こんにちは。弁護士法人咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
「就業規則を作成したいが弁護士に依頼した方がいいのか」「ひな形を使って作成することはできるのか」「自社の就業規則を見直したいが社労士に依頼したほうがいいのか、弁護士に依頼したほうがいいのか」「費用はどのくらいかかるのか」等の悩みを抱えていませんか。
就業規則は、労働時間や休日、賃金などの労働条件に関するルールや職場の規律などを定めた文書です。労働時間や休憩、休日などの労働条件や、遅刻や欠勤の扱い、休職・復職の判断、手当の支給などの日常の労務管理、従業員の解雇や懲戒処分など、日々の会社を運営する中のさまざまな場面で契約書と同等の機能を果たすもので、従業員を雇用する企業にとって最も重要な文書の1つです。
就業規則は形式的に作成しておけばいいわけではなく、労働に関する様々な法律や行政通達、裁判例を踏まえて、会社の実情に即した内容にすることが重要です。そして、定期的に見直しを行い、法改正や最新の裁判例に対応していく必要があります。
就業規則に不備があると、労務管理に支障が生じたり、従業員との間でトラブルが発生したりして、社内の規律の乱れや会社の損失につながるリスクがあります。そして、万が一、労使紛争になった場面でも、就業規則が適切に整備されていなければ、そのことは、企業が敗訴する原因になります。
この記事では、就業規則の作成や見直し、リーガルチェックを弁護士に依頼するメリットや、弁護士に依頼するとどのくらいの費用がかかるのか、どのような弁護士に依頼するのがおすすめか、ひな形を使用するリスク等について具体的に解説します。
この記事を最後まで読んでいただくことで、就業規則の作成や見直し、リーガルチェックにおける弁護士の役割や依頼のメリット、依頼する場合の費用の目安等について理解した上で、現在、就業規則の作成や見直しを検討されている事業者の方は、弁護士のサポートを受けながら、自社の労務環境にそって法的なリスクをおさえた就業規則の整備に向けて動き出すことができるようになります。
それでは見ていきましょう。
就業規則が不備のある内容になってしまう原因には以下のような理由があります。
- 就業規則をひな形そのままの形で作っている
- 会社の実情に沿った内容になっておらず、就業規則が形骸化している
- 作成してから一度も見直しをしていない
- 最新の法改正や裁判例の動向を反映していない
- 会社の都合のみを優先し、裁判例を踏まえると効力が認められないような内容になっている
- 作成後の意見聴取の手続を正しく行っていない
- 就業規則の周知が不十分で就業規則としての効力が認められない
不備のある就業規則を放置することは、企業にとって大きなリスクのある状態です。そして、トラブルに対応できる就業規則を作るためには、実際に労働裁判を経験してきた弁護士目線でのチェックが不可欠です。就業規則の整備についてお困りの場合は、ぜひ咲くやこの花法律事務所の弁護士にご相談ください。
労働問題・労務に関する咲くやこの花法律事務所のサポート内容は以下もご参照ください。
▶参考情報:労働問題・労務に関する企業側弁護士への相談サービスはこちら
実際に咲くやこの花法律事務所の弁護士が企業の就業規則の見直しなどの整備をサポートした事例もご紹介していますのであわせてご覧ください。
▼就業規則の作成や見直しについて、弁護士の相談を予約したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。
【お問い合わせについて】
※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
今回の記事で書かれている要点(目次)
1,そもそも、就業規則について
就業規則は、就業にあたり従業員が守るべき規律や労働条件に関するルールを体系的に定めたものであり、正しく整備された就業規則は従業員との契約書と同等の機能を持ちます。
就業規則の記載事項には以下のようなものがあり、その内容は多岐にわたります。
- 労働時間や休日に関する事項(始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇など)
- 賃金に関する事項(賃金の決定・計算方法、支払方法、締切および支払いの時期、昇給)
- 退職や解雇に関する事項
- 退職金に関する事項
- 賞与や最低賃金額に関する事項
- 食費・作業用品などの負担に関する事項
- 安全衛生に関する事項
- 職業訓練に関する事項
- 災害補償や業務外傷病扶助に関する事項
- 表彰・制裁(懲戒処分など)に関する事項
常時10人以上の従業員がいる企業では、就業規則の作成と届出が義務となっています(労働基準法89条)。
就業規則は、会社と従業員の権利義務関係を明確にし、職場の秩序を守るとともに、紛争を防止する役割があり、従業員を雇用する企業にとって非常に重要な文書です。
▶参考情報:就業規則についての全般的な知識や記載事項については以下の記事で詳しく解説しています。こちらも就業規則の整備に役立つ非常に重要な情報を掲載していますので、あわせてご覧ください。
2,就業規則の作成や見直しは弁護士へ依頼するべき?

