こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
就業規則の法的効力についてわからないことがあって、困っていませんか?
就業規則をせっかく作っても、紛争が生じて訴訟になったときに、効力発生に必要な要件を満たしていないと判断され、就業規則の規定の有効性が認められないケースは少なくありません。その結果、事業者がした懲戒処分の効力を裁判で否定されたり、固定残業代の支払いの効力を否定されたりして、事業者側が敗訴し多額の支払いを命じられることもあります。このような問題を防ぐためには、いざという場面でも効力が認められるように、就業規則を整備することが重要です。
この記事では、そもそも就業規則はどのような要件でいつから効力が発生するのか、どのような効力があるのかを解説します。また、よく問題になる、退職に関する規定の効力や、副業を制限する規定の効力、退職後の競業避止義務に関する規定の効力などについても解説します。
いざという場面でも法的効力が認められる就業規則にするためには、作成後に正しい方法で周知することだけでなく、就業規則の各規定の内容や書き方が非常に重要です。就業規則の作成方法やひな形については、筆者の書籍『労使トラブル円満解決のための 就業規則・関連書式作成ハンドブック』(西川暢春著、令和5年11月刊行)で詳細な解説をしていますのであわせてご参照ください。
また、咲くやこの花法律事務所でも就業規則の作成に関するご相談をお受けしていますのでご利用ください。就業規則の作り方や注意点についての全般的な説明は以下の記事で網羅的に解説していますのでこちらをご参照ください。
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今回の記事で書かれている要点(目次)
1,就業規則の効力とは?
就業規則の効力とは、入社した従業員の労働条件を規律する効力、既存の従業員の労働条件を変更する効力、労働契約の最低基準を決める効力の3つです。これらの効力はいずれも就業規則が事業場内で周知されている場合に限り発生し、就業規則に定められた施行日以降で、就業規則が周知がされた日から効力が生じます。
ただし、厳密にいえば、この3つの効力については、それぞれ効力が発生する要件が異なります。以下で詳しくご説明したいと思います。
(1)入社した従業員の労働条件を規律する効力
まず、就業規則は入社した従業員の労働条件を規律する効力があります(労働契約法7条 ※1)。その結果、入社時に従業員に交付する雇用契約書や労働条件通知書に記載がない項目についても、就業規則に定められた内容がその従業員に適用されることになります。
例えば、新たに採用する従業員との雇用契約書や労働条件通知書において服務規律や懲戒について詳細な定めをしなかった場合も、就業規則の服務規律や懲戒の規定によって労働契約の内容が補充されます。
ただし、この効力が発生するためには、その就業規則が周知されていることと、就業規則に定められた労働条件が合理的なものであることが必要です。周知されていれば、新たに採用される従業員が、就業規則の内容を実際に確認していなくても、その就業規則が適用されます。
(2)既存の従業員の労働条件を変更する効力
次に、既存の従業員に適用されている就業規則を変更した場合、就業規則の変更により、既存の従業員の労働条件を変更する効力が生じることがあります(労働契約法10条 ※1)。
具体的には、就業規則の変更が合理的なものであり、変更後の就業規則が周知されているときは、変更後の就業規則に同意しない従業員にも、変更後の就業規則が適用されます。これは従業員にとって不利益な変更の場合でも同じですが、不利益の程度が大きいと、効力発生の要件である「変更の合理性」が否定されやすくなります。この「変更の合理性」は、最終的には、訴訟になったときに裁判所で判断されます。訴訟において変更の合理性が否定されたときは、変更に同意しない従業員には、変更前の就業規則の規定が適用されることになります。
▶参考情報:就業規則の変更については以下で解説していますのでご参照ください。
(3)従業員との労働契約の最低基準を決める効力
さらに、就業規則には、従業員との労働契約の最低基準を決める効力があります。これは最低基準効と呼ばれます。 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となり、無効となった部分は、就業規則で定める基準が適用されます(労働契約法12条 ※1)。
例えば、就業規則において試用期間を3か月と定めた場合、新規に採用する労働者との雇用契約書で試用期間を6か月と合意したとしてもこれは無効となり、試用期間は就業規則で定められた3か月となります。
▶参考情報:※1 「労働契約法7条・10条・12条」について
・労働契約法7条
第七条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
・労働契約法10条
第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。
・労働契約法12条
第十二条 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
・参照元:「労働契約法」の条文はこちら
2,就業規則の有効要件
以上の3つの就業規則の効力について、効力が生じる要件はそれぞれ以下の通りです。就業規則の作成・変更の際は、過半数代表者からの意見聴取や労働基準監督署長への届出が義務づけられていますが、これらの点は就業規則が効力を生じる要件ではありません。
