則を作成済みの会社のために、弁護士による就業規則の「リーガルチェックサービス」も行っています。

残念ながら、労働問題トラブルの際に本当の意味で機能する就業規則を作成されている会社は「ほとんどみかけないのが実情」です。

「咲くやこの花法律事務所」のリーガルチェックを受けていただくことで、自社の就業規則を実際の労働問題や労務トラブルの現場でも機能する内容に仕上げていくことが可能です。

就業規則作成、変更については、豊富な実績と経験を持ち労働問題に特に強い弁護士が多数所属する「咲くやこの花法律事務所」に、ご相談ください。

 

咲くやこの花法律事務所の労務問題に強い弁護士への相談料

  • 初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
  • 就業規則のリーガルチェック費用:8万円+税~

 

(3)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせする方法

今すぐお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

 

12,まとめ

この記事では就業規則の閲覧について、会社には在職中の従業員に対して就業規則を閲覧させる義務があることをご説明したうえで、労働基準法施行規則で定められている閲覧の方法や、コピーを求められた場合の対応、入社前の従業員への対応等についてご説明しました。

また、一定の場合には、従業員は、労働基準監督署において就業規則を閲覧することができることについてもご説明しました。

就業規則を周知しないでいると、様々な問題が生じ得ますので、就業規則は従業員に対して正しく周知するようにしてください。もし、就業規則の内容に不安があるときは、専門家へのご相談をおすすめします。

 

13,【関連情報】就業規則に関する他のお役立ち記事一覧

この記事では、「就業規則の閲覧を求められたら?会社は応じる義務がある?対処法を解説」についてご紹介しました。就業規則に関しては、その他にも知っておくべき情報が幅広くあり、正しい知識を理解しておかなければ重大なトラブルに発展してしまいます。

そのため、以下ではこの記事に関連する就業規則のお役立ち記事を一覧でご紹介しますので、こちらもご参照ください。

 

モデル就業規則とは?厚生労働省作成の無料テンプレートの使い方

就業規則がない場合どうなる?違法になる?リスクや対処法を解説

就業規則と労働基準法の関係とは?違反する場合などを詳しく解説

就業規則の記載事項をわかりやすく解説

就業規則の意見書とは?記入例や意見聴取手続きの注意点を解説

就業規則の変更方法は?手続きと不利益変更・同意書取得などの注意点を解説

パート・アルバイトの就業規則の重要ポイントと注意点【雛形あり】

在宅勤務やテレワーク・在宅ワークの就業規則の重要ポイント7つ

就業規則違反を発見した場合の企業の対応6通りを解説

 

記事作成弁護士:西川 暢春
記事更新日:2024年4月9日

 

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    出版社:株式会社日本法令
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    発売日:2021年10月19日
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