就業規則の作成や見直しにあたっては、法律や行政通達、裁判例等の様々な専門知識が必要となり、会社の業種や規模等を考慮し、内容を調整していくことが必要です。不備があれば、従業員がトラブルを起こす場面で必要な対処ができず、会社の損害が膨らんだり、社内が乱れて従業員からの信頼を失う危険があります。社内のトラブルに対応できる就業規則にするためには、企業側で労働裁判に対応してきた弁護士に作成を依頼することが有益です。
まとめると、就業規則の作成や見直しの際に弁護士に依頼すべき理由は以下の通りです。
- (1)法律の専門知識が必要
- (2)裁判例の専門知識が必要
- (3)訴訟やトラブルの場面で問題になるポイントを踏まえた対応が必要
- (4)会社の実情に即した就業規則を作成することができる
- (5)正しく整備しないと適切な労務管理ができない
- (6)就業規則の不備によるリスクを回避することができる
- (7)見直しの場面でも不利益変更の問題に配慮して万全の対策ができる
それぞれ、順に詳しく解説していきます。
(1)法律の専門知識が必要
就業規則の内容は会社が自由に決められるわけではなく、法律に則ったものであることが前提です。
法律に反するような就業規則は、当然のことながら無効となり、このような規則を作ること自体が会社にとってリスクになります。そのため、人事労務分野の法令に精通し、また最新の法改正にも対応できている弁護士に作成を依頼することは、適切な就業規則の整備につながります。
(2)裁判例の専門知識が必要
一見法的な問題がなさそうな就業規則の規定でも、裁判例でその効力が否定される事案が少なくありません。就業規則の条項の有効性について、最終的に判断するのは裁判所です。裁判例では、就業規則の解釈や規定内容に関する裁判所の考えが示され、その積み重ねによって、判断の枠組みが形成されています。
就業規則を作成や見直しにあたっては、これらの裁判例で示されたルールを反映することも重要になります。労働関係の法令はもちろん、裁判例の考え方にも精通した弁護士に就業規則の作成を依頼することで、実際に訴訟になった場面でも通用する就業規則を作成することにつながります。
(3)訴訟やトラブルの場面で問題になるポイントを踏まえた対応が必要
労使トラブルについて企業側の立場で対応してきた弁護士は、訴訟で問題となる就業規則のポイントや、実際のトラブル対応の場面で問題となる就業規則のポイントを十分に理解しています。その経験を活かして企業の就業規則を作成することが、実際に訴訟やトラブルになった場面で対応できる就業規則を作ることにつながります。
(4)会社の実情に即した就業規則を作成することができる
就業規則は会社の実情に即した内容であることが非常に重要で、会社ごとに規定すべき内容が変わります。
例えば、変形労働時間制を採用している企業や、勤務時間が変則的な業種では、労務管理が複雑になりやすく、それに起因するトラブルが発生しやすいです。業種によって発生しやすいトラブル、働き方の違い等を考慮し、紛争の予防や紛争化した場合の対応を想定した制度設計することが必要です。
また、就業規則の作成にあたっては企業規模も考慮すべきです。人手や経営資源に限りがある中小企業と企業体力のある大企業では、就業規則の内容も変わります。
企業の人事労務分野に精通した弁護士に作成を依頼することで、これらの事情をすべて加味した上で、現実的かつ実践的な就業規則を作り上げていくことができます。
(5)正しく整備しないと適切な労務管理ができない
就業規則は、労働時間や休憩、休日などの労働条件や、遅刻や欠勤の扱い、休職・復職の判断、手当の支給などの日常の労務管理、従業員の解雇や懲戒処分など、日々の会社を運営する中のさまざまな場面で判断基準として用いられます。
しかし、就業規則が正しく整備されていなければ、就業規則が会社のルール・判断基準として有効に機能せず、適切な労務管理ができなくなります。
例えば、会社が従業員に懲戒処分を科すためには、あらかじめ就業規則に懲戒の種別や懲戒事由を事前に定めておくことが求められます(フジ興産事件、最高裁判所判決平成15年10月10日)。
▶参考情報:「最高裁判所判決平成15年10月10日フジ興産事件」の全文はこちらから確認できます。
