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労働基準法で定められた休日とは?年間休日の日数は最低何日必要か?

労働基準法で定められた休日とは?年間休日の日数は最低何日必要か?
  • 西川 暢春(にしかわ のぶはる)
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    西川 暢春(にしかわ のぶはる)

    咲くやこの花法律事務所 代表弁護士
  • 出身地:奈良県。出身大学:東京大学法学部。主な取扱い分野は、「問題社員対応、労務・労働事件(企業側)、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」です。事務所全体で400社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。

こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
労働基準法における休日のルールを正しく理解できていますか?

休日については、労働基準法によってルールが定められています。また、振替休日や代休などの制度、あるいは割増賃金の支払いについてもルールを正しく理解する必要があります。ルールを正しく理解できていないと適切な労務管理ができず、従業員との間でトラブルに発展する恐れがあります。トラブルを防ぐためにも、まずは休日についてのルールを正しく理解することが大切です。

この記事では、休日について労働基準法によって定められたルールについて具体的に解説します。この記事を最後まで読んでいただくことで、労働基準法における休日の定義や、振替休日、代休などのルールについて理解していただくことができます。

それでは見ていきましょう。

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

常時10人以上の従業員を使用する事業者においては、休日は就業規則に必ず記載する必要がある絶対的必要記載事項です。休日をいつにするかは事業者が決めることができますが、自由に決めて良いわけではなく、労働基準法によってルールが定められています。休日の日数が法律の規定に満たない場合や、休日労働に対して適切な賃金の支払いができていない場合、労働基準法違反となり罰則が科されます。また、従業員とのトラブルの原因にもなります。日ごろの適切な就業規則の整備や労務トラブル発生時の迅速な解決のための対応については、咲くやこの花法律事務所でもご相談をお受けしていますのでご利用ください。

 

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1,労働基準法における休日の定義とは?

労働基準法における休日の定義とは?

労働基準法における「休日」とは、労働契約上、労働者に労働の義務がない日のことをいいます。労働基準法35条で、事業者は、労働者に対して毎週少なくとも1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないと定められています。労働者を法定休日に労働させたときは休日労働割増賃金の支払義務が発生します。

なお、休日をいつにするかは、労働基準法のルールの範囲内で事業者が自由に定めることができます。日曜日や国民の祝日も、労働契約上、労働の義務がある場合は労働基準法における「休日」には該当しません。

 

(1)休暇との違い

「休日」と似た言葉に「休暇」がありますが、「休日」と「休暇」は異なります。休暇」とは、労働契約上は労働の義務があるものの、労働者の申請によって労働の義務が免除される日のことをいいます。これに対し、労働者がそもそも労働する義務を負わない日が「休日」です。

 

(2)「休日」は「暦日」であることが必要

労働基準法上の「休日」は、原則として、単に24時間の休業であればよいのではなく、「暦日」であることが必要です(昭和23年4月5日 基発535号)。「暦日」とは、午前0時から午後12時までの24時間のことです。例えば、午前9時まで勤務した労働者が、24時間休んで翌日の午前9時から再び勤務を開始する場合、一部の例外を除き、この24時間の休みは「休日」とは認められないので注意が必要です。

 

2,労働基準法35条による法定休日のルール

前述のとおり労働基準法35条では、事業者は、労働者に対して、毎週少なくとも1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないと定められています。これに対する違反は、6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されます(労働基準法119条1号)。この労働基準法35条によって定められた休日のことを「法定休日」といいます。

 

▶参考情報:労働基準法35条

第35条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
② 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

・参照元:労働基準法の条文はこちら

 

(1)変形週休制について

労働基準法35条2項に基づき4週間を通じて4日以上の休日を与える制度を「変形週休制」と呼びます。この変形週休制を採用する場合は、単位となる4週間の起算日を就業規則等に定める必要があります(労基則12条の2第2項)。

 

▶参考情報:労働基準法施行規則12条の2第2項

② 使用者は、法第三十五条第二項の規定により労働者に休日を与える場合には、就業規則その他これに準ずるものにおいて、四日以上の休日を与えることとする四週間の起算日を明らかにするものとする。

