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弁護士に聞く!正社員・パートの解雇方法。円満に問題社員を解雇したい時は必読です。

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  • 問題従業員の解雇方法

    会社の経営をしていると問題のある従業員を解雇しなければならない場面も生じます。

    そして、このような解雇の場面は、解雇された従業員が「不当解雇である」と主張して会社に裁判を起こしてくる不当解雇トラブルのリスクを伴います。

    不当解雇トラブルは、会社のリスクが高いトラブルです。

    最近では、日本IBMが不当解雇トラブルで敗訴し、「解雇した従業員の約2年10か月分の給与の額」に相当する金額の支払いを命じられました。また、中小企業の不当解雇トラブルでも、「1000万円」を超える支払いを命じた裁判例が少なくありません。

    そこで、今回は、問題社員の解雇の際に、できるかぎり、会社のリスクをおさえて解雇する「正しい解雇方法」について、ご説明します。

    まずは「正社員の解雇方法」についてご説明し、最後に「パート社員、アルバイト社員の解雇方法」についても説明しています。

    問題社員の解雇の前には、必ず目を通しておいてください。

     

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    1,この記事を読めばわかること

    ●解雇方法についての重要な考え方
    ●解雇に進む前におさえておきたいこと
    ●解雇の種類と解雇方法の選択
    ●普通解雇か懲戒解雇かの選択について
    ●予告解雇か即日解雇かの選択について
    ●問題社員の解雇方法「普通解雇」の場合
    ●問題社員の解雇方法「懲戒解雇」の場合
    ●解雇後の注意点について
    ●パート社員、アルバイト社員の解雇方法
    ●解雇手続きの全般に通じる4つの注意点
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    2,解雇方法についての重要な考え方

    最初に解雇方法について、この記事でご説明する重要な考え方をまとめておきます。

    問題社員の解雇においては、「懲戒解雇にするか、普通解雇にするか」の選択を適切に行うことが非常に重要です。

    そのうえで、解雇言い渡し当日に従業員を解雇する「即日解雇」を行うことが適切です。また、解雇を従業員に伝える際には、十分な準備をして臨み、「不本意だが解雇せざるを得ない」という心情をストレートに伝えることが大切です。

    以下でわかりやすくご説明していきたいと思います。

     

    3,解雇に進む前におさえておきたいこと

    問題社員の解雇方法のご説明に入る前に、その前提となる「解雇に進む前におさえておきたいこと」についてみていきましょう。

    以下の2点です。

    弁護士が教える!解雇に進む前におさえておきたい2つのポイント

    (1)解雇の前に退職勧奨を行う。
    (2)不当解雇と判断されるリスクについて検討し、対策をする。

     

    以下で順番にみていきましょう。

    (1)解雇の前に退職勧奨を行う。

    解雇を検討すべき多くのケースでは、解雇に進む前に、まずはその従業員に対して退職勧奨を行い、従業員に退職届を提出してやめてもらうことができないかを検討するべきです。

    ▶参考:「退職勧奨」とは?

    ここでいう、「退職勧奨」とは、会社が従業員に対して退職してほしいという意向を伝え、退職に同意するように従業員を説得することを言います。

    ▶参考:「解雇」とは?

    一方で、「解雇」とは従業員が同意していないのに会社が一方的に従業員をやめさせること(雇用契約を終了すること)をいいます。

     

    前述のとおり、解雇については常に「不当解雇トラブル」のリスクがあります。

    従業員と話し合いをして、あなたがなぜ、その従業員にやめてほしいと思っているかを伝え、従業員に退職を了解してもらって、退職届を出してもらうことができれば、解雇を避けることができます。

    そのため、会社のリスクをおさえるためには、まずは、「解雇の前に退職勧奨を行うべき」なのです。

    参考:合わせてチェック!退職勧奨の注意点について

    ここでご説明してきた「退職勧奨」についてもおさえておかなければならない注意点があります。正しい方法で退職勧奨を進めて行かなければ、「退職強要トラブル」、「解雇トラブル」につながります。そのため、以下の「弁護士が解説!退職勧奨・退職勧告の注意点について」も合わせて確認しておきましょう。

    「弁護士が解説!退職勧奨・退職勧告の注意点について」はこちらをご覧下さい。

     

    (2)不当解雇と判断されるリスクについて検討し、対策をする。

    退職勧奨をしても従業員が退職に応じない場合は、解雇せざるを得ません。

    しかし、解雇すると決めた場合であっても、事前に不当解雇と判断されるリスクについて検討し、リスクを減らすために可能な対策をしておくことは必要です。

    また、仮に「訴えられれば不当解雇と判断されることが確実」という場合は、そもそも解雇するべきではありません。

    不当解雇のリスクと対策については、以下の参考情報を必ずチェックしてください。

    参考:弁護士が解説する「不当解雇のリスクと対策について」の参考情報

    1,不当解雇の損害賠償や慰謝料、実際に不当解雇として裁判を起こされた時の会社の守り方など「不当解雇全般」についての参考情報

    不当解雇のリスクに関して最初にチェックしておきたいのが、「不当解雇の損害賠償や慰謝料」についてです。

    不当解雇には「どんな種類の損害賠償や慰謝料」があって、実際に不当解雇とされた場合「どれくらいの損害が生じるのか?」を把握しておきましょう。

    そして、実際に解雇した従業員から不当解雇として裁判を起こされた際に「どのようにして会社を守るのか?」の対策方法も確認しておきましょう。

    不当解雇全般についての詳しい情報として以下の「弁護士が教える、不当解雇の損害賠償と慰謝料、裁判での会社の守り方」を必ずチェックしておきましょう。

    「弁護士が教える、不当解雇の損害賠償と慰謝料、裁判での会社の守り方」はこちらをご覧下さい。

     

    2,能力不足の従業員を解雇する際の注意点についての参考情報

    ここからは、「各状況に応じた従業員を解雇する際の注意点」の参考情報をご紹介します。

    まず最初に、「能力不足の従業員を解雇する際の注意点」です。

    能力不足を理由に従業員を解雇するケースでは、解雇を進める前に必ずチェックしておきたい5つの注意点があります。これについては、以下の「弁護士が教える、能力不足の従業員を解雇する際の注意点」を必ずチェックしておきましょう。

    「弁護士が教える、能力不足の従業員を解雇する際の注意点」はこちらをご覧下さい。

     