就業規則の懲戒事由が適切に整備されていなければ、従業員に問題行動があっても懲戒処分を科すことはできません。懲戒処分ができないことになると、問題行動をする従業員に適切な対処をすることができず、社内の規律が乱れる原因になります。
ルールが正しく定められていないと、適切な労務管理はできず、トラブルが多発したり、従業員の士気が下がってしまったり、会社が不利な立場に置かれたりするリスクがあるため、有効に機能するよう就業規則を設計することが重要です。
▶参考情報:就業規則で定めるべき懲戒事由については以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
(6)就業規則の不備によるリスクを回避することができる
就業規則の不備で会社に生じるリスクには以下のようなものがあります。
- 固定残業代制度が無効と判断され未払い賃金の支払いを命じられる
- 解雇や懲戒処分の規定の不備で解雇や懲戒処分が無効と判断される
- 降格処分や減給が無効と判断される
会社は就業規則に従って労務管理を行います。しかし、就業規則に不備があると、就業規則に基づいて行った対応や人事上の措置の効力が裁判で否定されるという事態に陥りかねません。
例えば、会社が行った解雇が不当解雇と判断された場合、会社は解雇以降の賃金を解雇の時点にさかのぼって支払うよう命じられることになり、その金額は1000万円を超えることも少なくありません。
▶参考情報:不当解雇のトラブルについては以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
(7)見直しの場面でも不利益変更の問題に配慮して万全の対応ができる
就業規則の見直しの場面では、不利益変更の問題に特に注意が必要です。不利益変更をめぐる訴訟で企業が敗訴すると、見直し後の就業規則を従業員に適用できなくなるうえ、自社の対応が裁判所で否定されたことになり、会社は従業員らの信頼を失う危険があります。
訴訟対応に精通し、訴訟で問題になりうる点をよく理解した弁護士が対応することで、訴訟リスクを回避するための万全の対策を講じることができます。
▶参考情報:就業規則の不利益変更については以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
就業規則は作成すればいいというものではなく、万が一労働問題トラブルが裁判に発展した時にも裁判で通用する内容であることが必要です。そして、そのためには、労働問題の解決に精通した弁護士に就業規則の作成を依頼することが有益です。
3,社労士への依頼と弁護士への依頼の違いは?
就業規則の整備については、社労士に依頼することも可能です。社労士と弁護士のどちらに依頼すべきかというご質問をいただくこともありますが、両者はそれぞれ異なる専門性を有しています。
社労士は、労働保険や社会保険の手続き、助成金の活用、実務に即した制度設計や運用支援など、日常の労務管理に密着したサポートを得意としています。一方で、弁護士は、裁判例や紛争対応の経験を踏まえ、就業規則の条項が実際のトラブルや訴訟の場面でどのように判断されるかという観点から就業規則の作成やチェックを行うことを強みとしています。
就業規則は、日常の運用において機能することと、万一の紛争時にも通用することの双方がともに重要です。そのため、実務運用に強い社労士と、紛争対応に強い弁護士が連携することで、現場で使いやすく、かつ裁判でも通用する就業規則を整備することが可能になります。
咲くやこの花法律事務所では、社労士の先生方と協力し、それぞれの専門性を活かしながら、企業にとって最適な就業規則の整備をサポートしています。
4,就業規則のリーガルチェックを弁護士に依頼すべき理由

就業規則は一度作ったら終わりではなく、法改正や最新の裁判例に適合するようにアップデートを繰り返していく必要があります。
作成してから一度も見直しをしていない就業規則、ひな形をそのまま使っている就業規則には、不備が含まれている可能性が高く、放置していると会社に大きな損失を発生させるトラブルにつながりかねません。