・参照元:労働基準法施行規則の条文はこちら

 

(2)法定休日と所定休日の違い

週休2日制の事業者では、法定休日のほかに、週にもう1日休日があることになります。このもう1日の休日は、所定休日などと呼ばれます。法定休日か所定休日かで以下のように、労働基準法上の扱いに違いがあります。

 

1,割増賃金の違い

法定休日の労働は休日労働の割増賃金の対象となります。これに対して、所定休日の労働は休日労働の割増賃金の対象とはなりません。ただし、労働基準法32条により週の労働時間は40時間以内とされているため、所定休日に労働したことにより週の労働時間が40時間を超える場合は、時間外労働となり、時間外労働の割増賃金の対象となることに注意が必要です。休日労働の割増賃金と時間外労働の割増賃金は、労働基準法で定められた最低の割増率が異なります。そのため、ある休日が法定休日か所定休日かが特定されていなければ、割増賃金を正しく支払うことができません。

 

▶参考情報:割増賃金について詳しくは以下の記事や動画で解説していますので、あわせてご参照ください。

割増賃金とは?労働基準法第37条や時間外・休日・深夜の計算方法を解説

・西川弁護士が「割増賃金(時間外労働・休日労働・深夜労働など)のルール」を詳しく解説中!

 

2,36協定における扱いの違い

36協定とは、時間外労働または休日労働をさせる場合に、事業者が労働組合または従業員代表と締結しなければならない労使協定です。正式な名称は「時間外労働・休日労働に関する協定」です。この36協定では、1か月の時間外労働の上限時間数と1年の時間外労働の上限時間数を定める必要がありますが、法定休日の労働は時間外労働にはあたらず、これとは別枠になります。そのため、ある休日の労働について、その日が法定休日の労働なのか所定休日の労働なのかが確認できなければ、時間外労働が36協定で定めた上限時間数の範囲内にとどまっているのかどうかを確認ができない場面も生じます。

 

▶参考情報:36協定については以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

36協定とは?違反したらどうなる?制度の内容と罰則について

 

このように、法定休日か所定休日かで、割増賃金や36協定における扱いに違いが生じるため、どの休日が法定休日かを就業規則で特定しておくべきです。通達でも、労働条件を明示する観点及び割増賃金の計算を簡便にする観点から、就業規則等で、法定休日と所定休日の別を明確にしておくことが望ましいとされています。(▶参考:厚生労働省「労働基準法の一部を改正する法律の施行について」(pdf)

 

▶参考情報: 法定休日と所定休日の労働基準法上の扱いの違い

法定休日 所定休日
割増賃金、割増率 ・休日労働の割増賃金の対象となる

・割増率35%以上

・休日労働の割増賃金の対象とはならない。ただし、法定休日を除く週の労働時間が40時間を超える場合は、時間外労働の割増賃金の対象となる

 

・時間外労働の割増賃金の対象となる場合は割増率25%以上(ただし、月60時間を超える時間外労働については50%以上)

36協定関係 法定休日の就業は、36協定に定める時間外労働の上限とは別枠となる 週40時間または1日8時間を超える所定休日の就業は、時間外労働となるため、36協定に定める時間外労働の上限時間数の範囲内で行う必要がある

 

3,年間休日は最低何日必要か?休日の日数について

労働基準法35条では、休日の日数については「毎週少なくとも1日」または「4週間を通じて4日以上の休日」が必要であると定めるのみです。年間休日の日数についての規定は、労働基準法上ありません。

あえて年間の最低休日日数を考えると、1年間を4週間ごとに区切るとおよそ13回に分けられますので、労働基準法35条2項に基づき、4週間に4日の休日を与えるとすれば、年間で52日となります。

 

▶参考情報:年間の最低休日日数の計算について

  • 365日÷28日=13あまり1
  • 13×4日=52日

 

ただし、注意しなければならない点として、労働基準法35条さえ守っていればよいかというとそうではありません。労働基準法32条では、労働時間の上限を1日8時間、週40時間までと定めています。これを「法定労働時間」といいます。そのため、1日の所定労働時間を8時間としている会社では、週の中で法定休日のほかにもう1日休日を定めて(所定休日)、週休2日制にすることになります。そのため、 1日の所定労働時間を8時間としている場合は、年間休日は最低でも104日必要になります。

