こんにちは。咲くやこの花法律事務所の弁護士西川暢春です。
労働基準法について以下のような疑問をもっていませんか?
- どのような場合に適用されるのか
- どのような内容が規定されているのか
- 労働基準法にきちんと対応できているかわからない
- 労働基準法に違反した場合はどうなるのか
労働基準法は、事業主が労働者を雇用するときの労働条件について最低限の基準を定めた法律で、労働者を雇用する事業主が必ず守らなければならないルールです。
労働時間や休憩、休日、有給休暇、時間外労働、割増賃金等、労働条件に関する様々な内容が規定されています。違反した場合は罰則を受けたり、企業名を公表される等のペナルティを受ける可能性があります。(▶参考情報:厚生労働省「労働基準関係法令違反に係る公表事案」pdf)
そのため、労働基準法に違反しないように、企業は労働基準法のルールを理解した上で、正しい労務管理をする必要があるのです。
この記事では、労働基準法とは何か、どのような内容が定められているのか、違反した場合の罰則等について解説します。この記事を最後まで読んでいただくことで、自社が労働基準法に正しく対応できているかどうかについて、ひととおりの確認ができます。
それでは見ていきましょう。
労働基準法には、労働時間の上限、有給休暇や時間外労働、割増賃金、解雇予告等、従業員とのトラブルに発展しやすい分野の規定も多くあります。トラブルを防止するためには、日頃の正しい労務管理がなによりも重要です。
労働基準法の内容を正しく理解し、適切な労務管理をすることで、従業員との労務トラブルを防止したり、トラブルが発生したときに会社のダメージを最小限に抑えることができます。咲くやこの花法律事務所では、企業側の立場で、労働基準法をはじめとする労働問題全般のご相談をお受けしています。また、顧問弁護士サービスにより、労務環境の整備、労務トラブルの予防や解決について専門的なサポートを提供しています。お困りの際はぜひご相談ください。
咲くやこの花法律事務所への労務関係のご相談については以下もご参照ください。
▶参考情報:労働問題に強い弁護士への相談サービスはこちら
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今回の記事で書かれている要点(目次)
1,労働基準法とは?
労働基準法とは、労働条件に関する最低基準を定めた法律です。事業主が労働者を雇用する際に最低限守らなければならない、労働時間・休憩時間、休日・休暇、賃金等の基準を定めています。労働基準法は、強行法規であり、仮に事業主と労働者の間で、労働基準法で定める基準に達しない労働条件を合意しても、その合意は無効となります。
▶参考情報:労働基準法の条文はこちらから確認することができます。
(1)労働基準法の目的
労働基準法の目的は、労働者の生活と権利の保護です。
労働者の生活は勤め先からの収入に依存することが多いため、一般的に雇用主よりも労働者の方が弱い立場になりやすいです。労働基準法は、事業主が労働者を雇用する際の労働条件の最低基準を定めることで、低賃金や長時間労働等の劣悪な労働環境から労働者を守り、その生活と権利を保護することを目的としています。
(2)労働基準法の主な内容
労働基準法では、以下のような事項が定められています。
- 労働時間、休憩、休日
- 有給休暇
- 時間外労働、休日労働
- 賃金の支払い
- 割増賃金
- 解雇予告
- 就業規則
- 災害補償
等
(3)労働基準法の制定・改正の歴史
労働基準法は、戦前の日本において見られた劣悪な労働条件を改善し、労働者を保護することを目的として昭和22年に制定されました。以来、日本の労働環境や時代の変化に応じて、度々改正されながら現在まで運用されています。
近年では、2019年に施行された働き方改革で、時間外労働の上限規制の導入や、年5日の有給休暇の取得義務化等の大幅な改正が行われました。
▶参考情報:労働基準法の改正内容については、以下の記事で解説していますので、ご覧ください。
2,パート・アルバイトにも適用される
労働基準法における「労働者」とは、「職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われるもの」と定義されています(労働基準法第9条)。
(1)労働基準法の対象者
労働基準法は、正規・非正規の区別なく、パート社員やアルバイト、契約社員等の非正規労働者、派遣社員、外国人労働者等にも適用されます。
一方で、会社の代表者や役員、個人事業主、フリーランス等は労働基準法上の労働者にはあたらないため、労働基準法が適用されません。
▶参考情報:パート社員やアルバイトへの労働基準法の適用については、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
(2)適用除外となる労働者
以下の労働者については、労働基準法の適用が全部または一部除外されます。
1,労働基準法が適用されない労働者
① 船員(労働基準法第116条1項)
船員の労働環境は特殊で、一般の労働者と同じ基準を適用することが難しいため、一部の規定を除き、労働基準法のほとんどが適用されません。代わりに、船員の労働に関することは「船員法」で定められています。
▶参考情報:「船員法」の条文はこちら(e-Gov)
② 同居の親族のみを使用する事業および家事使用人(労働基準法第116条2項)
代表者とその親族だけで経営している、いわゆる家族経営の会社の場合も労働基準法が適用されない場合があります。