    3,金銭横領により従業員を解雇する際の注意点についての参考情報

    会社の金銭を着服、横領した従業員を解雇するケースについても、解雇を進める前に必ずチェックしておきたい4つの注意点があります。これについては、以下の金銭横領により従業員を解雇する際の注意点を必ずチェックしておきましょう。

    「金銭横領により従業員を解雇する際の注意点」はこちらをご覧下さい。

     

    4,休職期間満了による解雇の際の注意点についての参考情報

    病気や怪我で休職していた従業員を解雇するケースについても、解雇を進める前に必ずチェックしておきたい4つの注意点があります。これについては、以下の休職期間満了による解雇の際の注意点を必ずチェックしておきましょう。

    「休職期間満了による解雇の際の注意点」はこちらをご覧下さい。

     

    5,試用期間中の解雇の際の注意点についての参考情報

    試用期間中の従業員を解雇するケースについても、解雇を進める前に必ずチェックしておきたい4つの注意点があります。これについては、以下の試用期間中の解雇の際の注意点を必ずチェックしておきましょう。

    「試用期間中の解雇の際の注意点」はこちらをご覧下さい。

     

    4,解雇の種類と解雇方法の選択

    いよいよ解雇に進む決断をしたら、まず解雇の種類と解雇方法を選択する必要があります。
    具体的には以下の2つの選択が重要です。

    解雇に進む決断をした後にすべき2つの選択事項

    1,解雇の種類の選択:

    「普通解雇」か「懲戒解雇」かの選択

    2,解雇方法の選択:

    「予告解雇」か「即日解雇」かの選択

     

    以下で順番に見ていきましょう。

     

    5,普通解雇か懲戒解雇かの選択について

    解雇には大きく分けて「普通解雇」と「懲戒解雇」の2種類があり、どちらを選択するかによって、その後の「解雇方法」が変わってきます。

    結論から言えば、解雇理由に応じて以下のように判断するのが原則となります。

    (1)普通解雇を選択するべきケース

    解雇の理由が従業員の問題行動や就業規則違反ではなく、能力不足や経営難にある場合は、普通解雇を選択するべきです。

    具体的には以下のようなケースです。

    普通解雇を選択するべき具体的なケース

    1,病気やけがによる欠勤を理由とする解雇
    2,能力不足、成績不良を理由とする解雇
    3,協調性の欠如を理由とする解雇
    4,経営難による人員整理を理由とする解雇

     

    (2)懲戒解雇を選択するべきケース

    従業員の問題行動や就業規則違反に対する制裁として解雇する場合は、懲戒解雇を選択することが基本になります。

    具体的には以下のようなケースです。

    懲戒解雇を選択するべき具体的なケース

    1,横領など業務に関する不正行為を理由とする解雇
    2,転勤の拒否など重要な業務命令に対する違反を理由とする解雇
    3,無断欠勤を理由とする解雇
    4,セクハラ行為、パワハラ行為を行ったことを理由とする解雇
    5,経歴詐称を理由とする解雇

     

    ただし、「懲戒解雇は、就業規則に書かれている懲戒解雇事由に該当しない限りできないこと」に注意しておく必要があります。

    就業規則には「どのようなケースで会社は従業員を懲戒解雇できるか」を記載することが法律上義務付けられており、「懲戒解雇事由」と呼ばれます。

    そして、就業規則の懲戒解雇事由にあたらないときは、懲戒解雇はできません。

    懲戒解雇は「制裁として行われるものである」ことから、「どのような問題行動あるいは就業規則違反をした場合に制裁が科されるのか」をあらかじめ就業規則に記載しなければならないとされているのです。

    参考1:
    懲戒解雇にも関係する就業規則!弁護士が教える正しい就業規則の作成方法

    就業規則においては懲戒解雇事由を明確に、かつ漏れなく記載しておく必要があります。これについては、以下の「弁護士が教える、正しい就業規則の作成方法」を合わせてチェックしておきましょう。

    「弁護士が教える、正しい就業規則の作成方法」はこちらをご覧下さい。

     

    就業規則の懲戒解雇事由のどれにもあたらないときは、懲戒解雇はできませんので、普通解雇を検討することになります。
    なお、「普通解雇」と「懲戒解雇」については、さらに詳しい説明を以下の記事でしていますので、参照してください。

    参考2:
    正しく理解しておこう!「普通解雇」と「懲戒解雇」の違いについて

    この記事では「普通解雇を選択するべき具体的なケース」や「懲戒解雇を選択するべき具体的なケース」などをご説明ましたが、その前提として「普通解雇」と「懲戒解雇」の違いについても正しく理解しておく必要があります。そのため、「普通解雇と懲戒解雇の違いについての参考情報も合わせてチェックしておきましょう。

    「普通解雇と懲戒解雇の違いについて」はこちらをご覧下さい。

     

    6,予告解雇か即日解雇かの選択について

    普通解雇か懲戒解雇かを決めたら、次に「予告解雇」か「即日解雇」かの解雇方法を決める必要があります。

    これについては、まず2つの違いを確認しておきましょう。

    予告解雇と即日解雇の違いについて

    1,「予告解雇」について

    労働基準法上、会社が従業員を解雇するときは、原則として「解雇日の30日以上前に予告すること」が義務付けられています。

    これに従い、解雇日の30日以上前に解雇の予告を従業員にしたうえで解雇日まで勤務してもらうのが「予告解雇」です。

    2,「即日解雇」について

    前述の通り、原則として解雇日の30日以上前に解雇を予告することが義務付けられていますが、30日分の賃金を支払えば、事前の予告をしていなくてもその日に解雇することができます。

    このルールにより、解雇を事前に予告せず、解雇を伝えた当日に解雇するのが「即日解雇」です。このときに支払うことになる30日分の賃金のことを「解雇予告手当」といいます。

     

    このように即日解雇と予告解雇という2種類の解雇方法の違いを踏まえたうえで、いずれかを選択することになりますが、結論としては「特別な事情がない限り即日解雇が望ましい」です。

    これには以下の3つの理由があります。

    即日解雇が望まし理由について

    理由1:
    予告解雇は他の従業員への悪影響のリスクがある。

    予告解雇をすると解雇された従業員が解雇を予告された後も会社に在籍することになります。
    解雇を予告された従業員は、解雇の理由にかかわらず、基本的に会社に対してネガティブな感情をもつことがほとんどであり、会社に対する否定的な発言や態度で、他の従業員に悪影響を与えるリスクがあります。