 

▶参考情報:労働基準法32条

第32条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。

・参照元:労働基準法の条文はこちら

 

これに対して、1日の所定労働時間が6時間30分以下の場合は、週休1日でも週の所定労働時間が40時間を超えません。そのため、年間休日は最低52日あれば足りることになります。

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

平成31年4月の働き方改革関連法の施行により導入された「高度プロフェッショナル制度」を導入している場合、対象となる労働者については、労働基準法35条は適用されません。ただし、労働基準法41条の2第1項4号により、年間104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を与えることが義務付けられています。

 

▶参考情報:高度プロフェッショナル制度については以下を参照してください。

厚生労働省「高度プロフェッショナル制度の概要」

 

4,振替休日とは?代休との違いについて

「振替休日」も「代休」も労働基準法上の用語ではありませんが、通達等(昭23.4.19 基収1397号、昭63.3.14 基発150号など)によって一般的な考え方が示されています。「振替休日」なのか「代休」なのかによって、36協定における扱いや、割増賃金についての扱いが異なるため、どちらに該当するかを正確に判断する必要があります。

 

(1)前もって休日と労働日を入れ替えるのが「振替休日」

休日は、就業規則や雇用契約書で事業者の振替権限を定めておくことによって、事業者が他の日に変更することができます。これに基づき、あらかじめ休日と定められていた日を労働日に変更し、そのかわりに他の労働日を休日とした場合、この休日を「振替休日」といいます。

休日を振り替える場合、振り替えた後の状態で、労働基準法35条による週休1日の要件(変形週休制を採用している場合は4週4休)を満たしている必要があります。

振替休日は、もともと休日だった日が「労働日」となり、そのかわりにもともと労働日だった日が「休日」になります。休日と労働日を事前に入れ替えるので、この場合、もともと休日だった日の労働は「休日労働」にはあたらず、36協定の届出や割増賃金の支払いも必要ありません。

ただし、例えば「1日8時間労働、土曜日を所定休日、日曜日を法定休日」と定めている会社が、ある週の日曜日を労働日として、翌週以降の労働日を振替休日にしてしまうと、週の労働時間が法定労働時間である週40時間を超えてしまいます。この場合は、法定労働時間を超えた労働については、時間外労働の割増賃金の支払いが必要になるので注意が必要です。

 

振替休日の参考例

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

休日を振り替えるためには、従業員に振り替えについて同意を得るか、就業規則または雇用契約書で休日の振替についての規定をあらかじめ設けておく必要があります。就業規則や雇用契約書の整備については以下で解説していますのでご参照ください。

 

就業規則とは?義務や作成方法・注意点などを弁護士が解説

雇用契約書とは?正社員用の書き方など作成方法を弁護士が解説【雛形テンプレート付】

 

(2)休日労働をした後に他の労働日を休日とするのが「代休」

これに対し、休日労働が行われた後に、その代償として事後的に、以後の特定の労働日を休日とする場合、その休日を「代休」といいます。この場合、後から代休を与えても、休日に労働をさせたという事実は変わりません。そのため、事業者は代休を与えたとしても、休日労働させた日については休日労働の割増賃金の支払いをする必要があります。休日労働をさせた場合に、労働基準法上、代休を与えなければならないというルールはなく、代休を与えるかどうかは、事業者の判断になります。

 

5,同じ休みでも休日と有給休暇は違う?

労働者の休みといえば、「休日」のほかに「有給休暇」があります。

「休日」が労働の義務がない日のことを指すのに対して、「休暇」は労働者の申請によって労働の義務が免除される日のことをいいます。この「休暇」のうち、6か月以上継続勤務した従業員に対して付与される、賃金が支給される休暇を「有給休暇」といいます。有給休暇は、労働基準法第39条で定められている労働者の権利です。

 

▶参考情報:労働基準法第39条1項

使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

・参照元:労働基準法の条文はこちら

 

このように「有給休暇」と「休日」は全く別の制度です。有給休暇の発生条件や付与日数などについての詳しい解説は以下の記事をご覧ください。

 

 

6,労働基準法上、連続勤務は何日まで可能か?