- 同居の親族とは、同じ場所に居住し、生計を同一とする親族(六親等内の血族、配偶者、三親等内(民法725条))のことを指します。
- 家事使用人とは、いわゆる家政婦・家政夫のことで、個人宅等で雇われて家事を行う者のことをいいます。
③ 国家公務員
国家公務員は労働基準法の適用対象外となっています(国家公務員法附則第6条)。これは、国家公務員という立場の公共性から、労働基準法の適用がなじまないことが理由です。
その代わりに、国家公務員の勤務条件は、人事院規則や一般職の職員の給与に関する法律等の様々な法律で定められています。
▶参考情報:人事院「人事院規則」
これに対し、同じ公務員でも、地方公務員には原則として労働基準法が適用されることになっています。ただし、一部の規定は適用が除外されています(地方公務員法第58条3項)。
2,労働時間、休憩及び休日に関する規定が適用されない労働者(労働基準法第41条、別表第一)
以下の場合は、事業内容や業務の特殊性あるいは労働者の立場から、労働基準法で定める労働時間や休憩、休日の規制になじまないため、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用が除外されています。これらの労働者については、労働時間の上限規制の適用や時間外労働・休日労働の割増賃金の支払義務がありません。
- 農業・畜産業・養蚕業・水産業に従事する労働者
- 監督もしくは管理の地位にある労働者(管理監督者)
- 機密の事務を取り扱う労働者(秘書等)
- 監視または断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けた者(医療機関等における医師や看護師の宿日直勤務等)
トラブルになりやすいテーマの1つが、管理職の残業代(割増賃金)の問題です。社内で管理職として扱っている労働者であっても、労働基準法上の管理監督者にあたらず、割増賃金の支払義務があるとされる例は多いです。
労働基準法でいう管理監督者とは、「一般的には、部長、工場長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者の意であり、名称にとらわれず、実態(その労働者の立場、職務内容、権限等を踏まえて)に即して判断すべきもの」とされています。
▶参考情報:管理監督者の判断基準
- 労働時間、休憩、休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有していること
- 重要な責任と権限を有していること
- 現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にあること
- 賃金等について、その地位にふさわしい待遇がなされていること
管理職だからといって安易に判断せず、弁護士に相談して管理監督者にあたるかどうかをよく検討することが重要です。
▶参考情報:管理職の未払い残業代の問題は以下でも解説していますのでご参照ください。
3,労働時間についてのルール
労働基準法は、1日8時間以内、週40時間以内を法定労働時間と定めています(労働基準法第32条)。
▶参考情報:労働基準法第32条
(労働時間)
第三十二条使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
②使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
法定労働時間とは、従業員を働かせることができる上限時間のことで、これを超えて働かせることは原則としてできません。ただし、後述する36協定を締結した場合は、この例外であり、36協定に定めた範囲内で、法定労働時間を超えて働かせることができます。
法定労働時間は、1日及び1週単位で定められており、月の法定労働時間については規定がありません。1か月単位で考えると以下の時間数が目安になります。
▶参考情報:1か月の法定労働時間の目安
- 1か月が28日の月:160時間
- 1か月が29日の月:165.7時間
- 1か月が30日の月:171.4時間
- 1か月が31日の月:177.1時間
→ 計算式:40時間×1か月の暦日数÷7
また、36協定を締結した場合の時間外労働時間は、原則として、月45時間・年360時間が上限です。
労働時間については以下の記事もご参照ください。
▶参考情報:通勤時間や着替え時間の取扱い
通勤時間や着替え時間が労働時間にあたるかどうかは、労働基準法では規定されていません。
ただ、裁判例では、社内において始業前に作業着や制服に着替えることが義務付けられている場合の着替え時間は労働時間にあたると判断されていることが多くなっています(イオンディライトセキュリティ事件(千葉地方裁判所平成29年5月17日判決)など)。一方で、通勤時間は労働時間にはあたらないと判断されていることが多いです。
(1)時間外労働には36協定が必要
法定労働時間を超える労働のことを時間外労働といいます。従業員に時間外労働をさせるためには、労働基準法上、36協定と呼ばれる労使協定の締結が必要です(労働基準法第36条)。
▶参考情報:労働基準法第36条
(時間外及び休日の労働)
第三十六条使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
※以下、省略
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
36協定については以下の記事で詳しく解説しています。
(2)変形労働時間制・フレックスタイム制とは?