そのため、正しい労務管理のためには、定期的に弁護士によるリーガルチェックを受け、就業規則を見直すことが不可欠です。
まとめると、就業規則のリーガルチェックを弁護士に依頼すべき理由は以下の通りです。
- (1)不備のある規定の削除や修正
- (2)法改正への対応
- (3)最新の裁判例の反映
それぞれ、順に詳しく解説していきます。
(1)不備のある規定の削除や修正
就業規則のリーガルチェックを行う中で、弁護士の視点からみると、企業に不利になる可能性がある条項や、トラブルの原因となり得る規定が見つかることが少なくありません。
例えば、読み手によって解釈が分かれるような曖昧な表現や、時間の経過とともに形骸化している規定、会社がすでに廃止している制度についての規定等は、トラブルの元になるため修正や削除をする必要があります。
また、最新の裁判例の傾向を踏まえて修正すべき点も必ず出てきます。
就業規則のリーガルチェックを弁護士に依頼することで、就業規則の内容に法的な問題がないかを専門的な視点で確認することができ、不備のある規定や無効となるリスクのある条項を見つけ出すことができます。問題点の指摘だけでなく、実態に即した修正案や代替案を提示することができるのも弁護士の強みです。
企業の実情を反映した現実的かつ適法な就業規則へと改善することで、労使間のトラブルの発生を防止し、安定した労務管理につなげることができます。
また、就業規則の誤記が原因で会社に不利な判断がなされた裁判例(京都地方裁判所判決 令和3年8月6日など)もあるので、一度作成した就業規則も定期的に見直しをして不備がないか確認することが必要です。
(2)法改正への対応
人事労務に関する法律は近年目まぐるしく改正されており、直近でも以下の法改正が行われています。
▶参考情報:直近の人事労務に関連する法改正
- 2023年 労働基準法改正(中小企業の割増賃金率の引き上げ、賃金のデジタル払いの解禁)
- 2024年 労働基準法施行規則改正(労働条件明示のルール変更など)
- 2025年 育児・介護休業法改正(看護休暇の見直し、残業免除の対象拡大、短時間勤務制度の代替措置の追加など)
- 2026年 公益通報者保護法改正、労働施策総合推進法改正
※2026年4月現在の情報です。
このようにほとんど毎年のように法改正があります。そして、法改正に応じて、改正内容に適合する形に就業規則を見直していく必要があります。そのため、少なくとも1年に1回は就業規則のリーガルチェックを行うことが必要です。
しかし、実際のところ、これだけ頻繁に行われる法改正に対応するのは容易なことではなく、就業規則の改訂が間に合っていなかったり、不備がある内容になってしまったりする企業が少なくありません。
法改正に対応していない就業規則を放置すると、労使トラブルの火種になりかねず、企業のコンプライアンス体制に対する不信にもつながります。
弁護士が定期的にチェックすることで、就業規則が法改正に対応ができているか確認することができます。
▶参考情報:労働基準法改正については、以下の記事でも解説していますのであわせてご参照ください。
(3)最新の裁判例の反映
就業規則の有効性は、裁判例の積み重ねによって判断の枠組みが形成されているため、就業規則の整備や見直しにあたっては、裁判例で示されたルールを確認することも重要です。
裁判例で示される判断は固定のものではなく、法改正や社会情勢等によって変化していくため、必ず最新の裁判例を確認し、その考え方を就業規則に反映させていく必要があります。
しかし、裁判例の情報は、法律の実務家でない方にとっては、あまり触れる機会のない情報なのではないかと思います。裁判例も踏まえて就業規則を整備、リーガルチェックできる点は、労働問題に強い弁護士ならではのメリットといえます。
5,弁護士に依頼する費用はどのくらい?

弁護士に依頼する場合の費用は弁護士によって異なるため、正確には依頼する弁護士に確認する必要がありますが、一般的な費用の目安は以下のとおりです。
(1)就業規則の作成を弁護士に依頼した際の費用の目安は?
- 就業規則の作成:20万円+税~
(2)就業規則の見直しのためにリーガルチェックを弁護士に依頼した際の費用の目安は?