法定休日は曜日を固定しなくても問題ありません。では、法定休日が曜日で固定されていない場合、労働基準法上、連続勤務は何日まで認められるでしょうか。

 

(1)通常は最大12連勤まで可能

事業者は、変形週休制を採用している場合を除き、労働者に対して、少なくとも週1回の休日を付与する義務があります(労働基準法35条1項)。このルールに基づき、1週目の週の起算日と2週目の最後の日を法定休日にすることで、12日間連続の労働日とすることが可能となります。

また、休日についても休日労働として勤務させることは可能です。ただし、休日労働については時間外労働との合計で月100時間未満までという制限があります(労働基準法36条6項2号)。このように考えると労働基準法上、連続勤務日数についての規制はないということになります。ただし、従業員の健康維持の観点から、長期の連続勤務が適切でないことは言うまでもありません。

 

労働基準法上、連続勤務は何日まで認められるかについて

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

厚生労働省の労災認定基準では、1か月以上にわたる連続勤務を行った場合や、2週間以上にわたって連続勤務を行い、その間、連日、 深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行った場合、その後6か月以内に精神疾患を発症したときは、1日当たりの労働時間が特に短い場合を除き、原則として労災が認定されることになっています。

 

▶参考情報:精神疾患の労災の認定要件については以下で解説していますのでご参照ください。

うつ病など精神疾患の労災について補償や認定要件などを解説

 

7,休日労働には割増賃金を支払う必要がある

従業員を法定休日に労働させることを「休日労働」といいます。従業員を休日労働させた場合、事業者は割増賃金を支払う必要があります(労働基準法37条1項)。休日労働については、通常の賃金に35%以上の割り増しをして支払うことが義務づけられています。

なお、事業者が定めた法定休日以外の休日(所定休日)の労働は、労働基準法上の「休日労働」にはあたりません。休日労働ではないため、割増賃金を支払う必要もありません。ただし、所定休日に労働させた結果、1週間の労働時間が法定労働時間である40時間を超える場合、その超過した労働は「時間外労働」に該当します。時間外労働については、通常の賃金に25%以上(月60時間を超える時間外労働については50%以上)の割り増しをして支払うことが義務づけられています。

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

割増賃金を適切に支払わない場合、事業者に6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科されます(労働基準法119条1号)。また、従業員から未払い残業代を請求する訴訟を起こされて裁判所から高額の支払いを命じられるケースもあります。休日労働を正しく管理して割増賃金を適切に支払うようにしなければなりません。

 

8,休日に呼び出したり電話待機させたりするのは労働基準法違反?休日出勤扱いになるのか?

休日に従業員を呼び出したり、電話待機させたりするのは「労働基準法違反になるのか?」また「休日出勤扱いになるのか?」とご相談をいただくことがありますので、これらの点についても解説したいと思います。

 

(1)実作業に従事した時間は労働時間

従業員を休日に緊急の用件で呼び出したり、従業員に指示して休日に取引先からの電話に対応させたりした場合、それらの実作業に従事させた時間は「労働時間」にあたります。36協定の締結・届出や割増賃金の支払いをしていないと労働基準法違反になるため注意が必要です。一方で、使用者の指示によらずに、従業員が休日に取引先等の電話に対応しても、それは使用者の指揮命令下に置かれているとは評価できず、労働時間にはあたりません。

 

(2)待機時間についても労働時間と判断した例がある

では、実際に業務を行うわけではないが呼び出しや電話があれば休日でも対応しなければならないとされている呼び出し待機、電話待機の時間は「労働時間」に該当するでしょうか。労働基準法上の「労働時間」とは、客観的に見て、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいいます(▶参考:最高裁判所判決平成12年3月9日・三菱重工業長崎造船所事件)。

実作業に従事していない待機時間についても、客観的に見て、それが使用者の指揮命令下に置かれたものである場合は「労働時間」に該当します。使用者の指揮命令下に置かれているかどうかについては、次のような点を考慮して判断されます。

 