労働基準法では1日8時間、週40時間を超える労働についても法定労働時間とすることができる制度として、変形労働時間制やフレックスタイム制が定められています。
変形労働時間制とは、1か月とか1年といった一定の期間について、週あたりの平均労働時間数が40時間以内におさまっていれば、特定の日の労働時間が8時間を超えたり、特定の週の労働時間が40時間を超えていても法定労働時間内として扱うことができる制度です。また、フレックスタイム制とは、始業時刻や終業時刻の決定を従業員にゆだねる制度で、一定の期間について、週あたりの平均労働時間数が週40時間以内におさまっていれば、特定の日の労働時間が8時間を超えたり、特定の週の労働時間が40時間を超えていても法定労働時間内として扱うことができる制度です。
これらの制度の導入には、制度の内容に応じて、労使協定の締結もしくは就業規則での規定、またはその両方が必要になります。
4,休憩・休憩時間についてのルール
労働基準法では、労働時間が一定の時間数を超える場合に、労働者に休憩を取らせることを使用者に義務付けています。
使用者は労働者に対して、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければなりません(労働基準法第34条)。
▶参考情報:労働基準法第34条
(休憩)
第三十四条使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
休憩は分割して与えることも可能です。例えば、45分間の休憩を取得させる義務がある場合、15分×3回という形に分割することも認められています。
休憩時間を与えるタイミングは、「労働時間の途中」と定められています(労働基準法第34条1項)。そのため、始業前や終業後に休憩を付与しても、労働基準法上の休憩を与えたことにはなりません。
例えば、始業前に休憩を付与してその分遅く出勤させたり、休憩なしでその分早く退勤させるということはできないので注意が必要です。
▶参考情報:休憩時間に関する労働基準法上のルールについては以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
5,休日についてのルール
使用者は労働者に対して、週1日または4週間で4日以上の休日を与えることが義務付けられています(労働基準法第35条)。この労働基準法第35条で定められている休日のことを「法定休日」といいます。
▶参考情報:労働基準法第35条
(休日)
第三十五条使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
②前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
(1)年間の休日の日数について
労働基準法には、年間の休日の日数についての規定はありません。ただし、労働時間の上限が1日8時間、週40時間までとされていることから、1日の所定労働時間が8時間の会社の場合、週2日は休日とする必要があります。その結果、最低でも年間104日以上の休日が必要であることになります。
(2)連続勤務日数の上限とは?
労働基準法では連続勤務日数の上限についての規定はありません。ただし、使用者は労働者に対して、週1日または4週間で4日以上の休日を与えることが義務付けられています(労働基準法第35条)。
このうち、4週間で4日以上の休日を与える制度を採用すれば、連続勤務日数の上限は増えることになりますが、その場合は、「4週間」をどの日から数えるのかについて、就業規則における規定が必要です。
そのような規定がない事業者においては、少なくとも週1日の休日を付与することが義務付けられています。その場合、理論上は、1週目の初日と2週目の最終日を休日とすることで、最大12日間連続で勤務日とすることが可能です。
▶参考情報:労働基準法における休日のルールについては以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
(3)休日出勤についてのルール
ここまでご説明した通り、週1日または4週間で4日が法定休日となりますが、労働基準法は例外として、以下の要件を満たした場合は、法定休日に労働者を労働させることを認めています。これを休日労働といいます。
休日労働をさせるためには、以下の要件を全て満たす必要があります。
- 1.36協定を締結していること
- 2.就業規則や雇用契約書で休日出勤を命じることができる旨が規定されていること
- 3.労働者に休日出勤を拒否する正当な理由がないこと
- 4.休日出勤を命じることが権利濫用にならないこと
労働者に休日労働をさせた場合、使用者は労働者に、休日労働の割増賃金を支払うことが義務付けられています(労働基準法第37条1項)。
▶参考情報:休日出勤についての労働基準法上のルールは以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
(4)振替休日について
振替休日とは、業務等の都合により、あらかじめ休日と定められている日を労働日とし、その代わりに他の労働日を休日として振り替えることをいいます。
休日の振替をした場合は、元々の休日が「労働日」という扱いになるので、休日労働にはならず、休日労働の割増賃金を支払う必要はありません。
会社の判断により振替休日を設定するためには、就業規則等で「休日を振り替える場合があること」等を規定することにより、会社に休日振替権限があることを明確にしておく必要があります。 振替休日は、労働基準法の条文には規定がありませんが、通達で、その考え方が示されています(昭22.11.27基発401号、昭63.3.14基発150号ほか)。
6,時間外労働(残業)についてのルール
時間外労働とは、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える労働のことを指します。
残業には、法定労働時間内で行われる法内残業と、法定労働時間を超えて行われる残業があります。残業のうち、法定労働時間を超えて行われる部分だけが、「時間外労働」にあたり、労働基準法における上限規制の対象になります。また、法定休日の労働は、時間外労働ではなく、休日労働となります。