    理由2:
    予告解雇は情報漏えいのリスクもある。

    予告解雇をすると解雇された従業員が解雇を予告された後も会社に在籍することになります。
    解雇を予告された従業員による情報持ち出しのリスクも否定できません。

    理由3:
    予告解雇しても有給休暇取得の可能性がある。

    即日解雇すると、会社は、30日分の賃金(解雇予告手当)を支払うことになります。
    問題社員に対して、働いていない30日分の賃金を支払うことなど到底できないとお考えになる会社もあるでしょう。

    しかし、これについては予告解雇をしても、仮に解雇を予告された従業員が退職日までの30日間について有給休暇を申請すれば、従業員に未消化の有給休暇がある限り、会社はこれに応じる必要があります。

    その場合、解雇予告手当を支払わなくてもよいものの、有給休暇に対する支払いは必要であり、結局は30日分の賃金を支払うことになるという結果は変わりません。

    むしろ、即日解雇の場合は、解雇日以降は会社は社会保険料の負担がなくなりますが、予告解雇の場合は解雇予告後も30日間は在籍中となるので、その間、会社は社会保険料も負担する必要があります。このように考えると、金銭的な側面だけ見ても、決して予告解雇が望ましいとはいえません。

     

    このような3つの理由から、どうしても解雇予告後に引継ぎをさせる必要があるなどの特別な事情がない限り、即日解雇をおすすめします。また「ロックアウト解雇」という即日解雇の方法がありますので、そちらを以下で補足としてご説明します。

    ▶補足:「ロックアウト解雇」とは?

    「ロックアウト解雇」とは、即日解雇の場面で解雇を伝えた後、ただちにその従業員を職場から退去させ、その後職場に入らせないという解雇方法です。

     

    日本IBMが解雇した従業員から訴訟を起こされた事件(東京地方裁判所平成28年3月28日判決)では、同社がロックアウト解雇したことが違法かどうかが1つの争点となりました。

    この点について裁判所は、「解雇予告をして対立状態となった従業員が機密情報を漏えいするおそれがあること」や「機密情報漏えいが発生すると被害の回復が困難であること」などを理由に挙げて、「ロックアウト解雇をすることについて違法性があるとはいえない。」と判断しています。(ただし、ロックアウト解雇には問題はないが、解雇の理由はなかったとして結論としては日本IBMが敗訴)

    予告解雇か即日解雇かの選択については、特別な事情がなければ、即日解雇すべきことをおさえておきましょう。

     

    7,問題社員の解雇方法「普通解雇」の場合

    それでは、以下では、解雇の具体的な方法について、「普通解雇の場合」と「懲戒解雇の場合」にわけて説明していきたいと思います。

    なお、予告解雇か即日解雇かの選択については、前述のとおり原則として即日解雇を選択すべきですので、ここでは即日解雇を前提にご説明します。

    まず、普通解雇する場合の解雇方法についてご説明します。
    普通解雇については以下の手順をおさえておきましょう。

    「普通解雇」の正しい手順

    1,解雇の方針を会社の幹部や本人の直属の上司にも伝え、共有する。
    2,解雇の理由をまとめたメモを作成する。
    3,解雇通知書を作成する。
    4,解雇する従業員を別室に呼び出す。
    5,従業員に解雇を伝える。
    6,職場内で解雇を発表する。

     

    以下で順番にご説明したいと思います。

    (1)解雇の方針を会社の幹部や本人の直属の上司にも伝え、共有する。

    まず、解雇することを決めたら、従業員が「不当解雇である」などと主張してきた場合に会社が一丸となって対応していくためにも、会社の幹部や本人の直属の上司にも、その従業員を解雇することを伝え、事前に理解を求めておく必要があります。

    解雇を「社長と解雇対象者」の問題ではなく、「会社と解雇対象者の問題」にすることで、「会社で一丸となって問題社員を排除する」という姿勢を明確にし、解雇対象者が解雇を受け入れざるを得ない雰囲気を作ることができます。

    (2)解雇の理由をまとめたメモを作成する。

    次に、解雇の理由をまとめたメモを作成します。
    これは、解雇対象となる従業員に解雇の話をするときにできるだけ説得的で明確な説明をするための準備です。

    解雇の話をする場面では、従業員が激昂して反論してきたり、逆に、「なんとか会社に残してください」と頼み込んできたりすることがあります。従業員からどのような反応が返ってきても、冷静に粛々と自信を持って解雇の理由を説明するためには、事前に解雇の理由を整理したメモを準備しておくことが必須です。

    メモはできる限り詳細で具体的なものを作りましょう。

    また、メモの中身には、解雇を言い渡す人が把握している従業員の問題点以外に、会社の他の幹部や本人の上司から聴き取った本人の問題点も加えるようにしましょう。

    説明される解雇の理由に、解雇を言い渡す人自身が感じた問題点だけでなく、他の幹部や本人の上司から聴き取った点が含まれていることで、解雇対象者に、会社の幹部や上司も一丸となって解雇しようとしていることを理解させ、解雇を受け入れざるを得ない雰囲気を作ることができます。

    (3)解雇通知書を作成する。

    次に、「解雇通知書」を作成することが必要です。

    これは、従業員に解雇を言い渡した後に、解雇通知書を渡す必要があるためです。
    「解雇通知書」の書式は自由ですが、以下の2点を記載する必要があります。

    普通解雇の解雇通知書に記載する内容

    1.「貴殿を平成●年●月●日付で解雇します」という文言
    2.解雇の理由

     

    「解雇の理由」の記載については、メモで準備したような詳細な内容を記載する必要は必ずしもありません。

    例えば、以下のように、就業規則の文言をひいて、簡潔に記載することでも問題ありません。

    ▶参考:解雇の理由の記載例

    就業規則第●条●号の「勤務成績または職務遂行能力が不足で、就業に適しないと認めたとき。」にあたるため。

     