  • 待機場所が指定されているか
  • 待機中の過ごし方に制約があるか
  • 実際に呼び出しに応じたり電話対応をしたりする頻度

 

休日に呼び出された場合に備えて待機させたり、電話対応のために待機させたりした待機時間を労働時間と評価するかどうかについては、以下のように裁判例がわかれています。

 

1,待機時間を労働時間と評価した例

 

横浜地方裁判所判決令和3年2月18日(アルデバラン事件)

看護師に緊急事態に備えて休日も当番制で携帯電話を常時持たせ、呼び出し時の駆け付けを義務付け、実際にも16回に1回程度の駆け付けがあったという事案について、待機場所の指定がなく、外出も可能だとしても、労働からの解放が保障されていたとはいえないとして、待機時間も労働時間と評価し、1000万円を超える残業代の支払いを命じました。

 

2,待機時間を労働時間ではないと評価した例

 

千葉地方裁判所判決令和5年2月22日(医療法人社団誠馨会事件)

形成外科医が、当直医からの処置内容の問い合わせの電話や緊急時の呼び出しに備えるオンコール当番を担当していた事案について、「いつ着信があるかわからない点等において精神的な緊張を与えるほか、待機場所がある程度制約されていたとはいえるものの、労働からの解放が保障されていなかったとまで評価することはできない。」として、労働時間にはあたらないと評価しました。

 

札幌高等裁判所判決令和4年2月25日(システムメンテナンス事件)

機械式駐車場のメンテナンス事業において勤務時間外も携帯電話で顧客からの呼び出しに対応する当番を設けた事案について、当番日は3回に1回は入電があり、飲酒が禁止されていたが、現場到着に時間を要しても注意等はされておらず、待機場所の制限もなく入浴等も自由であったとして、労働時間にはあたらないと評価しました。

 

大阪高等裁判所判決平成22年11月16日(奈良県立奈良病院事件)

県立病院において緊急時に備えて産科医が交代で毎日1名、自宅等で待機(宅直)していた事案について、病院に宅直に関する規定はなく、産科医の自主的な話し合いにより定まっていたとして、宅直での待機時間は労働時間には当たらないと評価しました。

 

「弁護士西川暢春からのワンポイント解説」

休日の過ごし方に飲酒の禁止等を除けば特に制約がなく、連絡があったときにすぐに対応できなくても問題がなかったり、連絡がないことがほとんどの場合は、休日に呼び出し対応の待機や、電話対応の待機をさせているだけでは、労働時間にはならないことが多いと言えるでしょう。

 

▶参考情報:労働時間に当たるかどうかの判断については、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

労働時間とは?労働基準法など5つのルールをわかりやすく解説

 

9,休日についてのよくある質問

休日についてのよくある質問について以下でとりあげたいと思います。

 

(1)ダブルワークの場合

ダブルワークの場合の休日については労働基準法で明確なルールが定められているわけではありません。労働基準法38条1項は、「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。」と定めていますが、休日に関する規定は「労働時間に関する規定」にあたらないため、通算の対象とはなりません。従って、自社が労働基準法35条の規定に従って毎週少なくとも1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えていれば、ダブルワークの結果、全く休日がないことになったとしても、労働基準法に違反するわけではありません。

しかし、労働基準法35条が、労働者の休息を確保するために、毎週少なくとも1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないと定めた趣旨を踏まえると、ダブルワークの場合も、両方の仕事を通じて、週に1日の休日、または4週間に4日の休日を確保できるようにすることが望ましいといえるでしょう。

 

(2)休日の買取について

労働基準法35条は、毎週少なくとも1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないと定めており、この法定休日を買い取ることは違法です。ただし、事業者は労働組合または従業員代表との間で36協定を締結することにより、協定で定めた範囲内で法定休日に従業員を就業させることは可能です。その場合は、休日労働割増賃金の支払が義務づけられます(労働基準法37条1項)。

 