法定労働時間を超えて働かせることは原則として禁止されていますが、事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、そのような労働組合がない場合は労働者の過半数代表者と36協定を結んだ場合に限り、時間外労働をさせることができます(労働基準法第36条)。
36協定を締結した場合でも、無制限に時間外労働をさせることができるわけではなく、最大で月45時間・年360時間という制限があります(労働基準法第36条4項)。ただし、これには例外があり、労使間で「特別条項付きの36協定」を結んでいれば、通常予見することのできない業務量の大幅な増加などの臨時的な特別の事情がある場合に、月45時間・年360時間を超えて時間外労働させることができます(労働基準法36条5項)。
この場合も時間外労働は無制限ではなく、労働基準法で定められた以下の上限を守らなければなりません(労働基準法36条5項、6項)。
- 時間外労働が1年間に720時間以内
- 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
- 時間外労働と休日労働の合計について、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1か月あたり80時間以内
- 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6回が限度
▶参考情報:労働基準法における時間外労働や残業のルールについては以下の記事で詳しく解説していますのであわせてご参照ください。
7,割増賃金についてのルール
労働基準法第37条は、使用者が従業員に時間外労働や休日労働、深夜労働をさせた場合に、割増賃金を支払うことを義務付けています。
▶参考情報:労働基準法第37条
(時間外、休日及び深夜の割増賃金)
第三十七条使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
※以下、省略
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
割増賃金とは、通常の賃金に上乗せして支払われる賃金のことで、時間外労働に対する割増賃金は「時間外手当」、休日労働に対する割増賃金は「休日手当」「休日出勤手当」、深夜労働に対する割増賃金は「深夜手当」「深夜残業手当」等と呼ばれています。会社によっては、時間外労働に対する割増賃金を「残業代」「残業手当」と呼んでいることもありますが、本来は「残業」とは時間外労働だけでなく、法定労働時間内で行われる残業も含む意味でつかわれる言葉です。
どのような勤務に対して、どのくらい賃金が割増されるか(割増賃金率)については、以下のとおり規定されています。
▶参考情報:割増賃金率の一覧表
割増賃金の支給対象となる勤務 | 割増率 | ||
時間外労働 | 法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える勤務 | 月60時間以下 | 25%以上 |
月60時間超 | 50%以上 | ||
休日労働 | 法定休日の勤務 | 35%以上 | |
深夜労働 | 22時から5時までの勤務 | 25%以上 |
▶参考情報:割増賃金や残業代については以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
8,有給休暇についてのルール
有給休暇とは、賃金が支給される休暇のことです。①入社後6か月以上が経過しており、②出勤率が8割以上、という2つの要件を満たした従業員に有給休暇が付与されます(労働基準法第39条1項)。
▶参考情報:労働基準法39条1項目
(年次有給休暇)
第三十九条使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
※以下、省略
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
有給休暇は、原則として、従業員が希望した日に与える義務があり、従業員からの有給休暇の申請を拒否することはできません(労働基準法第39条5項)。正当な理由なく有給休暇の取得を拒否すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます(労働基準法第119条)。
例外的に、従業員が請求した日に有給休暇を取得させることが「事業の正常な運営を妨げる場合」に限り、従業員に対して有給休暇取得日の変更を求めることができます。これを「時季変更権」といいます(労働基準法第39条5項)。
▶参考情報:有給休暇の時季変更権については以下の記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
(1)有給休暇の日数
従業員に付与される日数は勤続年数等によって異なり、最大で20日になります(労働基準法第39条2項)。また、有給休暇は原則として、従業員が希望した日に付与しなければなりません(労働基準法第39条5項)。そして、有給休暇の権利は2年間行使可能です(労働基準法第115条)。
▶参考情報:有給休暇については以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
(2)パートやアルバイトにも付与される
有給休暇は、パート社員やアルバイト等にも付与されます。
週の所定労働時間が30時間以上ある場合は、フルタイム労働者と同じ日数の有給休暇が付与されます(労働基準法施行規則第24条の3第1項)。それに満たない場合でも、パート社員やアルバイトの所定労働日数に応じて、フルタイム労働者よりも少ない日数の有給休暇が付与されます(労働基準法施行規則第24条の3第3項)。これを比例付与といいます。
▶参考情報:週の所定労働日数が4日以下のアルバイトやパート社員の有給休暇の日数
(3)年5日以上取得させることが使用者の義務
年10日以上の有給休暇の権利がある従業員については、最低でもそのうち5日の有給休暇を消化させることが使用者に義務付けられています(労働基準法第39条7項)。