    解雇通知書は、必ずコピーをとり、会社の控えとしておいておきましょう。

    (4)解雇する従業員を別室に呼び出す。

    解雇の言い渡しは、会社の会議室など、普段の職場から離れた別室で行いましょう。
    「話があるので来てください。」といって別室に解雇対象者を呼びます。

    (5)従業員に解雇を伝える。

    従業員に解雇を伝えます。
    具体的な話の仕方としては以下の例を参考にしてください。

    ▶参考:従業員に解雇を伝える時の具体的な話し方

    1,解雇の話の切り出し方。

    「これまで、私からもあなたの上司の○○さんからも、あなたの仕事ぶりに会社が満足していないことを伝えて、改善するように伝えてきました。」と話を切り出します。

    2,会社としても雇用を継続するための努力してきたことについて伝える。

    「去年の●月頃後には~という話をしましたし、今年の〇月ごろには~という話もしましたね。あなたの上司の○○さんも時間をとってあなたと面談をし、あなたに改善をお願いしてきました。しかし、結果として、十分に改善されていないと感じています。」などと、会社としても努力してきたが問題点が改善されなかったことを伝えます。

    また、会社として本人の適性にあった部署を探すために配置換えなどをしている場合は、さらに「あなたが総務の仕事でミスを繰り返すので、別の部署に配置換えをして違う仕事もやってもらいましたが、新しい仕事もうまくいきませんでしたね。」などと話をします。

    3,解雇を伝える。

    「そこで、残念ですが、社内で話し合った結果、会社としては、あなたを今日付けで解雇することにしました。」と解雇を伝えます。

    この「残念ですが」、「社内で話し合った結果」、「今日付けで」、「解雇することにしました。」という言葉はそれぞれ解雇を伝える際に重要なポイントとなりますので、以下で簡単に説明しておきたいと思います。

    ▶解説1:「残念ですが」が解雇を伝える際に重要になる理由

    まず、「残念ですが」というのは、「あなたに会社のメンバーとして活躍してもらいたいと思い、今まで指導もしてきたのですが、そうはならなかったのは残念だ」という意味です。このように「会社としても不本意ながら解雇せざるを得ない」という心情を伝えることが大切です。

    ▶解説2:「社内で話し合った結果」が解雇を伝える際に重要になる理由

    次に、「社内で話し合った結果」という言葉を使うことによって、解雇が、社長個人の意思ではなく、社内の幹部の一致した意思であることを伝えることができます。

    ▶解説3:「今日付けで」が解雇を伝える際に重要になる理由

    「今日付けで」と伝えることで、解雇の日付を明確にすることが必要です。

    ▶解説4:「解雇することにしました。」が解雇を伝える際に重要になる理由

    最後に、「解雇することにしました。」と、これが解雇の言い渡しであることを明確に伝えましょう。

     

    4,相手の反論や質問に対応する。

    従業員からは、解雇の理由についての反論や、あるいはさらに詳細な解雇の理由を説明する質問などがされることが想定されます。

    その場合は、「2.解雇の理由をまとめたメモを作成する。」のところで作成したメモを確認しながら、冷静に説明をしましょう。

    5,最後の給与の支払い、解雇予告手当の支払い、退職金の支払いについて説明する。

    次に、最後の給与については期日通りに支払うことを説明します。

    「最後の給与」とは前回の給与の締め日以降、解雇の日までの給与のことです。また、解雇予告手当(30日分の賃金)を支払うことを説明します。さらに、退職金がある場合は退職金についても説明します。

    6,再度自主退職を促す。

    不当解雇の裁判リスクがある場面では、ここまで話した段階で裁判にかかる費用や労力を避け、またトラブルが長期化することを避けるために再度自主退職を促すことも検討に値します。

    ▶参考:自主退職を促すための有効なひとつの方法

    例えば、自主退職の場合は、解雇予告手当と同額の30日分の賃金とは別に、解雇の場合は支払われない未消化の有給休暇分の賃金も支払うことなどを提案して、自主退職を促すことも一つの方法です。

    その場合、「以上の通り、会社はあなたを解雇しますが、もし、あなたが今日、退職届を提出して円満に退職するのであれば、解雇ではなく会社都合の退職として扱います。その場合は、あなたには未消化の有給休暇もありますので、解雇予告手当と同額の30日分の賃金とは別に、未消化の有給休暇分の給与もあなたにお支払いします。」などと話します。

     

    7,自主退職に応じなければ解雇通知書を交付して、受領のサインをもらう。

    自主退職に応じなければ解雇通知書を渡します。

    そして、会社の控えのほうに受領のサインをもらいます。従業員が解雇に反発して、解雇通知書を受領しない場合や受領のサインをしない場合は、解雇通知書を従業員の自宅に内容証明郵便で郵送しましょう。

    一方、従業員が自主退職に応じるときは、必ず「退職届」を提出してもらいましょう。

    8,名刺、携帯電話その他の貸与品を返還させる。

    解雇通知書を渡したら、名刺や携帯電話などの会社の貸与品を会社に返還させます。
    名刺は本人の名刺だけでなく、取引先からいただいた名刺も会社に返還させます。

    9,私物の持ち帰りを指示する。

    最後に、当日中に私物を整理して持ち帰ることを指示します。
    もし整理が間に合わない場合は、後日、従業員の自宅に私物を送ることも検討しましょう。

     

    以上が、普通解雇の場合に、従業員に解雇を伝える流れとなります。

    (6)職場内で解雇を発表する。

    最後に職場内で解雇を発表することが必要です。

    問題社員であっても、従業員を解雇することは、場合によっては職場を動揺させ、「自分もやめさせられるのではないか」などと不安に思う従業員も出てくることがあります。

    そこで、解雇された従業員が担当していた仕事について後任を発表したうえで、職場の動揺をおさえ、職場をひとつにまとめる努力をすることが必要です。

     

    以上が、普通解雇の方法です。

    なお、解雇を伝えた際に、従業員からどのような反応が返ってきても、決して怒ったり怒鳴ったりしてはいけません。従業員が感情的になっても、解雇を言い渡す側は冷静に話を進めなければなりません。

    解雇を言い渡す側まで感情的になってしまうと、あとで労働組合が来たり、裁判を起こされたりということに直結してしまいますので注意してください。

     

    8,問題社員の解雇方法「懲戒解雇」の場合

    次に、懲戒解雇する場合の解雇方法についてご説明します。
    懲戒解雇の手順は以下の通りです。

    「懲戒解雇」の正しい手順

    1,就業規則の内容を確認する。
    2,本人に弁明の機会を与える。
    3,懲戒解雇の方針を会社の幹部や本人の直属の上司にも伝え、共有する。
    4,解雇通知書を作成する。
    5,解雇する従業員を別室に呼び出す。
    6,従業員に解雇を伝える。
    7,職場内で解雇を発表する。

     