- 就業規則のリーガルチェック:8万円+税~
就業規則とは別に、退職金規程等を設ける場合や、正社員用、契約社員用、パート社員用等、雇用形態ごとに就業規則を作成する場合は、別途費用が必要になる可能性があります。
弁護士費用がネックになって依頼を悩まれる方も多いと思います。
しかし、いざ従業員との間でトラブルが発生し、訴訟等に発展したとき、就業規則の適切な整備と運用ができていなければ、裁判所から不利益な判断をされ、弁護士費用どころではない金額の支払いを命じられることがあります。そして、規模が小さい会社ほど一度のトラブルが致命的なダメージにつながりかねません。
就業規則の整備は、将来のトラブルやダメージを防止するための投資と考えて、ぜひ専門家へご相談いただきたいと思います。
咲くやこの花法律事務所では、顧問契約の範囲内で就業規則のチェックに対応する顧問契約プランもご用意しています。
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の顧問契約プランについて以下のページでご紹介しています。
6,就業規則を相談する弁護士を選ぶ際のポイントは?
医師に専門分野があるように、弁護士にも専門分野や得意分野があり、すべての弁護士が就業規則について深い知識があるわけではありません。また、日々公開される労働裁判例を逐一チェックしている弁護士は必ずしも多くありません。
就業規則の作成やチェックを依頼するときは、人事労務分野に専門性があり、コミュニケーションがとりやすく、継続的にサポートしてくれる弁護士に相談するのがおすすめです。
まとめると、就業規則を弁護士に依頼する際の選び方のポイントは、以下の通りです。
- (1)人事労務分野に強い弁護士
- (2)丁寧にヒアリングしてくれる弁護士
- (3)継続的にサポートしてくれる弁護士
それぞれ、順に詳しく解説していきます。
(1)人事労務分野に強い弁護士
就業規則の作成に必要な知識は、労働基準法や労働契約法などの法律だけなく、行政通達や裁判例等、多岐にわたります。また、実際の紛争を想定して整備する必要があるので、労働分野に詳しく、対応実績のある弁護士へ依頼するのがおすすめです。
また、業種や企業規模によって、必要な就業規則の内容は異なるため、業種や業界に理解がある弁護士を選ぶとより実践的な支援を受けることができます。
(2)丁寧にヒアリングしてくれる弁護士
就業規則は、会社の実態に合ったものでなければ意味がありません。会社の実態に合った就業規則にするためには、弁護士と密にコミュニケーションをとり、弁護士に会社の内情を理解してもらう必要があります。
そのため、コミュニケーションがとりやすく、会社の内情を丁寧にヒアリングして、就業規則に反映させてくれる弁護士に依頼すべきです。
会社の実態を就業規則に反映させるためには、内情を把握している経営者や人事担当者と弁護士の連携が欠かせません。就業規則は、弁護士が一方的に作成するものではなく、会社と弁護士が一緒に作り上げていくものです。
(3)継続的にサポートしてくれる弁護士
就業規則は、一度作成して終わりではなく、法改正や新しい裁判例を踏まえた改訂や定期的な見直しが必要です。また、就業時間や賃金項目、懲戒事由といった点も時間がたつと変わってきますので、実情にあわせて変更していくことが必要です。
また、就業規則には労働者への周知義務があり、労働者へ周知されていない就業規則は効力を持ちません(労働契約法7条及び10条)。就業規則は適切に整備するだけでなく、適切に周知していくことも重要になります。
そのため、顧問弁護士として、継続的にサポートしてくれる弁護士へ依頼するのが理想です。
7,就業規則は自分で作成できる?