有給休暇の取得日数が5日未満の従業員については、使用者側が有給休暇取得日を指定して有給休暇を取得させる必要があります。
▶参考情報:有給休暇の取得義務化については、以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
(4)退職時の有給消化について
労働者が退職する際に、残っている有給休暇を消化したい旨の申出があれば、会社はそれを拒むことはできません。すでに退職日が決まっている場合は、代わりの取得日を確保することができないので、時季変更権の行使も認められないのが通常です。
9,退職についてのルール
退職には、使用者の承諾を得て退職する場合(合意退職)と、使用者の承諾なく一方的に退職する場合(辞職)があります。合意退職は使用者と労働者の合意によって労働契約を終了させるもので、労働基準法上の定めはありません。一方、辞職の場合は、以下の通り法律上のルールが定められています。
(1)何日前に退職の申し出(辞職の通知)が必要か?
1.無期雇用契約の場合(正社員など)
2週間前に退職の申出(辞職の通知)をする必要があります(民法第627条1項)。
労働者には退職(辞職)の自由があり、会社の同意がなくても退職することができます。会社が退職に同意してもしなくても、労働者が退職の申出をしてから2週間経過すると、退職の効力が生じます。
従業員の退職を引き止めること自体は違法ではありません。ただし、強引な方法で引き止めたり、脅迫的な言動を伴う引き止め行為等は違法となる可能性があるので注意が必要です。
2,有期雇用契約の場合(契約社員など)
雇用契約期間中は原則として辞職することはできません。ただし、雇用契約期間が1年を超える場合は、契約期間の初日から1年を経過すれば、期間の途中であっても予告なしで退職することができます(労働基準法附則第137条)。また、1年を経過していない場合でも、「やむを得ない事由」があれば、契約期間の途中で辞職することができます(民法第628条)。
また、雇用期間の定めの有無に関わらず、労働条件が雇入れ時に明示されたものと異なる場合は、即時に退職することができます(労働基準法第15条2項)。
▶参考情報:「民法第627条1項・第628条」の条文はこちら
▶参考情報:「労働基準法附則第137条」の条文はこちら
退職についてのルールは以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
(2)退職金についてのルール
労働基準法には退職金の支払義務を定める規定はありません。そのため、退職金は必ず支給しなければならないものではなく、支給するかどうかや、その計算方法、金額等を使用者が自由に決めることができます。ただし、退職金の支給条件や計算方法が就業規則や退職金規程等で明確に規定されている場合は、退職金は労働基準法第11条の「賃金」にあたり、労働基準法の適用を受けます。就業規則等で規定されているにもかかわらず退職金を支給しなかった場合は、労働基準法違反となる可能性があるので注意が必要です。
▶参考情報:退職金については以下の記事で解説していますので、ご参照ください。
10,解雇についてのルール
労働基準法で定められている解雇のルールには、解雇制限(労働基準法第19条)と解雇予告(労働基準法第20条)があります。
(1)解雇制限
労働者が一定の状態にある場合は、使用者は労働者を解雇することはできません。
解雇が制限されるのは以下の場合です(労働基準法第19条)。
- 業務上の理由によるケガや病気で治療するための休業期間及びその後30日間
- 産前産後の女性の休業期間及びその後30日間
上記に該当する従業員を解雇してしまった場合、違法な解雇(不当解雇)と判断されて解雇が無効になり、解雇期間中の給与(バックペイ)や慰謝料の支払いを命じられたり、従業員を復職させなければならなくなる等のリスクがあります。
▶参考情報:解雇制限については以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
▶参考情報:労働基準法第19条
(解雇制限)
第十九条使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
②前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
(2)解雇の予告
使用者が労働者を解雇する場合、少なくとも30日前に予告することが義務付けられています(労働基準法第20条1項)。もし、解雇を予告した日から解雇日までの期間が30日に満たない場合は、解雇予告手当として不足日数分の賃金相当額を支払う必要があります(労働基準法第20条1項、2項)。
▶参考情報:解雇の予告や解雇予告手当の支払いについては以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
・労働基準法第20条とは?条文と内容についてわかりやすく解説
・解雇予告手当とは?計算方法、支払日、所得税、源泉徴収票の処理を解説
▶参考情報:また、労働基準法で定められている解雇のルールについては、以下の記事をご参照ください。
▶参考情報:労働基準法第20条
(解雇の予告)
第二十条使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
②前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
③前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
解雇については、労働基準法の規定だけでなく、労働契約法第16条で定められている「解雇権濫用法理」も重要です。解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は無効(不当解雇)とされます(労働契約法第16条)。
この点については、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
11,労働条件の明示ルール