    以下で順番にご説明したいと思います。

    (1)就業規則の内容を確認する。

    懲戒解雇については、就業規則の確認が非常に重要です。
    ポイントとして以下の2点をおさえておいていただく必要があります。

    懲戒解雇の際の就業規則の確認のポイント

    1.「今回の解雇理由が就業規則上の懲戒解雇事由に該当するかどうか」を確認
    2.「懲戒について就業規則上で特別な手続が定められていないかどうか」を確認

     

    以下で順番にご説明します。

    1.「今回の解雇理由が就業規則上の懲戒解雇事由に該当するかどうか」を確認

    この点についてはすでにご説明した通り、「懲戒解雇は、就業規則に書かれている懲戒解雇事由に該当しない限りできないこと」が原則です。

    そのため、懲戒解雇する前に、今回想定している解雇理由が就業規則に書かれている懲戒解雇事由に該当するかどうかを確認しておくことが必要です。

    2.「懲戒について就業規則上で特別な手続が定められていないかどうか」を確認

    就業規則の中には懲戒について、以下のような特別な手続が定められているケースがあります。

    ▶参考:懲戒について就業規則で定められている手続の例

    例1:「懲戒をする場合は懲戒委員会で審議する」などと定められているケース

    例2:「懲戒をする場合は事前に従業員代表者あるいは労働組合と協議する」などと定められているケース

    このようなケースでは、就業規則に記載されている手続きを守ることが必要です。

    そのため、懲戒について就業規則で特別な手続が定められていないか確認しておくことが必要です。

    (2)本人に弁明の機会を与える。

    懲戒解雇をする前に、本人に弁明の機会を与えることは重要です。

    「弁明の機会を与える」とは、本人を呼んで、現在、問題行為(例えば「横領」や「セクハラ行為」など)について懲戒を検討していることを伝え、それについて本人の言い分を聴くことです。

    このように、弁明の機会を与えることが重要なのは、懲戒解雇後に、万が一不当解雇であるとしてその従業員から訴えられたときに、懲戒解雇の前に弁明の機会を与えたかどうかは、裁判所が不当解雇かどうかを判断するポイントの1つになるためです。

    本人の弁明(言い分)も聴かずに懲戒解雇したケースでは、不当解雇と判断されやすいのです。弁明の機会を与えたことがあとで証拠として残るように、本人から口頭で弁明を聴いた後、本人の言い分を記載した「弁明書」を提出させるのがベストです。

    (3)懲戒解雇の方針を会社の幹部や本人の直属の上司にも伝え、共有する。

    懲戒解雇することを決めたら、懲戒解雇することを会社の幹部や本人の直属の上司に伝え、理解を求める努力をしておきましょう。

    従業員が解雇後に「不当解雇である」などと主張してきた場合に会社が一丸となって対応していくためにも、会社の幹部や本人の直属の上司に事前に理解を求めておく必要があります。

    (4)解雇通知書を作成する。

    次に、解雇通知書を作成することが必要です。これは、従業員に解雇を言い渡した後に、解雇通知書を渡す必要があるためです。懲戒解雇の通知書には以下の点を記載する必要があります。

    解雇通知書に記載する内容

    1.「貴殿を平成●年●月●日付で懲戒解雇します」という文言
    2.就業規則の該当条文
    3.懲戒解雇の理由となる具体的事実

     

    具体的な記載方法は以下から「解雇通知書の記載例」をダウンロードできますので参照してください。

    「解雇通知書の記載例」をダウンロードはこちらから

     

    (5)解雇する従業員を別室に呼び出す。

    解雇の言い渡しは、会社の会議室など、普段の職場から離れた別室で行いましょう。

    「話があるので来てください。」といって別室に解雇対象者を呼びます。

    (6)従業員に解雇を伝える。

    従業員に解雇を伝えます。
    具体的な話の仕方としては以下のとおりです。

    ▶参考:従業員に懲戒解雇を伝える時の具体的な話し方

    1,解雇の話の切り出し方。

    「先日、あなたに対して、会社が懲戒を検討していることを伝えて、あなたからの弁明を聴く機会も設けました。」と話を切り出します。

    2,懲戒解雇を伝える。

    「あなたは横領はしていないと主張していますが、顧問弁護士にも相談し、社内でも話し合った結果、会社としては、あなたが横領したと考えています。そこであなたを今日付けで懲戒解雇することにしました。」と懲戒解雇を伝えます。

    3,相手の反論や質問に対応する。

    従業員からは、解雇の理由についての反論や、あるいはさらに詳細な解雇の理由を説明する質問などがされることが想定されます。その場合は、冷静に説明することが必要です。

    また、懲戒解雇の理由となるのは、「懲戒解雇の理由となる具体的事実」として懲戒解雇通知書に記載した事実のみであることに注意しましょう。

    能力不足や日ごろの業務態度が悪いといった点は、通常は懲戒解雇の理由にはなりませんので、それらの点に言及することは適切とはいえません。

    4,解雇通知書を交付して、受領のサインをもらう。

    解雇通知書を渡して、会社の控えのほうに受領のサインをもらいます。

    従業員が解雇に反発して、解雇通知書を受領しない場合や受領のサインをしない場合は、従業員の自宅に解雇通知書を内容証明郵便で郵送しましょう。

    5,最後の給与の支払い等について説明する。

    次に、最後の給与については期日通りに支払うことを説明します。

    「最後の給与」とは前回の給与の締め日以降、解雇の日までの給与のことです。また、解雇予告手当(30日分の賃金)を支払うときはあわせて説明します。ただし、懲戒解雇の場面では「労働基準監督署の除外認定」という制度があり、一定の場合に、労働基準監督署に申請することにより、解雇予告手当の支払いの必要がなくなります。

    そのため、「労働基準監督署の除外認定」を受ける場合は、解雇予告手当の話をする必要はありません。

    ▶参考:労働基準監督署の除外認定について

    「労働基準監督署の除外認定は、会社が労働基準監督署に申請して、解雇予告手当を支払わなくてよいことを労働基準監督署に認めてもらう制度です。」

     

    主に下記のようなケースが除外認定の対象となるとされています。

    労働基準監督署の除外認定の対象となる主なケース

    1,会社内の盗みや横領を理由とする解雇
    2,会社内で暴力をふるい、けがをさせたことを理由とする解雇
    3,経歴詐称を理由とする解雇
    4,2週間以上の無断欠勤による解雇

     

    さらに、退職金がある場合は退職金についても説明します。

    ただし、退職金規程によっては、懲戒解雇の場合に退職金を支払わない内容になっていたり、あるいは減額する内容になっていることも多いので、事前に自社の退職金規程を確認しておきましょう。