就業規則の自体は企業の経営者や人事担当者が自分で作成することも可能です。
厚生労働省は就業規則の規程例として「モデル就業規則」を公開しており、それ以外にもインターネット上で就業規則のひな形やテンプレートを入手することができます。
しかし、就業規則は会社の実態に沿ったものとする必要があり、安易なひな形の流用は会社にとって大きなリスクがあります。ひな形をそのまま使用できるケースはほとんどなく、会社の実情に合った内容にカスタマイズしていくことが不可欠です。
(1)厚生労働省のモデル就業規則の問題点
就業規則のひな形として一般的なのが、厚生労働省が公開している「モデル就業規則」です。就業規則を自分で作成する場合は、このモデル就業規則を参考にする方が多いのではないかと思います。
しかし、このモデル就業規則は、厚生労働省の施策を反映した規程例という側面が強い点に注意が必要です。
法律上は努力義務に過ぎない内容が規定化されていたり、企業の実務を踏まえない条文になっていたりすることがあります。どこまでが義務なのかを理解しないままひな形を利用してしまうと、自社の意思に沿わない制度設計になってしまう可能性があるので注意が必要です。
▶参考情報:厚生労働省のモデル就業規則の問題点については、以下の記事で解説していますのでご参照ください。
(2)一般的なひな形を使用する問題点
インターネット上や書籍に掲載されているひな形は、作成されてから時間が経過しており、法改正や最新の裁判例に対応できていないものが少なくありません。古いひな形を使用したために、知らず知らずのうちに法律違反になってしまうリスクがあるので注意が必要です。
また、就業規則をどのような内容にするべきかは会社によって異なります。ひな形をそのまま流用すると、会社の実態と乖離してしまい、就業規則が意味のないものになってしまったり、会社に不利な判断がなされる要因になってしまったりする要因になります。
ひな形を使用する場合は、法改正が反映されているかを確認し、会社の実態にあわせてカスタマイズすることが必要です。
少なくとも専門家のリーガルチェックは受けていただくことをおすすめします。
「一度定めた就業規則を変更するのは簡単ではない」
会社が、従業員から個別の同意を得ることなく、就業規則を従業員にとって不利益な内容に変更することは原則として禁止されています(労働契約法9条)。
例外的に、「変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が合理的なものであるとき」に限り、従業員の個別の同意がなくても、就業規則の変更により、労働条件を変更することが認められていますが(労働契約法10条)、不利益変更のハードルは高く、裁判例でも変更が無効と判断され、会社が訴訟で敗訴する原因になっている事例が後を絶ちません。
とりあえずひな形を使っておいて後々きちんと整備すればいいと思っていても、就業規則の不利益変更に該当し、思うように変更ができない可能性があるため、ひな形の使用には慎重になる必要があります。
8,就業規則に関するサポートは咲くやこの花法律事務所への相談がおすすめ
咲くやこの花法律事務所は、企業の人事労務分野について、これまで数多くの企業からご相談やご依頼をいただいてきました。
ご相談やご依頼に対応する中で、「就業規則を正しく整備していればもっと会社の意向に沿った解決ができたのに」と感じるような悔しい事案も見てきました。
就業規則は労務管理の根本にかかわるものであり、労働関係の裁判では、必ずと言っていいほど就業規則を証拠として提出することになります。就業規則だけですべてが決まるわけではありませんが、就業規則の不備が会社の敗訴につながったと思われる事例が多数あることも事実です。
咲くやこの花法律事務所では、法律や施行規則、行政通達等の公のルールだけでなく、最新の裁判例から読み取れる労働契約のルールまで網羅し、紛争の予防と解決に役立つ就業規則の整備に尽力します。
就業規則は、法改正や社内制度の変更に伴う改訂や定期的な見直しが必要となり、従業員への周知の方法や就業規則を変更する際の手続き等も法律のルールに従って適切に運用していくことが重要です。
咲くやこの花法律事務所では、就業規則の変更や運用に関する継続的なサポートも行っています。就業規則の作成、就業規則の見直し、リーガルチェックはぜひ咲くやこの花法律事務所にご依頼ください。
▶参考情報:この記事の著者である咲くやこの花法律事務所の代表弁護士 西川暢春は、就業規則に関する書籍も執筆しています。ぜひあわせてご覧ください。
すでに社労士の先生に就業規則を作成していただいている会社については、咲くやこの花法律事務所では、その社労士の先生と協力して、弁護士の視点も入れながら、さらに良いものを作っていく支援をさせていただいております。