(3)パート社員の休日について

休日の付与を義務付けた労働基準法35条の規定は、パート社員、契約社員、嘱託社員等の雇用形態を問わず、全ての労働者に適用されます。これらの社員についても、毎週少なくとも1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えることが必要です。なお、事業者は、従業員を雇入れる際は、休日について労働条件通知書等の書面で明示することが原則として義務付けられています(労働基準法15条1項)。また、休日は就業規則の絶対的必要記載事項とされ、就業規則にも休日を定めることが義務づけられています(労働基準法89条1号)。これらの義務はパート社員、契約社員、嘱託社員等の非正社員の雇用にも適用されます。

 

▶参考情報:パート社員の休日に関しては、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。

アルバイトやパートも労働基準法の適用あり!労働時間や有給などルールを解説

 

10,咲くやこの花法律事務所のサポート内容のご案内

咲くやこの花法律事務の弁護士によるサポート内容

「咲くやこの花法律事務所」では事業者の人事労務管理について以下のサポートを行っております。

 

(1)休日や労働時間の管理に関するご相談

従業員の休日や労働時間について、労働基準法上のルールを守ったり、従業員の労働時間を正しく把握することは、労務管理の基本です。また、休日や労働時間についてのルールを明確化するための、就業規則や労働条件通知書・雇用契約書等の整備も重要なテーマです。咲くやこの花法律事務所では、これらの人事労務のテーマについて事業者からのご相談を多くお受けしてきました。休日や労働時間の管理に関してお困りの方は、咲くやこの花法律事務所の人事労務に精通した弁護士にご相談ください。

 

咲くやこの花法律事務所の企業の人事労務に精通した弁護士への相談費用

●初回相談料:30分5000円+税(顧問契約の場合は無料)

 

(2)顧問弁護士サービスのご案内

咲くやこの花法律事務所では、事業者の人事労務全般をサポートするための顧問弁護士サービスを提供しています。

弁護士にご相談いただくことで、就業規則や雇用契約書等の整備や36協定の締結・届出などを適切に行い、労務管理体制を整えることができます。また、トラブル発生時も、早期に顧問弁護士に相談することで、自社の実情にあった解決が可能です。顧問弁護士がいれば、初期段階で相談して専門的な助言を受けることができ、迅速な解決が可能となります。

咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスのご案内は以下をご参照ください。

 

 

(3)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法

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11,まとめ

今回は、休日について労働基準法で定められたルールを説明しました。労働基準法35条では、労働者に対して、毎週少なくとも1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならないと定めています。

そして、法定休日に労働させる場合や、所定休日に労働させて法定労働時間を超える場合は、36協定の届出や割増賃金の支払いが必要となります。

これらのルールに違反すると、労働基準法違反となり罰則が科されます。また、十分な休日を与えていなかったり、割増賃金を適切に支給していなかったりすると、従業員との間でトラブルに発展する恐れがあります。トラブルを未然に防ぐためにも、休日についての法律上のルールを正しく理解し、遵守しましょう。

咲くやこの花法律事務所では、労務管理に詳しい弁護士が事業者側の立場に立って相談に対応しています。お困りの場合はぜひご利用ください。

 

12.【関連】休日など労働基準法に関するその他のお役立ち記事

この記事では、「労働基準法で定められた休日とは?年間休日の日数は最低何日必要か?」について、わかりやすく解説しました。労働基準法には、その他にも知っておくべき情報が幅広くあり、正しい知識を理解しておかなければ重大なトラブルに発展してしまいます。

以下ではこの記事に関連する労働基準法のお役立ち記事を一覧でご紹介しますので、こちらもご参照ください。

 

労働基準法34条の休憩時間!必要な時間など法律上のルールを解説

就業規則と労働基準法の関係とは?違反する場合などを詳しく解説

労働条件の明示義務とは?労働基準法15条の明示事項やルール改正を解説

労働基準法について弁護士に相談すべき理由とは?わかりやすく解説

労働基準法施行規則とは?2024年4月の改正についても詳しく解説

 

記事更新日:2024年4月24日
記事作成弁護士:西川 暢春

 

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    発売日:2023年11月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:1280ページ
    価格:9,680円


    「問題社員トラブル円満解決の実践的手法」〜訴訟発展リスクを9割減らせる退職勧奨の進め方

    著者:弁護士 西川 暢春
    発売日:2021年10月19日
    出版社:株式会社日本法令
    ページ数:416ページ
    価格:3,080円


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