(1)入社した従業員の労働条件を規律する効力の要件
- 就業規則が合理的な労働条件を定めたものであること
- 使用者が就業規則を労働者に周知させていたこと
- 従業員との個別の労働契約において、就業規則の基準を上回る合意をした部分でないこと
(2)既存の従業員の労働条件を変更する効力の要件
- 就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであること
- 使用者が変更後の就業規則を労働者に周知させたこと
- 従業員との個別の労働契約において、就業規則の変更によって変更されない労働条件として合意した部分でないこと
(3)従業員との労働契約の最低基準を決める効力
- 使用者が就業規則を労働者に周知させていたこと
上記のように「入社した従業の労働条件を規律する効力」については、就業規則の内容が合理的なものであることが要件です。これに対し、「既存の従業員の労働条件を変更する効力」については、就業規則の内容だけでなく、変更によって従業員の受ける不利益の程度や変更の必要性、労働組合等との交渉の状況等も考慮して合理性の判断が行なわれます。
3,就業規則を周知していない場合の扱い
就業規則を作成していても、社内で周知していない場合、その効力が認められません。就業規則がない場合と同じ扱いになります。
この場合に生じる特に大きな問題は、従業員に重大な問題行動があっても、懲戒解雇をはじめとする懲戒処分を科すことができないことです。これは、判例上、企業が従業員に懲戒処分を科すためには、あらかじめ就業規則に懲戒の種別(どんな懲戒処分があるか)や懲戒事由(どんな場合に懲戒処分の対象になるか)を事前に定めておくことが必要であるとされているためです(▶参考判例:フジ興産懲戒解雇事件 最高裁判所判決平成15年10月10日)。
懲戒解雇をはじめとする懲戒処分は、問題社員の問題行動にけじめをつけさせ、また、社内に向けても会社が問題行動を放置しないことを示して、社内の規律を維持するために重要なものです。このような懲戒処分ができないことになることは、会社の労務管理のうえで、大きなデメリットになる可能性があります。
▶参考情報:就業規則がない場合のその他のリスク等については以下で解説していますのでご参照ください。
4,就業規則の効力はいつから発生するのか?
就業規則の効力は、就業規則が事業場の労働者に周知された時期以降で、就業規則に施行期日が定められているときは、その日に発生します。一方、就業規則に施行期日が定められていないときは、事業場の労働者に周知された日から効力が発生します。
5,副業を制限する就業規則の規定の効力
ここまで、就業規則の効力について解説しましたが、就業規則にどのような規定を設けても効力が認められるわけではありません。就業規則に定められた労働条件が合理的なものであり、かつ、法令に反しないことが必要です(労働契約法7条、13条)。
この観点から、例えば、副業を全面的に禁止する内容の規定を就業規則に設けても通常は効力が認められません。
京都地方裁判所判決平成24年7月13日(マンナ運輸事件)は、副業の制限について、「労働者は、勤務時間以外の時間については、事業場の外で自由に利用することができるのであり、使用者は、労働者が他の会社で就労(兼業)するために当該時間を利用することを、原則として許されなければならない。」と判示しています。そして、例外的に就業規則で兼業を禁止することが許されるのは、兼業することによって、使用者に対する労務の提供が不能又は不完全になるような事態が生じたり、使用者の企業秘密が漏洩するなど経営秩序を乱す事態が生じるような場合に限られるとしています。
このように副業を制限する就業規則の規定は、企業側の正当な利益を害するような副業を禁止するものである場合にのみ、その効力が認められます。
6,退職を制限する就業規則の規定の効力
退職に関する就業規則の規定の効力もよく問題になります。
例えば、「従業員が自己の都合により退職しようとする時は1か月前までに退職願を提出し承諾を得なければならない。」といった退職に関する制限を就業規則に定めたとしても、従業員は2週間前に会社に通知することにより、会社の承諾を得なくても退職することが可能です。
これは、民法第627条1項は、「当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。」としているからです。
この民法627条1項は、使用者による不当な人身拘束を防ぐ趣旨のものであり、強行的な性質をもち、2週間を超える予告期間を定めたり、承諾なしには退職できない旨を定めても無効であると解釈されています(東京地方裁判所判決昭和51年10月29日高野メリヤス事件、横浜地方裁判所判決平成29年3月30日プロシード事件等)。
▶参考情報:退職についてのルールは、以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
7,退職後の義務を定める規定の有効性
退職後も従業員に競業避止義務を課したり、秘密保持義務を課す就業規則の効力は、従業員の退職後の自由を不当に制約しない範囲に限り認められます。
(1)競業避止義務について