社労士か弁護士かという二者択一ではなく、協力して良いものを作り上げていくことがメリットになります。そのため、すでに社労士の先生にご依頼いただいている場面でも、咲くやこの花法律事務所にご相談いただくことは有益です。
9,実際に咲くやこの花法律事務所の弁護士が企業の就業規則の整備をサポートした事例
咲くやこの花法律事務所では、多くの顧問先や企業から、就業規則の整備についてご相談をお受けしてきました。以下で2つの対応事例をご紹介します。
(1)問題社員対応に関連する不適切な就業規則の見直しをシステム会社に提案した事例
問題社員に対応しなければならない場面で、就業規則の内容が不適切なまま放置されていると十分な対応ができず、大きな支障が生じることが少なくありません。
特に重要になるのは、諭旨解雇や懲戒解雇といった重い懲戒処分についての規定ではなく、むしろ戒告・譴責・訓戒といった一番軽い懲戒処分についての規定です。事案にもよりますが、最初から重い懲戒処分を選択するべきことは多くなく、まずは一番軽い懲戒処分から始めることが通常であるためです。その意味で、戒告・譴責・訓戒といった軽い懲戒処分を実際の利用に適した形で整備することが非常に重要です。
例えば、システム会社の事例で、譴責処分などの懲戒事由として、「業務上の指示、命令にしばしば従わないとき」と定められていた例がありました。このような場合、業務命令に対する不服従が1回目であれば譴責処分という一番軽い懲戒処分すらできません。1回目の不服従は「しばしば従わないとき」にあらないためです。「しばしば従わないとき」にあたるためには、少なくとも3回くらいは業務命令に従わなかったことが必要でしょう。
このような懲戒事由の設定は、実際にトラブルに対応する場面で大きな支障を生じさせます。1回目の業務命令違反から譴責処分ができるように、少なくとも譴責処分の事由を定めるにあたっては、単に「業務上の指示、命令に従わないとき」としておくべきです。
このシステム会社には、咲くやこの花法律事務所に就業規則の見直しをご依頼いただき、弁護士が、トラブル対応への支障予防の観点から、就業規則を丸ごと見直しさせていただきました。その結果、就業規則をトラブル対応に支障のない適正な内容に変更することができました。
▶参考情報:懲戒事由の規定の仕方については、以下の記事でも解説していますので併せてご参照ください。
(2)不備のある固定残業代について就業規則の見直しによる適正化を行った事例
固定残業代制度について不備のある就業規則は多く見られます。
ある運送会社からご相談いただいた事例では、固定残業代制度を定める就業規則の内容に問題があり、訴訟になった場合のリスクは非常に高い状態でした。
このような不備がある場合に、紛争化してから適正化しようとしても、不利益変更の問題が大きくクローズアップされてしまい、より大きな紛争になりがちです。そこで、紛争化する前に弁護士のリーガルチェックを受け、先回りして不備を適正化しておくことが不可欠です。
この運送会社の事案でも、咲くやこの花法律事務所の弁護士が紛争化する前に就業規則の見直しを会社に提案し、先回りして固定残業代を適正化する就業規則変更を行いました。労働組合との団体交渉や従業員説明会でも弁護士が積極的に役割を果たすことで、無事、固定残業代制度を適正化でき、事なきを得ることができました。
▶参考情報:不備ある固定残業代のリスクについては、この記事の著者 弁護士 西川暢春が、「不備ある固定残業代!怖すぎる4つのダメージとは?会社崩壊の危険もあり!」の動画でも解説していますので併せてご参照ください。
10,就業規則に関して弁護士へ相談をしたい方はこちら

咲くやこの花法律事務所では、企業側の立場で、就業規則の整備に関するご相談をお受けしています。咲くやこの花法律事務所の弁護士によるサポート内容をご紹介します。
(1)就業規則の作成・リーガルチェックに関するご相談
咲くやこの花法律事務所では、これまで数多くの就業規則の作成やリーガルチェックのご依頼をお受けしてきました。
従業員との間で紛争となった場合、就業規則がどのような内容になっていたかがポイントとなる事案が数多くあり、従業員を雇用する企業にとって、就業規則は非常に重要な文書です。その一方で、不備のない就業規則を作成できている企業はほとんどないのが実情です。
就業規則の作成やリーガルチェックには、法令や行政通達、裁判例等などの幅広い法律の知識が必要です。咲くやこの花法律事務所は企業法務を専門としており、労働分野に関する法律や裁判例などの知識はもちろん、実際に労働トラブルに対応してきた経験を活かして、紛争の解決と予防に役立つ就業規則の整備に尽力します。