事業主が労働者と雇用契約を締結するときは、労働者に対して、賃金、労働時間その他の労働条件を明示することが義務付けられています(労働基準法第15条1項)。口頭で説明するのではなく、書面で交付することが原則です。
▶参考情報:労働基準法第15条1項
(労働条件の明示)
第十五条使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
明示することが義務付けられている労働条件には、以下のものがあります(労働基準法施行規則第5条1項)。
- 契約期間
- 契約更新の基準(有期雇用契約の場合)
- 就業場所及び業務内容
- 労働時間、残業の有無、休憩時間、休日、休暇
- 賃金の金額、計算及び支払いの方法、締日、支払時期、昇給
- 退職(解雇事由を含む)に関する事項
- 退職金制度を設ける場合は、適用される労働者の範囲、金額、計算及び支払いの方法、支払時期
等
▶参考情報:労働条件の明示義務については、以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
12,賃金についてのルール
労働基準法で定められている賃金のルールには、賃金支払いの5原則(労働基準法第24条)と最低賃金(労働基準法第28条)、減給(労働基準法第91条)などがあります。
(1)賃金支払いの5原則
賃金の支払いに関して、以下の5つの原則が定められています(労働基準法第24条)。
- 1.通貨で支払うこと(労働者の同意があれば銀行口座への振込み、電子マネー等での支払いも可能)
- 2.労働者に直接支払うこと
- 3.賃金全額を支払うこと
- 4.毎月1回以上支払うこと
- 5.一定の期日を定めて支払うこと
▶参考情報:賃金支払いの5原則については以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
・労働基準法第24条とは?賃金支払いの5原則について詳しく解説
▶参考情報:また、労働基準法における賃金のルール全般については以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
▶参考情報:労働基準法第24条
(賃金の支払)
第二十四条賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
※以下、省略
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
(2)最低賃金についてのルール
労働者に支払う賃金は最低賃金以上の金額でなければなりません。最低賃金については、労働基準法ではなく、最低賃金法で定められています。
▶参考情報:「最低賃金法」の条文はこちら(e-Gov)
最低賃金未満の賃金しか支払っていなかった場合は、過去にさかのぼって差額を支払わなければなりません。また、50万円以下または30万円以下の罰金が科されることになります。
(3)減給についてのルール
懲戒処分としての減給は、①1回の懲戒処分につき1日分の平均賃金の半額まで、②減給の総額につき一賃金支払期における賃金の総額の10分の1まで(例えば月給制の場合は月給の10分の1まで)が上限です(労働基準法第91条)。
就業規則でこれよりも多い金額を減給の上限として規定していたとしても、労働基準法で定められた上限を超える減給は違法となります。
ただし、これは、懲戒処分としての減給に適用されるルールであり、従業員との合意による減給や、管理職を降格させたことによる減給については、労働基準法による制限はありません。
▶参考情報:以下の記事で、減給の計算方法や減給をする際の注意点等について詳しく解説していますので、ご参照ください。
▶参考情報:労働基準法第91条
(制裁規定の制限)
第九十一条就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
13,試用期間についてのルール
労働基準法には試用期間について詳細な規定はありません。試用期間は必ず設けなければならないものではなく、試用期間を設けるかどうかや、その期間等は原則として企業が自由に決めることができます。
試用期間中の給与の扱いや、試用期間中の解雇等、試用期間に関するルールは以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
14,就業規則についてのルール
常時10人以上の従業員を雇用している事業者は、就業規則を作成し、労働基準監督署長に届け出ることが義務付けられています(労働基準法第89条)。この常時10人以上という人数には、正社員だけでなく、継続して雇用するパート社員やアルバイト等も含みます。
▶参考情報:労働基準法第89条
(作成及び届出の義務)
第八十九条常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
※以下、省略
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
労働基準法では、就業規則に必ず記載しなければならない項目が規定されており、これを絶対的必要記載事項といいます(労働基準法第89条)。
▶参考情報:絶対的必要記載事項
- 始業および終業の時刻
- 交代制勤務の場合の就業時転換に関する事項
- 休憩時間、休日、休暇に関する事項
- 賃金の決定、計算および支払の方法、賃金の締切りおよび支払の時期、昇給に関する事項
- 退職に関する事項(解雇事由を含む)
▶参考情報:就業規則の絶対的必要記載事項について詳しくは以下の記事で解説していますので、あわせてご参照ください。
そして、就業規則は労働基準法等の法令や労働協約に違反しない内容でなければなりません(労働基準法第92条1項)。仮に、就業規則の規定が、労働基準法で定められている基準を下回る内容だった場合は、その就業規則の規定は無効になります(労働契約法第13条)。
▶参考情報:就業規則と労働基準法の関係については以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
15,労働基準法に違反した場合の罰則とは?