退職後の競業避止義務は、従業員の退職後の自由を制約する効果が強く、裁判例においても、「従業員の再就職を妨げその生計の手段を制限してその生活を困難にするおそれがあるとともに、職業選択の自由に制約を課すものである」と判示されています(大阪地方裁判所判決平成15年1月22日新日本科学事件)。そして、このような競業避止義務の効力は、「守られるべき使用者の利益、これによって生じる従業員の不利益の内容及び程度並びに代償措置の有無及びその内容等を総合考慮し、その制限が必要かつ合理的な範囲を超える場合には、公序良俗に反し無効である」とされています(大阪地方裁判所判決平成15年1月22日新日本科学事件)。この裁判例は、個別の誓約書や合意書で退職後の競業避止義務を定めた事案に関するものですが、上記判示部分は、就業規則において退職後の競業避止義務を定める規定についても同様に妥当します。
▶参考情報:従業員の退職後の競業避止義務については以下でも解説していますので御参照ください。
(2)秘密保持義務について
これに対し、退職後に秘密保持義務を課す就業規則の効力は比較的広く認められます。しかし、それも無制限ではありません。
東京地方裁判所判決平成14年8月30日(ダイオーズサービシーズ事件)は、「退職後の秘密保持義務を広く容認するときは、労働者の職業選択又は営業の自由を不当に制限することになる」と判示したうえで、「労働契約終了後も一定の範囲で秘密保持義務を負担させる旨の合意は、その秘密の性質・範囲、価値、当事者(労働者)の退職前の地位に照らし、合理性が認められるときは、公序良俗に反せず無効とはいえない」としています。この裁判例は、個別の誓約書で退職後の機密保持義務を定めた事案に関するものですが、上記判示部分は、就業規則において退職後の機密保持義務を定める規定にも同様に妥当します。退職後の機密保持義務の設定は、情報の性質や価値、従業員の退職前の地位等に照らし合理的な範囲のものにとどめなければ無効と判断される危険があることに留意すべきでしょう。
▶参考情報:従業員の秘密保持義務については、以下で解説していますのでご参照ください。
8,労働協約と就業規則の関係
労働協約とは、企業が労働組合との間で、組合員の労働条件等についての合意を書面化したものをいいます。就業規則が労働協約に反する場合、その就業規則の規定は、労働協約の適用を受ける労働者には適用されません(労働契約法13条)。つまり、労働協約のほうが就業規則より優先して適用されます。労働協約については、以下の参考記事で解説していますのでご参照ください。
9,労使協定と就業規則の関係
労使協定とは、使用者と過半数代表者または事業場の労働者の過半数が加入する労働組合との間で締結される協定です。これが締結された場合、労使協定の定める範囲内で労働基準法による規制を免れさせる効果が生じます。例えば、労働基準法32条2項において、従業員に1日8時間以上労働させることを禁止する規定がおかれていますが、これについて時間外・休日労働に関する協定(いわゆる「36協定」)を締結した場合は、労働基準法32条2項による規制を免れさせる効果が生じ、36協定の範囲内で1日8時間を超えて労働させることが可能です(労働基準法36条1項)。
このように、労使協定は労働基準法による規制の適用を免除するものにすぎないため、例えば、前述の36協定をしても、それによって使用者が労働者に対し残業を命じる権限を獲得するわけではありません。使用者が労使協定に基づく就業を従業員に命じる権限を獲得するためには、別途、就業規則や雇用契約書における規定を設けることが必要です。
通達も「労働基準法上の労使協定の効力は、その協定に定めるところによって労働させても労働基準法に違反しないという免罰効果をもつものであり、労働者の民事上の義務は、当該協定から直接生じるものではなく、労働協約、就業規則等の根拠が必要なものであること」としています(昭和63年1月1日基発第1号)。また、裁判例も、例えば、賃金からの控除に関する労使協定(いわゆる「24協定」)について、「本件協定は、労働基準法24条1項ただし書の協定として、同項本文の原則違反を免れさせるものであるが、労働契約上、賃金からの控除を適法なものとして認めるためには、別途、労働協約又は就業規則に控除の根拠規定を設けるか、対象労働者の同意を得ることが必要である。」としています(京都地方裁判所判決令和5年1月26日住友生命保険事件)。
10,労働基準法との関係
就業規則は、法令に反してはならないことが、労働基準法に定められています(労働基準法92条1項)。この「法令」には、労働基準法も当然含まれます。就業規則で定める労働条件が労働基準法の規定を下回る場合、労働基準法で定められる基準が優先して適用されます(労働基準法13条)。
▶参考情報:就業規則と労働基準法の関係については以下をご参照ください。
・就業規則と労働基準法の関係とは?違反する場合などを詳しく解説
▶参考情報:「労働基準法13条」「労働基準法92条1項」の条文
・労働基準法13条
第十三条 この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、この法律で定める基準による。
・労働基準法92条1項
第九十二条 就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない。
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
11,就業規則の効力に関して弁護士に相談したい方はこちら
いざという場面でも法的効力が認められる就業規則にするためには、作成後に正しい方法で周知することとあわせて、就業規則の各規定の内容や書き方が非常に重要です。この点について、咲くやこの花法律事務所における就業規則に関するサポート内容をご説明しておきたいと思います。