    6,名刺、携帯電話その他の貸与品を返還させる。

    解雇通知書を渡したら、名刺や携帯電話など会社の貸与品を会社に返還させます。

    7,私物の持ち帰りを指示する。

    最後に、当日中に私物を整理して持ち帰ることを指示します。もし整理が間に合わない場合は、後日、従業員の自宅に私物を送ることも検討しましょう。

     

    以上が、従業員に解雇を伝える流れとなります。

    (7)職場内で懲戒解雇を発表する。

    最後に職場内で懲戒解雇を発表することが必要です。

    「懲戒解雇」には、単に本人に制裁を加えるという目的だけでなく、会社として問題行動や就業規則違反については厳正な対応をすることを本人以外の従業員にも示すことで、組織の統一を図るという意味があります。

    そのためには、懲戒解雇の理由についても、職場内で簡潔に説明することが適切です。

    ただし、社外の取引先等にまで、懲戒解雇の説明をすることは、場合によっては名誉棄損として別のトラブルが発生しますので、するべきではありません。

    以上が、懲戒解雇の方法です。

     

    9,解雇後の注意点

    ここまで、「普通解雇」と「懲戒解雇」の場面にわけて、「正しい解雇方法について」を説明しました。

    最後に「解雇後の注意点」を確認しておきましょう。
    おさえておきたいのは以下の3点です。

    解雇後のおさえておきたい3つの注意点

    1,解雇後の情報漏えいを防ぐための措置をとる。
    2,解雇後の団体交渉申入れを断ってはならない。
    3,内容証明郵便や労働審判などについてはすぐに対応する。

     

    順番に見ていきましょう。

    (1)解雇後の情報漏えいを防ぐための措置をとる。

    解雇後に解雇した従業員により情報を持ち出されることを防ぐ必要があります。
    以下のような点が重要です。

    解雇後の情報漏えいを防ぐために必要な措置の例

    1,社内の情報共有ツールから排除する。
    2,解雇後はパソコンの使用をさせない。
    3,私物の携帯電話、私物のパソコンに記録されている社内情報を削除させる。

     

    それぞれの措置の内容は以下の通りです。

    1,社内の情報共有ツールから排除する。

    解雇した従業員が、チャットやメーリングリストのメンバーになっているときは、解雇した従業員をこれらのメンバーから排除しておかなければ、解雇後も社内情報を閲覧できてしまいますので注意が必要です。

    また、Dropboxやグーグルドキュメントなどのクラウド型の文書共有サービスについても、解雇後は、閲覧できないようにする措置をとることが必要です。

    2,解雇後はパソコンの使用をさせない。

    即日解雇の場合であっても、解雇を言い渡した後は、私物の整理のためにいったんは自分のデスクに戻ることになります。ここで業務用パソコンを使用させると情報持ち出しの可能性がありますので、使用させないようにする必要があります。もちろん、業務の引き継ぎのためにパソコンを使用させざるを得ないというケースもありますが、その場合は情報持ち出しに十分注意しましょう。

    3,私物の携帯電話、私物のパソコンに記録されている社内情報を削除させる。

    解雇した従業員が私物の携帯電話やパソコンを業務に使用していた場合は、私物の携帯電話に顧客の電話番号を登録していたり、私物のパソコンに社内情報を残しているケースがあります。その場合は、私物に記録された社内情報を削除させることが必要です。

    参考:「情報漏えい」を防ぐための誓約書の作成方法について

    上記の措置のほかに、日ごろから実施しておきたいのが誓約書の作成です。これについては以下の情報漏えいを防ぐための誓約書の作成方法をチェックしておきましょう。

    「情報漏えいを防ぐための誓約書の作成方法」はこちらをご覧下さい。

    解雇の場面では、解雇対象者に誓約書を提出させることが難しいことも多いので、従業員の採用時や昇進時に誓約書を取得する社内体制を整備するなど、誓約書については日ごろからの対策が重要です。

    このように、解雇後の情報漏えいを防ぐための措置をとることがまず重要になります。

    (2)解雇後の団体交渉申入れを断ってはならない。

    従業員を解雇すると、その従業員が外部の労働組合に加入し、「不当解雇である」などとして、労働組合が団体交渉を求めてくることがあります。

    自社に労働組合がなくても、最近は、1人でも入ることができる外部の労働組合(「ユニオン」とか「合同労組」などと呼ばれます)が多数あり、解雇した従業員がそういった外部の労働組合に加入して、解雇の撤回を求めてきたり、あるいは金銭的な補償を求めてくるということは決して珍しくありません。

    この場合、解雇してすでに従業員でなくなっていても、労働組合からの団体交渉の申入れを断ることは法律違反となります。

    解雇後に労働組合から団体交渉を申し入れた場合でも断ってはならないということをおさえておきましょう。

    以下では参考として「団体交渉についての注意点」について記載していますのでご確認ください。

    参考:「労働組合(ユニオンや合同労組)」との団体交渉に関する注意点について

    上記でご説明してきた通り、解雇後に労働組合(ユニオン、合同労働組合【合同労組】)から団体交渉の申し入れがあった場合、法律上、これに対応しなければなりません。

    その際に、解雇した会社側が団体交渉の対応を誤ってしまうと、解雇の撤回や金銭的な補償などの問題が深刻化するトラブルにつながります。

    そのため、ここでは下記の弁護士が教える、労働組合との団体交渉の注意点についても必ずチェックしておきましょう。

    「弁護士が教える、労働組合(ユニオンや合同労働組合【合同労組】)との団体交渉の注意点」はこちらをご覧下さい。

     

    (3)内容証明郵便や労働審判などについてはすぐに対応する。

    従業員を解雇すると、その従業員が「不当解雇だ」と主張して、内容証明郵便を送ってきたり、「労働審判」を起こしてくるケースもあります。

    この場合は放置せずすぐに「労働問題に関するトラブルに強い弁護士」に相談してください。不当解雇トラブルは長引けば長引くほど、企業にとって不利になるケースがあるので注意が必要です。

    参考:「労働審判とは?」について弁護士が解説

    不当解雇トラブルでよくあるケースとして「労働審判」があります。この労働審判については制度の内容や、労働審判の手続の流れ、会社が支払う金銭の相場などについても事前に把握しておきましょう。詳しくは以下の労働審判について弁護士が解説をご覧下さい。