労働基準法では、労働基準法に違反した場合の罰則が定められています。
違反内容とそれに対する罰則の一例をあげると以下のとおりです。
▶参考:労働基準法の違反内容と罰則について
違反内容 | 罰則 | |
賃金 | 賃金を期日通りに支払わなかった場合 | 30万円以下の罰金 |
割増賃金を支払わなかった場合 | 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金 | |
労働時間 | 36協定がないのに法定労働時間を超えて働かせた場合 | 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
時間外労働の上限を超えて働かせた場合 | 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金 | |
休憩 | 休憩を与えていないまたは規定に満たない休憩しか与えていない場合 | 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
有給休暇 | 有給休暇を与えなかった場合 | 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
年5日について使用者が時季を定めて取得させる義務を怠った場合 | 30万円以下の罰金 | |
就業規則 | 就業規則を作成していない場合 (常時10人以上の従業員を雇用する事業主) |
30万円以下の罰金 |
就業規則の絶対的必要記載事項を記載していない場合 | 30万円以下の罰金 | |
解雇 | 解雇予告をしなかった場合または解雇予告手当を支払わなかった場合 | 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
ただし、違反した場合も直ちに上記の罰則が科されることは多くありません。通常は労働基準監督署による調査、是正勧告を経てもなお改善されなかった場合に、送検されて罰則を受けることになります。
▶参考情報:労働基準法に違反した場合の罰則等については以下の記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
16,労働基準法の施行規則とは?
労働基準法施行規則とは、労働基準法を実際に運用するにあたっての細かい決まりや手続きの内容を定めた厚生労働大臣による命令(省令)のことです。
▶参考情報:労働基準法施行規則の条文はこちらから確認することができます。
施行規則は、労働基準法と同様に法的拘束力があるものです。そのため、労働基準法への対応にあたっては、労働基準法だけでなく施行規則の規定もよく確認する必要があります。
▶参考情報:労働基準法施行規則については以下の記事で詳しく解説していますので、ご参照ください。
17,労働基準法に関するよくある質問
Q1:欠勤ついてはどのように規定されている?
労働基準法などの法律上、欠勤について定義や規定はありません。
欠勤とは、一般に、病気や家庭の事情などの従業員の都合で、所定労働日に休むことをいいます。年次有給休暇や産前産後休業、育児休業等、労働者の権利として、法律や就業規則で定められている休業・休暇とは異なり、従業員側の都合で欠勤した日については、正当な理由がなければ懲戒処分の対象となります。
Q2:育児休業についてはどのように規定されている?
育児休業は、男女ともに原則として子が1歳になるまで休業できる制度です(保育所に入れない等の特別な事情がある場合は最長2歳まで)。育児休業は法律で定められている休暇制度で、就業規則等に規定がなくても取得することができます。労働者から育児休業の申出があった場合、会社はそれを拒むことはできません。
育児休業は、労働基準法ではなく、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)」で規定されています。
Q3:健康診断についてはどのように規定されている?
会社は、常時雇用する労働者について、雇入れ時と1年以内ごとに1回、健康診断を受けさせる義務があります。また、有害な業務に従事する従業員については、雇入れ時、配置替え時および6ヶ月以内ごとに1回の健康診断を受けさせる義務があります。
健康診断は、労働基準法ではなく、「労働安全衛生法」で規定されています。
Q4:副業についてはどのように規定されている?
副業と労働基準法の関係で注意する必要があるのは、労働時間の管理です。
本業と副業の労働時間は通算されます(労働基準法第38条1項)。そのため、本業と副業の合計労働時間が、労働基準法上の時間外労働・休日労働の上限規制を超えないように注意しなければなりません。また、割増賃金の計算にあたっても、本業と副業の通算が必要ですが、この点については副業の促進の観点から改正が予定されており、今後の動向に注意が必要です。
Q5:生理休暇についてはどのように規定されている?