(1)就業規則の作成
咲くやこの花法律事務所では、これまで多くの就業規則の作成依頼を承ってきました。
正社員用就業規則、契約社員用就業規則、パート社員用就業規則、給与規程、育児介護休業規程などのオーソドックスなものはもちろんですが、そのほかにも嘱託社員向け就業規則や「在宅勤務・在宅ワークに関する就業規則」の作成依頼、あるいは「無期転換ルールに対応した就業規則」なども承っています。
咲くやこの花法律事務所の弁護士は、多くの労働問題や労務トラブル、労働裁判を解決してきた実績があり、そのときの経験を生かして、就業規則の内容を実際の労働問題や労務トラブル、労働裁判においても活用できる内容にすることについて、常に改善、研究を行っています。このようなことは実際に裁判を担当して解決にあたる弁護士でなければできません。
咲くやこの花法律事務所に就業規則の作成をご依頼いただくことで、自社の就業規則を自社の現実にあったものとし、また、万が一の労務トラブルや労務裁判においても活用することができる内容に整備することができます。
労務問題に強い弁護士への相談料
- 初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
- 就業規則の作成費用:20万円+税~
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の労働問題に強い弁護士への相談サービスについて詳しくは以下もご参照ください。
(2)就業規則のリーガルチェック
咲くやこの花法律事務所では、既に就業規則を作成済みの会社のために、弁護士による就業規則の「リーガルチェックサービス」も行っています。
残念ながら、労働問題トラブルの際に本当の意味で機能する就業規則が作成されている会社は多くないのが実情です。咲くやこの花法律事務所のリーガルチェックを受けていただくことで、自社の就業規則を実際の労働問題や労務トラブルの現場でも機能する内容に仕上げていくことが可能です。
就業規則作成、変更については、豊富な実績と経験を持ち労働問題に特に強い弁護士が多数所属する咲くやこの花法律事務所に、ご相談ください。
労務問題に強い弁護士への相談料
- 初回相談料:30分5000円+税(顧問契約締結の場合は無料)
- 就業規則のリーガルチェック費用:8万円+税~
(3)顧問弁護士サービス
咲くやこの花法律事務所では、就業規則の相談はもちろん、その他の人事労務問題について企業を継続的にサポートし、労務管理を改善するための、顧問弁護士サービスを提供しています。継続的に弁護士に相談しながら自社の労務管理を改善していくことで、トラブルが起きにくくするための対策、トラブルが起きても迅速に解決できるようにするための対策に、日頃から取り組むことは、企業経営において非常に重要です。咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスは以下をご参照ください。
(4)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法
今すぐお問い合わせは以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
12,まとめ
以上、この記事では、就業規則の効力についてご説明しました。
まず、就業規則には、「入社した従業員の労働条件を規律する効力」「既存の従業員の労働条件を変更する効力」「労働契約の最低基準を決める効力」の3つの効力があります。
ただし、どのような内容の規定を設けても効力が認められるわけではなく、就業規則に定められた労働条件が合理的なものであり、かつ、法令に反しないことが必要です(労働契約法7条、13条)。この点を、「副業を制限する就業規則の規定」、「退職を制限する就業規則の規定」、「退職後の義務を定める規定」を例にご説明しました。
また、就業規則の効力発生は社内での周知が要件であることをご説明したうえで、労働協約、労使協定、労働基準法との関係、そしていつから効力が発生するかという問題についてもご説明しました。
法的効力がしっかり認められる就業規則にするためには、作成後に正しい方法で周知することだけでなく、就業規則の各規定の内容や書き方が非常に重要です。咲くやこの花法律事務所でも就業規則の作成に関するご相談をお受けしていますのでご利用ください。
13,【関連情報】就業規則に関する他のお役立ち記事一覧
この記事では、「就業規則の法的効力はどこまである?有効性について解説」についてご紹介しました。就業規則に関しては、就業規則の法的効力以外にも知っておくべき情報が幅広くあり、正しい知識を理解しておかなければ重大なトラブルに発展してしまいます。
そのため、以下ではこの記事に関連する就業規則のお役立ち記事を一覧でご紹介しますので、こちらもご参照ください。
・モデル就業規則とは?厚生労働省作成の無料テンプレートの使い方
・就業規則の意見書とは?記入例や意見聴取手続きの注意点を解説
・就業規則の閲覧を求められたら?会社は応じる義務がある?対処法を解説
・就業規則変更届とは?書き方や記入例、提出方法をわかりやすく解説
・パート・アルバイトの就業規則の重要ポイントと注意点【雛形あり】
・在宅勤務やテレワーク・在宅ワークの就業規則の重要ポイント7つ
記事作成弁護士:西川 暢春
記事更新日:2024年6月26日
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