    「労働審判について弁護士が解説」はこちらをご覧下さい。

     

    参考:従業員を解雇した後の会社側の事務手続について

    解雇後には、解雇した従業員の社会保険や雇用保険に届出をしたり、退職者に源泉徴収票を交付したりという事務手続をすることも必要です。解雇後の会社側の事務手続については、以下の社会保険、雇用保険などハローワーク、解雇予告手当、解雇理由証明書など会社側の解雇後の手続きの方法についてで記載していますので、あわせてご確認ください。

    「社会保険、雇用保険などハローワーク、解雇予告手当、解雇理由証明書など会社側の解雇後の手続きの方法について」はこちらをご覧下さい。

     

    10,パート社員、アルバイト社員の解雇方法

    これまでご説明した点は、基本的にパート社員、アルバイト社員を解雇する場合の解雇方法でも同じです。

    ただし、パート社員、アルバイト社員の解雇のケースでは、以下の点に注意が必要です。

    パート社員、アルバイト社員の解雇方法に関する注意点

    1,雇用契約が無期か有期かを確認する。
    2,有期の雇用契約の場合、契約期間中の解雇は原則としてできないことに注意する。

     

    以下で順番にご説明したいと思います。

    (1)雇用契約が無期か有期かを確認する。

    パート社員、アルバイト社員の解雇の際は、雇用契約が「無期」の雇用契約になっているか、「有期」の雇用契約になっているかを確認することが必要です。

    なお、両契約の違いは以下のとおりです。

    雇用契約の「無期」と「有期」の違いについて

    ・無期の雇用契約の場合:

    雇用契約の期間が定められていない契約

    ・有期の雇用契約の場合:

    雇用契約の期間が定められている契約(1年間の更新制の場合など)

     

    無期の雇用契約か有期の雇用契約かは、従業員入社時に作成した労働条件通知書や雇用契約書を見て確認します。
    なお、労働条件通知書や雇用契約書をもし作成していないときは、通常は、無期の雇用契約と考えて差し支えありません。

    (2)有期の雇用契約の場合、契約期間中の解雇は原則としてできないことに注意する。

    もし、パート社員、アルバイト社員が無期の雇用契約になっている場合は、すでにご説明した解雇方法が、パート社員、アルバイト社員についてもあてはまります。

    一方、パート社員、アルバイト社員が有期の雇用契約になっている場合は、「労働契約法第17条1項」により、雇用契約の期間中の解雇は原則としてできないことに注意する必要があります。

    ▶参考:「労働契約法第17条1項」の条文

    使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

     

    このように、有期の雇用契約の場合、「やむを得ない事由がある場合でなければ解雇することができない。」となっています。

    この「やむを得ない事由」にあたるかどうかについては、ケースバイケースの判断になりますが、基本的に懲戒解雇にあたるようなケース(金銭の横領やセクハラ、パワハラ行為などを理由とする解雇)以外は、雇用契約期間中の解雇はできないと考えておくべきでしょう。

    そのため、懲戒解雇にあたらないような成績不良や協調性欠如のケースでは、雇用契約期間中は解雇せず、雇用契約の期間が終了する段階で次回の更新をしないことにより、パート社員、アルバイト社員を退職させることが適切です。

    以上、パート社員、アルバイト社員の解雇の際の注意点もおさえておいてください。

     

    11,解雇手続きの全般に通じる4つの注意点

    なお、解雇の手続きの全般に通じる注意点としては以下の4点をおさえておいてください。

    【重要】解雇手続きの全般に通じる4つの注意点

    1,決して怒らない。

    解雇を伝える側が怒ってしまうことは、裁判トラブルのもとです。
    常に冷静に対応しましょう。

    2,職場の動揺に気を配る。

    解雇は職場を動揺させることがあります。
    解雇前の根回し、解雇後の従業員の団結に心を配りましょう。

    3,情報漏洩に注意する。

    解雇された従業員による情報の持ち出しの予防にも気を配る必要があります。

    4,勇気をもって実行し、トラブルを長期化させない。

    解雇は嫌なものですが、長引かせるべきではありません。

    特に、解雇前に退職勧奨をしたら、従業員が合同労働組合やユニオンなどの外部の労働組合に加入し、団体交渉を求めてくるケースがあります。

    このような場面では労働組合の勢いにおされて解雇をためらいがちですが、基本的には労働組合からの団体交渉を理由に解雇を遅らせるべきではありません。勇気をもって実行し、トラブルを長期化させないことが重要です。

     

    12,解雇は会社の一大事!必ず弁護士に事前相談を!

    以上、「問題社員の解雇方法」について、ご説明しました。

    解雇の手順についての一般的な注意点をご理解いただけたのではないかと思います。
    ただし、実際に解雇を行う前には、必ず弁護士に相談してください。

    以下でその理由をご説明します。

    実際に解雇を行う前に必ず弁護士に相談すべき理由

    理由1:
    解雇のトラブルで敗訴すれば、会社の金銭的負担は1000万円を超えることも!

    理由2:
    解雇してからできる対策は限られている。解雇前の相談が重要!

     

    以下で詳しくご説明します。

    理由1:
    解雇のトラブルで敗訴すれば、会社の金銭的負担は1000万円を超えることも!

    昔は、従業員を解雇しても、不当解雇だとして裁判を起こされるケースは少なく、大きなトラブルになることはあまりありませんでした。

    しかし、最近では、解雇すれば会社が不当解雇だとして訴えられるケースが急増しています。

    そして、万が一、会社が解雇のトラブルで敗訴すれば、以下のように1000万円を超える金銭的な負担を負うことも珍しくありません。

    ▶参考:高額敗訴事例

    1 東芝事件(東京高等裁判所平成28年8月31日判決)→ 約5200万円の支払命令
    2 三井記念病院事件(東京地方裁判所平成22年 2月 9日判決)→ 約1700万円の支払命令
    3 ミリオン運輸事件(大阪地方裁判所平成8年7月31日判決)→ 約1180万円の支払命令

     

    解雇は、まさに会社の一大事であり、必ず弁護士に相談して慎重にその方法やリスクの程度を検討してから行うべきです。

    理由2:
    解雇してからできる対策は限られている。解雇前の相談が重要!