生理休暇とは、生理による下腹痛、腰痛、頭痛等の症状があり、就業することが難しい女性が取得することができる休暇のことです(労働基準法第68条)。
生理休暇は法律で定められている休暇制度で、就業規則等に規定がなくても取得することができます。労働者から生理休暇の申出があった場合、会社はそれを拒むことはできません。
休暇中の賃金の支給の有無は企業の判断に委ねられているので、無給とすることも可能です。生理休暇は、外部から生理日かどうかの判断が難しく、不正取得のリスクも高い休暇であることを踏まえると、無給としておくことが適切です。
▶参考情報:労働基準法第68条
(生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置)
第六十八条使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。
・参照元:「労働基準法」の条文はこちら
18,労働基準法について弁護士に相談したい方はこちら
咲くやこの花法律事務所では、企業法務に特化した法律の専門家として、企業側の立場で労働基準法への対応や労務トラブルの予防、解決について専門的なサポートを提供してきました。咲くやこの花法律事務所の弁護士による企業向けサポート内容を以下でご紹介します。
(1)労働基準法への対応のサポート
咲くやこの花法律事務所では、労働基準法に関連して以下のようなサポートを行っています。
- 就業規則や雇用契約書、労働条件通知書等の作成や見直し、リーガルチェック
- 休憩時間や休日、有給休暇の適切な付与のサポート
- 解雇時の手続きについてのサポート
- 労働基準監督署等から調査や違反の指摘を受けたときのサポート
- 労働条件に関して従業員とトラブルになったときのサポート
- 労働基準法の改正への対応についてのサポート
労働基準法への対応や労務環境の整備、あるいは労務トラブルでお困りの際は、咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
咲くやこの花法律事務所の企業法務に詳しい弁護士への相談費用
●初回相談料30分5,000円+税
▶参考情報:企業が労働基準法について弁護士に相談するメリットを以下の記事でも詳しく解説していますので、ご参照ください。
(2)顧問弁護士サービスのご案内
咲くやこの花法律事務所では、企業の労務管理全般をサポートするための顧問弁護士サービスを提供しています。
何かトラブルが発生した場合、事前のリスク対策ができていない会社ほど大きなダメージを負うことになります。トラブルによるダメージを抑えるためには、こまめに顧問弁護士に相談し、日頃から社内規定や労務管理体制の整備等の法的なリスクマネジメントに取り組むことが重要です。もし何かトラブルが発生してしまったときも、初期段階で顧問弁護士に相談して専門的な助言を受けて対応することが早期解決につながります。
咲くやこの花法律事務所では、企業側の立場で数多くの事案に対応してきた経験豊富な弁護士が、トラブルの予防、そしてトラブルが発生してしまった場合の早期解決に尽力します。
咲くやこの花法律事務所の顧問弁護士サービスのご案内は以下をご参照ください。
(3)「咲くやこの花法律事務所」の弁護士に問い合わせる方法
弁護士の相談を予約したい方は以下の「電話番号(受付時間 9:00〜23:00)」にお電話いただくか、メールフォームによるお問い合わせも受付していますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
【お問い合わせについて】
※個人の方からの問い合わせは受付しておりませんので、ご了承下さい。
19,まとめ
この記事では、労働基準法とはどのような法律か、対象となる労働者の範囲や規定内容、違反した場合の罰則等について解説しました。
労働基準法とは、事業主が労働者を雇用するときの労働条件の最低基準を定めた法律で、労働基準法で定める規定に達していない労働条件は無効となります。船員や国家公務員等の一部の労働者を除き、正社員だけでなく、パート社員やアルバイト等の非正規労働者を含むすべての労働者に適用されます。
労働基準法では、賃金や労働時間、休憩、休日、有給休暇、時間外労働、休日労働、割増賃金、解雇予告、就業規則等、労働条件にまつわる様々な内容が規定されています。
労働基準法に違反すると懲役刑や罰金刑が科されたり、企業名を公表されたりする可能性があります。また、労働者とトラブルになって、団体交渉や訴訟に発展したり、場合によっては金銭の支払いを命じられることもあります。
咲くやこの花法律事務所では、労働基準法への対応について企業向けの専門的なサポートを提供しています。労働基準法への対応にお悩みの方、不安を感じておられる方は、咲くやこの花法律事務所にご相談ください。
記事作成日:2024年12月1日
記事作成弁護士:西川 暢春
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