咲くやこの花法律事務所の労働問題に強い弁護士への相談費用
・初回相談料:30分5000円+税
(2)顧問弁護士サービスのご案内
咲くやこの花法律事務所では、企業の労務管理全般をサポートするための顧問弁護士サービスを提供しています。
会社経営において、従業員の休職や復職、降給、解雇や懲戒処分、配置転換など様々な人事上の措置を行う場面があります。このような場面は従業員とのトラブルが発生しやすいタイミングでもあるため、慎重に対応していくことが必要です。
日頃からこまめに顧問弁護士に相談いただき、就業規則や社内規程を整備したり、就業規則に則って適切に対応していくことで、労務トラブルに強い会社を作ることができます。
咲くやこの花法律事務所では、企業側の立場で数多くの事案に対応してきた経験豊富な弁護士が、トラブルの予防、そしてトラブルが発生してしまった場合の早期解決に尽力します。
▶参考情報:咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスのご案内は以下をご参照ください。
(3)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法
弁護士の相談を予約したい方は以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
【お問い合わせについて】
※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
11,まとめ
就業規則の作成には、法律や行政通達、裁判例等の専門的な知識が必要となり、会社の業種や規模等を考慮し、会社の実情を反映した内容にすることが重要です。
就業規則を正しく整備していなければ、就業規則を社内の判断基準として用いることはできず、適切な労務管理を行うことができなくなってしまいます。就業規則に不備があれば、未払賃金請求や不当解雇トラブル等が発生し、会社がダメージを受ける可能性もあるので、弁護士に作成を依頼するのがおすすめです。
就業規則は一度作って終わりではなく、定期的に見直しを行い、法改正や最新の裁判例を反映していくことが必要です。
不備のある規定を残している就業規則や法改正や最新の裁判例に対応できていない就業規則は、放置していると会社に大きな損害を与えるトラブルにつながる可能性がありますので、定期的に弁護士によるリーガルチェックを受けていただくことをおすすめします。
就業規則の作成やリーガルチェックにかかる費用は、依頼する弁護士によって異なりますが、就業規則の作成は20万円+税~、就業規則のリーガルチェックは8万円+税~が目安となります。
就業規則の作成やリーガルチェックを依頼するときは、企業法務や労働問題に詳しく、会社の内情を丁寧にヒアリングしてくれて、就業規則の改訂や運用を継続的にサポートしてくれる弁護士に相談するのがおすすめです。
厚生労働省のモデル就業規則や一般に公開されているひな形を使って自分で作成することもできますが、就業規則の内容は会社の実情にあったものでなければ意味がないため、ひな形をそのまま使用できるケースはほとんどありません。安易にひな形を流用すると、自社の意に沿わない制度設計になってしまったり、トラブルになったときに会社が不利な立場におかれる原因になったりするリスクがあるため、少なくとも弁護士のリーガルチェックを受けていただくことをおすすめします。
新たに就業規則の作成を検討されている企業の方、自社の就業規則が適切な内容になっているか不安を感じておられる方は、ぜひ咲くやこの花法律事務所へご相談ください。
12,【関連情報】就業規則に関するその他お役立ち記事一覧
この記事では、就業規則の作成やリーガルチェックを弁護士にご依頼いただくメリットや自分で作成するリスク等について解説しました。
咲くやこの花法律事務所では、こちらの記事以外にも就業規則に関するお役立ち記事を多数公開しています。あわせて読んでいただくことで就業規則についての理解を深めていただける内容となっていますので、ぜひご覧ください。
・就業規則がない場合どうなる?違法になる?リスクや対処法を解説
・就業規則変更届とは?書き方や記入例、提出方法をわかりやすく解説
・就業規則と労働基準法の関係とは?違反する場合などを詳しく解説
・就業規則の閲覧を求められたら?会社は応じる義務がある?対処法を解説
・パート・アルバイトの就業規則の重要ポイントと注意点【雛形あり】
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記事公開日:2026年4月22日
記事作成弁護士:西川 暢春
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