    従業員を解雇して、不当解雇として訴えられてから、会社がご相談に来られることもあります。

    しかし、訴えられてからご相談にお越しいただいても、弁護士ができる対策は限られています。特に、解雇の方法の選択や手続きに決定的な問題があった場合、訴えられてから弁護士が頑張っても敗訴は避けられません。

    解雇前に弁護士にご相談いただいて初めて、正しい解雇手続きの選択や事前の証拠の収集が可能になり、裁判で企業側の主張を認めてもらうことができるのです。

     

    このような2つの理由から「現在、従業員の解雇を検討しておられる方」や、「既に問題社員と退職をめぐるトラブルになりかけている方」については、必ず、早めに「解雇トラブル」に強い弁護士に相談してください。

    ▶参考:「咲くやこの法律事務所」の解雇相談や解雇トラブルなどの「労働問題に強い弁護士への相談サービス」について詳しくはこちらをご覧下さい。

    ▼解雇に関して今スグ相談したい方は、以下よりお気軽にお問い合わせ下さい。

    「咲くやこの花法律事務所」のお問い合わせページへ。

     

    13,まとめ

    今回は、最初に、「解雇に進む前におさえておきたいこと」として、「まずは退職勧奨を行うこと」と「不当解雇と判断されるリスクについて検討すること」についてご説明しました。

    次に、解雇の種類と解雇方法の選択として、「普通解雇か懲戒解雇かの選択」と「予告解雇か即日解雇かの選択」についてご説明しました。

    そのうえで、「普通解雇の方法」、「懲戒解雇の方法」をご説明し、解雇後の注意点についてもご説明しました。
    さらに、パート社員、アルバイト社員の解雇方法について正社員と異なる点をご説明しました。

    そして、解雇については必ず事前に解雇問題に精通した弁護士に相談する必要があることをご説明しました。

    なお、この記事は決して安易な解雇をおすすめするものではありません。

    安易な解雇は、「不当解雇トラブル」につながるだけでなく、従業員と会社の信頼関係を失わせて従業員の士気や会社の業績にも大きなマイナスになります。解雇の前に、本当に解雇すべきかどうかについて、十分な検討をすることが必要です。

     

     

    14,咲くやこの花法律事務所なら「解雇について、こんなサポートができます!」

    最後に、咲くやこの花法律事務所の弁護士による、問題社員の解雇に関する企業向けサポート内容についてご説明したいと思います。

    咲くやこの花法律事務所の弁護士による、問題社員の解雇に関する企業向けサポート内容は以下の通りです

    (1)問題社員の解雇、退職勧奨のご相談
    (2)退職勧奨や解雇の際の面談の立ち合い
    (3)解雇後のトラブルに関する交渉、裁判

     

    以下で順番に見ていきましょう。

    (1)問題社員の解雇、退職勧奨のご相談

    「咲くやこの花法律事務所」では、問題社員についての解雇や退職勧奨の事前のご相談を企業から常時お受けしています。
    具体的には以下のような項目について、各企業からご相談をいただいています。

    ・解雇前の証拠収集に関するご相談
    ・解雇した場合のリスクの程度に関するご相談
    ・退職勧奨や解雇の具体的な方法に関するご相談
    ・退職勧奨や解雇の具体的な注意点のご相談
    ・懲戒解雇か普通解雇かの選択に関するご相談
    ・即日解雇か予告解雇かの選択に関するご相談
    ・解雇後の手続きに関するご相談

     

    事前に自社でよく検討しているつもりでも、思わぬところに落とし穴があることが常ですので、必ず解雇前にご相談いただくことをおすすめします。

    (2)退職勧奨や解雇の際の面談の立ち合い

    「咲くやこの花法律事務所」では、企業のご要望に応じて、退職勧奨や解雇の際の面談への立ち合いも行っております。解雇の問題に精通した弁護士が立ち会うことで自信をもって解雇を進めることが可能になります。

    弁護士による退職勧奨の立ち合いに関する実績例は以下をご覧ください。

    ▶参考:「横領の疑いがある従業員に対して、弁護士が調査を行って横領行為を認めさせ、退職させた解決事例」の解決実績について詳しくはこちらをご覧下さい。

     

    (3)解雇理由書や解雇通知書の作成、発送

    「咲くやこの花法律事務所」では、解雇の場面で重要な書面になる「解雇理由書」「解雇通知書」の作成と発送についてもご依頼を受けています。

    解雇の問題に精通した弁護士が、解雇の場面から書面作成に携わることによって、万が一、裁判等に発展した時のことも見越した書面作成が可能になります。

    (4)解雇後のトラブルに関する交渉、裁判

    「咲くやこの花法律事務所」では、解雇した従業員とのトラブルに関する交渉や裁判のご依頼も常時承っています。

    解雇した従業員が不当解雇であるとして復職を求めたり、会社に金銭を請求してくるという場面では、弁護士が従業員との交渉を会社に代わって行います。また、裁判においてもこれまでの豊富な経験を生かしてベストな解決に導きます。

     

    「咲くやこの花法律事務所」には、これまで「問題社員の解雇や解雇後のトラブル対応」において、解決実績と経験が豊富な弁護士がそろっています。

    問題が深刻化する前のスピード相談がポイントです。解雇トラブルでお困りの方は、早めに「咲くやこの花法律事務所」までご相談下さい。

     

     

    15,「咲くやこの花法律事務所」の解雇問題に強い弁護士へのお問い合わせ

    企業法務におけるお悩みは、企業法務に強い弁護士へ。「咲くやこの花法律事務所」へご相談下さい。

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    17,解雇に関するその他のお役立ち記事一覧

    解雇については、「不当解雇」などの大きなリスクが伴うことから慎重に判断し、そして解雇を実施する場合はケースに応じた正しい手順で行うことが大切ということをご説明してきました。この記事では「正しい解雇方法」について解説しましたが、解雇についてはその他にもおさえておくべき関連する重要な情報があります。そのため、以下のような解雇に関連する記事も必ずチェックしておきましょう。

    弁護士が教える不当解雇の損害賠償、慰謝料と裁判での会社の守り方

    能力不足の従業員を解雇する前に必ず確認しておきたい注意点

    「懲戒解雇」と「普通解雇」の違いについて

    従業員解雇後の離職票、社会保険、解雇予告手当、解雇理由証明書等の手続きを解説

    従業員の横領による懲戒解雇に関する注意点 

    絶対におさえておきたい試用期間中の解雇の注意点

    休職期間満了を理由に従業員を解雇する際の注意点

     

     

    記事作成弁護士:西川 暢春
    記事更新日:2017年5月29日

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